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話題の新人がやってきた
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空気を凍らせる新人がいるらしい
そう団員が噂をしているときにヒューゴは気にもとめなかった
風のように速いとか炎のように気性が熱いとか、まるで魔法のような大げさな表現をされるのは騎士団では珍しくないからだ
まあ中には本当に家系でそういう魔法を使う魔術師もいるらしい
希少らしいが
その空気を凍らせる男がやってきた
「よりによってうちで預かるのは危険だと言ったんだけどね」
ヒューゴ達の第三騎士団は平民と貴族と両方が属している。お互いにまあそれとなく衝突しないように気を遣っている
粗暴に見える奴でも最低限の礼節を弁えている
騎士団というのはお互いに背中を預けあって戦うようなものだから、信頼し合っているべきだ。
育った環境が違っても理解しようとすること自体が歩みよりなのだと、団員は経験上知っている。
平民には平民の悩みがあるように、貴族にも貴族の悩みがある
家督を継がない次男や三男は自分の力で騎士となり爵位を目指す者もいる
「わー、ここって面白い人が多いんですねー!」
話題の新人、コールがやってきた
子犬みたいにパタパタ走ってきて、きゅるん♪と擬音が付きそうなしゃべり方だ。
可愛いと言われてきた人生だったんだろう
しかし第三騎士団の団員は慣れている
本当の「可愛い」は年齢不詳の美少年、リュートさんだ
それにくらべたら少々あざといだけの男だ
「平民にもかっこいい人がいるって聞いたんで見たかったんです」
平民にも
わざわざ言う必要あるか?それ
カチンときたのはおそらく団員の半数ほど
「あっ!
あの人がヒューゴさんですね!黒い服しか着ないって有名ですよね」
団員の若手達がキッと睨んだ
「俺たちがヒューゴさんに慣れるまでにどれだけかかったか」
「初めはビビって話しかけられなかったのに」
「ヒューゴさんが有名なのは服のせいじゃねえ」
殺気に音がついたなら、低音のベースとドラムがだんだん間隔を短くしていくような感じだ
「あと、可愛い奥さんと彼女がいるって聞きました」
「俺は結婚していない」
ヒューゴが即答した
彼女が可愛いのは否定しない
「でも彼女とか奥さんを放ったらかしにして、逃げられる人が多いんですよね、騎士団って。」
ギリッ
歯ぎしりのなのか理性にヒビが入ったのか
奥で立ち上がった者もいる
「……喋りすぎやな、お前」
カイが鞭を手入れしながら言った
「団長、子供の見学やったら断ってくれへんか」
ヒューゴも久しぶりに息をつめた。
カイが笑っている。
営業用のような口の端まで上がった笑顔だ
ものすごく怒っている
団長は予想していたのか苦笑してコールを連れていった。
「なんだったんだ、あれ」
「俺たちの忍耐力を試されたのかもな」
中堅の団員が言って、場の空気が和んだ
それでもやっぱり気が晴れなかったので団員で飲みに行くことにした
「俺はパスで。悪い」
ヒューゴとカイが同時に言った。
いそいそと帰る2人
新人の言ったこと気にしてるんじゃん……
そう団員が噂をしているときにヒューゴは気にもとめなかった
風のように速いとか炎のように気性が熱いとか、まるで魔法のような大げさな表現をされるのは騎士団では珍しくないからだ
まあ中には本当に家系でそういう魔法を使う魔術師もいるらしい
希少らしいが
その空気を凍らせる男がやってきた
「よりによってうちで預かるのは危険だと言ったんだけどね」
ヒューゴ達の第三騎士団は平民と貴族と両方が属している。お互いにまあそれとなく衝突しないように気を遣っている
粗暴に見える奴でも最低限の礼節を弁えている
騎士団というのはお互いに背中を預けあって戦うようなものだから、信頼し合っているべきだ。
育った環境が違っても理解しようとすること自体が歩みよりなのだと、団員は経験上知っている。
平民には平民の悩みがあるように、貴族にも貴族の悩みがある
家督を継がない次男や三男は自分の力で騎士となり爵位を目指す者もいる
「わー、ここって面白い人が多いんですねー!」
話題の新人、コールがやってきた
子犬みたいにパタパタ走ってきて、きゅるん♪と擬音が付きそうなしゃべり方だ。
可愛いと言われてきた人生だったんだろう
しかし第三騎士団の団員は慣れている
本当の「可愛い」は年齢不詳の美少年、リュートさんだ
それにくらべたら少々あざといだけの男だ
「平民にもかっこいい人がいるって聞いたんで見たかったんです」
平民にも
わざわざ言う必要あるか?それ
カチンときたのはおそらく団員の半数ほど
「あっ!
あの人がヒューゴさんですね!黒い服しか着ないって有名ですよね」
団員の若手達がキッと睨んだ
「俺たちがヒューゴさんに慣れるまでにどれだけかかったか」
「初めはビビって話しかけられなかったのに」
「ヒューゴさんが有名なのは服のせいじゃねえ」
殺気に音がついたなら、低音のベースとドラムがだんだん間隔を短くしていくような感じだ
「あと、可愛い奥さんと彼女がいるって聞きました」
「俺は結婚していない」
ヒューゴが即答した
彼女が可愛いのは否定しない
「でも彼女とか奥さんを放ったらかしにして、逃げられる人が多いんですよね、騎士団って。」
ギリッ
歯ぎしりのなのか理性にヒビが入ったのか
奥で立ち上がった者もいる
「……喋りすぎやな、お前」
カイが鞭を手入れしながら言った
「団長、子供の見学やったら断ってくれへんか」
ヒューゴも久しぶりに息をつめた。
カイが笑っている。
営業用のような口の端まで上がった笑顔だ
ものすごく怒っている
団長は予想していたのか苦笑してコールを連れていった。
「なんだったんだ、あれ」
「俺たちの忍耐力を試されたのかもな」
中堅の団員が言って、場の空気が和んだ
それでもやっぱり気が晴れなかったので団員で飲みに行くことにした
「俺はパスで。悪い」
ヒューゴとカイが同時に言った。
いそいそと帰る2人
新人の言ったこと気にしてるんじゃん……
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