38 / 83
3巻
3-2
しおりを挟む
「上手い具合にまとまってきたな」
煙の雲の上でごろ寝していた朱雀が、キセルを吸いながら言った。
「まとまってる?」
ガイとメデューサが反応した。
「昔はこうやって顔合わせると、言い争いか殴り合いか殺し合いだっただろ」
笑いながらの朱雀の言葉に、ガイが腕組みする。
「確かに、こんな風に皆と話したことはねえな」
メデューサも腕組みして唸る。
「大声出さないのも初めてかも」
二人が神妙な顔をすると、近くで話を聞いていた魔王たちも同様の表情を浮かべた。
「俺たちは基本的に、好き勝手やってたからな」
そう言って、魔王たちが顔を見合わせて頷き合う。
思い出したように、メデューサがガイに話しかけた。
「ごはんの取り合いで、殺し合いになった時もあったわね」
「そう言えば、お前が産んだ卵をつまみ食いして喧嘩になったな」
「あの時は二日くらい殺し合ったわね。カーミラちゃんが止めたからやめたけど」
「そしたら次の日、俺の部下がお前に食われた」
「こっちもつまみ食いしなくちゃ」
「それでまた喧嘩になったな!」
「一週間くらい戦ったわね!」
ガイとメデューサは、笑顔で物騒な昔話をしている。
俺が来る前まで、魔界は雑草も生えない地獄だった。
だから、仲間割れも共食いも日常茶飯事だった。でも今は違う。争う必要はない。
「皆にはもっと仲良くして欲しいんだ」
説明しなくても受け入れてくれるだろうけど、事情くらい話しておかないと気持ちが悪いし、理由を知れば不満を抱かずに済むと思う。
仲良く楽しく。それを心掛けたい。
「昔はごはんが無くて争うこともあったけど、今は違う。だから仲良くして欲しい」
「別に俺たちは、喧嘩するつもりはありませんぜ」
ガイはガハハと、粗野に笑う。
「喧嘩しないのは当然だ。皆には、相手を気遣う心を持って欲しい」
「気遣う?」
魔王たちが首をひねる。
「相手の気持ちを考える。例えば困っている相手を助けるとか」
「助ける……」
魔王たちは難問に出会ったかのように、難しい顔になる。
そこまで考え込む必要はないんだけど……。
皆にとっては考え込まないと理解できないくらい、馴染みのない言葉のようだ。
「相手が何か困ってたら、ちょっと手を貸すだけでもいい」
「でも私たちってバカだから、何に困ってるかなんて分からないわ」
メデューサが呟くと、皆が一斉に頷いた。
「だからこそ、自分が困ったら気軽に、仲間に相談して欲しい」
「相談?」
今度はしかめっ面だ。
魔界は荒れ果て、誰しもが自分のことで精いっぱいだった。だから助け合うことも相談することもできなかった。容易に想像がつく。
「お腹が空いたからごはん分けて、とか。足が痺れたから肩貸して、とか」
「めんどくさいわね」
メデューサが言い、またも皆が頷く。慣れてないから仕方ない。
「本当に面倒だったら助けなくていい。でも、できるだけ助け合って欲しい」
「それだったらまあ……」
納得していない空気だ。分かってもらうには、時間と根気が必要だな。
「朝ごはんでマナーを守るってのは、その練習。相手への気遣い。ちゃんと時間通り席に座るってのも、立派な助け合いなんだよ」
「そうなんですか?」
「現に、俺は助かってるよ」
「そうなんですか!」
ガイが食い気味に詰め寄ってきた。
「皆がマナーを守って、一緒に食べてくれるからね」
「なるほどなるほど! それが気遣いですか!」
納得したようで一斉に頷く。
「ならもっと、麗夜ちゃんと仲良くなりたいわ」
スルッとメデューサが俺に腕を絡めてきた。蛇だから動きが素早い。
「俺と狩りに行きましょうよ。絶対に楽しいですぜ」
ガイがガハハと、俺の肩に手を置いてきた。
「わ、分かったから離れて」
最終的に、俺は皆にもみくちゃにされてしまった。
気遣いを学ぶには、もう少し時間が必要なようだ。
朝食が終わったら夕食まで自由時間。各自、自由に過ごす。
