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動揺させてみた。させられた。
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「遥香さんの期待に答えれるほどの作品。と言うか、題材か。そんなのが見つかるかな? それにもし見つかっても面白く書けるかどうかは分からないよ」
自信無さげに鳳斗がそう言うと遥香は力強く
「大丈夫です。何の根拠もありませんが大丈夫です」
と言い切った。
自信満々で答える遥香に鳳斗は苦笑するしかなかった。ハンドルを握り、軽快に車を走らせながら少しだけ鳳斗は思案してみる。
なんでこの子は根拠無しで自信満々なの? 根拠無しで言われても説得力ゼロだよ。執筆するのは俺だしね。でもなんでだろうな? 遥香さんにこうやって言われると、なんとなくだけど書ける気がするわ。俺って単純。
心の中で苦笑する鳳斗だったが、遥香には短く「ありがとう」 と一言だけ伝えた。
……だけどさ、遥香さんが撮影したくなるような映画の原作。俺に書けるのか? なんかどんどんハードルが上がっていくんだけど。本当に俺、大丈夫? やっぱ断るなら今だよね。まだ間に合うか? ごめんなさいって謝ればいいのか?
頭の中で自問自答と繰り返す鳳斗。当然、面白くない作品では遥香も映画にしようとは思わないだろう。
自分が書いた【遠距離の果てに】はある意味、そのレベル超えていない事を遠まわしに伝えられているという事。心の中に小さな悔しさを心に隠しつつ、鳳斗は遥香の話を聞いていた。
「しかし、本当にどんな作品を書いたらいいんだろ。全くアイディアが浮かばないんだけどさ」
「そうですね。私の発想力じゃ、全く思いつかないんですけど」
遥香の話を聞きながら鳳斗は頭の中で次の作品の設定を練っていた。もちろん、すぐに考え付くような事ではない。だが、少しでも進められるように色んなネタを思い浮かべる。
「う~ん、斬新で実写化しやすくて面白い作品ね~」
「欲を言えば2~3作あるともっと嬉しいですけど……」
「はいきた。無茶振り~」
学生が制作する映画のだから、主人公は一般人が良いよな。時代劇とかだと、その時点で遥香に弾かれる気がする。メインキャラの歳は高校生から大学生に設定すべきだな。
学生が主人公だったら、やっぱり何かに打ち込む等のヒューマンドラマ風が無難か。でも、ありきたりだよな。うーん、俺に専門知識が無いから、医者とか消防士とかにするわけにはいかないし。
「鳳斗さん、聞いています?」
遥香が首をかしげながら、少し不機嫌そうに鳳斗に聞いてくる。
やべっ、何も聞いていなかった。女の子との会話の経験なんてそんなにないんだけど。明らかに経験不足だね。
でもさ、こういうのってさ、慣れって言うけど、その機会がないんだからたくさん経験できるわけない。そう思うのって俺だけか? と、その前に遥香さんに謝らないと。
そう思った鳳斗は焦りながら素直に遥香に謝る。
「ごめん、設定を考えてた。本当ごめんね」
「そんな事だろうと思いました。この間と一緒です。鳳斗さんは考え出すといつもは優しい目がちょっと細くなってきつくなります」
「え、マジで?」
こ、これがイケメンどもにしか立たないと言われる伝説のフラグってやつか? 遥香さんって、なんで俺の事をそんなに細かく見ているの? そんな気遣いしなくても、デート代は俺が出しますよ。
まあ、デートじゃなく、小説を読みに来ただけなんだけどね。やばっ、俺、彼氏気分になってたわ。
冷静になった鳳斗の顔がみるみる赤くなる。。
「どうかしたんですか?」
「いや、別に何でもないよ」
平静を装い、鳳斗が車を進めると目的地であるサッカースタジアムが見えてきた。少しだけ気まずくなった鳳斗は無理やり話題を変える、
「久々のサッカー観戦だな~」
「前にも来た事があるんですか?」
遥香もサッカーに興味が沸いたのか、鳳斗に色々と質問をしてくる。
「ヨッシーも幸もサッカー好きだからね。あいつら、観戦しながらビール飲むから、俺が運転手の為に行く感じが最初かな」
遥香の質問に対し、鳳斗が答える。すると、遥香が優しい目をしながら鳳斗を見詰めた。
「何、どうしたの?」
鳳斗が疑問の声を上げる。
「いえ、鳳斗さんは本当に優しい人だなって思って」
照れながらも遥香はしっかりとした口調で鳳斗に伝えた。遥香から出た予想外の言葉に鳳斗は戸惑う。意味深な遥香の言葉に鳳斗に動揺が走る。
「そ、そろそろ駐車場に着くからさ。ちょっと歩くけど、ごめんね」
「いいえ、デートなら一緒に歩くのは当然ですから。なんなら手を繋ぎますか?」
冗談っぽく小悪魔のように笑う遥香。そんな遥香の言葉に思わず赤面する鳳斗。
「えっと、あの~。女性に慣れてない俺にそんな事は言わないでくれる」
おいおいおい。ぐいぐい来るけど、大丈夫なの?
