上 下
1 / 15

しおりを挟む


ブーランジェ伯爵令嬢、リリアーヌ

わたしは物心付いた頃から、剣術が好きだった。
木の枝を剣に見立て振り回し、広い庭を駆け回る、元気のあり余る子だった。
普通であれば、「伯爵令嬢の振る舞いでは無い」と止めさせられる所だろうが、
末娘という事もあり、両親も兄姉も、わたしに甘かった。

「元気で健康だという証だね、よいよい」
「リリアーヌの笑い声を聞いていると、私も元気になりますわ~」
「自ら身を守れるんだから、一石二鳥だ、流石僕の妹だ!」
「世の中物騒ですものね、リリアーヌは貴族女性の先駆者ですわ!」

家族全員がこんな調子なものだから、
わたしは自分が『異質』である事に気付かず、育ったのだった。


わたしは、自分が何故、人形遊びよりも、ドレスで着飾る事よりも、
男たちが剣を合わせ戦う姿に熱くなり、惹かれるのか…疑問に思った事は無かった。
だが、それには、確かな理由があった。
それを知ったのは、8歳の夏の日…

「おまえなんか、ぜったい、よめに行けねーんだからな!」

わたしに打ち負かされ、半泣きになった、どこかのクソガキの捨て台詞と共に、
わたしの頭に、前世の記憶が蘇ったのだ___


前世でのわたしの名は、御影百合。
御影流剣術道場の一人娘で、道場主である祖母菖蒲を師とし、
小さい頃より剣術を教え込まれて来た。それはもう、体と命に滲み込む程に。

剣術!それはわたしの生きる道であり、命だ___
わたしはそれを疑った事は無かった、あの日までは…

高校生二年生にして、わたしは初恋を知った。
相手は同じクラスの男子で、松前圭太。
彼とは出席番号が近く、席が隣になった事が始まりだった。

「御影ってカッコイイ苗字な!俺もそっちが良かったー」

わたしが道場の娘というのは、小学中学と有名で、女子たちに頼まれては、
悪さをする男子たちを箒で打ち負かして来たので、男子たちからは怖がられていた。
そんなわたしに、彼の気さくさは新鮮だった。

彼は所謂イケメンで、頭も運動神経も良く、明るく人気者。
出席番号の関係で、席、当番、何かと一緒になる事が多く、自然と仲良くなった。
良く話し掛けてくれ、スポーツ大会ではいつも応援してくれ、
休日にはバスケやサッカーにも誘ってくれた。

「御影って、道場の娘なの?マジで!?」
「良く食うヤツだなー、昼飯あんの?」
「御影恰好良かったぜ!」
「週末バスケな!おまえ、マジ戦力!」

わたしはいつしか、彼を意識し始めていた。
話し掛けられるとうれしい、誘われるとうれしい、褒められるとうれしい、
もっと、もっと…

卒業式の日、今日で最後だと思うと、じっとしていられず、
わたしは勇気を出し、彼に告白した。

「わたしさ、松前の事、好きなんだ!」

彼は驚いた顔をし、それから申し訳無さそうな顔になった。
それで、聞かずとも、答えは分かってしまった。

「御影の事は友達っていうか…そういう風に考えた事なくて…悪い!
俺、付き合ってるヤツいるし、マジでごめんな!」

彼は一生懸命に謝ってくれた。
それで、わたしの気持ちも少しは報われたと思っていた。

だけど、帰り道、彼の隣に女子が居て…

「圭太くんモテモテだったねー、妬けちゃうなー」
「モテ彼氏って自慢しろよ、そういや、俺、御影にも告白されたぜ」
「ええー!御影さんって、圭太狙いだったの~?男に興味無いのかと思ってたぁ」
「だろー?マジ、ビビったわー、御影を女には見られねーもん、あれは男だって!」

頭が真っ白になった。

女には見られない?
わたしは女じゃないの?
そもそも、告白以前の問題だったって事?

「ナニソレ、意味分かんないんだけど…」

その後、わたしはショックから、腑抜けになってしまった。
あれ程熱心に打ち込んで来た剣術の稽古にも身が入らず、
ぼんやりと空を見て考え込んだりするので、祖母に散々怒鳴られ、心配され…
馴染みの医者を呼ばれるに至ったのだった。

「年頃の娘には良くある事じゃよ」

医者の一言に、家族は引き攣った笑いをしていたが、触れないでおいてくれた。


大学生になり、周囲を見た時、自分が明らかに浮いている事に気付いた。
それで、漸く、悟ったのだ___

『女には見られねーもん、あれは男だって!』

つまり、わたしは、周囲の女性たちとは、毛色が違うという事だ。
彼が求めていたのは、周囲の女性たちのような、『女の中の女』に違いない…

「わたしは、『女』になりたい…」

「好きな人に、女として認められたい!!」

その日から、わたしは《女》を研究し、自分もそれに近付こうと努力を始めた。
髪を伸ばし始め、ブラッシングする。スカートを買い、化粧をしてみた。
剣を持つ為、爪を伸ばす事は出来無いが、綺麗に磨き、付け爪を試したり、ネイルもしてみた。
食事を減らすと祖母が煩いので、出来無かったが、なるべく外では食べ無い様にした。

