5 / 12
4 クリストフ
しおりを挟む「ギルス将軍!!そのガキ……あ、いや、その御方はどちらでしょうか?」
「……帝国に暮らす初級魔術師だ。お前達も例の噂は耳にした事があるだろう?」
「ま、まさか……一夜にして帝都を蹂躙した伝説の初級魔術師!?」
「素手で竜種を殴り殺したというあの……!?」
「いや、どんな噂が流れてるんですか」
ギルスの言葉を聞いて兵士達に衝撃が走り、他国の間では自分がどのような噂をされているのか気になりながらもルノは兵士達に話しかける。
「見ての通り、こちらが拘束したギルス将軍と他の兵士長はこの場に連れてきました。ここにいる人達は今後は俺達の管理下に入る事を承諾したので皆さんも従ってください」
「ど、どういう事ですかギルス将軍!?」
「言葉の通りだ……我々は負けたのだ。だから彼等に従う」
「そんな馬鹿な……一体どうしたんですか将軍!?」
兵士達は信じられない表情を浮かべ、たった数人の魔術師にギルス達が捕まっただけではなく、既に降伏をしていたという事実に理解できなかった。確かに竜種を作り出すという恐ろしい魔法を扱う魔術師である事は彼等も理解しているが、それでもたった数人の人間に自分達が降伏しなければならないなど納得できない。
「そうか!!お前等さっきの白騎士とか黒魔導士を名乗っていた輩の仲間だな!!」
「将軍!!何を恐れているんですか!!すぐに助け出しますからね!!」
「怯えるんじゃねえ!!相手はたったの数人だ!!」
「止めろ馬鹿共!!」
武器を掲げて果敢にも挑もうとしてきた兵士達にギルスは怒鳴り声をあげ、その彼の迫力に兵士達は圧倒される。今までにない程に鬼気迫る表情を浮かべながらギルスは彼等の無謀な行為を止めようとした。
「この男は……いや、この者達はお前らが束になって戦っても敵わない!!こいつの力はこれだけではない、その気になればこの大地を引き裂き、空を飛び、津波を引き起こす事が出来る程の力を持っているのだ!!」
「え?何でギルスさんがその事を知ってるんですか?」
「何!?師匠は本当にそんな事が出来るのか!?」
「……まあ、大地を切り開く事は出来るわよね」
ギルスは大げさにルノの力の恐ろしさを兵士達に伝えたが、実際に彼のいった言葉はルノは実践出来る。実際に土塊の魔法を利用すれば地割れは引き起こす事も可能だし、空に関しては「飛翔術」や氷塊の魔法で浮かべ、津波に関しても海に出れば適当な魔法で水面に影響を与えて引き起こす事も出来るだろう。
実際にギルス達をここまで運んだのも氷塊の魔法で大型飛行機を作り出しているため、空を飛ぶという点では兵士達の目の前で披露している。その事実に兵士達は顔を見合わせ、本当にルノにそれだけの力があるのかと恐れを抱く。
「で、ですがギルス将軍……降伏すれば俺達はどうなるんですか!?」
「そうですよ!!このまま捕虜として捕まるんですか?」
「いや、色々と話し合った結果、この方は我々を本国まで送ってくれるそうだ……このまま国に引き返すというのならば危害は加えない事を約束してくれた」
「ええっ!?」
「そんな馬鹿な!?」
ルノとしては別に巨人国の軍隊とはいえ、まだ実害が出ていない以上は無暗に傷つけるような真似はしたくなく、本来は帝都へ引き返して他の者達に事情を尋ねるべきなのだろうが、それだと時間が掛かり過ぎる。なので今回は勝手ながらに軍隊を説得し、彼等が本国へ戻るというのならば協力するつもりだった。
巨人国の軍隊を招き寄せたノーズ公爵は流石に見逃す事は出来ないが、既に帝国領地内に侵入していた1万の兵士達を本国へ送り返す事が出来るだけでも脅威はなくなり、国境に攻め寄せようとする本隊に関してはギルスに説得して貰って侵攻を取りやめるように国王に忠告して貰う事を依頼む。
「皆さんがこれ以上にこの国で暴れようとしなければ俺達も何もしません!!ですが、もしも戦うというのなら容赦はしません!!」
『ひいいっ!?』
氷竜を操作してルノ達が乗り込んでいた氷飛行機の上に着地させると、そのまま飛行機を無残に破壊させる光景を兵士達に見せつける。巨大な建造物を氷竜が踏みつぶす光景に兵士達は怯え、いくら勇猛果敢な兵士達でも竜種の姿を誇る氷竜は恐怖の対象だった。
「ルノ殿、どうか気を静めてください!!部下達は私が説得しますので、どうかお許しを……」
「あ、はい。じゃあ、お願いしますね」
『…………』
ギルスが頭を下げるとルノはあっさりと氷竜を停止させ、ついでに拘束していたギルスと兵士長の氷の手錠を解除した。唐突に自由になったギルスと兵士長は驚いた表情を浮かべるが、すぐにギルスはルノの意図に気付く。
(なるほど……俺達を解放したところでこちらなど敵ではないと思っているのか。いや、実際に戦っても勝ち目はないだろうが……)
1万の巨人兵を相手にしながら人質をあっさりと解放するルノの行為に誰もが驚くが、ギルスだけはルノが自分達の存在が脅威になるはずがないと考えている事を察し、悔し気な表情を浮かべながらも全員を呼び集めた。
