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「たった、ひとり、国を、離れて…皆、帰ってしまって…
お父様もお母様も、来てくれなかった!わたしは、捨てられたのよ!
わたしが、変な男に嫁がされても、どうなってもいいんだわ!
それなのに、食事なんて!喉を通る筈がないわ!」

普段は口に出さない事を、取り留めなく喚き散らし、声を上げて泣く___
わたしは精神的に追い詰められていた。
もう、自分など、どうなっても構わないとすら思っていた。
だが、わたしを絶望から引き上げてくれた人がいた…

「分かった、今日だけは許してやる、思い切り泣け」

呆れても、怒ってもいない、
それは、ただ低く、深く、落ち着いた声で、わたしの意識にするりと入って来た。

「だが、辛くとも受け入れるんだ。無理でも努力をしろ。
受け入れなければ、これから先、ずっと辛い事だけだぞ___」

それは、まるで、啓示の様だった。
天の声かと思ったが、そうではないと直ぐに分かった。
頭をそっと、撫でられたからだ。

わたしはその胸に縋り、思い切り泣いた。
彼は突き放す事無く、わたしを優しく抱きしめてくれた。

「安心しろ、この国もそう悪くはない___」

そんな慰めの言葉に、わたしは小さく笑い、眠りに落ちていた。


◇◇


誰かに抱きしめられた事は、何年ぶりだろう?
最後は、十五歳、母との別れの時だった気がする。
母はアンジェリーヌを強く抱きしめ、別れを惜しんだ後、
挨拶程度にわたしを軽く抱擁し、去って行った。

いつもそうだった。

わたしは、アンジェリーヌ程、愛されない。

わたしが悪いの?
わたしが嫌いなの?

わたしを愛して!

「クレマン様!あなたを愛しているの!」

わたしは彼の胸に飛び込もうとした。
だが、クレマンの隣にはアンジェリーヌがいた。
クレマンはアンジェリーヌを抱きしめ、二人はキスを交わす…
裸で抱き合う二人、アンジェリーヌはわたしを見て嘲笑した。

『彼が愛しているのはあたしなの!』
『あんたはそこで、指を咥えて見てればいいわ!』

『愛がどれ程素晴らしいか、あんたは一生、知る事なんて無いんだから!』


「いや…、いや…止めて!」

わたしは自分の声で目を覚ました。
心臓がバクバクとしている。
ふと、自分が温かいものに包まれているのに気付いた。

「暖かい…」

厚めの生地で手触りが良い…
見ると、それは紺色のマントだった。

「これ…」

まさか、騎士団長の…?

号泣した挙句、マントを取り上げたのかと思うと、血の気が引いた。
わたしの疑問に答えてくれたのは、侍女だった。

「騎士団長様が、夜はお寒いだろうと…」

本当にそうならば良いが…
無理に奪っていても、侍女には言わないだろう。
わたしは気まずく、「そうですか」とマントを畳んだ。

「あの…聖女様、大丈夫ですか?」
「魘されていましたけど、起こした方が良いか分からなくて…」

侍女二人が、恐る恐る伺う様に、わたしを見ている。
周囲がガタガタと揺れ、馬車が走っているのだと気付いた。
明るいので、昼近くだろうか?すっかり眠っていた様だ。

「大丈夫です…ありがとうございます。
こちらを、騎士団長様にお返しして下さい…」

わたしは恥ずかしさもあり、言葉少なく言い、マントを渡した。
すると、侍女たちが「はっ」と息を飲んだ。
わたしが尋ねる様に見ると、彼女たちは気まずそうにもじもじとした。
どうしたのだろう?

「何か…?」

「い、いえ、ご安心下さい!直ぐに馬車を停めますので!」

侍女が窓から顔を出し、馬車を停めさせた。
どういう事だろう?と不思議に見ていると、侍女は鬼気迫った顔でわたしに言った。

「聖女様、水を貰って参ります!」
「聖女様、暫く、このままでお待ち下さい」

侍女の一人が外に出たかと思うと、もう一人がわたしの盾の様に座り直した。
侍女は布と桶を持って戻ってきた。
布を水に浸し、顔を俯かせ、わたしに差し出した。

「どうぞ、お使い下さい」

わたしは漸くそれに気付いた。
あれだけ派手に泣いたのだから、きっと、酷い顔になっているだろう。
彼女たちは、他の者にみっともない姿を見られない様、配慮してくれたのだ。

