15 / 35
二度目
8
しおりを挟む
リアム様だわ___
兄とミシェルと共にパーティ会場に入り、わたしの目は、直ぐにその姿を捕らえた。
蜂蜜色の髪、長身でスラリとした肢体…
リアムのフォルムは、一度目の時で、すっかり頭に叩き込まれている。
一度目の時のわたしも、彼を見つけ出す事が上手かった。
そして、胸は高鳴り、うっとりとしてしまう…
見惚れていると、ふと、リアムがこちらを振り返った。
わたしは咄嗟に目を反らし、人混みに隠れた。
見ていた事が、リアム様に気付かれてしまう___
「踊って頂けますか?」
丁度、男性から誘われたので、わたしは誘いに乗った。
誰かと一緒であれば、リアムも声を掛けて来ないだろう。
そんな事を考えた後、わたしは自嘲した。
リアム様がわたしに声を掛けるなんて!
どうしてそんな事を思ったのだろう?
一度目の時、わたしはリアムと親しくなろうと、かなり強引にアプローチを重ねた。
それで、漸く、振り向いてくれたのだ。
わたしが近付かなければ、リアムと親しくなる事は無い___
安心しても良い状況だというのに、どうしてだか、安心よりも、寂しさの方が大きかった。
曲が終わり、男性が「もう一曲いかがですか?」と誘ってくれたが、
わたしは気分も沈んでいたので、丁重に断った。
だが、ダンスフロアから出ようとした所…
「僕と踊って頂けますか?」
声を掛けられ、顔を向けると、そこに立っていたのはリアムだった。
わたしは思わず息を飲み、固まった。
リアムはそんなわたしに気付き、苦笑した。
「僕とは踊って頂けませんか?
知らない仲でもありませんし、僕は安全な男ですよ?」
リアム様が、こんな軽口を言うなんて___!
こんなリアムは初めてで、わたしは思わず瞬きをし、彼を凝視してしまった。
「勿論、構いません」
驚き過ぎた為か、わたしの口は勝手に動き、了承してしまった。
仕方なく、わたしは彼の手に自分の手を乗せた。
リアムのリードに合わせ、踊る。
一度目の時にも、わたしたちのダンスは息が合っていたが、
二度目も同じ…いや、それ以上に、自然で、体が軽く感じられた。
つい、ダンスを楽しんでいたが、ふと、わたしは自分の立場を思い出した。
リアム様と親しくなってはいけないのに___!
リアムが《安全な男》だなんて、とんでもない!
わたしにとって、誰よりも彼は《危険な男》だ___
「もう一曲、よろしいですか?」
曲の終わりにリアムに聞かれた時、わたしは慌てて手を引き抜いていた。
「すみません、少し休みます___」
逃げる様にその場を後にする。
飲み物を取りに行き、顔だけで振り返ってみると、リアムはもう別の令嬢と踊っていた。
リアム様は人気だもの…
ダンスの相手に困る事は無い。
だけど、誘ってくれたわ…
いけないと思いながらも、わたしは何処か期待してしまっていた。
わたしは頭を振り、考えを追い払った。
「ジスレーヌ、調子はどうだ?」
兄が話し掛けてきて、わたしは誤魔化す様にグラスに口を付けた。
「踊ったわ」
「いい感じだったじゃないか、リアムと」