俺はいつも通り、自室で亜人の国との交易と、魔軍の意識改革計画案について考えようと思った。ところが席を立った時、珍しく声を掛けられた。
「麗夜様。やっぱり今日は、俺たちの狩りを見てくだせえ」
ガイが、身の丈ほどの大斧を片手にやって来た。
その後ろにはメデューサなど魔軍幹部たち。なぜか不機嫌そうで鼻息が荒い。
「どうしたの?」
俺が椅子に座り直すと、ティアも同じようにした。
ガイはいつも、朝食が終わると仲間を連れて外に行く。だから今日もてっきり、そうするものだと思っていた。
声を掛けてくれたのは嬉しい。どんどん気軽に話してもらって構わない。
だけど、険しい顔で話しかけられたら別だ。心配になってしまう。
「あいつらが俺たちに、弱いくせに調子乗るなって言ってきたんで。喧嘩する訳にもいかねえから、別の方法で実力を分からせてやろうと」
ガイが、大食堂の扉前でたむろする仏頂面のドラゴン騎士団とワイバーン騎士団を指さした。
「何かあったの?」
俺は椅子から立ち上がって騎士団の方へ行き、ダイ君に事情を聞く。
「事実を言ったまでです。俺たちの方がお前たちよりも麗夜様に相応しいから、麗夜様に馴れ馴れしくするなって」
ええ……。
「突然どうしたの?」
「だってあいつら、昨日も今日も麗夜様にため口ですよ! さっきなんて麗夜様にとんでもない無礼を!」
ダイ君がギリギリッと、ガイたちを睨む。
すると、ダイ君の隣に居たキイちゃんも唇を尖らせる。
「今まで我慢してきましたが、あいつらは頭が悪いです! なのに、麗夜様直属の騎士団である私たちにため口なんて!」
カリカリしてるな。
「麗夜様に寵愛をもらってるからって、調子に乗ってんだ」
エメ君など今にも殴りかかりそうだ。血の気が多いね。
しかし、いったいどうしたのか? 今まで問題なかったのに。
「麗夜に構ってもらえなくて、不貞腐れとるのか?」
食器洗い中のギンちゃんが、騒ぎを聞きつけてやって来た。慌てて来たらしく、エプロンに泡を付けている。
「不貞腐れている訳では……」
もごもごとダイ君たちが口ごもる。
そう言えば、魔王たちと仲良くするのに必死で、ダイ君たちとあまり話していなかった。
「嫉妬しているの」
ティアが腕組みしながらトコトコ歩いてきた。
「ダイ君たちの気持ちは分かる。ティアも、麗夜を取られたら悔しい」
取られるってなんだよ。
「うう……嫉妬という訳では……」
ダイ君たちは図星なのか、たじたじだ。
「せっかく話しかけてやったのによ。文句言われるなんて思わなかったぜ!」
ガイはダイ君の前に来ると、仁王立ちで睨む。
売り言葉に買い言葉で、負けじとダイ君も睨み返した。
「お前たちが失礼なのは事実だ! 麗夜様が許しても、俺たちは許さないぞ」
二人がカッカするので、それにつられて皆も熱くなっている。
このままだと完全に仲違いしてしまう。
「ガイたちはどんな風に話しかけたの?」
一応、詳細を確認しておく。
「普通に、おい、って言っただけですよ」
ガイは貧乏ゆすりしながら憤慨する。
乱暴な言い方だったんだな。人によっては喧嘩腰に感じるかも。
それに、気持ちは分かるけど貧乏ゆすりはダメだ。ダイ君たちがそれでイライラしちゃう。
「事情は分かったけど、どうして狩り勝負なの?」
「喧嘩する訳にはいかねえですから。狩りなら、どっちがつええか分かるってもんですよ」
ガイはガハハと腹の底から笑った。
なかなか難しい……。
白黒つければ、とりあえず騒ぎは収まる。しかしそれだと、どっちが勝ってもしこりが残る。
「どうしようかな……」
喧嘩両成敗とする訳にもいかない。ガイたちは普通に接しただけだから。
悪いのはダイ君たちだ。たとえ口が悪くても、喧嘩を売って良い理由にはならない。
しかしこの騒ぎの原因は、俺の不注意でもある。もうちょっとダイ君たちを気にすれば良かった。
「毎日勝負してみれば良いんじゃねえか」
困っていると、相変わらずプカプカ浮かんでいた朱雀が、助け舟を出してくれた。
「毎日ってどういうこと?」
「今日勝ったら、その日はそいつが偉い。でも次の日負けたら、その日は相手が偉い」
なるほど、それなら不満を引きずらなくて済みそうだ。
お互い引くに引けない感じだから、喧嘩の一つも必要かもしれない。
朱雀の提案は、適度にお互いの不満をぶつけ合える、ガス抜きに思えた。
「朱雀の言う通りにしてみたら?」
文句のつけようのない案だったので、ガイとダイ君に聞いてみる。
「良いぜ。今日も明日も明後日も、永遠に俺たちが勝つんだからな。口だけが達者な騎士なんて目じゃあねえぜ」
「こっちの台詞だ。毎日敬語の勉強をさせてやる」
二人は魔軍幹部と騎士団を引き連れ、お互いに牽制しながら外へ向かった。
「まさか、こんなことになるなんて思わなかった」
皆が居なくなると、俺はついつい愚痴を言ってしまう。
「皆、麗夜が大好きだからねぇ」
そう言いながら、スリスリッとティアが頬ずりしてきた。
「ティアも麗夜が大好き」
「どういうことだよ」
くしゃくしゃとティアの頭を撫でる俺。
「大好きだから良いの」
ティアはへにょへにょっと、赤ちゃんみたいにあどけない顔になる。可愛い。
「俺も大好きだぜ」
すると、どさくさに紛れて朱雀もすり寄ってきた。
「気持ちだけ受け取っておくから離れろ」
俺はこつんと、朱雀の額にデコピンする。
そして、額を押さえる朱雀を無視して、ティアとギンちゃんを誘った。
「心配だし、皆で様子を見に行こう」
「私は皿洗いがあるから遠慮しておく。二人で行ってこい」
ギンちゃんは手をヒラヒラさせて厨房へ戻っていった。
「ティアは一緒に行くよ」
ティアがぎゅうぎゅう抱き付く。
「離れろ。歩きづらいぞ」
「いやぁ~ん。今日はこのままが良い」
俺はティアに抱き付かれたまま、ガイたちのあとを追った。
「それにしても、外に出るのは久々だな」
考えなければならないことが多く、部屋に引きこもっていた。
いい機会だから散歩しよう。緑豊かになった魔界も見てみたいし。
そうして魔界の森に入ったのは良いのだが、異常事態が発生していることに気づいた。
「なんか、木がデカくね?」
木々の全長は五百メートル近い。高層ビルみたいだ。
一月前に見た時は、普通の大きさだったはずなんだけど……。
「てかあれって、カブトムシとセミ?」
木の蜜を吸う虫の大きさが異常だ。人間よりも大きい。
あれに噛みつかれたら、樹液みたいに体液を吸われて一瞬で干からびるぞ。
やがてドッスンドッスンという地鳴りとともに、黒い影が近づいてきた。
見上げてみると百メートルはある巨大な熊だった。ガリガリと木を引っ掻いて樹液を舐めている。
「なぜ……?」
タンポポなどの雑草は、十メートルを超える大きさに成長している。
まるで自分が小さくなったみたいだ。何が起きたの?
「人間に変身したままで良いな?」
「麗夜様は人間の姿で暮らせとおっしゃった。ならば異論などない」
ガイとダイ君たちは、気にした様子も無く勝負を始めようとしていた。
「皆に聞きたいことがあるんだけどいい?」
まるで動じない皆に、俺は声をかけた。
「麗夜様! どのようなご用件で!」
ダイ君が背筋を伸ばして敬礼する。
皆の前だからカッコつけてるな。それよりも、異様な光景に驚くのが先じゃないかな?
「なんかデカくなってない?」
俺は木や熊を指さして尋ねた。
「食べ応えがあります!」
うーん、それは答えになってない。
「麗夜様、どうしたんで?」
ガイが気になったのか、こっちにやって来たので聞いてみる。
「なんか皆、デカくなってね?」
「そうですか? むしろ小さくなってますよ」
ガイは魔王たちを見る。
確かに君たちは人間に変身したから小さくなったけど……違う、そっちじゃない!
「森、デカくなってね? 虫とかも」
「そうですか?」
ガイは森を見渡す。
「昨日と変わりませんよ」
そしてガハハと笑った。
なるほど、君たちは毎日見てるから、木が異常に成長していることに気づかないのか。
でも、こんだけ大きくなってたら、おかしいって思わない?
ドドドドドドドドド!
俺が頭を抱えていると、不意に森の中から土埃がやって来た。
ガリガリガリガリ!
土埃が目の前で止まり、削岩機を作動させたような音が響く。
「いっちばーん!」
中からハクちゃんが現れた。
ハクちゃんが万歳すると、ワンテンポ遅れて再び土埃がやって来た。
再びけたたましい音がして、鼓膜が震える。
「負けた!」
土埃がやむと、マリアちゃんがぷくっと頬っぺたを膨らませていた。
「えへへへへ! またマリアちゃんがケーキ作ってね!」
「ムー。今度はハクちゃんが作ってよー」
「マリアちゃんが勝ったらね」
「ムー! 私だってハクちゃんが作ったケーキ食べたい!」
ハクちゃんは笑顔で、マリアちゃんは膨れっ面。
そう言えば二人は、駆けっこすると言って外に出ていったっけ。
「二人とも服が汚れてるね」
スカートの裾が泥だらけだ。靴はやすりで削ったみたいに傷だらけだ。
ソックスも破けている。もちろんあちこち土埃がついている。
ギンちゃんが見たら怒るな。
「ほんとだ……」
ハクちゃんはスカートの裾を掴むと、泣きそうな顔になった。
お気に入りの服が汚れて、悲しくなってるんだろう。
「皆、何してんの?」
しかし、彼女はすぐに表情を変えて、ガイの足を突いた。
切り替えが早い。好奇心旺盛だから、面白そうなことにはすぐに飛びつく。
「狩り勝負しようとしてんだ」
「狩り勝負!」
ガイの答えを聞いて、パッと目の色を変えた。
「一緒にやってみるか」
「うん!」
ハクちゃんが鼻息荒く頷くと、マリアも目を輝かせる。
「ハクちゃん! また勝負しよ!」
「良いよ! ところで狩りって何?」
俺はズルッとこけてしまった。知らないから興味津々だったのか。
狩りは生き物を殺すことだ。ハクちゃんは意味を知ったらどうするのだろう?
マリアちゃんがクスクス笑うので、ハクちゃんが言う。
「マリアちゃん、私のことバカにしたでしょ」
「してないよ。でもハクちゃんに勝てた」
マリアちゃんが小さい胸を張ると、ハクちゃんはムスッとした。
「負けてないもん! ただ知らなかっただけだもん!」
「怒らないでよ。後でケーキ作ってあげるから」
「アップルパイと桃パイも作って!」
「仕方ないなぁ」
マリアちゃんとハクちゃんは実に楽しそうだ。
「ところで、狩りって何?」
ハクちゃんはすっかり機嫌を直したようだ。無垢な顔で首をひねる。
「あそこに居るカブトムシとか熊とか、どれだけ殺せるかを競争するんだよ」
マリアちゃんが教えると、ハクちゃんは難しい顔をした。
「殺すのは可哀そうだよ」
「そうなの?」
マリアちゃんは不思議そうだ。
魔界育ちのマリアちゃんと、亜人の国で育ったハクちゃんとでは、やはり価値観が違う。
さてさて。どうなるかな。
ハクちゃんが殺生するのは嫌だから、俺はできればやめてもらいたいけど。
「ハクちゃんだって、熊とか豚とか生き物食べてるでしょ」
「うん」
「それって、豚とか熊とかを殺してくれた人が居るから、食べられるんだよ」
マリアちゃん、直球!
