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作戦開始してみた。

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「お~い。そろそろシャワーに行こうと思うんだけど、準備はいい?」

 女性陣のテントに良樹が声をかける。3人の女性は「は~い」と声を出して、着替えを持ってテントの外に出てきた。遥香が男性陣の手元を見ると、鳳斗だけが着替えではなく、ノートパソコンを持っていた。

「あれ? 鳳斗さんはシャワーに行かないんですか?」
「俺はとりあえず留守番してるよ。誰もテントにいないのはマズいからね。で、良かったら遥香さんも一緒に留守番しない?  小説も今まで書いた所まででいいから感想が欲しいんだけど」
「もちろん良いですよ。私も読みたいなって思っていましたから」

 よし! 遥香さんはとりあえず何とかしたぞ。俺は俺の仕事をした。あとはヨッシー、お前次第だ。誘うならこのタイミングだぞ。幸、アシストしてやれ。もう決めるだけのパスをしてやれ。多分、ヨッシーはラストの告白って事でチキンになってるぞ。

「久美ちゃん。ちょっと話があるんだけど、良いかな?」
「良いですよ。私も幸さんに伝えたい事があったんですよ」
「ってわけで、ちょっと離れるわ。ヨッシー、先に行っていていいぞ。ただ千絵ちゃんを襲うなよ。鳳斗もな」
「お前と一緒にするな」
「なんでこの会話の流れで、俺に流れ弾が飛んでくるのかが分からない」
「おっと、久美ちゃん。ちょっとだけ待ってって。おい、鳳斗とヨッシー。ちょっと来い」

 そう言って幸隆は鳳斗達を車へと連れていく。車を開けた幸隆は中から暖かそうなコートを3つ取り出し、鳳斗と良樹に1つずつ手渡した。

「女の子の身体を冷やしちゃいけないだろ。遥香ちゃんや千絵ちゃんの為にも持っていけ」
「お前は下ネタさえなければ絶対にモテるのにな。こういう気遣いが出来て、なぜ女の子に下ネタを言わないという気遣いが出来ない」
「とりあえず鳳斗、幸。ありがとな。どうなるか分からんけど、告白してくるわ」
「成功を祈っているぞ」
「性交を祈っているって言われても、ヨッシーにはいきなりは無理だろ」
「そっちの性交じゃねぇよ。文字でしか分からんボケを挟んでくるんじゃねぇ」
「良いシーンが台無し」

 良樹の緊張をほぐすように幸隆がボケて鳳斗がツッコミを入れる。3人の顔が笑顔になり、グータッチで良樹の健闘を祈る。そして顔を上げ、それぞれの思いを胸に女性たちの元へ向かった。

「私たちが何もしなくても、鳳斗さんたちが色々考えていたみたいだね」
「千絵、大丈夫?」
「大丈夫。頭の中でのシュミレーションは完璧。……多分、大丈夫。……だといいな」
「自信無さすぎ。千絵なら絶対に大丈夫だよ。久美も幸さんと2人きりだけど、大丈夫なの?」
「私は大丈夫だよ。幸さんが私に何を言ってこようと躱せるから」

 千絵の自信の無さに対して久美のこの自信って。2人を足して2で割ったら丁度良さそうだよね。千絵、上手くいくと良いな。ヨッシーさんなら本当に千絵を大切にしてくれそうだしね。
 ん? そう言えば久美はどうするんだろう? 幸さんと付き合うのかな? でも躱すって事は付き合う気はないって返事をするのかな? 変な空気にならないと良いけどな。
 
「お待たせ。久美ちゃん、ちょっとあっち行こう。変な事はしないから安心して。俺って紳士」
「幸。残念だけど、それはギャップにならないし、普通は自分で紳士とか言わない」
「んじゃ、俺たちはシャワー行ってくる。千絵ちゃん、行こう。留守番ヨ・ロ・シ・ク」
「なんで外人風なんだよ。お前はそういうキャラじゃないだろ」
「いつも思うんですけど、鳳斗さんってツッコミのバリエーションが豊富ですよね」
「俺たちのおかげだな」
「(俺たちのおかげ)じゃねぇよ。お前たちのせいって言うんだよ」

 そんな会話をしつつ、3つの班に分かれる鳳斗達。
 テント前で会話をする鳳斗と遥香。
 車の近く、明かりの届くギリギリの所で密談をする幸隆と久美。
 シャワーを浴びに行きながら告白しようとする良樹に、想いを受け入れようとする千絵。

 6人それぞれの長い夜が始まった。

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