何か含みのある言い方で、わたしは「むっ」と口元を引き締めた。
「他の男性とも踊ったわ」
「ああ、知ってるよ、けど、おまえはリアムを意識してるみたいに見える」
兄は鋭く、わたしは背筋がヒヤリとした。
「気の所為よ、それよりお兄様、ミシェルは?一人にしたの?」
「今、踊ってるよ、ちゃんとした相手だから、大丈夫だろう」
兄がそちらに目を向けた。
ミシェルが誰かと踊っているのが見えた。
「ミシェルは楽しんでいるみたいね、良かったわ…」
「俺たちも楽しむぞ!」
兄がわたしの手を掴み、ダンスフロアに向かう。
相手になってくれるのは良いが、やたらとリアムの近くに行こうとするのには、辟易した。
リアムはわたしと目が合うと、「ふっ」と笑った。
わたしは気付かない振りをし、視線を反らした。
曲が終わり、兄がリアムに声を掛けようとしたのを察し、わたしは「また後でね!」と、
その場から抜け出した。
その後も、わたしは何とかリアムの視界に入らない様にと、逃げ回った。
お陰で帰りの馬車の中では、疲れ果てていた。
わたしは目を閉じ、浅い眠りに入っていた。
「ジェイド様、踊って下さって、ありがとうございました」
ミシェルが鈴の音の様な声で、兄に礼を言っている。
兄はわたしの相手をするのと同様に、義理で踊ったのだろうから、
礼など要らないのに…
「ああ、礼なんていらないよ」
予想通り、兄は軽く返した。
だが、それには、予想とは違い、続きがあった。
「気になる娘を誘うのは、当然の事さ」
兄がミシェルに少なからず好意を持っていた事に驚いた。
だが、考えてみたら、十分にあり得る事だ。
ミシェルは、お人形の様に可愛いもの…
「あ、あの、私…」
ああ…困っているわ、彼女は深窓の令嬢だもの…
残念だったわね、お兄様。
わたしは、『帰ったら兄に優しくしてあげよう』と同情したが、
兄はわたしが思うよりも、図々しい人間だったらしい。
「困らせたかな?けど、君は可愛いし、感じもいいし、純粋で安心出来る。
ダンスも楽しかった。君が嫌でなければ、また誘いたい。
勿論、嫌ならそう言ってくれて構わないよ、
無理矢理付き合わせたと知れば、妹が怒るだろうから___」
兄が明るく笑う。
兄の心臓の強さに、わたしは半ば感心していた。
そういえば…と、わたしは改めて兄の事を考えた。
兄はモテる方なのだが、恋人選びは慎重にしていた。
兄は我がローレン伯爵家の跡取りなので、浮ついた事が出来ないのだ。
それで、二十一歳という適齢期に、婚約者所か、女性の影も無かった。
一度目の時にも、兄に婚約者は居なかった。
それが、ミシェルに好意を示したという事は…
兄は本気だという事___?
それに気付き、わたしは緊張した。
何か重い空気が漂う中、ややあって、ミシェルが口を開いた。
「あ、あの…嫌じゃありません…また、ジェイド様と踊りたいです」
ミシェルの震える声に、わたしは小さく息を飲んだ。
ドキドキとし、耳を澄ませ、兄の返事を待つ。
「良かった、それじゃ、予約な!」
返事は軽かったが、ミシェルはうれしそうに、「くすくす」と笑っていた。
兄とミシェルが…?
この時まで、そんな事は考えもしなかったが、よくよく考えてみれば、
二人はお似合いかもしれない。
それに、ミシェルを運んで行ったのはリアムだったので、
彼女がリアムに恋をしていないか、実の所、心配だった。
その心配も払拭され、わたしは安堵し、眠りに落ちた。
馬車がローレン伯爵家に着き、兄から「いい加減に起きろ!」と怒鳴られるまで___
◇◇
あの夜、わたしが眠っている間に、二人は仲を深めたのか…
その後の兄の行動は、驚く程早かった。
翌日の昼前、ミシェルと結婚したい旨を、両親に話した。
両親は驚きつつも、「良い娘だし、家柄も文句はない、いいんじゃないか?」と乗り気だった。
「ジェイド様の相手が、私では、申し訳ないと…
ジスレーヌ様やローレン伯爵、伯爵夫人に、こんなに良くして頂いて…
気持ちを裏切ったのではないでしょうか…」
ミシェルはわたしに、申し訳なさそうに話した。
「あなたが申し訳なく思う事はないわ、ミシェル。
あんな事があって、そこに付け込んだのはお兄様の方よ。
もし、あなたが兄を愛せないなら、断るのに手を貸します。
わたしは、あなたにも兄にも、幸せになって貰いたいから___」
ミシェルは小さく頭を振った。
「私…ジェイド様の事が、好きです…
愛は、まだよく分かりませんが…
それでも、ジェイド様と一緒に居たいんです…駄目でしょうか?」
ミシェルからその言葉を聞き、わたしは二人に協力しようと誓った。
「駄目じゃないわ、兄の事を好きになってくれてうれしいわ、ありがとう」
兄も勿論、ミシェルが一時の気の迷いではないか、流されていないか心配した様で、
一年は婚約し、お互いの気持ちを深めたいと言っていた。
婚約という形を取る事で、兄はミシェルに責任を持ち、両親にも誠意を見せたい様だ。
兄はミシェルと共に、ラフィット伯爵家に行き、彼女の両親から許可を得て帰って来た。
兄の話では、ミシェルの両親は、急な事にも喜び、快諾してくれたとの事だった。
ミシェルを助けた事で、兄は両親から気に入られていたのだ。
それに、兄と結婚すれば、ミシェルは行く行くは伯爵夫人なので、
結婚相手として、何も不足は無かった。
その後、兄は週末になると、ラフィット伯爵家に行き、ミシェルと過ごす様になった。
兄は恋をする男性の如く、ウキウキと足取りも軽く、出掛けている。
あんな兄を見たのは、初めてだ。
そして、一月後、二人は晴れて婚約を結んだ。
一度目の時、兄とミシェルは、出会っていない。
兄は独り身で、相手を見つけられずにいた。
ミシェルは子を身籠り、愛してもいない男性と結婚した。
二人の道は、完全に違っていたのだ。
それが、出会った途端に、恋に落ちるなど…
もしかしたら、運命の相手だったのではないか?
そんな風にも考えられ、わたしは感慨深く、指輪の交換をし、キスをする二人を眺めた。
兄とミシェルの事が落ち着いた頃、わたしに縁談の打診が来た。
父と母に書斎に呼ばれ、それを告げられた。
「ジスレーヌ、おまえに結婚の申し込みが来た!
お相手は、デュラン侯爵子息、リアム様だ___」
父と母の目は期待に輝いていた。
だが、わたしはというと、目の前が真っ暗になった気がした___
兄とミシェルと共にパーティ会場に入り、わたしの目は、直ぐにその姿を捕らえた。
蜂蜜色の髪、長身でスラリとした肢体…
リアムのフォルムは、一度目の時で、すっかり頭に叩き込まれている。
一度目の時のわたしも、彼を見つけ出す事が上手かった。
そして、胸は高鳴り、うっとりとしてしまう…
見惚れていると、ふと、リアムがこちらを振り返った。
わたしは咄嗟に目を反らし、人混みに隠れた。
見ていた事が、リアム様に気付かれてしまう___
「踊って頂けますか?」
丁度、男性から誘われたので、わたしは誘いに乗った。
誰かと一緒であれば、リアムも声を掛けて来ないだろう。
そんな事を考えた後、わたしは自嘲した。
リアム様がわたしに声を掛けるなんて!
どうしてそんな事を思ったのだろう?
一度目の時、わたしはリアムと親しくなろうと、かなり強引にアプローチを重ねた。
それで、漸く、振り向いてくれたのだ。
わたしが近付かなければ、リアムと親しくなる事は無い___
安心しても良い状況だというのに、どうしてだか、安心よりも、寂しさの方が大きかった。
曲が終わり、男性が「もう一曲いかがですか?」と誘ってくれたが、
わたしは気分も沈んでいたので、丁重に断った。
だが、ダンスフロアから出ようとした所…
「僕と踊って頂けますか?」
声を掛けられ、顔を向けると、そこに立っていたのはリアムだった。
わたしは思わず息を飲み、固まった。
リアムはそんなわたしに気付き、苦笑した。
「僕とは踊って頂けませんか?
