優子

ゆう

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スタート

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私の高校生活が始まる。

どんな未来が待ってるんだろう。

高校受験を機にこの街に越してきた。

知り合いは一人もいない。

友達作ろう。生涯の友達ができるといいな。

入学式の後、教室に入る。

自分の名前の席を探す。

あった。一番うしろだ。

隣りに女の子がいる。

ビックリした、すごく可愛い子だ。横顔だけしかわからないけど。

でもちょっと変。寂しそう。

一点を見つめてる。気配を消そうとしてるみたいだ。
彼女の事が気になりだした。

仲良くなれないかな?仲良くなりたいな。

勇気を出そう、今日がスタートなんだから。

優子「こんにちわ、私、小川優子よろしくね」

ユウ「...」

こっちは見てくれているのに、返事がない。

聞こえなかったの?

彼女が慌てて両手の人差し指でバッテンを作り口に持って行く。

優子「なんだ、喋れないの?」

彼女、くんっ、とうなづく。

その仕草、メッチャッ可愛い。

小さなホワイトボードを出して素早く何か書いて私に見せてくれた。

自己紹介だった。名前は山名優子。

優子「私と同じだね、字も一緒だよ。」

優子「山名さんの事、ユウって呼んでもいい?」

彼女がまた、くんってうなづいた。

だから、それ可愛いって。

優子「私の事は優子って呼び捨てでいいよ」

(ユウのセリフはホワイトボードに書いたものです)

ユウ「ホントに呼び捨てでいいの?」

優子「ぜんぜんいいよ。」

優子「ユウは私の友達第一号だよ。」

ユウ「友達になってくれるの?」

優子「ユウがやじゃなかったらだけど。」

ユウ「やじゃない。嬉しい。」

ウソん。めっちゃ可愛い。こんな可愛い子見た事ないよ。

優子「ユウは携帯持ってる?」

ユウ「あるよ、メールとLINEしか使えないけど」

優子「LINE教えてよ」

二人で携帯フルフルして登録した。

ユウ「家族以外の名前初めて」

優子「あは、私も」

ユウ「私、障害があるからみんなに避けられてるの。だから友達一人もいなかった。優子が初めての友達だよ」

ユウの大きな瞳から涙が溢れた。

私、キュンってしちゃった。

ユウは身長はちょっと小さいかな、150センチくらい。可愛い。

髪は長くて後ろで、括ってる。ポニーが似合うのにな。可愛いはず。

お目々ぱっちりで、カラコン入れてないのに瞳が綺麗なの。
よくわかんないけど、可愛いのにちょっと寂しそう。

ユウとLINEで会話することにだんだん慣れてきて楽しい。

私とユウの家も案外近くて徒歩5分の距離。学校の行き帰りも当然一緒。

休みの日にユウの家に遊びに行った。

ユウには下に妹がいた。まだ小学生。かなりおてんば。お母さんと妹が出迎えてくれた。

お母さんはなぜか、涙ぐんでた。

あとでおてんば妹に理由を教えてもらうんだけどね。

私は家族に大歓迎された。嬉しいけど、遊びに来ただけなんだけどな。

ユウの家に来てわかった事がある。

ユウは家族には手話を使う。家族は普通にユウに話しかけ、ユウは手話で答えてる。

もう普通の会話だった。感動したの。

LINEの会話はタイムラグがある。文字を打つ、文字を読む。普通とは言えないよね。

私、密かに決めた。手話をマスターする。

私が、手話がわかれば、ユウとリアルな会話ができる。きっと楽しいはず。



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