言葉使いも周囲に合わせた。
話題のドラマを観たり、アイドルの曲を聞いたりするようにもした。


大学二年生の、ある冬の日の事だ。
大学の女友達から、急遽、親睦会に参加して欲しいと頼まれた。
調度バイトも入っていなかったので、良い返事をしたのだが、行ってみると…
女子たちは驚く程薄着で、いつも以上に綺麗に着飾り、男子たちもお洒落な恰好をしていた。

こ、これは、合コンというヤツでは!??
しまった!これは予習してなかったわ!!

人生初の合コンという事もあり、わたしは動揺し挙動不審になった。
わたしを誘った友人は、可愛く頬を膨らませた。

「御影ってば~、もっとお洒落して来なさいよぉ、失礼でしょぉ」

親睦会というから、気軽なセーターとジーンズで来たのだ。
文句を言うなら、最初から合コンと言っておいて欲しい。
それでも、化粧はしているし、爪も綺麗にしている。
女性らしいゆったりした白いセーターで、ネックレスまでしてる。
家ではジャージ、稽古では袴姿なんだから、十分良い方だ。

「まー、自然体って感じでイイじゃん、そこ座って」

自然体…

違和感を覚えつつも、わたしは座り、周囲に合わせ適当な話で盛り上がり、笑った。
気付くと、皆、それぞれに相手を作り、去って行き、わたしは独り残されていた。

わたしの何がいけないのか?
これでも足りないというのか?
もっと、女性らしくならなくてはいけないのか?

「ああ、疲れる…」

いつもであれば心に留め置く様な弱音を吐き、
ぼんやりと月なんかを見上げたのが良くなかったのだ。
普段の自分であれば、避けられた筈なのだ。
暴走した車の一台や二台…

ああ、御影百合、一生の不覚___


「きっと、稽古に身が入っていなかった所為ね」

だが、そう思ったのがいけなかったのだ、
折角、異世界の伯爵令嬢として、煌びやかな世界に転生出来たというのに、
今の自分ときたら、まるでガキ大将か山猿だ。
前世での努力が全く実っていないわ!
だけど、前世を思い出したのが、まだ8歳で良かった…

「8歳ならば、これから何とでもなるわ!」

前世では遅れを取ったが、今世では、その分を取り返してやる!
何といっても、わたしは8歳だ、若い!
それに、わたしは泣く子も黙る、【伯爵令嬢】だ!
伯爵令嬢といえば、確か、金髪を縦ロールに巻き、花を飛ばし、高笑いをしているヤツよね?
奇しくも、わたしの髪は金色!目は青色!資質は十分だ!

「誰もが認める、令嬢の中の令嬢、伯爵令嬢様になってやるわ!!ほーほほほ!!」


◇◇


前世を思い出したわたしは、その日から、理想の伯爵令嬢となるべく、行動を開始した。
棒を振り回すのを止め、回廊や庭を走り回るのも止めた。
代わりに、時間を掛けて髪を梳かし、綺麗でフリルの沢山付いたドレスを着た。
4つ年上の姉ロゼールを見習い、淑女の真似事に明けくれる。

当然だが、わたしの変化に、家族は大いに驚いた。
だが、わたしに甘い家族は、それを良い方に解釈し、すんなり手の平を返したのだった。

「やはり、リリアーヌも女の子だね」
「可愛いわぁ!お人形さんみたいよ~!」
「このまま騎士団にでも入るつもりかと心配したよ」
「私が全部教えてあげるわね、可愛い妹リリアーヌ!」

そして、時は流れ…

わたしも、19歳を迎えた。
8歳から令嬢としての英才教育を受けてきたわたしは、
今や、何処に出しても恥じる所の無い、令嬢の中の令嬢へと成長を遂げたのだった___


「それは、笑い話ですか?お嬢様」

斜め向かいに立つ、黒いスーツ姿の男は、『笑い話』と言いつつ、一ミリたりとも笑ってはいない。
細い銀淵の眼鏡の奥、青灰色の目は、極めて胡乱にわたしを見ていた。

この失礼な男は、エルネスト=ジュレ(偽名)、28歳(自称)。
執事兼、父や兄の秘書兼、わたしの教育係だ。
毒舌で愛想が無く、冷たく見えるが、整った顔をしている。
近眼なのか老眼なのか知らないが、他の者だと怯むだろうお洒落アイテムの
細い銀淵の眼鏡も、悔しいが良く似合っている。

いや、こいつは、恵まれた容姿に甘えて、愛想を見せないだけよ!

「無理矢理、笑い話にする必要は無くてよ、エルネスト。
リリアーヌ=ブーランジェは令嬢の中の令嬢、淑女の中の淑女と名高い事を、
あなたもご存じでしょう?あなたも教育係として鼻が高いわね、エルネスト」

わたしは青い目を大きくし、魅力的な唇で笑みを作り、
美しく豊かな金髪を、そっと靡かせて見せた。
ちなみに、縦ロールは古臭いと、16歳の時、社交界デビューを機に、
レディーズメイドに止めさせられた。

これぞ、伯爵令嬢のオーラ!どやっ!!!

だが、エルネストの黒い眉はピクリと動き、その口元は不機嫌そうに下がった。

「まず、その、思い上がりを恥ずかしいと思いなさい、お嬢様。
あなた程度の者など、貴族社会では河川の小石、珍しくはございません。
令嬢の中の令嬢は、驕り高ぶったりはしませんし、
淑女の中の淑女は、刺繍位簡単に出来るものです」

眼鏡の向こうで目を眇め、鼻で笑う。
わたしは手にしていた刺繍の布をぐしゃりとし、テーブルに放った。

「刺繍なんて出来なくたっていいのよ!
伯爵令嬢だもの、こんなの、出来た物を買えばいいじゃないの!」

前世だと、伯爵令嬢でなくても簡単に買えたわ!

「フン、金で解決とは、随分と下世話な…伯爵令嬢が嘆かわしい」

ぐぬぬ…

「それに、あなたのは、ただ、苦手で面倒な事をしたくないだけでしょう?」

流石、7年もわたしの教育係をしているだけあって、良く分かっている。
理屈でエルネストを打ち負かすのは無理だ。
わたしは同情を買う作戦に出た。

「エルネスト、わたしがどれだけ頑張っているか、あなたなら分かるでしょう?
裁縫だけは上手くならないのよ、壊滅的にセンスが無いの!」

「裁縫だけ、というのには語弊がありますね、ですが、センスが無いというのには賛成です。
あなたは、ボタン一つ、まともに付けられない方ですからね…」

エルネストが黒髪を振る。

彼の袖のボタンが外れ、親切心から付けてあげた事があったが、
酷く突っ張り、皺になり…新しい上着を買ってあげる事になってしまったのだ。
だけど、それを事ある毎に持ち出し、ネチネチ言って来る…
一生言う気じゃないでしょうね!??

「残念な結果だったとしても、親切にしてあげたんだから、感謝しなさいよ!」

「本当の親切というのは、『してあげた』などという言葉は付いて来ないものです。
親切な自分に酔っているだけでしょう、それを偽善というのですよ」

「ああ、もう、いいわよ!降参するわ!」

わたしは早々に白旗を上げると、ふかふかのソファから立ち上がった。

「刺繍なんかしてたから、体が鈍っちゃったわ!
エルネスト、剣の相手をなさい、久しぶりに鍛えてあげるわ!」

「私はあなたの教育係であって、遊び相手ではありませんよ?」

尤も、教育係も名ばかりで、最近では父兄の秘書の仕事に本腰を入れ、
忙しくしているのは、わたしも知っていた。
だけど、こうして、わたしの様子を見に来た時には、
気晴らしの相手になってくれる気でいる、という事も分かっている。
なんたって、7年も傍に居るのだから。
エルネストは、もう一人の兄の様な存在だ。

「『遊び』なんて言ってると、痛い目みるわよ?
さぁ、行くわよ、エルネスト!」

わたしは勢い良く扉を開け、部屋を出る。
エルネストは嘆息しつつも、もう無駄口を叩く事は無く、付いて来たのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】魔狼を愛する伯爵令嬢の結婚

ユリーカ
恋愛
 メリッサはシャムロック伯爵令嬢だが、裏でハンター稼業もしている。魔獣が住む森にいる愛する魔狼に会うためだ。  そんなメリッサの婚約が決まった。嫁ぐ先は名家ラウエン公爵家当主・アレックス・ラウエン。ハンター稼業がバレたらマズい!婚約を破棄されないようメリッサは深窓の令嬢のフリをするが‥‥。  これは魔狼大好き令嬢の結婚までの物語。  最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。  シリーズ4部完結の第1部です。 ※ 本編完結済み。外伝2本あります。全話公開済み。 ※ 本編だけでは謎が散らかったままです。外伝2本と続編でもろもろ回収してます。 ※ 続編「ハンターを愛する公爵閣下の結婚(ヒーローサイド)」完結しました。全話公開済み。

出来の悪い令嬢が婚約破棄を申し出たら、なぜか溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
 学術もダメ、ダンスも下手、何の取り柄もないリリィは、婚約相手の公爵子息のレオンに婚約破棄を申し出ることを決意する。  きっかけは、パーティーでの失態。  リリィはレオンの幼馴染みであり、幼い頃から好意を抱いていたためにこの婚約は嬉しかったが、こんな自分ではレオンにもっと恥をかかせてしまうと思ったからだ。  表だって婚約を発表する前に破棄を申し出た方がいいだろう。  リリィは勇気を出して婚約破棄を申し出たが、なぜかレオンに溺愛されてしまい!?