知らない仲でもありませんし、僕は安全な男ですよ?」
リアム様が、こんな軽口を言うなんて___!
こんなリアムは初めてで、わたしは思わず瞬きをし、彼を凝視してしまった。
「勿論、構いません」
驚き過ぎた為か、わたしの口は勝手に動き、了承してしまった。
仕方なく、わたしは彼の手に自分の手を乗せた。
リアムのリードに合わせ、踊る。
一度目の時にも、わたしたちのダンスは息が合っていたが、
二度目も同じ…いや、それ以上に、自然で、体が軽く感じられた。
つい、ダンスを楽しんでいたが、ふと、わたしは自分の立場を思い出した。
リアム様と親しくなってはいけないのに___!
リアムが《安全な男》だなんて、とんでもない!
わたしにとって、誰よりも彼は《危険な男》だ___
「もう一曲、よろしいですか?」
曲の終わりにリアムに聞かれた時、わたしは慌てて手を引き抜いていた。
「すみません、少し休みます___」
逃げる様にその場を後にする。
飲み物を取りに行き、顔だけで振り返ってみると、リアムはもう別の令嬢と踊っていた。
リアム様は人気だもの…
ダンスの相手に困る事は無い。
だけど、誘ってくれたわ…
いけないと思いながらも、わたしは何処か期待してしまっていた。
わたしは頭を振り、考えを追い払った。
「ジスレーヌ、調子はどうだ?」
兄が話し掛けてきて、わたしは誤魔化す様にグラスに口を付けた。
「踊ったわ」
「いい感じだったじゃないか、リアムと」
何か含みのある言い方で、わたしは「むっ」と口元を引き締めた。
「他の男性とも踊ったわ」
「ああ、知ってるよ、けど、おまえはリアムを意識してるみたいに見える」
兄は鋭く、わたしは背筋がヒヤリとした。
「気の所為よ、それよりお兄様、ミシェルは?一人にしたの?」
「今、踊ってるよ、ちゃんとした相手だから、大丈夫だろう」
兄がそちらに目を向けた。
ミシェルが誰かと踊っているのが見えた。
「ミシェルは楽しんでいるみたいね、良かったわ…」
「俺たちも楽しむぞ!」
兄がわたしの手を掴み、ダンスフロアに向かう。
相手になってくれるのは良いが、やたらとリアムの近くに行こうとするのには、辟易した。
リアムはわたしと目が合うと、「ふっ」と笑った。
わたしは気付かない振りをし、視線を反らした。
曲が終わり、兄がリアムに声を掛けようとしたのを察し、わたしは「また後でね!」と、
その場から抜け出した。
その後も、わたしは何とかリアムの視界に入らない様にと、逃げ回った。
お陰で帰りの馬車の中では、疲れ果てていた。
わたしは目を閉じ、浅い眠りに入っていた。
「ジェイド様、踊って下さって、ありがとうございました」
ミシェルが鈴の音の様な声で、兄に礼を言っている。
兄はわたしの相手をするのと同様に、義理で踊ったのだろうから、
礼など要らないのに…
「ああ、礼なんていらないよ」
予想通り、兄は軽く返した。
だが、それには、予想とは違い、続きがあった。
「気になる娘を誘うのは、当然の事さ」
兄がミシェルに少なからず好意を持っていた事に驚いた。
だが、考えてみたら、十分にあり得る事だ。
ミシェルは、お人形の様に可愛いもの…
「あ、あの、私…」
ああ…困っているわ、彼女は深窓の令嬢だもの…
残念だったわね、お兄様。
わたしは、『帰ったら兄に優しくしてあげよう』と同情したが、
兄はわたしが思うよりも、図々しい人間だったらしい。
「困らせたかな?けど、君は可愛いし、感じもいいし、純粋で安心出来る。
ダンスも楽しかった。君が嫌でなければ、また誘いたい。
勿論、嫌ならそう言ってくれて構わないよ、
無理矢理付き合わせたと知れば、妹が怒るだろうから___」
兄が明るく笑う。
兄の心臓の強さに、わたしは半ば感心していた。
そういえば…と、わたしは改めて兄の事を考えた。
兄はモテる方なのだが、恋人選びは慎重にしていた。
兄は我がローレン伯爵家の跡取りなので、浮ついた事が出来ないのだ。
それで、二十一歳という適齢期に、婚約者所か、女性の影も無かった。
一度目の時にも、兄に婚約者は居なかった。
それが、ミシェルに好意を示したという事は…
兄は本気だという事___?
