俺たちの幕間(注:かっこいい人はいません)

仙桜可律

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マリアの悩み

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「もうちょっと、て感じなんですよぉー!聞いてます?」

「あ、ハイ」

リナ、はよ帰ってきて。

酔ったマリアを前にカイは困っていた。

リナとマリアがお酒を飲みに行ったのだが遅いので迎えに来た。

そしたらカイにも少し飲んだら?とリナが注文をしに行って、席にマリアと二人残ることになった。

それだけでも気まずいのに。

マリアさん、できあがってます。

こうなったマリア嬢のことは
苦手としている。
自分の嫁は可愛いが、他の女性はだいたい全部面倒くさい。
嫁の友達は気を使うので面倒くさいのが二割増し。
仕事仲間の彼女は気を使うので面倒くさいのが二割増し。
要するにとても苦手。
リナが世話になってる分、余計なこともいえないからひたすら我慢をしている。

愚痴の内容は
「ヒューゴが恋人として一年近くなろうとしているのに、一線を越えてくれない」

ということだ。

そんなん知らんがな

と言いたい。

そんなん知らんし、知りたくもない。
なんなら直接ヒューゴに聞いてくれ

「いい雰囲気になっても、ダメなんです!なんでですか!」

「……前に、マリア嬢に逃げられたのがショックだったんだと思います」

「やっぱり、そうですよねえ……」

付き合う前に、ヒューゴに告白して姿を消したことがあった。
その時のヒューゴは見ていられなかった。

「私のせいですよね」

「あー、いや、そうではなくて。多分あいつも考えてないわけではないんだろうけど」

マリア嬢とのことは真剣に考えている。ちょっと気持ち悪いくらいに準備をしてから手を出そうと思っているみたいだけど、そんなことを言えるわけもない。
他人が口を出すことではない。

リナが帰ってきた。

なんで軽く一杯って言ってたのに瓶を持ってるんだ。

「リナ、飲み過ぎ。」

「だって、マリアちゃんこんなに可愛いのにヒューゴさんひどいよう」

うるうるしている嫁可愛い。

違う、そうやない。

「ヒューはマリア嬢と出会ってから変わったから、時期を見てきちんとするつもりだと思うけど。」

そのあと、マリアを送ってからリナと二人で話した。

というか、リナがヒューゴのことをひどいひどいと責めるように言うので宥めていた。

「庇うわけじゃないけどな、ヒューゴはものすごく慎重にマリアさんのことを考えてるだけで、大切にしてるんだ」

「でも不安にさせてたら意味ないじゃないの」

「まあそうかもしれんが、マリア嬢はなんで焦ってるんだ?貴族令嬢だったんだろ?男女のその、あれこれなんて縁がなかっただろうしヒューゴもそれで、怖がられないかと思ってるんじゃないか」

「逆よ。
貴族は婚約してても家の都合で解消したり、離縁したりも多いらしいよ。昔は初夜で初めて相手の顔を見たりしたこともあったんだって。
もし、マリアちゃんが貴族に戻ったら処女だと他の貴族と婚約しちゃうかもしれないよ?
早く捨てたいの。古い考えの育ちだから守りたい人もいれば服を脱ぐみたいに身軽になりたい人もいるのよ。
マリアちゃんが不安なのはヒューゴさんが気を使ってるのが、貴族育ちだからってところよ。

ほんっと、男ってつまらない!

いつでも、マリアちゃんはヒューゴさんに飛び込んで掴まえていて欲しいのに」

怒って頬を膨らます嫁可愛い。

そうやない。

「まあ俺やリナが口を出すことじゃないのは、わかるな?」

「わかってるから腹が立つの!もう、カイさんリナを子供扱いして!わかってるよ、リナだって」

「ハイハイ。子供じゃないのは知ってるから早く帰って寝よう」

酔っているリナは可愛いので抱き上げて早く人目に触れないように連れかえって閉じ込めなくては。


「まあ、それぞれだからな。俺はお前を我慢できなかったから、あいつの気持ちはわからない」

ものすごく我慢して、辛かったけど離れてみてやっぱり無理で、どんな手を使っても取り戻そうとした。

「カイさん?どうしたの」

小首をかしげて、酔った目で見上げてくる。

「んー、今日はちょっとお仕置きしよかなって。リナ何回もヒューゴの名前呼んだから」

「んっ、それは、仕方ない、だって、」 

何度もキスをしながらじたばたと逃げようとする。

人のことばっかり言う口は塞いでしまおうと思った

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