「なら狩りは悪いことじゃないね!」
ハクちゃん納得しちゃったよ。
「そうそう! むしろ良いことだよ。自分で食べ物を取るんだから!」
「そっか!」
不思議な会話だ。阿吽の呼吸で分かり合っている。
ハクちゃんは元々が銀狼だから、自然界の掟も受け入れやすいのかもしれないな。
「なら、マリアは俺たちと組め。ハク様はあいつらだ」
ガイが椅子のように大きな肩に、マリアちゃんを乗せた。さすがの巨体だ。
「分かった!」
ハクちゃんは元気よく飛び跳ね、ダイ君のところに行く。
「私も連れてって!」
「ハク様がご一緒なら心強い」
ダイ君は爽やかな笑顔で、ガイと張り合うように、ハクちゃんを肩に乗せる。
「おい」
すると横から、エメ君がダイ君を小突いた。
煙の雲の上でごろ寝していた朱雀が、キセルを吸いながら言った。
「まとまってる?」
ガイとメデューサが反応した。
「昔はこうやって顔合わせると、言い争いか殴り合いか殺し合いだっただろ」
笑いながらの朱雀の言葉に、ガイが腕組みする。
「確かに、こんな風に皆と話したことはねえな」
メデューサも腕組みして唸る。
「大声出さないのも初めてかも」
二人が神妙な顔をすると、近くで話を聞いていた魔王たちも同様の表情を浮かべた。
「俺たちは基本的に、好き勝手やってたからな」
そう言って、魔王たちが顔を見合わせて頷き合う。
思い出したように、メデューサがガイに話しかけた。
「ごはんの取り合いで、殺し合いになった時もあったわね」
「そう言えば、お前が産んだ卵をつまみ食いして喧嘩になったな」
「あの時は二日くらい殺し合ったわね。カーミラちゃんが止めたからやめたけど」
「そしたら次の日、俺の部下がお前に食われた」
「こっちもつまみ食いしなくちゃ」
「それでまた喧嘩になったな!」
「一週間くらい戦ったわね!」
ガイとメデューサは、笑顔で物騒な昔話をしている。
俺が来る前まで、魔界は雑草も生えない地獄だった。
だから、仲間割れも共食いも日常茶飯事だった。でも今は違う。争う必要はない。
「皆にはもっと仲良くして欲しいんだ」
説明しなくても受け入れてくれるだろうけど、事情くらい話しておかないと気持ちが悪いし、理由を知れば不満を抱かずに済むと思う。
仲良く楽しく。それを心掛けたい。
「昔はごはんが無くて争うこともあったけど、今は違う。だから仲良くして欲しい」
「別に俺たちは、喧嘩するつもりはありませんぜ」
ガイはガハハと、粗野に笑う。
「喧嘩しないのは当然だ。皆には、相手を気遣う心を持って欲しい」
「気遣う?」
魔王たちが首をひねる。
「相手の気持ちを考える。例えば困っている相手を助けるとか」
「助ける……」
魔王たちは難問に出会ったかのように、難しい顔になる。
そこまで考え込む必要はないんだけど……。
皆にとっては考え込まないと理解できないくらい、馴染みのない言葉のようだ。
「相手が何か困ってたら、ちょっと手を貸すだけでもいい」
「でも私たちってバカだから、何に困ってるかなんて分からないわ」
メデューサが呟くと、皆が一斉に頷いた。
「だからこそ、自分が困ったら気軽に、仲間に相談して欲しい」
「相談?」
今度はしかめっ面だ。
魔界は荒れ果て、誰しもが自分のことで精いっぱいだった。だから助け合うことも相談することもできなかった。容易に想像がつく。
「お腹が空いたからごはん分けて、とか。足が痺れたから肩貸して、とか」
「めんどくさいわね」
メデューサが言い、またも皆が頷く。慣れてないから仕方ない。
「本当に面倒だったら助けなくていい。でも、できるだけ助け合って欲しい」
「それだったらまあ……」
納得していない空気だ。分かってもらうには、時間と根気が必要だな。
「朝ごはんでマナーを守るってのは、その練習。相手への気遣い。ちゃんと時間通り席に座るってのも、立派な助け合いなんだよ」
「そうなんですか?」
「現に、俺は助かってるよ」
「そうなんですか!」
ガイが食い気味に詰め寄ってきた。
「皆がマナーを守って、一緒に食べてくれるからね」
「なるほどなるほど! それが気遣いですか!」
納得したようで一斉に頷く。
「ならもっと、麗夜ちゃんと仲良くなりたいわ」
スルッとメデューサが俺に腕を絡めてきた。蛇だから動きが素早い。