それに気付き、わたしは緊張した。
何か重い空気が漂う中、ややあって、ミシェルが口を開いた。
「あ、あの…嫌じゃありません…また、ジェイド様と踊りたいです」
ミシェルの震える声に、わたしは小さく息を飲んだ。
ドキドキとし、耳を澄ませ、兄の返事を待つ。
「良かった、それじゃ、予約な!」
返事は軽かったが、ミシェルはうれしそうに、「くすくす」と笑っていた。
兄とミシェルが…?
この時まで、そんな事は考えもしなかったが、よくよく考えてみれば、
二人はお似合いかもしれない。
それに、ミシェルを運んで行ったのはリアムだったので、
彼女がリアムに恋をしていないか、実の所、心配だった。
その心配も払拭され、わたしは安堵し、眠りに落ちた。
馬車がローレン伯爵家に着き、兄から「いい加減に起きろ!」と怒鳴られるまで___
◇◇
あの夜、わたしが眠っている間に、二人は仲を深めたのか…
その後の兄の行動は、驚く程早かった。
翌日の昼前、ミシェルと結婚したい旨を、両親に話した。
両親は驚きつつも、「良い娘だし、家柄も文句はない、いいんじゃないか?」と乗り気だった。
「ジェイド様の相手が、私では、申し訳ないと…
ジスレーヌ様やローレン伯爵、伯爵夫人に、こんなに良くして頂いて…
気持ちを裏切ったのではないでしょうか…」
ミシェルはわたしに、申し訳なさそうに話した。
「あなたが申し訳なく思う事はないわ、ミシェル。
あんな事があって、そこに付け込んだのはお兄様の方よ。
もし、あなたが兄を愛せないなら、断るのに手を貸します。
わたしは、あなたにも兄にも、幸せになって貰いたいから___」
ミシェルは小さく頭を振った。
「私…ジェイド様の事が、好きです…
愛は、まだよく分かりませんが…
それでも、ジェイド様と一緒に居たいんです…駄目でしょうか?」
ミシェルからその言葉を聞き、わたしは二人に協力しようと誓った。
「駄目じゃないわ、兄の事を好きになってくれてうれしいわ、ありがとう」
兄も勿論、ミシェルが一時の気の迷いではないか、流されていないか心配した様で、
一年は婚約し、お互いの気持ちを深めたいと言っていた。
婚約という形を取る事で、兄はミシェルに責任を持ち、両親にも誠意を見せたい様だ。
兄はミシェルと共に、ラフィット伯爵家に行き、彼女の両親から許可を得て帰って来た。
兄の話では、ミシェルの両親は、急な事にも喜び、快諾してくれたとの事だった。
ミシェルを助けた事で、兄は両親から気に入られていたのだ。
それに、兄と結婚すれば、ミシェルは行く行くは伯爵夫人なので、
結婚相手として、何も不足は無かった。
その後、兄は週末になると、ラフィット伯爵家に行き、ミシェルと過ごす様になった。
兄は恋をする男性の如く、ウキウキと足取りも軽く、出掛けている。
あんな兄を見たのは、初めてだ。
そして、一月後、二人は晴れて婚約を結んだ。
一度目の時、兄とミシェルは、出会っていない。
兄は独り身で、相手を見つけられずにいた。
ミシェルは子を身籠り、愛してもいない男性と結婚した。
二人の道は、完全に違っていたのだ。
それが、出会った途端に、恋に落ちるなど…
もしかしたら、運命の相手だったのではないか?
