【完結】異形の令嬢は花嫁に選ばれる

白雨 音

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結婚をしたら、愛され、幸せになれると思っていた。

だけど、実際は、更に遠退いただけだった___


ジェルマンはわたしを館の裏手にある古い塔に閉じ込めた。
ジェルマンが夫になったのは、僅か数時間前だ。
結婚式で交換した指輪は、あっさりと引き抜かれ、今のわたしの左手には何も無い…
わたしはこの事態が信じられず、茫然となった。

どの位時間が経っただろう?
小さな窓から差し込む陽が、周囲を茜色に染めていた。

こうしていても仕方のない事は、わたしにも分かった。
わたしはのろのろと立ち上がり、塔を見て周る事にした。
今日から、ここで過ごす事になるのだから…

塔の一階には、調理場、風呂場、洗濯場等があり、わたしの部屋は二階の一室の様だった。
部屋には数個の木箱が無造作に置かれ、中にはわたしの服、櫛や化粧道具…
男爵家で持たされた物が入っていた。
他の部屋には鍵が掛けられ、仕える場所は掃除がされている。
恐らく、ジェルマンは最初からわたしをここに隔離する気だったのだろう。
それに気付き、酷く気落ちした。

「ジェルマン様…どうして…」

答えは分かっている。
ジェルマンはわたしの病痕を受け入れてはいなかったのだ。
本当は、わたしを《醜い》と思っていた。
わたしを妻にしたいなど、望んでいなかったのだ___!

それなら、それでもいい、ただ、わたしには近付かないで欲しかった。
わたしに望みを持たせないで欲しかった。

「どうして、結婚なんかしたの___!」

その答えだけは、幾ら考えても分からなかった。





泣き疲れて眠った様で、目が覚めた時には、朝になっていた。
小さな窓からは、白い陽が差し込み、部屋を明るくしていた。
新鮮な気持ちになる筈もなく、わたしは重い体を上げ、身支度をする事にした。
だが、階段を降りていた所、ガチャガチャと音が聞こえてきた。
誰かが鍵を開けようとしている?
わたしは足を止め、階段の壁に隠れ、ゆっくりとそちらを伺った。

扉が開かれ、老夫婦が入って来た。
慣れた様子で、二人は調理場を使い始める。
恐らく、使用人なのだろう…

わたしは部屋に引き返すと、荷物の中からフェイスベールを引っ張り出し、顔に付けた。
そして、一階に降りると、老夫婦に声を掛けた。

「おはようございます」

だが、老夫婦は振り返ったりはせず、手を止める事もなかった。
まるで聞こえていない様な態度に、わたしは戸惑った。
わたしは自分を励まし、老婦人に近付いた。

「おはようございます」

しっかりとした声で言うと、老婦人は漸く振り返った。
深い皺のある顔は、不機嫌そうだ。
彼女は無言で骨ばった指を動かし、テーブルを指した。

「何か、お手伝いしましょうか?」

老婦人は頭を振り、今度は椅子を引いて指で指す。
『座れ』と言っている様だ。
やはり、老夫婦は使用人で、わたしの世話係なのだろう。

「先に身支度をさせて下さい」

わたしが言うと、老婦人はわたしの手を引き、洗面所へ連れて行ってくれた。
そして庭に出て井戸から水を汲んで来る。
老婦人は一言も口を聞かず、必要な物を用意してくれ、調理場に戻って行った。

身支度を終え、テーブルに着くと、料理が出された。
昨日の物なのか、固くなったバケット、具の少ないスープ、紅茶、果実だ。
男爵家でも出される食事は質素だったので、特別な驚きは無かった。
それに、昨日のジェルマンの様子から考えれば、これは良い方だと思えた。

『おまえの様な女、生かしておいてやるだけマシと思え!』

ジェルマンの言葉が頭に蘇り、気持ちが沈んだ。

老夫婦は一階に住む様で、二人分の料理を持ち、玄関脇の部屋へ入って行った。
ジェルマンは「塔から出るな」と言っていたので、老夫婦は監視役かもしれない。
わたしは足音を忍ばせ、玄関に向かった。

玄関の扉は締められている。
試しに把手を押してみたが、それはビクともしなかった。
老夫婦が外から鍵を掛けたとは考え難い、きっと、内側からも鍵を掛けられるのだろう。
一階に窓はあるが、そのどれにも鉄格子が掛けられている。
これでは、本当に外には出られない。

男爵家でも、この六年間、離れの部屋から一歩も出して貰えなかった。
あんな日々がこの先も続くのだと考えたら、息苦しくなった。


◇◇


老夫婦は朝、昼、晩、質素ではあるが食事を用意してくれた。
食事は一階のテーブルに置かれ、食事の時間になると鐘が鳴らされた。
食材は毎朝塔の前に置かれ、老夫婦が運び入れている。
老夫婦は食事の片付け、洗濯、掃除等々、用事が無い時は部屋に籠っていて、
二階に来る事は無い。

老夫婦は互いの間でも言葉を交わす事が無いので、恐らく口がきけないのだろう。
それに、耳も遠い様だ。

わたしは老夫婦を観察し、その習慣を記憶した。

監視役が二人だけならば、抜け出せるのではないかと思えた。
尤も、抜け出せたとして、どうなる訳でもない。
わたしは令嬢に必要な事しか習っていない上、この六年間は外の世界に全く触れていなかった。
こんなわたしに、生きて行く術があるだろうか?

