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魔法学園一年生

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プレゼントのお礼の手紙を出してから、一週間と経たずに、
サマンサから手紙が届いた。

そこには、《来週末、家に遊びに来て欲しい》と書かれてあり、わたしを驚かせた。

「ああ!サマンサ小母様に会えるんだわ!!」

今まで手紙のやり取りだけだった、その人と会えるのだと思うと、期待と喜びで胸はいっぱいになった。
わたしは、その気持ちのまま、直ぐに返事を書いていた。

《愛する、愛する、わたしの叔母様!》

《サマンサ小母様に会えるなんて、夢みたいですわ!》
《来週末、必ず参ります!》

《興奮し過ぎて、小母様にお会いするまで、眠れそうにありませんわ!》
《もし、寝不足の顔をしていても、許して下さいね!》
《ああ、来週末が待ちきれませんわ!》

手紙を封筒に入れ、封をし、わたしはそれにキスをした。

「必ず、必ず、サマンサ小母様に届いて下さいね!」


◇◇


回復魔法Ⅰの授業で、シャーロットと一緒だと知ってから、わたしたちは自然と隣の席に座る様になっていた。
今日も先に来ていたシャーロットが、わたしに「エバ、こっちよ!」と手を振った。

首席のシャーロットは、回復魔法の授業でも、その才能を遺憾無く発揮していて、注目の的だった。
教えた事が直ぐに出来、その上、魔力が高いからか効果も大きい。
それに加えて、覚えも早いので、担当教師を大変に喜ばせている。
シャーロットは一人だけ別格だった。

そのシャーロットの隣には、誰も座りたがらず、わたしが親しくなるまでは、彼女は一人で居たという。

「きっと、皆さん、シャーロットの邪魔をしてはいけないと、
気を使っていたのですね」

わたしが言うと、シャーロットは「エバのそういう処が好きよ!」と、良く分からない事を言い笑った。

シャーロットは色々とアドバイスをしてくれ、コツを掴む事が出来、
わたしは自分でも驚く程、能力を開花させる事が出来た。
最初は授業に付いていくのがやっとだったのが、今ではシャーロットには及ばないまでも、常に上位に付けていた。

「シャーロットが教えて下ださったお陰ですわ!ありがとうございます!」

「そんな事無いわよ、エバには元々素質があったのよ、魔力も高いし、
あたしはそこをちょーっと、突いてやっただけよ!」

シャーロットがウインクする。

『元々素質があった…』
回復魔法の授業を取る様に勧めてくれたのは、ウィリアムだった。
彼には分かっていたのだろうか?

「そういえば、エバは何で、回復魔法と魔法薬学を一緒に取ってるの?」

調度、ウィリアムの事を考えていた時で、わたしはギクリとした。
シャーロットは構わずに自分の考えを言う。

「普通はどちらかに絞るのよ、魔法薬学にも基礎的な回復魔法の授業は入っているから、重複になるでしょう?
回復魔法の授業を取る子は、回復魔法自体の能力を鍛えるのが目的で…目指すは治癒魔法よ!」

シャーロットの話を聞き、わたしは初めてそれを知った。
確かに、魔法薬学でも回復魔法の訓練があり、今の時点では、
回復魔法Ⅰで教わった事を、かなり遅れて魔法薬学Ⅰで習う…。
どちらもウィリアムが選んでくれた授業だ、
だけど、彼が考え無しに選んだとは思えない。
いつも、何かしらの意図があった…わたしは彼を信じるだけだ___

「どちらも興味があったので」と、わたしは無難に答えていた。

「確かに!魔法薬学も面白そうよね!
でも、あたしは細かい作業って苦手なのよね、手先も器用じゃないし…」

シャーロットが肩を竦める。
わたしは『シャーロットは完璧だ』と思っていたので、意外だった。
だけど、確かに、彼女は大胆で、魔法で何かを成す事が得意だった。
きっと、刺繍をしろと言われたら、パターンの魔法を覚え、手を使わずにやってしまうだろう。

「でも、手先の器用さだけでもないので、わたしは苦労しています…」

授業の最初の頃は、薬学の歴史や薬の原理、薬草学等、知識を詰め込む授業が多く、それについては、興味があり覚えるのも楽しかった。
そして、基礎的な作業の訓練に入り、手作業での計量やナイフの使い方もあるが、火を操る魔法、乾燥魔法、冷却魔法等、作業に必要とされる魔法の訓練もある。そして、回復系の魔法の訓練。
これらをしっかりと身に付ける事は大事で、能力により、薬の完成度は違ってくるという。

わたしは手作業全般は得意だったが、魔法に関しては然程得意ではないらしく、出来た薬を確認して貰う際、教師に微妙な顔をされていた。
その上…

「昨日、実習で作った薬ですが…Cマイナスの判定を頂きました」

「Cマイナス!?」

シャーロットは思わず声を上げた後、手で口を覆った。
それはそうで、判定はAプラス、A、Aマイナスは成績優。
Bプラス、B、Bマイナスは及第点。
Cプラス、C、Cマイナスは落第点ではあるが、見込みはある。
Dプラス、D、Dマイナスは完全に落第、問題有り。

「でも、まだ、本試験じゃないし、最初だから…これからよ!エバ!」
「はい…頑張ります」

最初の勉強や訓練の時には、わたしはどちらかというと、成績優秀な方で、教師も褒めてくれていた。
だが、実際に薬を作り始めると…わたしの成績は徐々に落ちていった。
それが、遂に、Cマイナスまできてしまった…

「わたし、薬学には向いていないのかもしれません…」

ウィリアムの期待に応えられない自分が、酷くもどかしい。
ウィリアムはわたしにガッカリしないだろうか?
幸いなのは、彼にわたしの成績を知られずに済む事だ___

「元気出してエバ!ほら、今から昼食よ!食堂に行きましょう!」

シャーロットが慰めるように、わたしの背中を叩いた。


授業が終わり、わたしたちは食堂で会う約束をし、一旦別れた。
食堂へ行き、料理をトレイに取り、席を探していると、シャーロットが「こっちよ!エバ」と手を振った。
彼女は何をするにも俊敏で驚いてしまう。

「ありがとうございます、シャーロットはいつも早いですね!」
「これが平民の長所よ!何があっても生き残れそうでしょ?」
「はい、逞しく頼もしいですわ!見習いたいですわ」

わたしは感嘆しつつ、シャーロットの隣に座った。

楽しく食事をしていて、「エバ、これ美味しいわよ!」とシャーロットがわたしを振り返った時だった。
ヒューンと、何か黒い物が飛んで来て、テーブルの上に落ちた。
調度、シャーロットとわたしの中間で、わたしはそれに目を落とし…

「きゃーーーーーーーーーー!!」

悲鳴を上げ、椅子から転がり落ちてしまった。
椅子は派手な音を立て倒れるし、わたしは腰を打ってしまうし、
散々だが、それよりも…

「エバ、大丈夫?」

シャーロットは普通の顔をしているが、
わたしは固まり、震える手でそれを指していた。

「む、む、蟲―――――――!!!」

「大丈夫よ、玩具だから」と、シャーロットはそれを指で摘まみ、揺らした。
ああ、本当に逞しいです…
わたしはそれが本当に玩具なのか、それとも死体なのか確かめたかったが、生理的に受け付けず、とても無理だった。

「すげー!椅子から落ちるとか!マジか!」

一部始終を見ていたらしい男子生徒が囃し立て、周囲もそれに便乗し始めた。

「止めなさいよ!あんたたち!」と、シャーロットは庇ってくれたが、当のわたしは恥ずかしいのと、虫が気持ち悪いのとでその場から動けずにいた。そこに、誰かが面白がって、わたしに虫を投げてきて、わたしは再度悲鳴を上げ、頭を抱えて蹲った。

「おいおい、そんなんで、魔術師とか無理じゃねー?」
「家に帰って、大人しく令嬢でもしてろっつーの!」
「もう!止めなさいって!あんたたちこそガキでしょーが!!」

シャーロットは庇ってくれたが、騒動は大きくなるばかりだ。
だが、急に周囲が音を失くした。
静まり返る中、「大丈夫?」と声が掛けられ、目を開けると、わたしの前に手が差し伸べられた。
大きくて綺麗なその手は、知っているもので…
わたしは震える手でそれに縋っていた。

ウィリアムはわたしを立たせてくれ、シャーロットに預けた。
わたしはまだ気持ち悪くて、シャーロットに抱き付いた。

「大丈夫?エバ…」

わたしが頭を振ると、「医務室へ」とウィリアムが言い、シャーロットに支えられ連れ出された。


医務室で薬を貰い、漸く吐き気が止まった。
シャーロットが習ったばかりの回復魔法で、神経を和らげてくれたお陰もあり、気分はすっかり良くなった。

「シャーロット、ごめんなさい、戻って食事をして下さい」
「でも、エバを置いて行くのは心配だし…食べられ無いでしょう?」
「はい…わたしは少し休んで教室に戻りますので、大丈夫ですから」

だが、シャーロットが医務室を出ると、
そこには女子生徒が待ち構えていたらしく、声が聞こえてきた。

「エヴァンジェリン・マシューズって子、本当に具合が悪いんでしょうね?」
「本当よ、薬を飲んで、回復魔法を掛けたわ」
「芝居っぽかったわ、彼女、か弱いフリしてるだけでしょ?」
「そんな事無いわよ!」
「分かってるのよ!ウィリアム様に目に掛けて貰いたくて、ワザとやったのよ!」

わたしは自分の事を言われていると気付き、慌ててベッドから降りた。

「あの…本当です、本当に気分が悪くなって…」
「魔法学園の生徒がそんな分け無いじゃない!嘘吐き!」
「虫は苦手で、それに、急だったので…」
「そんな言い分け通用するとでも思ってるの!」

女子生徒の一人がわたしの髪に掴み掛かり、
わたしは「きゃ!」と頭を押さえた。

「止めなさいってば!!」

シャーロットが張りのある鋭い声で叫び、周囲はピタリと動きを止めた。
シャーロットは女子生徒からわたしの髪を放させると、腰に手をやり嘆息した。

「あなたたちは単に、ウィリアム様に庇われたエバが羨ましいんでしょう?」
「そ、そんな事無いわ!」
「芝居をして気を引くなんて、同じ女子生徒として許せないだけよ!」

「そんな事言うんだったら、まずは、虫を投げて来たヤツをとっちめなさいよ!あいつらがあんな事しなきゃ、こんな事になってないの!
エバは被害者よ!あんな風に男子に意地悪言われて、からかわれて、同じ女子生徒として、可哀想だと思わないの!?同じ事されたいの?」

ビシリとシャーロットが言うと、女子生徒の一人が…
「ウィリアム様に助けて頂けるなら…我慢して耐えます!」と言い、周囲は微妙な空気に包まれた。

「そんな、都合良くウィリアム様が来てくれる訳も無いと思うけど?
まぁ、それでも、ウィリアム様がエバを助けたのは、少し理由があるのよ」

「理由ですって!??」

わたしはシャーロットの意図に気付き、止めようとしたが、無理だった。

「エバは以前、ウィリアム様の婚約者、オーロラ・モラレス公爵家で奉公していたのよ。
ウィリアム様も婚約者の家の者には相応の態度をとるわ、礼儀正しい王子ですもの!」

シャーロットが言い放つと、周囲は気まずそうに顔を見合わせた。

「そんな事情があるなんて、知らなかったわ…」
「ええ、それは、確かに…不味いわね…」
「私たちが間違っておりましたわ、失礼致しました」
「どうか、今の非礼はお忘れになって…」

女子生徒たちは波が引くように、行ってしまった。

「ふふふ、これぞ、王家の印籠ね!」

シャーロットはニヤリと笑っているけど…

「どういう事でしょう?」

「あなたを苛めたら、ウィリアム様に告げ口されて、自分たちの立場が悪くなるって、気付いたのよ!
そうなれば、ウィリアム様から目を掛けて貰う処か、睨まれるもの!」

「わたし、告げ口など致しませんわ…!」

令嬢として恥ずべき行為に、嫌悪感が出てしまった。
わたしは頬を膨らませたが、シャーロットは肩を竦めた。

「向こうが勝手にそう考えるのよ」
「でも、あんな事言ってしまって…」
「本当の事でしょう?」
「ウィリアム様やオーロラ様を疎わせる事にならないかと…」
「何故?ウィリアム様は何も思わないわよ。
オーロラ様だって、同学年に元使用人がいたって構わないでしょう?」

シャーロットの言う事は尤もだが、わたしたちには特別な事情がある。
オーロラはわたしと知り合いだとは思われたく無いのでは?
今までも、人前で話掛けて来る事は無かったし、わたしも無意識に、人に知られるのを避けて来た。

わたしはオーロラの激高する顔を想像し、内心で嘆息した。


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