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本編

最終話

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ディランとわたしは二人だけの世界に入り込み、踊った。
夢の様な時間だった___

だが、息が荒くなり、「少し休もう」とダンスを終えると、現実が戻って来た。
寂しさを覚える時間だ。

「プリムローズ様、踊って頂けますか?」

見知らぬ男子生徒が申し込んで来て、わたしは驚いた。
だが、それだけではない、いつの間にか、大勢の男子生徒や女子生徒たちが、
わたしたちの周りに集まって来ていた。

「プリムローズ様!是非、俺と!」
「ディラン様!どうか、私と!」
「プリムローズ様!」
「ディラン様!」

あああ!一体、どうしたら良いのでしょうか??

助けを求めてディランを見ると、ディランは冷たい目で男子生徒を見ていた。
ふ、不機嫌そうです!
踊っていた時とは別人に見えます!

「すまないが、彼女は足を痛めたので、踊れない」

ディランは素っ気なく言うと、何の前触れも無く、わたしを抱え上げた。

「きゃぁ!??」

「それでは失礼___」

驚き固まるわたしや、茫然とする周囲に構う事無く、
ディランはわたしを抱えたまま、足早に会場を出て行った。

大勢の生徒たちから注目を浴び、わたしは赤くなり、その胸に顔を伏せた。



いつもの木陰のベンチまで来ると、ディランはわたしを下ろした。

「ディラン様、わたしを抱えるなど、腰は大丈夫ですか?」

痩せた事を忘れ、反射的に聞いてしまい、ディランに顔を顰められた。

「おまえは俺を何だと思っているんだ、虚弱体質ではないぞ!」

し、失礼致しました!
虚弱体質などとは、一度も思った事はありません!!
十分に逞しいです…なんて、恥ずかしくて言えません!!

「それより、俺以外の男と踊りたいなら、戻ってもいい」

不機嫌に言われ、わたしの頭は少し冷静さを取り戻した。

「いえ、わたしはディラン様とだけで十分です!」

ディランは満足したのか、大きく頷くと、
「飲み物と食事を取って来てやる、ここで待っていろ」と、再び会場に戻って行った。



ザザ、ザ…

足音がし、ディランが戻って来たのかと思い、素早くドレスのスカートを整え、
背を正したのだが、そこに現れたのは、ディランでは無かった。

白地に金色の飾りや刺繍がされた、煌びやかな礼服を纏い、
金色の髪に薄い青色の目の美形の男…

アレン・ルーセント…ディランの異母兄だ___

「!?」

どうして、アレン様が!?

わたしは突然現れたアレンに驚いていたが、
我に返り、慌ててベンチを降り、頭を下げた。
相手は、第二王子だ___

「よい、頭を上げろ、プリムローズ」

アレンはわたしだと分かっていたのだ。
わたしは驚いた。
以前、一度、王城の庭で会ったが、その時には酷い暴言を吐かれたからだ。
まさか、アレンの方から近付いて来るなど、誰が思うだろう?

「驚いたが、おまえ、本当に、あの《白豚》か?」

ここで『はい』と答えるなど、屈辱以外の何ものでもない。
だが、相手は王子だ___
わたしは視線を下げ、「左様にございます」と答えた。

「はっはっは!上手く化けたものだな!
だが、これ程良い女になるなら、婚約者の座をディランに譲るのでは無かったな。
見れば見る程、あいつには勿体ない___」

アレンの視線が、わたしの頭からつま先まで、じっくりと辿る。
わたしは言い知れぬ気持ち悪さを感じた。

「よし、おまえを俺の妃にしてやろう!」

!?

わたしは驚き、茫然となった。
とても信じられず、幻聴であれば良いと願いながら、わたしは小さく頭を振った。

「わ、わたしは、ディラン様の婚約者です…」

だが、アレンは鼻で笑った。

「フン!そんなもの、どうにでもなる!
俺は王のお気に入りだからな、俺が言えば王は何でも叶えてくれるのさ。
おまえたちの婚約など、直ぐに破棄出来る___」

わたしはぞっとして、声を大きくした。

「わたしはディラン様と結婚します!
ディラン様が好きですし…愛していますので…」

愛していると告げるのには、気恥ずかしく、わたしの顔は火照った。
だが、瞬間、アレンの綺麗な顔は険しくなった。

「ディランを愛しているだと?
あいつは汚らわしい、愛妾の子だぞ!そもそも、王の子かも分からぬ者だ!
そんな者を公爵家に入れたら、後の代まで後悔する事になるぞ!
勿論、俺も公爵家などに入る気は無いがな!」

わたしは強く拳を握った。
相手が幾ら王子でも、黙っている事は出来ない、
ディランの為にも、わたしたち家族の為にも___!