「ありがとうございます…」

わたしはそっと、布を顔に当てた。
冷たくて気持ちがいい…

侍女たちや騎士団長の優しさが身に沁みた。
わたしを気遣ってくれるのは、わたしが聖女だからというのは分かっている。
それでも、少なくとも、受け入れてくれている。

正直、まだ心は穏やかではなかった。
だけど、もう、泣かない___
わたしの胸に強い思いが宿っていた。

『辛くとも受け入れるんだ』
『無理でも努力をしろ』
『受け入れなければ、これから先、ずっと辛い事だけだぞ』

あの言葉のお陰だ。

そうだ、これまでも辛かった。
両親に愛されず、双子の妹からも邪険にされた。
それでも、わたしは受け入れられなかったのだ、自分が愛されない事を___

両親にも、妹にも、大司教、修道女たちにも、国からも切り捨てられた。
こんな状況になっても、まだ、あの人たちに縋るなんて…何て滑稽なの。
きっと、わたしの事なんて、誰一人として思い出しもしない___

わたしの方で、切り捨てるのだ!

もう、家族でもなんでもない!

わたしは、この国で生きるしかない。
頼る者がいない、愛してくれる者もいないが、それはこれまでだって同じだ。

もう、何も願ったりしない!
愛を求めたりしない!

わたしには過ぎた願いだったのだ…
それならば、切り捨てた方がいい…

わたしは、ブラーヴベール王国の聖女として、強く生きてみせる!!


「あの…聖女様、もし、よろしければ、何か召し上がられませんか?」
「ずっと、食べていらっしゃらないし…王都までは二週間近く掛かります…」

侍女たちが心配そうに言う。
わたしは顔に当てていた布を下ろし、二人に微笑んだ。

「ありがとうございます、水とパンを頂けますか?」

「はい!直ぐにお持ち致します!」

侍女は勢い良く馬車を飛び出した。
あまりの勢いに驚いていると、残っていた侍女が頭を下げ、
「すみません、メラニーは元気が良過ぎるんです」と弁解した。
わたしは小さく笑った。

「元気が良いのは、いい事ですね。
すみません、お名前を聞いたのに、忘れてしまって…
もう一度、教えて頂けますか?」

彼女は驚いた様な顔をし、それから恥ずかしそうに答えた。

「ナタリーです、何でもお言いつけ下さい、聖女様」

「よろしくお願いします、ナタリー」

わたしたちが挨拶を済ませた所に、メラニーが戻って来た。

「聖女様!お待たせしました!パンと水です!
パンは一つですが、足りるでしょうか?籠毎持って行こうとしたら、
料理長に『急に沢山食べるとお腹を壊す』と言われて、断念したんです。
でも、必要なら言って下さい!一つ二つ、取って来れますから!
喉が渇いたら直ぐに飲める様に、お水は水筒に入れて貰いました」

「ありがとうございます、メラニー、これで十分です」

わたしが名を呼ぶと、彼女は真っ赤になった。
そして、急に舌を抜かれたかの様に、たどたどしく言った。

「お礼など、必要ありません、当然の事ですから…聖女様」

「感謝を伝える事は、いけない事でしょうか?」

「い、いえ!その…あたしなんかが…勿体なくて…」

畏れ多いという事だろう。
ファストーヴィ王国では、聖女は珍しくないので、敬い崇める者はいても、
然程恐れられる事は無かった。
騎士団長の様な態度を取る者もいなかったけど…
彼はわたしを恐れていなかったし、敬ってもいなかった、普通の娘として接してくれていた気がする。

「勿体ない事はありません、聖女は神様ではありませんから。
ただ、力を持っているだけで、わたしは普通の女です。
国を離れれば、不安で泣いてしまうし、食事も喉を通らなくなってしまう…」

聖女の衣を脱げば、皆と同じだ。
いや、一点だけ、違っているが…

「聖女様…あたしたち、誠心誠意お仕え致します!」
「決して他の者には話したりしませんので、何でもお話し下さい、聖女様」

人間の内面は分からない。
敵意を向けない限り、邪気も見えないからだ。
メラニーとナタリーがどういう者たちなのかは、まだ上辺でしか判断出来ないが、
今、目の前のいる二人の優しさには、救われた。

「ありがとうございます、メラニー、ナタリー」

修道女たちは、決して友達にはなってくれない。
だが、二人ならば…それも可能だろうか?

でも、わたしなんかと、友達にはなってくれないかしら…

つい、卑屈さが顔を出す。

そんな弱気では駄目よね?
この国で生きて行くと決めたんだもの、努力をしなくちゃ!
それに、この国には、アンジェリーヌはいないもの…
もう、奪われる事も、比べられる事もない___

唯一、それが光に思えるなど、滑稽だろうか?

わたしは自嘲し、食前の祈りをし、パンを千切った。

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