【完結】白馬の王子はお呼びじゃない!

白雨 音

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クリスティナがフォーレ伯爵の館に来てから、二週間が過ぎた。
彼女は本気なのか、積極的にフェリクスを誘っている。
わたしが知る限り、フェリクスは上手く断っている様だ。
彼女の凄い所は、何度断られても、諦めず、
その上、わたしが一緒の時でも、堂々と誘いを掛ける所だろう___

「フェリクス様、明日、領地の案内をして頂けませんか?」

フェリクスとわたしは、厩舎から戻って来た所で、
いつも出入口に使っている、庭に面したテラスの階段を上がり、回廊に入った所、クリスティナが待ち構えていた。
彼女は今ではわたしたちに付いて来る事は諦めたらしく、こうして待ち伏せる様になった。

漸く、自分の動作の遅さに気付いたのだろうか?
確かに、良い手かもね…
正直、一緒に来られても、わたしもフェリクスも早足なので、付いて来られるとは思えない。

「申し訳ありませんが、仕事がありますので、領地の案内は他の者に頼んでおきましょう。
それでは、僕は失礼します、オリーヴ、またね」

フェリクスが断るのを聞き、わたしは安堵した。
それに、彼はいつも、わたしの頬にキスをしてくれる。
わたしを《特別》だと言ってくれているみたいに思え、少しだけうきうきするのだ___

わたしは頬に手をやり、ぼうっとフェリクスを見送っていたが、
クリスティナがわたしを見ているのに気付き、慌てて顔を引き締めた。

いけない!いけない!敵の前でだらしのない姿を見せるなんて!
油断大敵よ!

「わたしもこれで…」と立ち去ろうとしたが、
驚く事に、クリスティナの方が「お待ち下さい」とわたしを引き止めた。
相手が格上で、伯爵家の客ともなれば、従うより他無い___
わたしは内心を隠し、彼女に向き直った。

「何か、御用でしょうか、クリスティナ様」

やや、嫌味っぽいかしら?
だが、彼女はそれには気付いていない様で、感情の見えない表情で、粛々と言った。

「私は、フェリクス様を、お救いしたいと、思っております。
ですが、あなたの事も、お可哀想な方と思い、お救いして差し上げねばと思っております」

「は、ぁ…?」

突然、思い掛けない事を言われ、わたしはポカンとするばかりだ。
それに、一体、何から救うというのだろう?

わたしは、彼女が正気かどうか、判断が付かず、目を眇めた。
だが、そんなわたしに気付いていないのか、彼女は指を組み、回廊の高い天井を仰いだ。

「これは、神が私に与えた使命であり、神のご意志…!」

まるで啓示を受けたかの様に。

もう、ここを去っても良いかしら?
早く着替えて、ダイアンたちと遊びたいのだけど…
わたしの内心の声が聞こえたのか、クリスティナの意識は下界に戻り、
真剣な表情でわたしを見た。その目には、異様な光があり、わたしはゾクリとした。

まさか、《神様が降りた》、なんて言い出さないわよね??

身構えるわたしに、彼女は恭しく言葉を紡いだ。

「私は、あなたに真実を告げねばなりません。
そして、あなたは、それがどれ程辛くとも、受け入れねばなりません。
それが皆の幸せの為、お分かり頂けますね?」

いいえ、全く、話が見えないわ。

「まず、話を聞かせて貰えるかしら?」

相手が侯爵家のご令嬢だろうと、こんな事を言われては、口調だってぞんざいになってしまう。
だが、クリスティナは気を悪くする事なく、「そう致しましょう」と頷いた。

「オリーヴ、結婚とは神聖なものです、神聖だからこそ、神の祝福が得られるのです。
決して、自己の立場を利用し、相手を追い詰め、強制するものではありません」

いきなり、説教をされているけど…
わたしが、フェリクスを追い詰め、強制したと言うの?
全く身に覚えが無いのだけど??
更に目を眇めたが、クリスティナはすっかり悦に入っていた。

「則ち、それは悪!邪悪な心に蝕まれた者の所業に他ならないのです!
オリーヴ、あなたにその自覚は無いのでしょう、ですが、あなたの心は蝕まれているのです!
あなたは決して、生まれながらの悪女ではありません。
生まれた時のあなたは、真新な神の子だったのです。
その頃の自分を取り戻すのです、オリーヴ!」

彼女は慈愛に満ちた微笑を浮かべているが、わたしは何とも答え様が無かった。

わたしはもう直ぐ二十歳になるのよ?
生まれた時になんて、戻りたくないわよ!
大体、彼女は何が言いたい訳??
珍しく饒舌に長々と話しているものの、その内容はというと、全く理解不能だ。

「ちょっと、話を整理させて貰ってもいいかしら?」

クリスティナが頷いたので、わたしは気が乗らないまでも、無理矢理、頭を回転させた。

「わたしがフェリクスを脅して、結婚させようとしていると、あなたは言いたいの?」

「正しくは、館に押し掛け、フェリクス様に煩く付き纏い、結婚を迫っており、
フォーレ伯爵家の皆が、あなたを説得するも、耳を貸さず、
我が物顔で館に居座っており、皆を疲弊させている…と、申し上げたかったのですが、
やはり、あなたにご自覚はありませんのね?」

全く違うわよ!!
何よ、それ!何処情報なワケ!??
って、勿論、ベアトリスよね…

わたしは、彼女を連れて来たのがベアトリスだった事を思い出した。
わたしとした事が、すっかり忘れていたわ…
ベアトリスの企みは、『自分のお気に入りの令嬢とフェリクスを結婚させる事』だと思っていた。
だけど、まさか、《嘘》を言って、純真な彼女を嗾けていたなんて…!
何て、汚い!ベアトリスを甘く見過ぎていたわ!
頭が鮮明になり、わたしの内に、怒りの炎が燃え上がった。

「ベアトリス夫人から聞いたの?」

否定するかと思ったが、意外にも彼女はあっさりと頷いた。

「ベアトリス夫人は大いにお悩みです。
愛息を不幸にさせまいと命を削っておられます。
私はベアトリス夫人の献身、そして親の深い愛に感銘を受け、
お二人の道を引き離す事を、お引き受け致しました」

自分の正義を信じるクリスティナには、一欠けらの罪悪感も無く、ゆったりと微笑んでいる。

ある意味、怖いんだけど…

それにしても、ベアトリスの話を信じるなんて…あなた、騙されてるわよ!!!
献身的な姿とか、親の深い愛なんて、一度も見た事ないから!

ぶちまけてしまいたかったが、寸前で思い止まった。
ベアトリスを妄信しているんだもの、彼女の悪口…本性を言った所で、逆効果だわ!
わたしは冷静になろうと、息を吐いた。

攻めるなら、他を突くのよ!

「…それじゃ、あなた自身は、フェリクスをその気にさせて、彼と結婚するつもりなの?」

「え?」

クリスティナは意外だったのか、いつも半分伏せている目を丸くした。
フェリクスに興味が無いと分かり、わたしは幾分安堵した。
そして、それは、わたしにいつもの調子を取り戻させた___

「もしかして、その気にさせただけで、彼を捨てる気だったの?
それって、欺く事よね?彼の心を弄ぶ事にならないかしら?
人を欺き、心を弄ぶ者の事を、神様はお認めなの?知らなかったわー」

「い、いえ!勿論、欺き弄ぶなどという卑劣な行為は、神はお許しにはなりません!
で、ですが、間違った者を正しい道に戻すには、多少の犠牲は必要で…」

「ふぅん、あなたの神は、人の心を弄ぶ行為を、《多少の犠牲》とおっしゃるのね?」

わざと強調して言ってやると、クリスティナは見ても分かる程に、慌て出した。

「いいえ!その様な事は決してございません!
神はこの世に生を受けた全ての者たちを、等しく愛しておられますので…」

「そう、だったら、《あなた》は、神の意志に背いたのね?」

「え…」

クリスティナは真っ青な顔で震え出した。
今や泣きそうだ。
流石に少々気の毒だけど、今の彼女ならば、信じるだろう。
《神の声》を___

「あなたの神はおっしゃっているわ…」と、わたしは先程の彼女を真似、高い天井を仰いだ。

「【クリスティナよ、世の汚れた者たちに惑わされてはいけない、自分の道に戻るのだ!】」

「で、ですが!間違った者たちに道を示すのも、私たちの使命…!」

「【クリスティナ、おまえはまだ拙い、他人を救おうなど、驕りであるぞ!】
【修行をし、力を付けるのだ!】」

「も、申し訳ございません!!」

クリスティナはその場に平伏せた。

「私、クリスティナは驕っておりました…
これより、心を入れ替え、今以上に、神に仕えて参ります!
ですので、どうか、どうか、私の罪をお許し下さい!」

「【許そう、クリスティナ、おまえは神の子である、いつも見ておるぞ】」

クリスティナは回廊の冷たい床に伏せ、号泣していた。
まさか、これ程効くとは思わなかったわ…
罪悪感に突き動かされ、わたしはハンカチを彼女に差し出した。

「使って」

「ありがとうございます…」

「それで、これから、どうするの?」

わたしはあまり刺激しない様、そっと伺う様に聞いた。
彼女はハンカチで濡れた頬を拭きながら…

「私は、自分の道に戻ります、私では力不足だと思い知りました…」

わたしは声には出さず、安堵した。

「ですが、フェリクス様の事が気掛かりです…
オリーヴ、私と一緒に、この館を出て、修道院に入りませんか?」

は???

「そうしたら、問題は全て解決しますでしょう?
私は神の使いとして学べますし、あなたはフェリクス様への想い断ち切れます。
フェリクス様もベアトリス夫人も、皆が幸せになれますわ!」

これまでになく、クリスティナの顔が輝いている。
細い指に、ガシリと腕を掴まれ、わたしは我に返り、抗った。

「わ、わたしは遠慮するわ!
それに、神様は言っていたわよ!
結婚は、《運命の導き》だって!」

苦し紛れに、思いついた事を言い放った。
だが、効果があった様で、わたしの腕を掴んでいた、彼女の指から力が抜けた。
この隙に!と、わたしは腕を引き抜いた。

ああ!怖かったーーー!

「運命の導き…?
それでは、あなたが強引に迫っているのも、運命の導きと申すのですか?」

強引には迫っていないけど…

「…勉強になります、教えて下さって有難うございます、オリーヴ。
あなたはやはり、生まれながらの悪女ではありませんでした。
そして、完全に悪に堕ちてもいませんでした。
いつの日か、あなたを改心させ、この館の皆を幸せにしてみせます、
その為に、私は修行をして参ります___」

クリスティナは幸せそうな笑みを残し、去って行った。
わたしのハンカチを握りしめて…

「また、刺繍しなきゃ…」

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