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3巻
3-2
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「上手い具合にまとまってきたな」
煙の雲の上でごろ寝していた朱雀が、キセルを吸いながら言った。
「まとまってる?」
ガイとメデューサが反応した。
「昔はこうやって顔合わせると、言い争いか殴り合いか殺し合いだっただろ」
笑いながらの朱雀の言葉に、ガイが腕組みする。
「確かに、こんな風に皆と話したことはねえな」
メデューサも腕組みして唸る。
「大声出さないのも初めてかも」
二人が神妙な顔をすると、近くで話を聞いていた魔王たちも同様の表情を浮かべた。
「俺たちは基本的に、好き勝手やってたからな」
そう言って、魔王たちが顔を見合わせて頷き合う。
思い出したように、メデューサがガイに話しかけた。
「ごはんの取り合いで、殺し合いになった時もあったわね」
「そう言えば、お前が産んだ卵をつまみ食いして喧嘩になったな」
「あの時は二日くらい殺し合ったわね。カーミラちゃんが止めたからやめたけど」
「そしたら次の日、俺の部下がお前に食われた」
「こっちもつまみ食いしなくちゃ」
「それでまた喧嘩になったな!」
「一週間くらい戦ったわね!」
ガイとメデューサは、笑顔で物騒な昔話をしている。
俺が来る前まで、魔界は雑草も生えない地獄だった。
だから、仲間割れも共食いも日常茶飯事だった。でも今は違う。争う必要はない。
「皆にはもっと仲良くして欲しいんだ」
説明しなくても受け入れてくれるだろうけど、事情くらい話しておかないと気持ちが悪いし、理由を知れば不満を抱かずに済むと思う。
仲良く楽しく。それを心掛けたい。
「昔はごはんが無くて争うこともあったけど、今は違う。だから仲良くして欲しい」
「別に俺たちは、喧嘩するつもりはありませんぜ」
ガイはガハハと、粗野に笑う。
「喧嘩しないのは当然だ。皆には、相手を気遣う心を持って欲しい」
「気遣う?」
魔王たちが首をひねる。
「相手の気持ちを考える。例えば困っている相手を助けるとか」
「助ける……」
魔王たちは難問に出会ったかのように、難しい顔になる。
そこまで考え込む必要はないんだけど……。
皆にとっては考え込まないと理解できないくらい、馴染みのない言葉のようだ。
「相手が何か困ってたら、ちょっと手を貸すだけでもいい」
「でも私たちってバカだから、何に困ってるかなんて分からないわ」
メデューサが呟くと、皆が一斉に頷いた。
「だからこそ、自分が困ったら気軽に、仲間に相談して欲しい」
「相談?」
今度はしかめっ面だ。
魔界は荒れ果て、誰しもが自分のことで精いっぱいだった。だから助け合うことも相談することもできなかった。容易に想像がつく。
「お腹が空いたからごはん分けて、とか。足が痺れたから肩貸して、とか」
「めんどくさいわね」
メデューサが言い、またも皆が頷く。慣れてないから仕方ない。
「本当に面倒だったら助けなくていい。でも、できるだけ助け合って欲しい」
「それだったらまあ……」
納得していない空気だ。分かってもらうには、時間と根気が必要だな。
「朝ごはんでマナーを守るってのは、その練習。相手への気遣い。ちゃんと時間通り席に座るってのも、立派な助け合いなんだよ」
「そうなんですか?」
「現に、俺は助かってるよ」
「そうなんですか!」
ガイが食い気味に詰め寄ってきた。
「皆がマナーを守って、一緒に食べてくれるからね」
「なるほどなるほど! それが気遣いですか!」
納得したようで一斉に頷く。
「ならもっと、麗夜ちゃんと仲良くなりたいわ」
スルッとメデューサが俺に腕を絡めてきた。蛇だから動きが素早い。
「俺と狩りに行きましょうよ。絶対に楽しいですぜ」
ガイがガハハと、俺の肩に手を置いてきた。
「わ、分かったから離れて」
最終的に、俺は皆にもみくちゃにされてしまった。
気遣いを学ぶには、もう少し時間が必要なようだ。