男爵家に戻る事は出来ないし、出来たとしても戻りたくはない。
修道院に駆け込むにしても、ここからどうやって行けば良いのか分からない。
そもそも、何処にあるのかさえ、わたしには見当が付かないのだ。

それでも、この塔の中で暮らすのだと思うと、発狂しそうになる。
この六年間は辛かった。
それが繰り返されるのだ、いや、今度はもっと長く続くだろう___

「そんなの、耐えられないわ!」

わたしはどうにかして塔を抜け出そうと考えた。
幸い、一つだけ方法があった。
わたしの部屋の窓は大き目で、鉄格子もされていない。
二階という事もあり、抜け出せないと思ったのだろう。
ここからであれば、外へ出る事が出来る___

「ロープか、何かがあれば…」

わたしは老夫婦が部屋に引き籠った時を見計らい、一階を物色した。
調理場の棚や引き出しには期待したが、特に使えそうな物は見当たらなかった。
一階を探し尽くすと、階上を練り歩き散策した。
他の部屋の扉は鍵が掛けられている為、入れないのだが、
唯一、塔の最上階、屋上には出る事が出来た。
そこには何も無かったが、見晴らしは良く、遠く、デジールの街を見渡せた。
外界を隔てるものは無く、風が吹き抜け、解放感と自由を感じた。
腕をいっぱいに広げ、体中に風を感じる…

「ああ、素敵だわ…!」

わたしはすっかり屋上を気に入り、毎日の様に訪れ、長い時間を過ごす様になった。


◇◇


その日も、わたしは朝食に出された果実をこっそりとポケットに入れ、最上階へと向かった。
風が強く、わたしのスカートが靡いた。
ふと、手摺の下に、黒い物が置かれているのに気付いた。
昨日までは無かった筈だ。

わたしは不思議に思い、様子を伺いながら近付いた。
近付くと、それが犬である事に気付いた。
青味掛かった黒色の毛をしていて、かなり大きな犬だ。

犬の方もわたしに気付き、顔を上げた。
その目は灰色というべきか、銀色というべきか、この世のものとは思えない程、綺麗だった。

犬が険しい顔をし、「ウウー」と唸り、わたしは足を止めた。

「何もしないわ、あなた、どうやってここに来たの?」

犬に話し掛けるなど、馬鹿馬鹿しいかもしれないが、『害は無い』と教えたかった。
すると、犬は前足を舐めた。
前足の一部が変色している、どうやら怪我をしている様だ。

「怪我をしているのね?待っていてね、直ぐに薬を持って来るから…」

わたしは犬に優しく言い聞かせ、屋上を後にした。
急ぎ足で階段を降りながら、わたしは頭を悩ませた。

『待っていて』と言ったけど、どうしたらいいかしら?

怪我の手当などした事は無い。
そもそも、薬があるかどうかも分からない。

老夫婦に「薬を下さい」と言うのは簡単だが、何に使うか、怪しまれはしないだろうか?
もし、犬が見つかってしまったら…ジェルマンは追い出すかもしれない。
ジェルマンならばやり兼ねない___!

「だったら、わたしが怪我をすればいい___」

わたしは石の壁で、左手の甲を擦った。
皮が剥け、ジンジンと痛む。
じわりと血も滲んできた。
わたしはそれに満足し、急いで階段を降り、老夫婦の部屋の扉を叩いた。

「怪我をしたの!薬を貰えませんか?」

扉は直ぐに開き、老夫婦が顔を出した。
険しい顔でわたしの傷を確認すると、一度部屋の中に戻り、薬の瓶を手に持って来た。
手当をしようとする老婦人を断り、「自分で出来ます、薬を貰って行きますね」と
薬瓶を受け取った。
布と桶に水を貰い、わたしは老夫婦に礼を言い、階段へ引き返した。
足を忍ばせ、気配を伺ったが、物音一つしない。
老夫婦は部屋に戻った様だ。わたしは安堵し、そっと息を吐いた。


屋上に戻ると、犬はまだそこに蹲っていた。
わたしは「薬を持って来たわ」と声を掛け、近付いた。
犬は顔を上げたが、先程とは違い、険しい表情はしておらず、唸ったりもしなかった。
わたしは安堵し、桶を置くと犬の傍に膝を着いた。

「傷を洗うわね、痛いかもしれないけど、我慢してね…」

わたしは布を水に浸し、絞ると、前足の怪我に当て、そっと拭った。
それは焦げた様に茶色く、そして嫌な臭いがした。

「この薬で治るといいけど…ごめんなさいね、薬はこれしか手に入らなくて…」

わたしは薬を塗ってやり、布で縛った。
犬は立ち上がると頭を振って見せた。
まるで、お礼を言っているかの様で、わたしは微笑んでいた。

「いいのよ、気にしないで、そうだわ、お腹は空いていない?
果実があるの…」

わたしはポケットからそれを取り出し、犬の前に置いた。
犬が大きな口を開け、果実に齧りつく。

「ふふ、美味しい?ゆっくり食べていいのよ」

見ていると心が和み、わたしは自分の怪我の事をすっかり忘れていた。
果実を食べ終えた犬が、徐に立ち上がり、
わたしの手に鼻を擦りつけて来た事で、漸くそれを思い出した。

「教えてくれてありがとう、わたしも手当をするわね」

わたしは傷口を水で洗い、薬を塗った。
大した怪我ではないので、直ぐに治るだろう。

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