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しおりを挟むその後も、わたしは何度かアミに食事を邪魔された。
毎回という訳ではない、晩餐だったり、昼食だったり…気まぐれだ。
幸い、老夫婦はアミの存在に気付いていないが、
いつも残骸を片付けて貰うので、申し訳ない気持ちになった。
「最近、アミがわたしの食事を邪魔するんです、理由が分からなくて…
何かの意思表示でしょうか?」
わたしはノアに相談してみた。
ノアは犬を飼っているし、何か分かるかもと思ったのだ。
『食事の邪魔?どんな風にだ?』
「わたしが何かを食べようとすると、体当たりをするんです。
スープや紅茶の時が多いかしら…」
『君はそれを食べたのか?』
「いえ、いつも床に落とすか、引っ繰り返してしまうので、食べていません」
『銀食器は使っていないのか?』
「はい、真鍮や陶器です」
『そうか…実際目にした訳ではないから、確証は持てないが…
恐らく、アミは「食べるな」と言っているんだろう』
「食べるな?」
『無暗に怖がらせたくはないが、毒か何かが入れられているかもしれない』
「毒!?」
突拍子もなく、わたしは大きな声を上げていた。
ノアが扉越しに、『しっ』と言い、慌てて両手で口を塞いだ。
『兎に角、アミが邪魔した時は、口を付けない方がいい』
「はい…だけど、信じられないわ…」
どうして、老夫婦がわたしに毒を?
そういえば、いつも、驚いた顔でわたしを凝視していた。
あれは、わたしが生きている事に驚いていたのだろうか?
どうして!?
わたしの世話係が嫌になったのだろうか?
わたしは嫌われているのだろうか?
いや、毒を仕込まれているなら、嫌われている以上だ…
わたしを殺そうとしている___?
わたしはそれに気付き、自分の体を擦った。
『何か、心当たりがあるのか?』
「いえ…」
『心配だな、館を出る事は出来ないのか?
一度実家に帰るなり、信用出来る者の所へ身を寄せ、様子を見た方がいい』
ノアの提案に、わたしは笑いそうになった。
実家になんて戻れない!
信用出来る者なんて、誰一人としていない。
そもそも、わたしはこの塔から出る事も出来ないのだ___
だが、わたしはそれをノアに知られたくなかった。
「はい、そうします、暫く実家に戻ろうと思います」
『ああ、早い方がいい、直ぐにそこを立つんだ、ミア』
「でも、また戻って来ます!一週間後、また会って頂けますか?」
『会うのは構わないが、安心出来る者を連れて戻るんだ』
「はい、約束します…」
わたしはノアと挨拶を交わし、秘密の部屋を出た。
一週間、ノアとは会えない…
わたしは毒を仕込まれた事よりも、その事で気落ちしていた。
「アミ、わたしに危険を知らせてくれていたの?」
部屋に戻り、一息吐いた所で、それを思い出した。
アミは何も答えず、わたしの足元に伏せた。
その様子からは何も察する事は出来ないが、
ノアの言う通りなら、わたしはアミに感謝しなくてはいけない。
「あなたはきっと、賢いのね、助けてくれてありがとう。
あなたが喋れたら良かったのに…」
残念に思いながら、優しくアミの体を撫でた。
「これから一週間はノアと会えないのね…」
酷く寂しく、気持ちが沈んだ。
だが、館を出る提案を拒否していたら、不審に思われただろう。
結婚式の日から、夫に塔に閉じ込められているこの事態は、
病痕と同じ位、知られたくない事だった。
「もし、毒で無ければ…」
ノアは安心し、わたしと会ってくれるだろう___
「何か強い薬草か何かだったのかも!」
ノアの事を抜きにしても、そう思いたかった。
命を狙われているなんて、考えたくない。
アミはわたしの言葉に反応したりせず、のんびりと眠っている。
わたしは僅かに希望を持った。
わたしは食事に毒が入っていないか、確かめる事にした。
確かめる方法は、ノアの言葉がヒントになった。
銀食器だ。
「毒に触れると銀は曇る」と、いつか本で読んだ事があり、それを思い出したのだ。
きっと、ノアもそれが言いたかったのだろう。
ここで使われるナイフやフォークは真鍮が多く、皿等は陶器だ。
銀食器を手に入れるのは難しいが、銀製品ならば、心当たりがあった。
輿入れの際、男爵家から持たされた宝飾品の中に、銀の飾りが幾つかあった筈だ___
わたしは直ぐに立ち上がり、机の引き出しを漁った。
銀の耳飾りを見つけ、布で包み、ポケットに入れる。
「自分で確かめてみるわ。
でも、何かあった時には、お願いね、アミ」
晩餐を知らせるベルが鳴り、わたしはアミの頭を撫で、階下に降りた。
いつも通り、食事が置かれているだけで、老夫婦の姿は無い。
わたしはテーブルに着き、料理を見た。
いつも通り、具の少ないスープ、小さな肉を焼いたもの、マッシュポテト、
熟した赤い果実、籠にはバケットが入っている。そして、紅茶のポット。
もし、毒が入っていたら…
それを考えると恐ろしい。
わたしは息を詰め、ポケットから銀の耳飾りを取り出した。
それをスープに浸ける…
耳飾りに変化は無かった。
「ふぅ…スープは大丈夫ね…」
わたしは次に紅茶をカップに注ぎ、同じ様に耳飾りを浸けてみたが、やはり変化は無かった。
わたしは深く安堵の息を吐き、耳飾りを布で拭い、ポケットに戻した。
少し緊張しつつも、食事を平らげ、部屋に戻った。
アミは自分のベッドで丸くなっている。
「アミ、お待たせ、今日は大丈夫だったわ!」
わたしはアミに声を掛け、肉を入れた器を前に置いた。
アミは直ぐに顔を上げ、ガツガツと食べ始めた。
アミの食べっぷりを見ていると、こちらまで元気が出て来る。
「ふふ、美味しい?バケットもあるわよ」
わたしはバケットを千切り、器に入れてやった。
「きっと、気が済んだのね、もう大丈夫…」
そうであって欲しい。
わたしは願望を口にしていた。
このまま、何も無ければ、ノアにも「気の所為だった」と言う事が出来る。
これまで通り、ノアと過ごす事が出来る___
その夜、わたしはそれを願い、眠りに着いた。
だが、どれ位経ったか…
不意に、目が覚めた。
満月の夜という事もあり、部屋は薄明りに包まれている。
途中で目が覚める事は珍しくはない、時々眠れない夜もある。
だが、それとは違う気がした。
妙に、頭がスッキリとしている。
とても眠れそうになく、わたしは瞬きをし、体を起こした。
「本でも読もうかしら…」
ランプに灯りを入れた時だ、「ギィィ…」と音がし、扉が開かれた。
わたしは驚き、反射的にそちらを振り返った。
ランプを手に、ローブのフードを被った人影が二つ、部屋に滑り込んだ。
誰!?