朝食が終わったら夕食まで自由時間。各自、自由に過ごす。
俺はいつも通り、自室で亜人の国との交易と、魔軍の意識改革計画案について考えようと思った。ところが席を立った時、珍しく声を掛けられた。
「麗夜様。やっぱり今日は、俺たちの狩りを見てくだせえ」
ガイが、身の丈ほどの大斧を片手にやって来た。
その後ろにはメデューサなど魔軍幹部たち。なぜか不機嫌そうで鼻息が荒い。
「どうしたの?」
俺が椅子に座り直すと、ティアも同じようにした。
ガイはいつも、朝食が終わると仲間を連れて外に行く。だから今日もてっきり、そうするものだと思っていた。
声を掛けてくれたのは嬉しい。どんどん気軽に話してもらって構わない。
だけど、険しい顔で話しかけられたら別だ。心配になってしまう。
「あいつらが俺たちに、弱いくせに調子乗るなって言ってきたんで。喧嘩する訳にもいかねえから、別の方法で実力を分からせてやろうと」
ガイが、大食堂の扉前でたむろする仏頂面のドラゴン騎士団とワイバーン騎士団を指さした。
「何かあったの?」
俺は椅子から立ち上がって騎士団の方へ行き、ダイ君に事情を聞く。
「事実を言ったまでです。俺たちの方がお前たちよりも麗夜様に相応しいから、麗夜様に馴れ馴れしくするなって」
ええ……。
「突然どうしたの?」
「だってあいつら、昨日も今日も麗夜様にため口ですよ! さっきなんて麗夜様にとんでもない無礼を!」
ダイ君がギリギリッと、ガイたちを睨む。
すると、ダイ君の隣に居たキイちゃんも唇を尖らせる。
「今まで我慢してきましたが、あいつらは頭が悪いです! なのに、麗夜様直属の騎士団である私たちにため口なんて!」
カリカリしてるな。
「麗夜様に寵愛をもらってるからって、調子に乗ってんだ」
エメ君など今にも殴りかかりそうだ。血の気が多いね。
しかし、いったいどうしたのか? 今まで問題なかったのに。
「麗夜に構ってもらえなくて、不貞腐れとるのか?」
食器洗い中のギンちゃんが、騒ぎを聞きつけてやって来た。慌てて来たらしく、エプロンに泡を付けている。
「不貞腐れている訳では……」
もごもごとダイ君たちが口ごもる。
そう言えば、魔王たちと仲良くするのに必死で、ダイ君たちとあまり話していなかった。
「嫉妬しているの」
ティアが腕組みしながらトコトコ歩いてきた。
「ダイ君たちの気持ちは分かる。ティアも、麗夜を取られたら悔しい」
取られるってなんだよ。
「うう……嫉妬という訳では……」
ダイ君たちは図星なのか、たじたじだ。
「せっかく話しかけてやったのによ。文句言われるなんて思わなかったぜ!」
ガイはダイ君の前に来ると、仁王立ちで睨む。
売り言葉に買い言葉で、負けじとダイ君も睨み返した。
「お前たちが失礼なのは事実だ! 麗夜様が許しても、俺たちは許さないぞ」
二人がカッカするので、それにつられて皆も熱くなっている。
このままだと完全に仲違いしてしまう。
「ガイたちはどんな風に話しかけたの?」
一応、詳細を確認しておく。
「普通に、おい、って言っただけですよ」
ガイは貧乏ゆすりしながら憤慨する。
乱暴な言い方だったんだな。人によっては喧嘩腰に感じるかも。
それに、気持ちは分かるけど貧乏ゆすりはダメだ。ダイ君たちがそれでイライラしちゃう。
「事情は分かったけど、どうして狩り勝負なの?」
「喧嘩する訳にはいかねえですから。狩りなら、どっちがつええか分かるってもんですよ」
ガイはガハハと腹の底から笑った。
なかなか難しい……。
白黒つければ、とりあえず騒ぎは収まる。しかしそれだと、どっちが勝ってもしこりが残る。
「どうしようかな……」
喧嘩両成敗とする訳にもいかない。ガイたちは普通に接しただけだから。
悪いのはダイ君たちだ。たとえ口が悪くても、喧嘩を売って良い理由にはならない。
しかしこの騒ぎの原因は、俺の不注意でもある。もうちょっとダイ君たちを気にすれば良かった。
「毎日勝負してみれば良いんじゃねえか」
困っていると、相変わらずプカプカ浮かんでいた朱雀が、助け舟を出してくれた。
「毎日ってどういうこと?」
「今日勝ったら、その日はそいつが偉い。でも次の日負けたら、その日は相手が偉い」
なるほど、それなら不満を引きずらなくて済みそうだ。
お互い引くに引けない感じだから、喧嘩の一つも必要かもしれない。
朱雀の提案は、適度にお互いの不満をぶつけ合える、ガス抜きに思えた。
「朱雀の言う通りにしてみたら?」
文句のつけようのない案だったので、ガイとダイ君に聞いてみる。
「良いぜ。今日も明日も明後日も、永遠に俺たちが勝つんだからな。口だけが達者な騎士なんて目じゃあねえぜ」
「こっちの台詞だ。毎日敬語の勉強をさせてやる」
二人は魔軍幹部と騎士団を引き連れ、お互いに牽制しながら外へ向かった。
「まさか、こんなことになるなんて思わなかった」
皆が居なくなると、俺はついつい愚痴を言ってしまう。
「皆、麗夜が大好きだからねぇ」
そう言いながら、スリスリッとティアが頬ずりしてきた。
「ティアも麗夜が大好き」
「どういうことだよ」
くしゃくしゃとティアの頭を撫でる俺。
「大好きだから良いの」
ティアはへにょへにょっと、赤ちゃんみたいにあどけない顔になる。可愛い。
「俺も大好きだぜ」
すると、どさくさに紛れて朱雀もすり寄ってきた。
「気持ちだけ受け取っておくから離れろ」
俺はこつんと、朱雀の額にデコピンする。
そして、額を押さえる朱雀を無視して、ティアとギンちゃんを誘った。
「心配だし、皆で様子を見に行こう」
「私は皿洗いがあるから遠慮しておく。二人で行ってこい」
ギンちゃんは手をヒラヒラさせて厨房へ戻っていった。
「ティアは一緒に行くよ」
ティアがぎゅうぎゅう抱き付く。
「離れろ。歩きづらいぞ」
「いやぁ~ん。今日はこのままが良い」
俺はティアに抱き付かれたまま、ガイたちのあとを追った。
「それにしても、外に出るのは久々だな」
考えなければならないことが多く、部屋に引きこもっていた。
いい機会だから散歩しよう。緑豊かになった魔界も見てみたいし。
そうして魔界の森に入ったのは良いのだが、異常事態が発生していることに気づいた。
「なんか、木がデカくね?」
木々の全長は五百メートル近い。高層ビルみたいだ。
一月前に見た時は、普通の大きさだったはずなんだけど……。
「てかあれって、カブトムシとセミ?」
木の蜜を吸う虫の大きさが異常だ。人間よりも大きい。
あれに噛みつかれたら、樹液みたいに体液を吸われて一瞬で干からびるぞ。
やがてドッスンドッスンという地鳴りとともに、黒い影が近づいてきた。
見上げてみると百メートルはある巨大な熊だった。ガリガリと木を引っ掻いて樹液を舐めている。
「なぜ……?」
タンポポなどの雑草は、十メートルを超える大きさに成長している。
まるで自分が小さくなったみたいだ。何が起きたの?
「人間に変身したままで良いな?」
「麗夜様は人間の姿で暮らせとおっしゃった。ならば異論などない」
ガイとダイ君たちは、気にした様子も無く勝負を始めようとしていた。
「皆に聞きたいことがあるんだけどいい?」
まるで動じない皆に、俺は声をかけた。
「麗夜様! どのようなご用件で!」
ダイ君が背筋を伸ばして敬礼する。
皆の前だからカッコつけてるな。それよりも、異様な光景に驚くのが先じゃないかな?
「なんかデカくなってない?」
俺は木や熊を指さして尋ねた。
「食べ応えがあります!」
うーん、それは答えになってない。
「麗夜様、どうしたんで?」
ガイが気になったのか、こっちにやって来たので聞いてみる。
「なんか皆、デカくなってね?」
「そうですか? むしろ小さくなってますよ」
ガイは魔王たちを見る。
確かに君たちは人間に変身したから小さくなったけど……違う、そっちじゃない!
「森、デカくなってね? 虫とかも」
「そうですか?」
ガイは森を見渡す。
「昨日と変わりませんよ」
そしてガハハと笑った。
なるほど、君たちは毎日見てるから、木が異常に成長していることに気づかないのか。
でも、こんだけ大きくなってたら、おかしいって思わない?
ドドドドドドドドド!
俺が頭を抱えていると、不意に森の中から土埃がやって来た。
ガリガリガリガリ!
土埃が目の前で止まり、削岩機を作動させたような音が響く。
「いっちばーん!」
中からハクちゃんが現れた。
ハクちゃんが万歳すると、ワンテンポ遅れて再び土埃がやって来た。
再びけたたましい音がして、鼓膜が震える。
「負けた!」
土埃がやむと、マリアちゃんがぷくっと頬っぺたを膨らませていた。
「えへへへへ! またマリアちゃんがケーキ作ってね!」
「ムー。今度はハクちゃんが作ってよー」
「マリアちゃんが勝ったらね」
「ムー! 私だってハクちゃんが作ったケーキ食べたい!」
ハクちゃんは笑顔で、マリアちゃんは膨れっ面。
そう言えば二人は、駆けっこすると言って外に出ていったっけ。
「二人とも服が汚れてるね」
スカートの裾が泥だらけだ。靴はやすりで削ったみたいに傷だらけだ。
ソックスも破けている。もちろんあちこち土埃がついている。
ギンちゃんが見たら怒るな。
「ほんとだ……」
ハクちゃんはスカートの裾を掴むと、泣きそうな顔になった。
お気に入りの服が汚れて、悲しくなってるんだろう。
「皆、何してんの?」
しかし、彼女はすぐに表情を変えて、ガイの足を突いた。
切り替えが早い。好奇心旺盛だから、面白そうなことにはすぐに飛びつく。
「狩り勝負しようとしてんだ」
「狩り勝負!」
ガイの答えを聞いて、パッと目の色を変えた。
「一緒にやってみるか」
「うん!」
ハクちゃんが鼻息荒く頷くと、マリアも目を輝かせる。
「ハクちゃん! また勝負しよ!」
「良いよ! ところで狩りって何?」
俺はズルッとこけてしまった。知らないから興味津々だったのか。
狩りは生き物を殺すことだ。ハクちゃんは意味を知ったらどうするのだろう?
マリアちゃんがクスクス笑うので、ハクちゃんが言う。
「マリアちゃん、私のことバカにしたでしょ」
「してないよ。でもハクちゃんに勝てた」
マリアちゃんが小さい胸を張ると、ハクちゃんはムスッとした。
「負けてないもん! ただ知らなかっただけだもん!」
「怒らないでよ。後でケーキ作ってあげるから」
「アップルパイと桃パイも作って!」
「仕方ないなぁ」
マリアちゃんとハクちゃんは実に楽しそうだ。
「ところで、狩りって何?」
ハクちゃんはすっかり機嫌を直したようだ。無垢な顔で首をひねる。
「あそこに居るカブトムシとか熊とか、どれだけ殺せるかを競争するんだよ」
マリアちゃんが教えると、ハクちゃんは難しい顔をした。
「殺すのは可哀そうだよ」
「そうなの?」
マリアちゃんは不思議そうだ。
魔界育ちのマリアちゃんと、亜人の国で育ったハクちゃんとでは、やはり価値観が違う。
さてさて。どうなるかな。
ハクちゃんが殺生するのは嫌だから、俺はできればやめてもらいたいけど。
「ハクちゃんだって、熊とか豚とか生き物食べてるでしょ」
「うん」
「それって、豚とか熊とかを殺してくれた人が居るから、食べられるんだよ」
マリアちゃん、直球!
「なら狩りは悪いことじゃないね!」
ハクちゃん納得しちゃったよ。
「そうそう! むしろ良いことだよ。自分で食べ物を取るんだから!」
「そっか!」
不思議な会話だ。阿吽の呼吸で分かり合っている。
ハクちゃんは元々が銀狼だから、自然界の掟も受け入れやすいのかもしれないな。
「なら、マリアは俺たちと組め。ハク様はあいつらだ」
ガイが椅子のように大きな肩に、マリアちゃんを乗せた。さすがの巨体だ。
「分かった!」
ハクちゃんは元気よく飛び跳ね、ダイ君のところに行く。
「私も連れてって!」
「ハク様がご一緒なら心強い」
ダイ君は爽やかな笑顔で、ガイと張り合うように、ハクちゃんを肩に乗せる。
「おい」
すると横から、エメ君がダイ君を小突いた。
煙の雲の上でごろ寝していた朱雀が、キセルを吸いながら言った。
「まとまってる?」
ガイとメデューサが反応した。
「昔はこうやって顔合わせると、言い争いか殴り合いか殺し合いだっただろ」
笑いながらの朱雀の言葉に、ガイが腕組みする。
「確かに、こんな風に皆と話したことはねえな」
メデューサも腕組みして唸る。
「大声出さないのも初めてかも」
二人が神妙な顔をすると、近くで話を聞いていた魔王たちも同様の表情を浮かべた。
「俺たちは基本的に、好き勝手やってたからな」
そう言って、魔王たちが顔を見合わせて頷き合う。
思い出したように、メデューサがガイに話しかけた。
「ごはんの取り合いで、殺し合いになった時もあったわね」
「そう言えば、お前が産んだ卵をつまみ食いして喧嘩になったな」
「あの時は二日くらい殺し合ったわね。カーミラちゃんが止めたからやめたけど」
「そしたら次の日、俺の部下がお前に食われた」
「こっちもつまみ食いしなくちゃ」
「それでまた喧嘩になったな!」
「一週間くらい戦ったわね!」
ガイとメデューサは、笑顔で物騒な昔話をしている。
俺が来る前まで、魔界は雑草も生えない地獄だった。
だから、仲間割れも共食いも日常茶飯事だった。でも今は違う。争う必要はない。
「皆にはもっと仲良くして欲しいんだ」
説明しなくても受け入れてくれるだろうけど、事情くらい話しておかないと気持ちが悪いし、理由を知れば不満を抱かずに済むと思う。
仲良く楽しく。それを心掛けたい。
「昔はごはんが無くて争うこともあったけど、今は違う。だから仲良くして欲しい」
「別に俺たちは、喧嘩するつもりはありませんぜ」
ガイはガハハと、粗野に笑う。
「喧嘩しないのは当然だ。皆には、相手を気遣う心を持って欲しい」
「気遣う?」
魔王たちが首をひねる。
「相手の気持ちを考える。例えば困っている相手を助けるとか」
「助ける……」
魔王たちは難問に出会ったかのように、難しい顔になる。
そこまで考え込む必要はないんだけど……。
皆にとっては考え込まないと理解できないくらい、馴染みのない言葉のようだ。
「相手が何か困ってたら、ちょっと手を貸すだけでもいい」
「でも私たちってバカだから、何に困ってるかなんて分からないわ」
メデューサが呟くと、皆が一斉に頷いた。
「だからこそ、自分が困ったら気軽に、仲間に相談して欲しい」
「相談?」
今度はしかめっ面だ。
魔界は荒れ果て、誰しもが自分のことで精いっぱいだった。だから助け合うことも相談することもできなかった。容易に想像がつく。
「お腹が空いたからごはん分けて、とか。足が痺れたから肩貸して、とか」
「めんどくさいわね」
メデューサが言い、またも皆が頷く。慣れてないから仕方ない。
「本当に面倒だったら助けなくていい。でも、できるだけ助け合って欲しい」
「それだったらまあ……」
納得していない空気だ。分かってもらうには、時間と根気が必要だな。
「朝ごはんでマナーを守るってのは、その練習。相手への気遣い。ちゃんと時間通り席に座るってのも、立派な助け合いなんだよ」
「そうなんですか?」
「現に、俺は助かってるよ」
「そうなんですか!」
ガイが食い気味に詰め寄ってきた。
「皆がマナーを守って、一緒に食べてくれるからね」
「なるほどなるほど! それが気遣いですか!」
納得したようで一斉に頷く。
「ならもっと、麗夜ちゃんと仲良くなりたいわ」
スルッとメデューサが俺に腕を絡めてきた。蛇だから動きが素早い。
「俺と狩りに行きましょうよ。絶対に楽しいですぜ」
ガイがガハハと、俺の肩に手を置いてきた。
「わ、分かったから離れて」
最終的に、俺は皆にもみくちゃにされてしまった。
気遣いを学ぶには、もう少し時間が必要なようだ。
朝食が終わったら夕食まで自由時間。各自、自由に過ごす。
俺はいつも通り、自室で亜人の国との交易と、魔軍の意識改革計画案について考えようと思った。ところが席を立った時、珍しく声を掛けられた。
「麗夜様。やっぱり今日は、俺たちの狩りを見てくだせえ」
ガイが、身の丈ほどの大斧を片手にやって来た。
その後ろにはメデューサなど魔軍幹部たち。なぜか不機嫌そうで鼻息が荒い。
「どうしたの?」
俺が椅子に座り直すと、ティアも同じようにした。
ガイはいつも、朝食が終わると仲間を連れて外に行く。だから今日もてっきり、そうするものだと思っていた。
声を掛けてくれたのは嬉しい。どんどん気軽に話してもらって構わない。
だけど、険しい顔で話しかけられたら別だ。心配になってしまう。
「あいつらが俺たちに、弱いくせに調子乗るなって言ってきたんで。喧嘩する訳にもいかねえから、別の方法で実力を分からせてやろうと」
ガイが、大食堂の扉前でたむろする仏頂面のドラゴン騎士団とワイバーン騎士団を指さした。
「何かあったの?」
俺は椅子から立ち上がって騎士団の方へ行き、ダイ君に事情を聞く。
「事実を言ったまでです。俺たちの方がお前たちよりも麗夜様に相応しいから、麗夜様に馴れ馴れしくするなって」
ええ……。
「突然どうしたの?」
「だってあいつら、昨日も今日も麗夜様にため口ですよ! さっきなんて麗夜様にとんでもない無礼を!」
ダイ君がギリギリッと、ガイたちを睨む。
すると、ダイ君の隣に居たキイちゃんも唇を尖らせる。
「今まで我慢してきましたが、あいつらは頭が悪いです! なのに、麗夜様直属の騎士団である私たちにため口なんて!」
カリカリしてるな。
「麗夜様に寵愛をもらってるからって、調子に乗ってんだ」
エメ君など今にも殴りかかりそうだ。血の気が多いね。
しかし、いったいどうしたのか? 今まで問題なかったのに。
「麗夜に構ってもらえなくて、不貞腐れとるのか?」
食器洗い中のギンちゃんが、騒ぎを聞きつけてやって来た。慌てて来たらしく、エプロンに泡を付けている。
「不貞腐れている訳では……」
もごもごとダイ君たちが口ごもる。
そう言えば、魔王たちと仲良くするのに必死で、ダイ君たちとあまり話していなかった。
「嫉妬しているの」
ティアが腕組みしながらトコトコ歩いてきた。
「ダイ君たちの気持ちは分かる。ティアも、麗夜を取られたら悔しい」
取られるってなんだよ。
「うう……嫉妬という訳では……」
ダイ君たちは図星なのか、たじたじだ。
「せっかく話しかけてやったのによ。文句言われるなんて思わなかったぜ!」
ガイはダイ君の前に来ると、仁王立ちで睨む。
売り言葉に買い言葉で、負けじとダイ君も睨み返した。
「お前たちが失礼なのは事実だ! 麗夜様が許しても、俺たちは許さないぞ」
二人がカッカするので、それにつられて皆も熱くなっている。
このままだと完全に仲違いしてしまう。
「ガイたちはどんな風に話しかけたの?」
一応、詳細を確認しておく。
「普通に、おい、って言っただけですよ」
ガイは貧乏ゆすりしながら憤慨する。
乱暴な言い方だったんだな。人によっては喧嘩腰に感じるかも。
それに、気持ちは分かるけど貧乏ゆすりはダメだ。ダイ君たちがそれでイライラしちゃう。
「事情は分かったけど、どうして狩り勝負なの?」
「喧嘩する訳にはいかねえですから。狩りなら、どっちがつええか分かるってもんですよ」
ガイはガハハと腹の底から笑った。
なかなか難しい……。
白黒つければ、とりあえず騒ぎは収まる。しかしそれだと、どっちが勝ってもしこりが残る。
「どうしようかな……」
喧嘩両成敗とする訳にもいかない。ガイたちは普通に接しただけだから。
悪いのはダイ君たちだ。たとえ口が悪くても、喧嘩を売って良い理由にはならない。
しかしこの騒ぎの原因は、俺の不注意でもある。もうちょっとダイ君たちを気にすれば良かった。
「毎日勝負してみれば良いんじゃねえか」
困っていると、相変わらずプカプカ浮かんでいた朱雀が、助け舟を出してくれた。
「毎日ってどういうこと?」
「今日勝ったら、その日はそいつが偉い。でも次の日負けたら、その日は相手が偉い」
なるほど、それなら不満を引きずらなくて済みそうだ。
お互い引くに引けない感じだから、喧嘩の一つも必要かもしれない。
朱雀の提案は、適度にお互いの不満をぶつけ合える、ガス抜きに思えた。
「朱雀の言う通りにしてみたら?」
文句のつけようのない案だったので、ガイとダイ君に聞いてみる。
「良いぜ。今日も明日も明後日も、永遠に俺たちが勝つんだからな。口だけが達者な騎士なんて目じゃあねえぜ」
「こっちの台詞だ。毎日敬語の勉強をさせてやる」
二人は魔軍幹部と騎士団を引き連れ、お互いに牽制しながら外へ向かった。
「まさか、こんなことになるなんて思わなかった」
皆が居なくなると、俺はついつい愚痴を言ってしまう。
「皆、麗夜が大好きだからねぇ」
そう言いながら、スリスリッとティアが頬ずりしてきた。
「ティアも麗夜が大好き」
「どういうことだよ」
くしゃくしゃとティアの頭を撫でる俺。
「大好きだから良いの」
ティアはへにょへにょっと、赤ちゃんみたいにあどけない顔になる。可愛い。
「俺も大好きだぜ」
すると、どさくさに紛れて朱雀もすり寄ってきた。
「気持ちだけ受け取っておくから離れろ」
俺はこつんと、朱雀の額にデコピンする。
そして、額を押さえる朱雀を無視して、ティアとギンちゃんを誘った。
「心配だし、皆で様子を見に行こう」
「私は皿洗いがあるから遠慮しておく。二人で行ってこい」
ギンちゃんは手をヒラヒラさせて厨房へ戻っていった。
「ティアは一緒に行くよ」
ティアがぎゅうぎゅう抱き付く。
「離れろ。歩きづらいぞ」
「いやぁ~ん。今日はこのままが良い」
俺はティアに抱き付かれたまま、ガイたちのあとを追った。
「それにしても、外に出るのは久々だな」
考えなければならないことが多く、部屋に引きこもっていた。
いい機会だから散歩しよう。緑豊かになった魔界も見てみたいし。
そうして魔界の森に入ったのは良いのだが、異常事態が発生していることに気づいた。
「なんか、木がデカくね?」
木々の全長は五百メートル近い。高層ビルみたいだ。
一月前に見た時は、普通の大きさだったはずなんだけど……。
「てかあれって、カブトムシとセミ?」
木の蜜を吸う虫の大きさが異常だ。人間よりも大きい。
あれに噛みつかれたら、樹液みたいに体液を吸われて一瞬で干からびるぞ。
やがてドッスンドッスンという地鳴りとともに、黒い影が近づいてきた。
見上げてみると百メートルはある巨大な熊だった。ガリガリと木を引っ掻いて樹液を舐めている。
「なぜ……?」
タンポポなどの雑草は、十メートルを超える大きさに成長している。
まるで自分が小さくなったみたいだ。何が起きたの?
「人間に変身したままで良いな?」
「麗夜様は人間の姿で暮らせとおっしゃった。ならば異論などない」
ガイとダイ君たちは、気にした様子も無く勝負を始めようとしていた。
「皆に聞きたいことがあるんだけどいい?」
まるで動じない皆に、俺は声をかけた。
「麗夜様! どのようなご用件で!」
ダイ君が背筋を伸ばして敬礼する。
皆の前だからカッコつけてるな。それよりも、異様な光景に驚くのが先じゃないかな?
「なんかデカくなってない?」
俺は木や熊を指さして尋ねた。
「食べ応えがあります!」
うーん、それは答えになってない。
「麗夜様、どうしたんで?」
ガイが気になったのか、こっちにやって来たので聞いてみる。
「なんか皆、デカくなってね?」
「そうですか? むしろ小さくなってますよ」
ガイは魔王たちを見る。
確かに君たちは人間に変身したから小さくなったけど……違う、そっちじゃない!
「森、デカくなってね? 虫とかも」
「そうですか?」
ガイは森を見渡す。
「昨日と変わりませんよ」
そしてガハハと笑った。
なるほど、君たちは毎日見てるから、木が異常に成長していることに気づかないのか。
でも、こんだけ大きくなってたら、おかしいって思わない?