「……帝国に暮らす初級魔術師だ。お前達も例の噂は耳にした事があるだろう?」
「ま、まさか……一夜にして帝都を蹂躙した伝説の初級魔術師!?」
「素手で竜種を殴り殺したというあの……!?」
「いや、どんな噂が流れてるんですか」
ギルスの言葉を聞いて兵士達に衝撃が走り、他国の間では自分がどのような噂をされているのか気になりながらもルノは兵士達に話しかける。
「見ての通り、こちらが拘束したギルス将軍と他の兵士長はこの場に連れてきました。ここにいる人達は今後は俺達の管理下に入る事を承諾したので皆さんも従ってください」
「ど、どういう事ですかギルス将軍!?」
「言葉の通りだ……我々は負けたのだ。だから彼等に従う」
「そんな馬鹿な……一体どうしたんですか将軍!?」
兵士達は信じられない表情を浮かべ、たった数人の魔術師にギルス達が捕まっただけではなく、既に降伏をしていたという事実に理解できなかった。確かに竜種を作り出すという恐ろしい魔法を扱う魔術師である事は彼等も理解しているが、それでもたった数人の人間に自分達が降伏しなければならないなど納得できない。
「そうか!!お前等さっきの白騎士とか黒魔導士を名乗っていた輩の仲間だな!!」
「将軍!!何を恐れているんですか!!すぐに助け出しますからね!!」
「怯えるんじゃねえ!!相手はたったの数人だ!!」
「止めろ馬鹿共!!」
武器を掲げて果敢にも挑もうとしてきた兵士達にギルスは怒鳴り声をあげ、その彼の迫力に兵士達は圧倒される。今までにない程に鬼気迫る表情を浮かべながらギルスは彼等の無謀な行為を止めようとした。
「この男は……いや、この者達はお前らが束になって戦っても敵わない!!こいつの力はこれだけではない、その気になればこの大地を引き裂き、空を飛び、津波を引き起こす事が出来る程の力を持っているのだ!!」
「え?何でギルスさんがその事を知ってるんですか?」
「何!?師匠は本当にそんな事が出来るのか!?」
「……まあ、大地を切り開く事は出来るわよね」
ギルスは大げさにルノの力の恐ろしさを兵士達に伝えたが、実際に彼のいった言葉はルノは実践出来る。実際に土塊の魔法を利用すれば地割れは引き起こす事も可能だし、空に関しては「飛翔術」や氷塊の魔法で浮かべ、津波に関しても海に出れば適当な魔法で水面に影響を与えて引き起こす事も出来るだろう。
実際にギルス達をここまで運んだのも氷塊の魔法で大型飛行機を作り出しているため、空を飛ぶという点では兵士達の目の前で披露している。その事実に兵士達は顔を見合わせ、本当にルノにそれだけの力があるのかと恐れを抱く。
「で、ですがギルス将軍……降伏すれば俺達はどうなるんですか!?」
「そうですよ!!このまま捕虜として捕まるんですか?」
「いや、色々と話し合った結果、この方は我々を本国まで送ってくれるそうだ……このまま国に引き返すというのならば危害は加えない事を約束してくれた」
「ええっ!?」
「そんな馬鹿な!?」
ルノとしては別に巨人国の軍隊とはいえ、まだ実害が出ていない以上は無暗に傷つけるような真似はしたくなく、本来は帝都へ引き返して他の者達に事情を尋ねるべきなのだろうが、それだと時間が掛かり過ぎる。なので今回は勝手ながらに軍隊を説得し、彼等が本国へ戻るというのならば協力するつもりだった。
巨人国の軍隊を招き寄せたノーズ公爵は流石に見逃す事は出来ないが、既に帝国領地内に侵入していた1万の兵士達を本国へ送り返す事が出来るだけでも脅威はなくなり、国境に攻め寄せようとする本隊に関してはギルスに説得して貰って侵攻を取りやめるように国王に忠告して貰う事を依頼む。
「皆さんがこれ以上にこの国で暴れようとしなければ俺達も何もしません!!ですが、もしも戦うというのなら容赦はしません!!」
『ひいいっ!?』
氷竜を操作してルノ達が乗り込んでいた氷飛行機の上に着地させると、そのまま飛行機を無残に破壊させる光景を兵士達に見せつける。巨大な建造物を氷竜が踏みつぶす光景に兵士達は怯え、いくら勇猛果敢な兵士達でも竜種の姿を誇る氷竜は恐怖の対象だった。
「ルノ殿、どうか気を静めてください!!部下達は私が説得しますので、どうかお許しを……」
「あ、はい。じゃあ、お願いしますね」
『…………』
ギルスが頭を下げるとルノはあっさりと氷竜を停止させ、ついでに拘束していたギルスと兵士長の氷の手錠を解除した。唐突に自由になったギルスと兵士長は驚いた表情を浮かべるが、すぐにギルスはルノの意図に気付く。
(なるほど……俺達を解放したところでこちらなど敵ではないと思っているのか。いや、実際に戦っても勝ち目はないだろうが……)
1万の巨人兵を相手にしながら人質をあっさりと解放するルノの行為に誰もが驚くが、ギルスだけはルノが自分達の存在が脅威になるはずがないと考えている事を察し、悔し気な表情を浮かべながらも全員を呼び集めた。
4
お気に入りに追加
341
あなたにおすすめの小説