わたしは声を上げる事も、逃げ出す事も出来ず、ベッドの上で固まっていた。
二人もわたしに気付いたのか、足を止め、ランプの灯りを翳した。
「起きてたのか…全く、何処までも気の利かない女だな」
その声で、二人の内、一人がジェルマンだと気付いた。
「ジェルマン様?どうして…」
この様子では、妻を迎えに来たとは考えられない。
嫌な予感に身が震えた。
「どうしてか?フン、おまえが大人しく毒を飲んでいれば、こんな事をする必要は無かったんだ」
毒!?
それでは、本当に、食事に毒が盛られていたのだ!
そして、それを指示したのは、ジェルマンという事になる___
「どうしてですか!?死んで欲しい程、わたしが憎いなら、
結婚なんてしなければ良かったのに…!」
わたしが頼み込んで結婚して貰った訳ではない。
これは、ジェルマンが持ち掛けた縁談だった筈だ___
ジェルマンはランプをもう一人に渡すと、ズカズカとわたしの元へ歩いて来た。
「別におまえが憎い訳じゃないさ。
ただ、用済みになったから、さっさと消えて貰いたいだけさ」
「それなら、わたしは出て行きます!」
ジェルマンの顔が歪み、ぞっとする笑みを見せた。
「出て行かれたら困るんだよ、俺は醜い妻を愛し、支える献身的な夫なんだぜ?
おまえのお陰で俺の評判はうなぎ登りだ、それに関しては礼を言わなきゃな、ブランシュ。
おまえの醜い姿を見た者たちは全員、俺に同情していたからな、《聖人》とまで言われたよ!
おまえの持参金は期待した程じゃなかったが、
その分、馬鹿な金持ち貴族たちが、湯水の様に寄付をくれた___」
ジェルマンはわたしを利用したと言うの?
わたしと結婚したのは、お金の為___?
わたしはそれを知り、愕然とした。
「おまえにいつまでも生きていられたら、俺は結婚出来ないだろう?」
ジェルマンが後ろを振り返ると、もう一人がフードを取った。
男ではない、金髪の美女だった。
「クリスティーヌだ、綺麗だろう?
俺の妻に相応しいのは、おまえなんかじゃなく、彼女みたいな美女なんだよ!
葬儀だけは豪華にしてやるから、安心して死ねよ___」
ジェルマンが徐にナイフを取り出した。
わたしは反射的に腕で顔を庇い、悲鳴を上げていた。
だが、同時に、ジェルマンも悲鳴を上げた。
「キャー…!!」
「うわ…!!」
見ると、ジェルマンが腕を押さえ、床に蹲っていた。
その側にはアミが立っている。
「アミ!」
「クソ!何で、犬が…!!」
アミはわたしを促すかの様に、部屋を出て行った。
わたしは慌ててランプを掴み、ベッドを飛び降りた。
「捕まえろ!!あいつを殺せ!!」
「待ちなさい!!」
ジェルマンが叫び、クリスティーヌが追って来る。
わたしはアミを追い、必死に階段を上がった。
アミはクルリと向きを変え、わたしの脇をすり抜けると、クリスティーヌに飛び掛かった。
「キャーーーー!!」
クリスティーヌの悲鳴が上がる。
アミが時間を稼いでくれたのだ!
今の内に出来るだけ遠くに逃げなければ___
わたしは焦りから、階段に足を取られ転倒してしまった。
ぶつけた膝や腕が酷く痛む。
だけど、立たなければ、逃げなければ、殺されてしまう!
死にたくない___!!
頭に浮かんだのは、ノアの事だった。
これまでの自分なら、死んでしまいたいと思ったかもしれない。
だけど、今は、生きたい。
わたしは必死に足を動かし、秘密の部屋に入った。
足を引き摺り、内扉の前に行く。
積んでいた木箱を押し退け、現れた把手を掴んだ。
これまで、扉が開いた事は無い。
だけど…
「お願い、開いて!!」
把手を押しても引いても、扉はビクともしない。
「ノア、お願い!助けて!!」
わたしは力任せに、固い木の扉を叩いた。
もし、扉が開かなくても、死ぬなら、ここで死にたい。
わたしには、何も無いから…
わたしには、他に何処にも、行き場は無い。
ここは、一番、幸せだった場所___
「ノア!!ノア!!ノア!!」
不意に、扉を叩いていた手が、空を切ったかと思うと、
わたしは前につんのめり、向こう側へ転がり込んでいた。
「!??」
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