ドドドドドドドドド!
俺が頭を抱えていると、不意に森の中から土埃がやって来た。
ガリガリガリガリ!
土埃が目の前で止まり、削岩機を作動させたような音が響く。
「いっちばーん!」
中からハクちゃんが現れた。
ハクちゃんが万歳すると、ワンテンポ遅れて再び土埃がやって来た。
再びけたたましい音がして、鼓膜が震える。
「負けた!」
土埃がやむと、マリアちゃんがぷくっと頬っぺたを膨らませていた。
「えへへへへ! またマリアちゃんがケーキ作ってね!」
「ムー。今度はハクちゃんが作ってよー」
「マリアちゃんが勝ったらね」
「ムー! 私だってハクちゃんが作ったケーキ食べたい!」
ハクちゃんは笑顔で、マリアちゃんは膨れっ面。
そう言えば二人は、駆けっこすると言って外に出ていったっけ。
「二人とも服が汚れてるね」
スカートの裾が泥だらけだ。靴はやすりで削ったみたいに傷だらけだ。
ソックスも破けている。もちろんあちこち土埃がついている。
ギンちゃんが見たら怒るな。
「ほんとだ……」
ハクちゃんはスカートの裾を掴むと、泣きそうな顔になった。
お気に入りの服が汚れて、悲しくなってるんだろう。
「皆、何してんの?」
しかし、彼女はすぐに表情を変えて、ガイの足を突いた。
切り替えが早い。好奇心旺盛だから、面白そうなことにはすぐに飛びつく。
「狩り勝負しようとしてんだ」
「狩り勝負!」
ガイの答えを聞いて、パッと目の色を変えた。
「一緒にやってみるか」
「うん!」
ハクちゃんが鼻息荒く頷くと、マリアも目を輝かせる。
「ハクちゃん! また勝負しよ!」
「良いよ! ところで狩りって何?」
俺はズルッとこけてしまった。知らないから興味津々だったのか。
狩りは生き物を殺すことだ。ハクちゃんは意味を知ったらどうするのだろう?
マリアちゃんがクスクス笑うので、ハクちゃんが言う。
「マリアちゃん、私のことバカにしたでしょ」
「してないよ。でもハクちゃんに勝てた」
マリアちゃんが小さい胸を張ると、ハクちゃんはムスッとした。
「負けてないもん! ただ知らなかっただけだもん!」
「怒らないでよ。後でケーキ作ってあげるから」
「アップルパイと桃パイも作って!」
「仕方ないなぁ」
マリアちゃんとハクちゃんは実に楽しそうだ。
「ところで、狩りって何?」
ハクちゃんはすっかり機嫌を直したようだ。無垢な顔で首をひねる。
「あそこに居るカブトムシとか熊とか、どれだけ殺せるかを競争するんだよ」
マリアちゃんが教えると、ハクちゃんは難しい顔をした。
「殺すのは可哀そうだよ」
「そうなの?」
マリアちゃんは不思議そうだ。
魔界育ちのマリアちゃんと、亜人の国で育ったハクちゃんとでは、やはり価値観が違う。
さてさて。どうなるかな。
ハクちゃんが殺生するのは嫌だから、俺はできればやめてもらいたいけど。
「ハクちゃんだって、熊とか豚とか生き物食べてるでしょ」
「うん」
「それって、豚とか熊とかを殺してくれた人が居るから、食べられるんだよ」
マリアちゃん、直球!
「なら狩りは悪いことじゃないね!」
ハクちゃん納得しちゃったよ。
「そうそう! むしろ良いことだよ。自分で食べ物を取るんだから!」
「そっか!」
不思議な会話だ。阿吽の呼吸で分かり合っている。
ハクちゃんは元々が銀狼だから、自然界の掟も受け入れやすいのかもしれないな。
「なら、マリアは俺たちと組め。ハク様はあいつらだ」
ガイが椅子のように大きな肩に、マリアちゃんを乗せた。さすがの巨体だ。
「分かった!」
ハクちゃんは元気よく飛び跳ね、ダイ君のところに行く。
「私も連れてって!」
「ハク様がご一緒なら心強い」
ダイ君は爽やかな笑顔で、ガイと張り合うように、ハクちゃんを肩に乗せる。
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