異世界に転移したからモンスターと気ままに暮らします

ねこねこ大好き

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最終章 決着

最終決戦:ガイ、マリア、メデューサVS【神が作りし肉体】三木大輔 決着

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「は!」
 三木大輔は掛け声とともにガイの袖と襟を掴むと、背負い投げでバシンとガイの背中を地面に叩きつける。

「ぐ!」
 全身が痺れるような感覚。息が吸えない。ガイは苦悶の表情で、倒れたまま、痛みが引くのを待つしかない。

「隙あり!」
 三木大輔がガイに背負い投げをした。その隙を狙い、マリアが三木大輔の背中に飛び蹴りを放つ!

「甘い!」
 ガイは素早く振り向くと、合気道のような技で投げ飛ばす。

「きゃ!」
 マリアはコロコロと地面を転がった。

「本当に強いわね!」
 メデューサは鋭い爪で三木大輔を切り裂く。

 ガリガリ!

 しかし、三木大輔の体は岩よりも硬く、傷一つ付けることもできなかった。

「お前たちは根性あるな」
 三木大輔はそう言って、素早くメデューサの両手を掴み、関節を取った。

「痛い痛い痛いわね! 離しなさいよ!」
「ならサッサと降参しろ」
「嫌よ! 私たちはまだ戦えるわ!」
「強情な奴らだ」
 三木大輔はそう言いながら、後ろから奇襲してきたガイの腕を掴む。
「バレてた!」
「強化されてるからな」
 ギリギリッと腕を捻り上げた。

「いたたたたた!」
「さあ! 降参しないと腕が折れるぞ」
「誰が降参なんかするか!」
「意地っ張りだなお前ら……」
 三木大輔はそうやってガイとメデューサの関節を取りながら、走って来るマリアへ目を移す。

「くらえぇええ!」
 ゴスンとマリアの踵落としが三木大輔の頭頂部に決まった!

「効かねえよ!」
 しかし三木大輔はビクともしなかった。

「さあ! 次はどうするつもりだ」
 三木は堂々とした態度でガイ、マリア、メデューサを見る。

「これはちょっと強すぎるぜ!」
 ガイは強引に三木の腕を振り払おうとするが、手錠をかけられたかのようでビクともしない。
「私たちが弱ってなかったらこんな奴!」
 メデューサは体を振るが、磔にされたかのように動けない。

「この卑怯者! 正々堂々勝負しろ!」
 マリアは負け犬の遠吠えよろしく、遠目から三木を非難した。

「もう勝ち目は無いって分かっただろ。降参しろ。さすがに腕の骨を折りたくない」
 三木はうんざりした様子でため息を吐いた。

「どうする?」
 ガイはマリアとメデューサにアイコンタクトする。
「これは頭を使わないとダメね」
 メデューサは気丈に笑む。

「頭? 頭突き?」
 マリアは大真面目に呟く。

「違うわよ! チームプレイ! 私たちの特殊能力を駆使して戦うの!」
「おお! その手があったか!」
「良い案だ。だが俺たちは一度もチームプレイなんてしたこと無いぞ!」

「その場のノリで動けばいいのよ! 少なくとも、真っ向勝負するより勝ち目はあるわ!」
「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に戦えばいいんだね!」
「良し! なら行き当たりばったりで行こう!」

 ガイは目を瞑り、足に力を貯める。

「ハ!」
 そして、思い切り地面を蹴った。

 ボコン! オークの魔王であるガイはレベル1でも力持ちだ。地面をへこませるくらい簡単である。

「む!」
 三木は足場が不安定になると、バランスを取るため、咄嗟にガイとメデューサの拘束を解いてしまった。

「チ! びっくりして離しちまったぜ」
 三木はへこんだ地面で膝を付く。

「なんでお前は膝を付いたんだ?」
 ガイはふと、三木に聞いた。
 あれほどビクともしなかった三木が膝を付いた。それが不思議だった。

「足元がへこんだらよろめくに決まってるだろ」
 三木は不機嫌そうに言った。

「二人とも聞いたか?」
 ガイはニヤリと笑う。
「聞いた聞いた!」
「つまり足場が弱点なのね」
 マリアとメデューサはニタリと笑う。

「良し! 初めてのチームプレイだ!」
「行こう!」
「楽しくなってきたわ!」
 ガイとメデューサが下がる。

「くらえ! 腐食の魔眼!」
 マリアの目が赤く光る。
 すると三木の周囲が一瞬でジュクジュクの腐った大地になる。

「ふん! 何度も言ってるだろ。魔眼は俺には通用しない」
 三木は嫌そうな顔で足裏に付いた腐食した土を払う。
「深さ一センチも無いね。やっぱり弱ってる」
 ムムッとマリアは唸る。

「心配するな。そのために俺が居る!」
 ガイはジャンプするとそのまま三木に殴り掛かる。

「チ!」
 三木は柔道の構えで迎え撃つ。

 バチンとガイの拳と三木の手のひらがぶつかった。

 ぶつかった。それはつまり、三木がガイの拳を捕まえたことに他ならない!

「チェリャァアアア!」
 三木はガイの拳を掴むと、一本背負いを仕掛けた!

 ズルり!
 しかし、足元が悪かったため、滑ってしまった。

 ドサリ! 二人は腐食した地面に転がる。

「クソ! 足場が悪すぎる!」
 三木は体に付いた腐食した泥を叩き落とす。

「今度は俺たちが有利みたいだな!」
 ガイは腐った泥まみれでも笑う。

「フン! 確かに足場が悪いと技がかけられない。だがそれがどうした? 俺はお前たちから1ダメージも受けないんだ。良くて引き分けだぜ」
「はっはっは! お前みたいな強い奴と引き分けか! 誉れ高いとしか言えないな!」
 ガイは高笑いする。三木は舌打ちする。

「ただまあ、もうお前さんを倒す術は見つかった!」
「なんだと?」
 ガイは三木が動揺した隙に地面を殴る。

 ベコン! 先ほどよりも大きく地面が凹んだ。

「腐食の魔眼!」
 そこに間髪入れず腐食の魔眼が地面を腐らせる!

「底なし沼を作ったのか!」
 三木は三人の狙いに気づく。

 ガイで地面を耕し、マリアが土を腐らせる。
 腐った土は泥よりも柔らかく体を包む。

 ずぶずぶと三木の体が沈み始める。

「石化の魔眼!」
 止めにメデューサが三木の衣服を石にした。

「重い!」
 三木はもがく。しかし石と言う重りに何物も飲み込む底なし沼の前では身動きが取れない。

「ゴボ! ゴボ!」
 三木は底なし沼に沈んだ。

 いくら体を強化しても、いくら力持ちになっても、足場が悪くては力を発揮できない。

 ガイとマリア、メデューサは戦っている最中に気づいた。

「これで一先ず俺たちの勝ちだな」
 ガイは安心した様に尻餅を付く。
「疲れた……」
 マリアもガイの隣でへたり込む。
「でも、疲れたけど楽しかったわね」
 メデューサは荒い息でガイとマリアに笑いかけた。

「そうだな! また戦いてえ!」
「なら助けてあげよ!」
「そうしましょうか! 石化の魔眼! 底なし沼を固める!」
 三人は三木の救出を開始した。

■■■【三村視点】■■■

「底なし沼の作成。まさかこんなに高い知能を持って居たなんて……予測できなかった」
 【神の千里眼】で様子を見ていた三村は、決着を見届けた後、眩暈を覚える。

「三村君! 麻衣が!」
 高木真矢が叫ぶ。

「今度は何だ!」
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