北の村で生まれた私は婚約破棄されたうえ皆から虐められたので村から出ていくことにしました。

四季
恋愛
北の村で生まれた私は婚約破棄されたうえ皆から虐められたので村から出ていくことにしました。

みんなが嫌がる公爵と婚約させられましたが、結果イケメンに溺愛されています

中津田あこら
恋愛
家族にいじめられているサリーンは、勝手に婚約者を決められる。相手は動物実験をおこなっているだとか、冷徹で殺されそうになった人もいるとウワサのファウスト公爵だった。しかしファウストは人間よりも動物が好きな人で、同じく動物好きのサリーンを慕うようになる。動物から好かれるサリーンはファウスト公爵から信用も得て溺愛されるようになるのだった。

少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。

ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。 なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。 妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。 しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。 この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。 *小説家になろう様からの転載です。

【完結】玉の輿狙いの転生婚活令嬢は猫かぶりをしたい!〜あっ……、王太子殿下は無理なんですよ!〜

日月ゆの
恋愛
あっ!私、異世界転生者だわ。 うん。なんかラノベでこう云う展開見たことある! 自称のほほんと異世界転生生活を送っていたルーナは、無自覚に幼馴染兼専属従者のギルバートと魔法チートを極めていた。 え?全属性適応って皆じゃないの? 呪文詠唱何それ?思い浮かべたらできたよ? 魔力枯渇ってお腹減るだけだよね?? 「ギルっ!いっくよー!!」 「お嬢っ!!またやらかしましたねっ!自重して下さいっ!」 「大丈夫だよ!!ゴリ押しでなんとかなるよ!!」 のほほんと過ごせれていたのもつかの間、残っているものは只、建国以来存続しているという古い血筋だけの貧乏伯爵家の長女としての責務を果たす時が来たルーナ。 しかし、こんな貧乏伯爵家とわざわざ婚約したいという物好きもいないと気付いたルーナは持ち前の魔力を武器に王立学園で好成績を修めれば玉の輿も狙えるかも?!と考え、ギルバート曰く脳筋思考を封印し真逆の大人しめ令嬢として過ごすことを決めた。 不肖、ルーナ・ヘルゲンまだ小さい弟2人(天使)を養うために全力で猫被って玉の輿狙いますっ!! あれ?!王太子殿下?!私はそこそこの玉の輿を狙っているだけであって、王妃は無理なんですよ?! 「ルーナさん?ゴリ押しで何とかなるんですよね?私も、貴方との結婚をゴリ押しで進めさせていただきますね?」 ※他サイトにも掲載しております 表紙画像はPicrewの「こんぺいとう**2メーカー」で作成しました。

【完結】ブッ飛び公爵令嬢の楽しい契約結婚講座。(今ならたったの金貨1枚ですわ。)

隣のカキ
恋愛
 私は世間を賑わすイリジウム王国の公爵令嬢。セリア=クルライゼと申します。  ピッチピチの16歳。ブッ飛び公爵令嬢なんて呼ばれていますの。  今日は皆様に、契約結婚でも楽しく過ごす方法を教えて差し上げますわ。  先に申し上げておきますが……このお話が出回る頃には既に、情報そのものに価値は無くなっているので、真似っこしてもダメですよ?  だって……情報商材ってそういうものでしょう?

猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない

高遠すばる
恋愛
幼い頃、婚約者を庇って負った怪我のせいで目つきの悪い猛禽令嬢こと侯爵令嬢アリアナ・カレンデュラは、ある日、この世界は前世の自分がプレイしていた乙女ゲーム「マジカル・愛ラブユー」の世界で、自分はそのゲームの悪役令嬢だと気が付いた。 王太子であり婚約者でもあるフリードリヒ・ヴァン・アレンドロを心から愛しているアリアナは、それが破滅を呼ぶと分かっていてもヒロインをいじめることをやめられなかった。 最近ではフリードリヒとの仲もギクシャクして、目すら合わせてもらえない。 あとは断罪を待つばかりのアリアナに、フリードリヒが告げた言葉とはーー……! 積み重なった誤解が織りなす、溺愛・激重感情ラブコメディ! ※王太子の愛が重いです。

処理中です...