そんな風にも考えられ、わたしは感慨深く、指輪の交換をし、キスをする二人を眺めた。
兄とミシェルの事が落ち着いた頃、わたしに縁談の打診が来た。
父と母に書斎に呼ばれ、それを告げられた。
「ジスレーヌ、おまえに結婚の申し込みが来た!
お相手は、デュラン侯爵子息、リアム様だ___」
父と母の目は期待に輝いていた。
だが、わたしはというと、目の前が真っ暗になった気がした___
44
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい
海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。
その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。
赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。
だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。
私のHPは限界です!!
なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。
しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ!
でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!!
そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ
だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような?
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います!
この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m
【完結】前世を思い出したら価値観も運命も変わりました
暁山 からす
恋愛
完結しました。
読んでいただいてありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーー
公爵令嬢のマリッサにはピートという婚約者がいた。
マリッサは自身の容姿に自信がなくて、美男子であるピートに引目を感じてピートの言うことはなんでも受け入れてきた。
そして学園卒業間近になったある日、マリッサの親友の男爵令嬢アンナがピートの子供を宿したのでマリッサと結婚後にアンナを第二夫人に迎えるように言ってきて‥‥。
今までのマリッサならば、そんな馬鹿げた話も受け入れただろうけど、前世を思したマリッサは‥‥?
ーーーーーーーーーーーー
設定はゆるいです
ヨーロッパ風ファンタジーぽい世界
完結まで毎日更新
全13話
逆行した公爵令嬢!2度目の人生は絶対に失敗しないことを誓う
Karamimi
恋愛
婚約者で第二王子のユーグラテスの策略で、家族は国家反逆罪で捕まり、自身も投獄されてしまった公爵令嬢のミシェル。
地下牢で泣き崩れるミシェルの元に現れたのは、いつも喧嘩ばかりしている幼馴染の公爵令息、レオだった。
レオは何とか看守の目を盗み脱獄に成功。2人で逃げる途中、第二王子に見つかり、レオは切り付けられ瀕死の状態に。
「レオ、お願い、死なないで!」
「ミシェル、お前だけでも…逃げろ…」
「イヤーーーー」
泣き叫ぶミシェルに、無情にも第二王子の魔の手が…
「大丈夫だ。お前もすぐに後を追わせてやる」
死を覚悟し、目を閉じた瞬間、意識を失った。
次に目が覚めたのは、なんと公爵家の自分の部屋。さらに8歳の姿に戻っていたのだ。
どうやら逆行したことを理解したミシェルは、大切な家族を守る為、そして命を懸けて自分を守ってくれた大切な幼馴染、レオを死なせない為に、2度目の人生は絶対に失敗しないと誓った。
1度目の失敗を生かし、必死で努力するミシェル。そんなミシェルに第二王子と幼馴染は…
物心ついた頃からずっとミシェルだけを思い続けて来た幼馴染レオと、異常なまでの執着を見せる第二王子ユーグラテスに翻弄される公爵令嬢ミシェルのお話です。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
残念な婚約者~侯爵令嬢の嘆き~
cyaru
恋愛
女の子が皆夢見る王子様‥‥でもね?実際王子の婚約者なんてやってられないよ?
幼い日に決められてしまった第三王子との婚約にうんざりする侯爵令嬢のオーロラ。
嫌われるのも一つの手。だけど、好きの反対は無関心。
そうだ!王子に存在を忘れてもらおう!
ですがその第三王子、実は・・・。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※頑張って更新します。目標は8月25日完結目指して頑張ります。
【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-
七瀬菜々
恋愛
ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。
両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。
もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。
ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。
---愛されていないわけじゃない。
アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。
しかし、その願いが届くことはなかった。
アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。
かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。
アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。
ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。
アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。
結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。
望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………?
※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。
※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。
※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる