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プロローグ
靄
しおりを挟む幼い頃、北の塔には行ってはいけないと言われていた。
北の塔は古く、危険だからと。
夜になると魔物が出るのだと。
8歳のわたしは、その話から、北の塔を酷く恐れていた。
だが、7歳の弟は違っていた。
二人のお気に入りの庭で駆けっこをしている時、ブルーベリーを摘んでいる時、
ピクニックごっこをしている時…
ふと、気付くと、弟は遠くに見える北の塔を見つめていた。
蔦の巻き付く古びた塔に、一体、どんな魅力があるというのか…
尚も、見つめ続ける弟に、わたしは不安を覚えた。
弟が何処かへ行ってしまう気がした。
わたしは、弟の手を掴んだ。
「クリス、かえって、お菓子を食べましょう」
弟はわたしを振り返り、「うん!」と、可愛らしい笑顔を見せた。
あの塔は何だったのか…
取り壊された今となっては、もう、分からない
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