「ディラン様が誰の子でも関係ありません!
わたしも、わたしの家族も、一族も、皆がディラン様を尊敬し、愛しています。
王子だからではありません、ディラン様だから、わたしは結婚したいのです」

わたしは分かって貰えると思ったが、アレンの目は更に吊り上がった。

「おのれ!たかが公爵令嬢の分際で、正当な王子である俺を虚仮にしたな!
決めたぞ!何があろうと、俺はおまえを妃にする!
おまえがディランを捨て、俺と結婚したいと言い出した事にしてな!
ディランはさぞおまえを憎むだろう!」

アレンが意地悪い笑みを浮かべる。
わたしは悲鳴の様な声を上げていた。

「そんな!あんまりです!」

「週末には、婚約は破棄にしてやるから楽しみにしていろよ、プリムローズ」

アレンは白いマントを大きく翻し、去って行った。
わたしは茫然と立ち尽くしていた。

ああ、このままでは、ディラン様との婚約を破棄されてしまいます___!



「待たせたな、プリムローズ」

暫くして、ディランがトレンチに飲み物と食事を乗せ、戻って来た。
わたしは立ち尽くしたままで、ディランに不審に思われてしまった。

「どうした、何かあったのか?」

わたしはアレンの事を話すべきか迷った。
異母兄であるアレンとの仲が悪くなれば、それはディランの為にはならない。
それに、これが発端で、王との間にも亀裂が入るかもしれない。
ディランにとって、家族は王だけなのだ…
だが、後でディランが知れば、ショックは大きいだろう___

「あの、いえ…栗鼠を見掛けたので…」

「栗鼠?まぁ、いい、座れ、喉が渇いただろう、果実水だ」

ディランがグラスを渡してくれた。
わたしは震える手でそれを受け取った。
ディランは気付かなかったのか、わたしの側に座ると、トレンチを横に置き、
自分もグラスを手にした。

「どうした、飲まないのか?」
「いえ、頂きます!丁度、喉が渇いていましたので…美味しいです!」

わたしは無理に笑顔を作った。
ディランは優しく微笑むと、自分もグラスに口を付けた。
美しい横顔に、わたしは涙が溢れ、誤魔化す様に顔を背けると、そっと指で払った。

「プリムローズ」

名を呼ばれ、わたしが振り返ると、口付けられた。
甘い口づけに、わたしは堪らずに、涙を零した。

「何故、泣く?」

ディランの指が、濡れた頬を拭ってくれる。
わたしは「ふええ…」と声を漏らし、また泣いてしまった。

「好きです、ディラン様が好きです、愛しています…!」

今、伝えておかなければ…!
わたしはその気持ちに押され、愛を告げていた。
ディランは驚いただろう、だが、彼は静かに、その言葉をくれた。

「そうか、俺もだ、俺もおまえを愛している…」

喜びの滲む声に聞こえ、目を上げると、優しく額に口付けられ、
それから、再び、唇に戻り、熱く重ねられた___

わたしは腕を伸ばし、ディランに抱き着いていた。
愛の言葉を聞けた喜びよりも、不安や恐れが大きかった。

アレンが怖い。
彼はわたしたちを引き離そうとしている!

ああ、永遠に、このキスが終わらなければ良いのに___


◇◇


アレンが王に進言し、ディランとわたしの婚約を破棄する前に、
手を打たなければいけない。
出来れば、ディランには知られずに…
そう考えれば、自ずと導き出される答えは一つだった。


わたしはその夜、薬箱の中から、小瓶を取り出した。
《秘伝の薬》だ。

一日、一粒飲むと、健康が維持出来るが、
同時に、ソルト・オッドの呪いが込められている。

「お願いです、どうか、お力をお貸し下さい___!」

わたしは小瓶から、十粒程、手の平に出し、
それを一粒、一粒…口に入れ、水で流し込んでいった。





翌朝、目が覚めると、わたしの体は大きく膨らみ…元の《白豚》に戻っていた。

「お嬢様!?どうなさったのですか!?」

悲鳴を上げたハンナに、わたしは笑って見せた。

「これで、いいのよ、ハンナ!」

これこそ、わたしの狙いなのだから___





わたしは元の大きな制服に身を包み、颯爽と学園に向かった。
わたしを目にした生徒たちは、目を見張り、わたしを注目した。

「ええ?あれって…」
「《白豚》?」
「おい、《白豚》が戻って来てるぜ!」

周囲がざわめきを見せる中、わたしは胸を張り、堂々と進んだ。

わたしは三年生の教室のある棟に向かい、アレンを待った。
程なくして現れたアレンは、わたしを目にし、驚愕し、足を止めた。
驚きだけでなく、嫌悪や軽蔑の色も見える…
わたしは笑みを浮かべ、丁寧に挨拶をした。

「アレン様、お早うございます、プリムローズでございます。
先日の、アレン様からのお申し出の事で、気になりました事があり、待たせて頂きました。
アレン様は、わたしをお好きなのですか?」

わたしが尋ねると、周囲がざわついた。
アレンはあんぐりと口を開けたかと思うと、一瞬で顔を険しくし、怒鳴り散らした。

「馬鹿を申すな!悍ましい!吐き気がするわ!
おまえの様な、白豚を誰が好きになるものか!!
おかしな話をでっち上げる気なら、おまえを学園から追放してやる!
分かれば、さっさと俺の目の前から消えろ!!その見苦しい姿を俺に見せるな!
この、汚らわしい白豚が___!!」

周囲はアレンの罵倒に引いていたが、わたしは満足し、頭を下げた。

「はい、アレン様、失礼致します…」

だが、踵を返そうとした時だ、わたしの隣に並び、肩を抱いた者がいた。
顔を上げると、精悍な顔が見え、わたしは驚きに声を上げていた。

「ディラン様!?」

「アレン、今後、俺の婚約者に手を出す様なら、覚悟しておけ!」

「フン!馬鹿馬鹿しい!そんな白豚に手を出す者など、農夫か奴隷位だ!
ああ、おまえもだったな、ディラン?
白豚と結婚など、流石、生まれの卑しい者は違う!俺には真似出来ん!」

アレンが侮蔑の目を向ける。
だが、ディランは動じる事無く、堂々と言い放った。

「ああ、俺は愛を知っているからな。
おまえに教えてやろう、愛していれば、どんな姿になろうと、気持ちは揺るがないものだ___」

ディランはわたしに覆い被さる様にし、唇を重ねた。

周囲で「キャーー!!」と声が上がる中、ディランは味わう様にキスをし、
名残惜しそうに唇を離した。
ディランの深い青色の目が熱に潤んでいる。
それを見つめるわたしの目も、同じだろう…

うっとりと、見つめ合っていた所…

「悍ましい!吐き気がする!この、卑しい豚共が!!」

アレンが吐き捨て、大きく足音を立て、棟に入って行った。

「アレン様、少し意外だな…」
「あれは無いだろう、流石に酷いよな…」
「アレン様って、人格者だと思っていたのに…」
「差別的だわ…」

周囲は小声で囁きながら、散って行った。

「俺たちも教室に戻るぞ、授業に遅れる」

ディランがわたしの手を握り、歩き出す。
素っ気ないが、その顔は少し赤く見えた。

「ディラン様、もしかして…アレン様の事、ご存じだったのですか?」

「当然だ、おまえたちの会話は全部聞かせて貰った。
アレンが何かする様なら、止める入る気だったが…思わぬ収穫があった」

ディランがニヤリと笑う。
わたしはそれに思い当たり、顔を赤くした。
隠れて聴いていたなど…恥ずかしいです!

「俺が何者でも構わない、俺だから結婚したいと言ってくれて、うれしかった」

握った手に、ギュっと力が込められた。

「俺にとって、家族は王だけだった。
それが、今は、クラーク公爵家の皆を、家族と思える。
おまえと婚約出来て、俺は幸せだ、プリムローズ」

ディランが笑みを見せ、わたしは泣きそうになった。
わたしも、ギュっと力を込め、握り返した。

「わたしも、幸せです!
こんな姿でも、愛していると言って下さるのは、ディラン様だけです…」

感動的な場面だったが、
わたしの大きく膨らんだお腹は我慢出来なかったのか…
「ぐー――」と大きく鳴った。

「ああ!す、すみません!!薬の所為で、お腹が空いてしまって…」

「プリムローズ、口を開けろ」

わたしが言われるままに口を開けると、ディランがキャンディを一粒入れてくれた。
久しぶりのキャンディだ。

「甘い…美味しいです!」

「痩せている時も、太っている時も、おまえは食べている時が一番可愛い」

ディランが清々しい笑顔を見せ、
わたしはキャンディの様に蕩けてしまいそうになった。

ああ、もう、幸せ過ぎます…

だが、蕩けている時間も、幸せに浸る時間も無かった。
次の瞬間、ディランの表情は引き締められ、【冷徹の王子】が現れた。

「こんな事をやっている場合ではない、急ぐぞ!授業に遅れる!」

「ああ!お待ち下さい!ディラン様~」

「もっと足を動かせ!おまえなら出来る!」

「は、は、はいいいぃぃ」



『愛していれば、どんな姿になろうと、気持ちは揺るがないものだ』

わたしも同じです。

この先、何があっても、わたしはあなたの傍にいます。

誰かが引き裂こうとしても、あなたに取り縋ってみせます!



手を繋いで走りながら、その精悍な横顔に誓ったのだった。


《完》
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