彼女の周りは敵だらけなので無意味と思われた固有スキルを使い殺していく

絵樹瑠

文字の大きさ
上 下
6 / 8

殺意

しおりを挟む
(っつ!?やばい、リリィの感情がどんどん暗く、いや、なくなっていってる!)

 そのころレイは森の中でそのことを感じ取っていた。自分がそばにいないことを悔しいと思った。それに途中から何故か運悪く魔物が強く、多くなっていた。

(あいつらが放っているのか?)

 レイは一つの可能性が思いついた。最近森の様子がおかしかったのはこの事が原因でないのかと。自分達の隠れ家がばれないように。

(魔物が思念転送での威圧に対して怯えなくなってきている!)

 洗脳のせいかどうかわからないが、この事にレイはイラついた。だからか意図的に我慢していた感情のストッパーを解除した。それと同時にレイの周りの空間が少し歪んだ。

「邪魔するなら死ね」

 感情のたがが外れた殺意をリリィのいる少し前までの範囲でぶつけた。圧倒的な殺意を直接受け取った魔物達は恐怖で発狂し、その命の終わりを迎えた。何故かわからないが草も木もすべてが枯れていた。

「植物にも有効なのか?いや、そんなことどうでもいい。これで真っ直ぐ進める」

 レイは身体強化で極限まで枯れた木々をを無視して真っ直ぐ疾走した。枯れた木々はあまり抵抗がなく壊れていくのでこうしたほうがはやく着きそうだったからだ。それから一分足らずでリリィの反応がある一階建ての一軒家についた。

(こんなところに一軒家何てあったのか?)

 レイは疑問を持ったが構わず近づいた。扉の前で止まり、念のため思念転送で中にいる人数を数えた。ついでに襲いかかって来ないように少し威圧をかけながら。

(人数は10人ほどか……)

 人数の確認が終わったので扉を開けた。

 ガチャリ……

 扉を開くと一人の若い男がたっていた。

「ちっ、なんだよビビって損したぜ。こんな時になんのようだガキ!まさかお前一人でこいつを助けにきたとか言うんじゃねえだろうな?」

 子供と侮ったのかそんなことをいい始めた。レイは話や周りの笑い声を無視して男が指差したほうを見た。そこには縄で手足を縛られたリリィがいた。とりあえず肉体的な傷は見当たらないので少し安心したレイだった。

「物語の王子様の真似事かぁ?力のねえガキが一体何ができんだぁ!」

「すくなとも丸く太ったあんたよりは動けるよ」

「なっ!?」

 レイは挑発的に言った。普段は人にこんな言葉遣いはしない。そして今の彼には余裕がなかった。こうやって口に出してすこしでもイラつきを押さえなければ殺してしまうからだ。リリィは人が傷付くことを嫌っていたので、彼女の前で死体を見せたくないからだ。

「ちょっと待て、何故ここがわかった?」

(……このリーダーみたいなのは少しは頭がまわるみたいだな)
 
 レイは質問してきた男にたいしてそう思った。

「別にそんなことはどうでもいいだろう」

「……まあ確かにどうでもいいな。お前がここに来たのだから捕まえればいいだけのはずだ。あとで吐かせるのもいいな」

 リーダーらしき男は剣を抜きながらレイに向かって近づいてきた。周りの男も武器を構え始めた。

「大人しく捕まれ。そうすれば殺しはしない」

「なぜ捕まらなければいけない?俺は拐われたそいつを助けにきただけだ」

「やはり聞かんか。まあお前からしてみればそうだろう。だがそう簡単に助けられるものか。丸腰で何ができる?」

 レイは無言で思念転送と怨者を発動しようとした。もうこれ以上会話は必要ないと。だがその前に太った男が言った。

「リーダー!こいつを助けに来たんならこいつを人質にすればいいんじゃないでしょうか?」

(!?)

 レイの動きが止まった。

「おいガキ!大人しくいうこと聞かねえとこいつに傷つけるぞ!」

「……そいつにてを出すな。今なら見逃してやる」

 レイは警告した。それ以上リリィが傷つくのが嫌だったからだ。それに自分を抑さえられる自信がなかった。あの固有スキルを使ってしまう。しかし男はそれを挑発とみなした。

「っ、立場がわかってねえみたいだなぁ!」

 男はリリィを殴ろうとした。それがダメだった。レイの逆鱗に触れた。無意識に思念転送をリリィ以外に発動した。もちろん気絶をしなく、その場から動けなる程度まで抑えて。もう男達は助からない。自分の手で残虐の限りを尽くすと決めた。もう一つの固有スキルを発動する。


(リンク……発動……対象者は、リリィ……)


 吸血鬼の、リリィの、スキル、魔法がつながる。リンクしたことによりステータスプレートが一部リンクされたのだ。これで残虐する手段が手に入った。愚かな男達に惨たらしい死を。

「……とりあえずそいつに傷をつけようとしたってことは、死ぬ覚悟はできてんだろうな」

 レイの目が青色から赤に変わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限の成長 ~虐げられし少年、貴族を蹴散らし頂点へ~

りおまる
ファンタジー
主人公アレクシスは、異世界の中でも最も冷酷な貴族社会で生まれた平民の少年。幼少の頃から、力なき者は搾取される世界で虐げられ、貴族たちにとっては単なる「道具」として扱われていた。ある日、彼は突如として『無限成長』という異世界最強のスキルに目覚める。このスキルは、どんなことにも限界なく成長できる能力であり、戦闘、魔法、知識、そして社会的な地位ですらも無限に高めることが可能だった。 貴族に抑圧され、常に見下されていたアレクシスは、この力を使って社会の底辺から抜け出し、支配層である貴族たちを打ち破ることを決意する。そして、無限の成長力で貴族たちを次々と出し抜き、復讐と成り上がりの道を歩む。やがて彼は、貴族社会の頂点に立つ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~

はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。 俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。 ある日の昼休み……高校で事は起こった。 俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。 しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。 ……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!

孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。 そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。 なんでも見通せるという万物を見通す目だった。 目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。 これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!? その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。 魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。 ※他サイトでも連載しています。  大体21:30分ごろに更新してます。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

処理中です...