「俺と狩りに行きましょうよ。絶対に楽しいですぜ」
ガイがガハハと、俺の肩に手を置いてきた。
「わ、分かったから離れて」
最終的に、俺は皆にもみくちゃにされてしまった。
気遣いを学ぶには、もう少し時間が必要なようだ。
朝食が終わったら夕食まで自由時間。各自、自由に過ごす。
俺はいつも通り、自室で亜人の国との交易と、魔軍の意識改革計画案について考えようと思った。ところが席を立った時、珍しく声を掛けられた。
「麗夜様。やっぱり今日は、俺たちの狩りを見てくだせえ」
ガイが、身の丈ほどの大斧を片手にやって来た。
その後ろにはメデューサなど魔軍幹部たち。なぜか不機嫌そうで鼻息が荒い。
「どうしたの?」
俺が椅子に座り直すと、ティアも同じようにした。
ガイはいつも、朝食が終わると仲間を連れて外に行く。だから今日もてっきり、そうするものだと思っていた。
声を掛けてくれたのは嬉しい。どんどん気軽に話してもらって構わない。
だけど、険しい顔で話しかけられたら別だ。心配になってしまう。
「あいつらが俺たちに、弱いくせに調子乗るなって言ってきたんで。喧嘩する訳にもいかねえから、別の方法で実力を分からせてやろうと」
ガイが、大食堂の扉前でたむろする仏頂面のドラゴン騎士団とワイバーン騎士団を指さした。
「何かあったの?」
俺は椅子から立ち上がって騎士団の方へ行き、ダイ君に事情を聞く。
「事実を言ったまでです。俺たちの方がお前たちよりも麗夜様に相応しいから、麗夜様に馴れ馴れしくするなって」
ええ……。
「突然どうしたの?」
「だってあいつら、昨日も今日も麗夜様にため口ですよ! さっきなんて麗夜様にとんでもない無礼を!」
ダイ君がギリギリッと、ガイたちを睨む。
すると、ダイ君の隣に居たキイちゃんも唇を尖らせる。
「今まで我慢してきましたが、あいつらは頭が悪いです! なのに、麗夜様直属の騎士団である私たちにため口なんて!」
カリカリしてるな。
「麗夜様に寵愛をもらってるからって、調子に乗ってんだ」
エメ君など今にも殴りかかりそうだ。血の気が多いね。
しかし、いったいどうしたのか? 今まで問題なかったのに。
「麗夜に構ってもらえなくて、不貞腐れとるのか?」
食器洗い中のギンちゃんが、騒ぎを聞きつけてやって来た。慌てて来たらしく、エプロンに泡を付けている。
「不貞腐れている訳では……」
もごもごとダイ君たちが口ごもる。
そう言えば、魔王たちと仲良くするのに必死で、ダイ君たちとあまり話していなかった。
「嫉妬しているの」
ティアが腕組みしながらトコトコ歩いてきた。
「ダイ君たちの気持ちは分かる。ティアも、麗夜を取られたら悔しい」
取られるってなんだよ。
「うう……嫉妬という訳では……」
ダイ君たちは図星なのか、たじたじだ。
「せっかく話しかけてやったのによ。文句言われるなんて思わなかったぜ!」
ガイはダイ君の前に来ると、仁王立ちで睨む。
売り言葉に買い言葉で、負けじとダイ君も睨み返した。
「お前たちが失礼なのは事実だ! 麗夜様が許しても、俺たちは許さないぞ」
二人がカッカするので、それにつられて皆も熱くなっている。
このままだと完全に仲違いしてしまう。
「ガイたちはどんな風に話しかけたの?」
一応、詳細を確認しておく。
「普通に、おい、って言っただけですよ」
ガイは貧乏ゆすりしながら憤慨する。
乱暴な言い方だったんだな。人によっては喧嘩腰に感じるかも。
それに、気持ちは分かるけど貧乏ゆすりはダメだ。ダイ君たちがそれでイライラしちゃう。
「事情は分かったけど、どうして狩り勝負なの?」
「喧嘩する訳にはいかねえですから。狩りなら、どっちがつええか分かるってもんですよ」
ガイはガハハと腹の底から笑った。
なかなか難しい……。
白黒つければ、とりあえず騒ぎは収まる。しかしそれだと、どっちが勝ってもしこりが残る。
「どうしようかな……」
喧嘩両成敗とする訳にもいかない。ガイたちは普通に接しただけだから。
悪いのはダイ君たちだ。たとえ口が悪くても、喧嘩を売って良い理由にはならない。
しかしこの騒ぎの原因は、俺の不注意でもある。もうちょっとダイ君たちを気にすれば良かった。
「毎日勝負してみれば良いんじゃねえか」
困っていると、相変わらずプカプカ浮かんでいた朱雀が、助け舟を出してくれた。
「毎日ってどういうこと?」
「今日勝ったら、その日はそいつが偉い。でも次の日負けたら、その日は相手が偉い」
なるほど、それなら不満を引きずらなくて済みそうだ。
お互い引くに引けない感じだから、喧嘩の一つも必要かもしれない。
朱雀の提案は、適度にお互いの不満をぶつけ合える、ガス抜きに思えた。
「朱雀の言う通りにしてみたら?」
文句のつけようのない案だったので、ガイとダイ君に聞いてみる。
「良いぜ。今日も明日も明後日も、永遠に俺たちが勝つんだからな。口だけが達者な騎士なんて目じゃあねえぜ」
「こっちの台詞だ。毎日敬語の勉強をさせてやる」
二人は魔軍幹部と騎士団を引き連れ、お互いに牽制しながら外へ向かった。
「まさか、こんなことになるなんて思わなかった」
皆が居なくなると、俺はついつい愚痴を言ってしまう。
「皆、麗夜が大好きだからねぇ」
そう言いながら、スリスリッとティアが頬ずりしてきた。
「ティアも麗夜が大好き」
「どういうことだよ」
くしゃくしゃとティアの頭を撫でる俺。
「大好きだから良いの」
ティアはへにょへにょっと、赤ちゃんみたいにあどけない顔になる。可愛い。
「俺も大好きだぜ」
すると、どさくさに紛れて朱雀もすり寄ってきた。
「気持ちだけ受け取っておくから離れろ」
俺はこつんと、朱雀の額にデコピンする。
そして、額を押さえる朱雀を無視して、ティアとギンちゃんを誘った。
「心配だし、皆で様子を見に行こう」
「私は皿洗いがあるから遠慮しておく。二人で行ってこい」
ギンちゃんは手をヒラヒラさせて厨房へ戻っていった。
「ティアは一緒に行くよ」
ティアがぎゅうぎゅう抱き付く。
「離れろ。歩きづらいぞ」
「いやぁ~ん。今日はこのままが良い」
俺はティアに抱き付かれたまま、ガイたちのあとを追った。
「それにしても、外に出るのは久々だな」
考えなければならないことが多く、部屋に引きこもっていた。
いい機会だから散歩しよう。緑豊かになった魔界も見てみたいし。
そうして魔界の森に入ったのは良いのだが、異常事態が発生していることに気づいた。
「なんか、木がデカくね?」
木々の全長は五百メートル近い。高層ビルみたいだ。
一月前に見た時は、普通の大きさだったはずなんだけど……。
「てかあれって、カブトムシとセミ?」
木の蜜を吸う虫の大きさが異常だ。人間よりも大きい。
あれに噛みつかれたら、樹液みたいに体液を吸われて一瞬で干からびるぞ。
やがてドッスンドッスンという地鳴りとともに、黒い影が近づいてきた。
見上げてみると百メートルはある巨大な熊だった。ガリガリと木を引っ掻いて樹液を舐めている。
「なぜ……?」
タンポポなどの雑草は、十メートルを超える大きさに成長している。
まるで自分が小さくなったみたいだ。何が起きたの?
「人間に変身したままで良いな?」
「麗夜様は人間の姿で暮らせとおっしゃった。ならば異論などない」
ガイとダイ君たちは、気にした様子も無く勝負を始めようとしていた。
「皆に聞きたいことがあるんだけどいい?」
まるで動じない皆に、俺は声をかけた。
「麗夜様! どのようなご用件で!」
ダイ君が背筋を伸ばして敬礼する。
皆の前だからカッコつけてるな。それよりも、異様な光景に驚くのが先じゃないかな?
「なんかデカくなってない?」
俺は木や熊を指さして尋ねた。
「食べ応えがあります!」
うーん、それは答えになってない。
「麗夜様、どうしたんで?」
ガイが気になったのか、こっちにやって来たので聞いてみる。
「なんか皆、デカくなってね?」
「そうですか? むしろ小さくなってますよ」
ガイは魔王たちを見る。
確かに君たちは人間に変身したから小さくなったけど……違う、そっちじゃない!
「森、デカくなってね? 虫とかも」
「そうですか?」
ガイは森を見渡す。
「昨日と変わりませんよ」
そしてガハハと笑った。
なるほど、君たちは毎日見てるから、木が異常に成長していることに気づかないのか。
でも、こんだけ大きくなってたら、おかしいって思わない?
ドドドドドドドドド!
俺が頭を抱えていると、不意に森の中から土埃がやって来た。
ガリガリガリガリ!
土埃が目の前で止まり、削岩機を作動させたような音が響く。
「いっちばーん!」
中からハクちゃんが現れた。
ハクちゃんが万歳すると、ワンテンポ遅れて再び土埃がやって来た。
再びけたたましい音がして、鼓膜が震える。
「負けた!」
土埃がやむと、マリアちゃんがぷくっと頬っぺたを膨らませていた。
「えへへへへ! またマリアちゃんがケーキ作ってね!」
「ムー。今度はハクちゃんが作ってよー」
「マリアちゃんが勝ったらね」
「ムー! 私だってハクちゃんが作ったケーキ食べたい!」
ハクちゃんは笑顔で、マリアちゃんは膨れっ面。
そう言えば二人は、駆けっこすると言って外に出ていったっけ。
「二人とも服が汚れてるね」
スカートの裾が泥だらけだ。靴はやすりで削ったみたいに傷だらけだ。
ソックスも破けている。もちろんあちこち土埃がついている。
ギンちゃんが見たら怒るな。
「ほんとだ……」
ハクちゃんはスカートの裾を掴むと、泣きそうな顔になった。
お気に入りの服が汚れて、悲しくなってるんだろう。
「皆、何してんの?」
しかし、彼女はすぐに表情を変えて、ガイの足を突いた。
切り替えが早い。好奇心旺盛だから、面白そうなことにはすぐに飛びつく。
「狩り勝負しようとしてんだ」
「狩り勝負!」
ガイの答えを聞いて、パッと目の色を変えた。
「一緒にやってみるか」
「うん!」
ハクちゃんが鼻息荒く頷くと、マリアも目を輝かせる。
「ハクちゃん! また勝負しよ!」
「良いよ! ところで狩りって何?」
俺はズルッとこけてしまった。知らないから興味津々だったのか。
狩りは生き物を殺すことだ。ハクちゃんは意味を知ったらどうするのだろう?
マリアちゃんがクスクス笑うので、ハクちゃんが言う。
「マリアちゃん、私のことバカにしたでしょ」
「してないよ。でもハクちゃんに勝てた」
マリアちゃんが小さい胸を張ると、ハクちゃんはムスッとした。
「負けてないもん! ただ知らなかっただけだもん!」
「怒らないでよ。後でケーキ作ってあげるから」
「アップルパイと桃パイも作って!」
「仕方ないなぁ」
マリアちゃんとハクちゃんは実に楽しそうだ。
「ところで、狩りって何?」
ハクちゃんはすっかり機嫌を直したようだ。無垢な顔で首をひねる。
「あそこに居るカブトムシとか熊とか、どれだけ殺せるかを競争するんだよ」
マリアちゃんが教えると、ハクちゃんは難しい顔をした。
「殺すのは可哀そうだよ」
「そうなの?」
マリアちゃんは不思議そうだ。
魔界育ちのマリアちゃんと、亜人の国で育ったハクちゃんとでは、やはり価値観が違う。
さてさて。どうなるかな。
ハクちゃんが殺生するのは嫌だから、俺はできればやめてもらいたいけど。
「ハクちゃんだって、熊とか豚とか生き物食べてるでしょ」
「うん」
「それって、豚とか熊とかを殺してくれた人が居るから、食べられるんだよ」
マリアちゃん、直球!
「なら狩りは悪いことじゃないね!」
ハクちゃん納得しちゃったよ。
「そうそう! むしろ良いことだよ。自分で食べ物を取るんだから!」
「そっか!」
不思議な会話だ。阿吽の呼吸で分かり合っている。
ハクちゃんは元々が銀狼だから、自然界の掟も受け入れやすいのかもしれないな。
「なら、マリアは俺たちと組め。ハク様はあいつらだ」
ガイが椅子のように大きな肩に、マリアちゃんを乗せた。さすがの巨体だ。
「分かった!」
ハクちゃんは元気よく飛び跳ね、ダイ君のところに行く。
「私も連れてって!」
「ハク様がご一緒なら心強い」
ダイ君は爽やかな笑顔で、ガイと張り合うように、ハクちゃんを肩に乗せる。
「おい」
すると横から、エメ君がダイ君を小突いた。
0
お気に入りに追加
7,204
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)
屯神 焔
ファンタジー
魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』
この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。
そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。
それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。
しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。
正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。
そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。
スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。
迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。
父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。
一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。
そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。
毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。
そんなある日。
『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』
「・・・・・・え?」
祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。
「祠が消えた?」
彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。
「ま、いっか。」
この日から、彼の生活は一変する。
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。