好きだった人 〜二度目の恋は本物か〜
ぐう
恋愛
アンジェラ編
幼い頃から大好だった。彼も優しく会いに来てくれていたけれど…
彼が選んだのは噂の王女様だった。
初恋とさよならしたアンジェラ、失恋したはずがいつのまにか…
ミラ編
婚約者とその恋人に陥れられて婚約破棄されたミラ。冤罪で全て捨てたはずのミラ。意外なところからいつのまにか…
ミラ編の方がアンジェラ編より過去から始まります。登場人物はリンクしています。
小説家になろうに投稿していたミラ編の分岐部分を改稿したものを投稿します。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜
ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」
あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。
「セレス様、行きましょう」
「ありがとう、リリ」
私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。
ある日精霊たちはいった。
「あの方が迎えに来る」
カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

【本編完結】赤い薔薇なんて、いらない。
花草青依
恋愛
婚約者であるニコラスに婚約の解消を促されたレイチェル。彼女はニコラスを愛しているがゆえに、それを拒否した。自己嫌悪に苛まれながらもレイチェルは、彼に想いを伝えようとするが・・・・・・。 ■拙作『捨てられた悪役令嬢は大公殿下との新たな恋に夢を見る』のスピンオフ作品。続編ではありません。
■「第18回恋愛小説大賞」の参加作品です ■後日番外編を投稿予定(時期未定)
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。

【完結】みそっかす転生王女の婚活
佐倉えび
恋愛
私は幼い頃の言動から変わり者と蔑まれ、他国からも自国からも結婚の申し込みのない、みそっかす王女と呼ばれている。旨味のない小国の第二王女であり、見目もイマイチな上にすでに十九歳という王女としては行き遅れ。残り物感が半端ない。自分のことながらペットショップで売れ残っている仔犬という名の成犬を見たときのような気分になる。
兄はそんな私を厄介払いとばかりに嫁がせようと、今日も婚活パーティーを主催する(適当に)
もう、この国での婚活なんて無理じゃないのかと思い始めたとき、私の目の前に現れたのは――
※小説家になろう様でも掲載しています。


職業『お飾りの妻』は自由に過ごしたい
LinK.
恋愛
勝手に決められた婚約者との初めての顔合わせ。
相手に契約だと言われ、もう後がないサマンサは愛のない形だけの契約結婚に同意した。
何事にも従順に従って生きてきたサマンサ。
相手の求める通りに動く彼女は、都合のいいお飾りの妻だった。
契約中は立派な妻を演じましょう。必要ない時は自由に過ごしても良いですよね?

出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね
猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」
広間に高らかに響く声。
私の婚約者であり、この国の王子である。
「そうですか」
「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」
「… … …」
「よって、婚約は破棄だ!」
私は、周りを見渡す。
私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。
「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」
私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。
なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる