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いちばんの友達 裏
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大事な大事な私の友達。
それがせつ。
ずっと、せつだけが味方で居てくれる。
そう信じてた。
愛してくれるママとパパ。
私は二人にそっくりな可愛い娘。
それがいいの?
色々な事を続けるのが苦手で、忘れっぽい。
ママは私のそういうところが好きなんでしょう?
いくつになってもママ、パパって。
バッカみたい。
ママは自分に良く似た、優秀な娘。
パパは妻に良く似た愛嬌のある娘。
そして二人に比べて少し劣っている。
そんな娘が大好きでしょ?
両親がこんなだから、私は癖で周りに好かれるようにと考える。
周りには優しく、悪いことしたらたしなめて、でも、小さいイジワルは仕掛けてみる。
簡単に皆は私を好いた。
外面を良くするだけで簡単ね。
皆に好かれておく方がいい。
備えはあればあるほど良い。
せつとは小学校の三年生で出会った。
転校してきた私に優しくしてくれる。
移動教室の場所を教えてくれたり、授業の進み具合や先生たちのことを教えてくれる。
ただ席が隣だっただけなのに。
せつはたぶん、まだ私をよく知らないのに。
他の人も親切だが、そういうことじゃなくて。
せつは私だから優しいんじゃない。私にも優しいのだ。
私みたいに演技じゃなくて、本当の優しい女の子。
嘘がつけないから、周りには誤解されがちだけど。
私のなりたくてもなれない姿だ。
人は自分にないものを持った人を好きになるらしい。
私はせつを好きになった。
大好きな人には好かれたいと思うのが普通で、私もそう思うのだ。
せつは何をしたら好いてくれるのだろう。
「せつ、お菓子好きなの?」
「うん、私、甘いもの大好きなの。」
「私もだよ。じゃあ、私のあげる。友達だもん。」
喜んでくれると思った。
今まで皆そうだった。
でも、せつは頬を膨らまして怒った。
「だめだよ。泉のでしょ?好きなものを譲っちゃだめ。」
こんなことで怒るなんて。
せつは私を怒ってくれる。
同い年だけど、せつは私のお姉ちゃんみたい。
ううん、姉じゃだめ。
お互いがお互いだけでありたいの。
なんとかせつの隣は私だと周りに思わせて。
やっとせつも私を見てくれるようになった。
友達の一人とかではなく、一番の友達だと認識してくれるようになった。
「このキャラ、泉って言うんだって。おんなじだね。」
「ホントだ。この子あだ名で呼ばれているから気付かなかったよ。」
「いずみん…。いずみん、ずっと友達だよ。」
少し頬を染めて、私にそう言った。
このときからいずみんと呼ばれるようになった。
このときは私を純粋に好いてくれていた。
私もその頃が一番満たされていた。
高校生になった。
もちろん私とせつは同じ学校だ。
田舎だから選択肢は少なかった上、せつがどこを目指すのかせつの母親に聞いていたのだ。
せつとは家族ぐるみで仲がいい。
両親も、私に優しく賢いせつはお眼鏡に敵ったようだった。
「せつは美術部に入るの?」
「うん、絵を描くのが好きだし。」
せつは美術部だった。
部活見学の時図書部に行ってたからてっきり図書部だと思ったのに。
間違えちゃった。
「私も美術部に入ろっかな?兼部もできるらしいし。」
「えー?どうだろう。一度聞いてみるね。」
少し顔をしかめた。
私がそんなに嫌?
なーんて。せつはそういうとこ、分かりやすい。
でもね、せつがホントは私のこと好きなこと、知ってるから。
なんやかんやで私を手放せないこと、知ってるから。
大丈夫なの。
無事美術部にも入れた私は、高校でもせつとニコイチに思われるようになった。
席も近いし、休みの度にせつの方へ行った。
部活のある日は特に幸せだった。
絵を描くときはせつも目をキラキラさせて楽しそうだから。
私は苦手だけど、せつはとっても絵が上手い。
小さいとき描いてくれた私の似顔絵。
大事な大事な宝物。
せつのくれたものは全部大事においている。
プレゼントはもちろん、キャンディの包装も。
大好きだもん。
美術部がある金曜日。
週に一度だけ二人で帰れる日。
私はこの日が一番大好き。
この日だけはせつを独り占めできるから。
他の日もせつと帰りたいけど、欲張りは駄目。
私は図書部があるし、せつは塾がある。
図書部になんて、入らなきゃ良かった。
たまにせつが勉強しに来るから良いけど。
高校、一緒で良かった。
これからもずっと、一緒が良い。
せつがいれば大丈夫。
せつの隣は世界で一番生きやすい。
皆がせつを嫌いになって、せつには私だけにして、いっぱいいっぱい頼ってほしい。
そうなれば良いのに。
せつは変わってしまった。突然にだ。
あるときから泉と呼ぶようになって、週に一度も守られなくなった。
誰にも気付かれないような優しさを発揮する子だったのに、皆がすぐに気付く分かりやすい優しさばかりになってしまった。
そんな風に笑わないでよ。
せつは笑顔が苦手でしょ?
そんなに上手く笑わないで。
せつが気付いちゃった。
私を手放してしまえば自分が救われることを。
私がいてもいなくても、結局変わらないこと。
せつがいなくなってから、二人が私に寄ってくるようになった。
今までもこちらをよく見てきたが、せつがいたから話しかけられはしなかったのだ。
二人は何をするにも着いてくる。
まるで小学校の時の私みたいだ。
気持ち悪い。
これで周りに仲良いと思われたらどうするの?
せつの方を向いてみても、私に興味はなさそうだった。
せつが少しでもこっちを向いていたら私は。
私はこの二人を完全に拒絶することはできなかった。
「いずみん、おはよ」
いずみんいずみんって。何勝手に呼んでるの?
せつだけが呼んでくれていた大事なものなのに。
気色が悪い。
「あれ?いずみんって呼んでたっけ?」
「だって高橋さん、呼んでたじゃん。最近は呼んでないけど。私達イツメンでしょ?だからあだ名の方が良いじゃん」
は?イツメン?
あんたたちが勝手にこっちに来るだけじゃん。
趣味合うねーってそっちが合わせてくるんじゃん。
「ごめん、その呼び方やめてほしい。」
「えー?なんでよー。いずみんらしくなーい」
イライラする。あんたに私らしいを押し付けられたくない。
「ごめん、ちょっと頭痛い。保健室行ってくるね。」
これ以上話していたくなかった。
毎日見ているからすぐ気付いた。
せつはずっと彼を見つめている。
でも、目が合いそうになるとさっとそらして、恋しているみたいで。
私の方は見てくれないのに。
ああ、なんて狂おしい。
一番にしてよ。
私じゃ彼の代わりにならないの?
せつが彼を好きなのはただの承認欲求だよ。
私はあんなやつとは違って本気で認めてあげるのに。
宮野くんをよく観察してみた。
すると目があったため、ニッコリと微笑むとボッと音がなるほど顔を紅くした。
これはいける。
宮野くんに優しくした。
大好きだと顔いっぱいに浮かべて、話しかけるようにした。
毎日一緒に帰るようになって、やっと彼は私に告白した。
そう、これを待ってたの。
そうして私は宮野くんを振った。
宮野くんはもう、せつを好きにはならないよ。
だって宮野くんにはせつの好意に気付けるほどの余裕も、せつを認めてあげるほどの余裕もなくなったから。
「実はね、相談があるの」
「宮野くん、私に告白してくれたの。まさかだよね。もちろん断ったよ。でも、同じクラスだし気まずいじゃない?どうしようかなって。」
これでせつがショックを受ければ良いと思った。
そうしていつか私を頼れば良いのにって。
でも、せつだけは上手くいかない。
バチンと頬を叩かれた。
「あんたなんて、大っ嫌い。」
違う、そうじゃないの。
私はただ、興味を失くしてほしかっただけ。
せつは認めて貰えないって、私だけが認めてあげるって。
ただ、それを知って欲しかっただけなの。
ごめんね、
涙が止まらない。
本気で泣くなんて、はじめてかもしれない。
せつ、嫌いなんて言わないで。
分かってるよ。
でも、言葉にされると辛いの。
せつ、捨てないで。
あなたにだけは捨てられたくないよ。
ずっとずっと、笑顔で優しいクラスメイトを演じてきた。
でも、今日は無理だった。
さすがのクラスメイトたちもいつもと違う私の様子に気付いているようだった。
あの二人も、今日だけは寄ってこない。
遠巻きにこちらを見ているだけだった。
せつの方を見ても、せつも目を腫らして、ボーッとしている。
あんな表情、見たことない。
せつはもう、本気で私と関わりたくないのだろう。
好きな人の幸せは進んで応援するべき。でも、それが私と離れることならば。
このままじゃだめだ。
やっぱりせつとは離れるべきなのか。
涙を拭いていつものような泣き方に変える。
いつもの二人がこちらへ寄ってきた。
「今日はどうしたの?」
「いずみん、大丈夫?」
いつものように戻った私を見て少し安心した様だった。
「いや、なんでもないの。ちょっとせつと揉めちゃっただけ。」
あんたたちの励ましなんか要らない。
この涙も、せつだから泣いているだけ。
「でも、嫌いなんて言ったんでしょ?最低だよね。」
お前に何がわかるんだ。
せつをそんな風に言うんじゃない。
やっぱりせつとは離れたくない。譲っちゃだめだ。
「そんな事言わないで。私のせいだから。」
二人はせつの方に行った。
せつに私に謝るように言っているみたいだ。
なんだ、役にたつじゃない。
やっぱり備えって大事ね。
これでせつは私を捨てられない。
せつは私の方へ来た。
「泉、ごめんね。嫌いなんて言って。」
「ううん、いいの。だって私があんなこと言ったからだよね。」
「本当は泉が友達の中でいちばんだから。」
思ってないんでしょ?
いちばんなんて、嘘でしょ?
「よかったぁ。私も、一番大好き。」
大好き。
ずっとずっと。
愛しているの。
友達の中とかじゃなくて、何より一番大好きなの。
皆になんて好かれたくない。
せつだけいれば良い。
私とせつの二人だけが良いの。
私に愛されちゃって、可哀想にね。
好きなものは譲っちゃだめってあなたが言ったのよ?
でもせつはもう、私にあの下手くそな笑顔を見せてくれない。
きっとせつは私が嫌い。
それがせつ。
ずっと、せつだけが味方で居てくれる。
そう信じてた。
愛してくれるママとパパ。
私は二人にそっくりな可愛い娘。
それがいいの?
色々な事を続けるのが苦手で、忘れっぽい。
ママは私のそういうところが好きなんでしょう?
いくつになってもママ、パパって。
バッカみたい。
ママは自分に良く似た、優秀な娘。
パパは妻に良く似た愛嬌のある娘。
そして二人に比べて少し劣っている。
そんな娘が大好きでしょ?
両親がこんなだから、私は癖で周りに好かれるようにと考える。
周りには優しく、悪いことしたらたしなめて、でも、小さいイジワルは仕掛けてみる。
簡単に皆は私を好いた。
外面を良くするだけで簡単ね。
皆に好かれておく方がいい。
備えはあればあるほど良い。
せつとは小学校の三年生で出会った。
転校してきた私に優しくしてくれる。
移動教室の場所を教えてくれたり、授業の進み具合や先生たちのことを教えてくれる。
ただ席が隣だっただけなのに。
せつはたぶん、まだ私をよく知らないのに。
他の人も親切だが、そういうことじゃなくて。
せつは私だから優しいんじゃない。私にも優しいのだ。
私みたいに演技じゃなくて、本当の優しい女の子。
嘘がつけないから、周りには誤解されがちだけど。
私のなりたくてもなれない姿だ。
人は自分にないものを持った人を好きになるらしい。
私はせつを好きになった。
大好きな人には好かれたいと思うのが普通で、私もそう思うのだ。
せつは何をしたら好いてくれるのだろう。
「せつ、お菓子好きなの?」
「うん、私、甘いもの大好きなの。」
「私もだよ。じゃあ、私のあげる。友達だもん。」
喜んでくれると思った。
今まで皆そうだった。
でも、せつは頬を膨らまして怒った。
「だめだよ。泉のでしょ?好きなものを譲っちゃだめ。」
こんなことで怒るなんて。
せつは私を怒ってくれる。
同い年だけど、せつは私のお姉ちゃんみたい。
ううん、姉じゃだめ。
お互いがお互いだけでありたいの。
なんとかせつの隣は私だと周りに思わせて。
やっとせつも私を見てくれるようになった。
友達の一人とかではなく、一番の友達だと認識してくれるようになった。
「このキャラ、泉って言うんだって。おんなじだね。」
「ホントだ。この子あだ名で呼ばれているから気付かなかったよ。」
「いずみん…。いずみん、ずっと友達だよ。」
少し頬を染めて、私にそう言った。
このときからいずみんと呼ばれるようになった。
このときは私を純粋に好いてくれていた。
私もその頃が一番満たされていた。
高校生になった。
もちろん私とせつは同じ学校だ。
田舎だから選択肢は少なかった上、せつがどこを目指すのかせつの母親に聞いていたのだ。
せつとは家族ぐるみで仲がいい。
両親も、私に優しく賢いせつはお眼鏡に敵ったようだった。
「せつは美術部に入るの?」
「うん、絵を描くのが好きだし。」
せつは美術部だった。
部活見学の時図書部に行ってたからてっきり図書部だと思ったのに。
間違えちゃった。
「私も美術部に入ろっかな?兼部もできるらしいし。」
「えー?どうだろう。一度聞いてみるね。」
少し顔をしかめた。
私がそんなに嫌?
なーんて。せつはそういうとこ、分かりやすい。
でもね、せつがホントは私のこと好きなこと、知ってるから。
なんやかんやで私を手放せないこと、知ってるから。
大丈夫なの。
無事美術部にも入れた私は、高校でもせつとニコイチに思われるようになった。
席も近いし、休みの度にせつの方へ行った。
部活のある日は特に幸せだった。
絵を描くときはせつも目をキラキラさせて楽しそうだから。
私は苦手だけど、せつはとっても絵が上手い。
小さいとき描いてくれた私の似顔絵。
大事な大事な宝物。
せつのくれたものは全部大事においている。
プレゼントはもちろん、キャンディの包装も。
大好きだもん。
美術部がある金曜日。
週に一度だけ二人で帰れる日。
私はこの日が一番大好き。
この日だけはせつを独り占めできるから。
他の日もせつと帰りたいけど、欲張りは駄目。
私は図書部があるし、せつは塾がある。
図書部になんて、入らなきゃ良かった。
たまにせつが勉強しに来るから良いけど。
高校、一緒で良かった。
これからもずっと、一緒が良い。
せつがいれば大丈夫。
せつの隣は世界で一番生きやすい。
皆がせつを嫌いになって、せつには私だけにして、いっぱいいっぱい頼ってほしい。
そうなれば良いのに。
せつは変わってしまった。突然にだ。
あるときから泉と呼ぶようになって、週に一度も守られなくなった。
誰にも気付かれないような優しさを発揮する子だったのに、皆がすぐに気付く分かりやすい優しさばかりになってしまった。
そんな風に笑わないでよ。
せつは笑顔が苦手でしょ?
そんなに上手く笑わないで。
せつが気付いちゃった。
私を手放してしまえば自分が救われることを。
私がいてもいなくても、結局変わらないこと。
せつがいなくなってから、二人が私に寄ってくるようになった。
今までもこちらをよく見てきたが、せつがいたから話しかけられはしなかったのだ。
二人は何をするにも着いてくる。
まるで小学校の時の私みたいだ。
気持ち悪い。
これで周りに仲良いと思われたらどうするの?
せつの方を向いてみても、私に興味はなさそうだった。
せつが少しでもこっちを向いていたら私は。
私はこの二人を完全に拒絶することはできなかった。
「いずみん、おはよ」
いずみんいずみんって。何勝手に呼んでるの?
せつだけが呼んでくれていた大事なものなのに。
気色が悪い。
「あれ?いずみんって呼んでたっけ?」
「だって高橋さん、呼んでたじゃん。最近は呼んでないけど。私達イツメンでしょ?だからあだ名の方が良いじゃん」
は?イツメン?
あんたたちが勝手にこっちに来るだけじゃん。
趣味合うねーってそっちが合わせてくるんじゃん。
「ごめん、その呼び方やめてほしい。」
「えー?なんでよー。いずみんらしくなーい」
イライラする。あんたに私らしいを押し付けられたくない。
「ごめん、ちょっと頭痛い。保健室行ってくるね。」
これ以上話していたくなかった。
毎日見ているからすぐ気付いた。
せつはずっと彼を見つめている。
でも、目が合いそうになるとさっとそらして、恋しているみたいで。
私の方は見てくれないのに。
ああ、なんて狂おしい。
一番にしてよ。
私じゃ彼の代わりにならないの?
せつが彼を好きなのはただの承認欲求だよ。
私はあんなやつとは違って本気で認めてあげるのに。
宮野くんをよく観察してみた。
すると目があったため、ニッコリと微笑むとボッと音がなるほど顔を紅くした。
これはいける。
宮野くんに優しくした。
大好きだと顔いっぱいに浮かべて、話しかけるようにした。
毎日一緒に帰るようになって、やっと彼は私に告白した。
そう、これを待ってたの。
そうして私は宮野くんを振った。
宮野くんはもう、せつを好きにはならないよ。
だって宮野くんにはせつの好意に気付けるほどの余裕も、せつを認めてあげるほどの余裕もなくなったから。
「実はね、相談があるの」
「宮野くん、私に告白してくれたの。まさかだよね。もちろん断ったよ。でも、同じクラスだし気まずいじゃない?どうしようかなって。」
これでせつがショックを受ければ良いと思った。
そうしていつか私を頼れば良いのにって。
でも、せつだけは上手くいかない。
バチンと頬を叩かれた。
「あんたなんて、大っ嫌い。」
違う、そうじゃないの。
私はただ、興味を失くしてほしかっただけ。
せつは認めて貰えないって、私だけが認めてあげるって。
ただ、それを知って欲しかっただけなの。
ごめんね、
涙が止まらない。
本気で泣くなんて、はじめてかもしれない。
せつ、嫌いなんて言わないで。
分かってるよ。
でも、言葉にされると辛いの。
せつ、捨てないで。
あなたにだけは捨てられたくないよ。
ずっとずっと、笑顔で優しいクラスメイトを演じてきた。
でも、今日は無理だった。
さすがのクラスメイトたちもいつもと違う私の様子に気付いているようだった。
あの二人も、今日だけは寄ってこない。
遠巻きにこちらを見ているだけだった。
せつの方を見ても、せつも目を腫らして、ボーッとしている。
あんな表情、見たことない。
せつはもう、本気で私と関わりたくないのだろう。
好きな人の幸せは進んで応援するべき。でも、それが私と離れることならば。
このままじゃだめだ。
やっぱりせつとは離れるべきなのか。
涙を拭いていつものような泣き方に変える。
いつもの二人がこちらへ寄ってきた。
「今日はどうしたの?」
「いずみん、大丈夫?」
いつものように戻った私を見て少し安心した様だった。
「いや、なんでもないの。ちょっとせつと揉めちゃっただけ。」
あんたたちの励ましなんか要らない。
この涙も、せつだから泣いているだけ。
「でも、嫌いなんて言ったんでしょ?最低だよね。」
お前に何がわかるんだ。
せつをそんな風に言うんじゃない。
やっぱりせつとは離れたくない。譲っちゃだめだ。
「そんな事言わないで。私のせいだから。」
二人はせつの方に行った。
せつに私に謝るように言っているみたいだ。
なんだ、役にたつじゃない。
やっぱり備えって大事ね。
これでせつは私を捨てられない。
せつは私の方へ来た。
「泉、ごめんね。嫌いなんて言って。」
「ううん、いいの。だって私があんなこと言ったからだよね。」
「本当は泉が友達の中でいちばんだから。」
思ってないんでしょ?
いちばんなんて、嘘でしょ?
「よかったぁ。私も、一番大好き。」
大好き。
ずっとずっと。
愛しているの。
友達の中とかじゃなくて、何より一番大好きなの。
皆になんて好かれたくない。
せつだけいれば良い。
私とせつの二人だけが良いの。
私に愛されちゃって、可哀想にね。
好きなものは譲っちゃだめってあなたが言ったのよ?
でもせつはもう、私にあの下手くそな笑顔を見せてくれない。
きっとせつは私が嫌い。
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