本当に土足で俺の心の中に入り込んでくるよね。俺、期待しちゃうよ。誤解されてもおかしくないよ。これが恋愛フラグってものじゃないなら、恋愛フラグっていつ立つものなの?
自分の前を楽しそうに歩く遥香を見ながら複雑な心境になった。
自信無さげに鳳斗がそう言うと遥香は力強く
「大丈夫です。何の根拠もありませんが大丈夫です」
と言い切った。
自信満々で答える遥香に鳳斗は苦笑するしかなかった。ハンドルを握り、軽快に車を走らせながら少しだけ鳳斗は思案してみる。
なんでこの子は根拠無しで自信満々なの? 根拠無しで言われても説得力ゼロだよ。執筆するのは俺だしね。でもなんでだろうな? 遥香さんにこうやって言われると、なんとなくだけど書ける気がするわ。俺って単純。
心の中で苦笑する鳳斗だったが、遥香には短く「ありがとう」 と一言だけ伝えた。
……だけどさ、遥香さんが撮影したくなるような映画の原作。俺に書けるのか? なんかどんどんハードルが上がっていくんだけど。本当に俺、大丈夫? やっぱ断るなら今だよね。まだ間に合うか? ごめんなさいって謝ればいいのか?
頭の中で自問自答と繰り返す鳳斗。当然、面白くない作品では遥香も映画にしようとは思わないだろう。
自分が書いた【遠距離の果てに】はある意味、そのレベル超えていない事を遠まわしに伝えられているという事。心の中に小さな悔しさを心に隠しつつ、鳳斗は遥香の話を聞いていた。
「しかし、本当にどんな作品を書いたらいいんだろ。全くアイディアが浮かばないんだけどさ」
「そうですね。私の発想力じゃ、全く思いつかないんですけど」
遥香の話を聞きながら鳳斗は頭の中で次の作品の設定を練っていた。もちろん、すぐに考え付くような事ではない。だが、少しでも進められるように色んなネタを思い浮かべる。
「う~ん、斬新で実写化しやすくて面白い作品ね~」
「欲を言えば2~3作あるともっと嬉しいですけど……」
「はいきた。無茶振り~」
学生が制作する映画のだから、主人公は一般人が良いよな。時代劇とかだと、その時点で遥香に弾かれる気がする。メインキャラの歳は高校生から大学生に設定すべきだな。
学生が主人公だったら、やっぱり何かに打ち込む等のヒューマンドラマ風が無難か。でも、ありきたりだよな。うーん、俺に専門知識が無いから、医者とか消防士とかにするわけにはいかないし。
「鳳斗さん、聞いています?」
遥香が首をかしげながら、少し不機嫌そうに鳳斗に聞いてくる。
やべっ、何も聞いていなかった。女の子との会話の経験なんてそんなにないんだけど。明らかに経験不足だね。
でもさ、こういうのってさ、慣れって言うけど、その機会がないんだからたくさん経験できるわけない。そう思うのって俺だけか? と、その前に遥香さんに謝らないと。
そう思った鳳斗は焦りながら素直に遥香に謝る。
「ごめん、設定を考えてた。本当ごめんね」
「そんな事だろうと思いました。この間と一緒です。鳳斗さんは考え出すといつもは優しい目がちょっと細くなってきつくなります」
「え、マジで?」
こ、これがイケメンどもにしか立たないと言われる伝説のフラグってやつか? 遥香さんって、なんで俺の事をそんなに細かく見ているの? そんな気遣いしなくても、デート代は俺が出しますよ。
まあ、デートじゃなく、小説を読みに来ただけなんだけどね。やばっ、俺、彼氏気分になってたわ。
冷静になった鳳斗の顔がみるみる赤くなる。。
「どうかしたんですか?」
「いや、別に何でもないよ」
平静を装い、鳳斗が車を進めると目的地であるサッカースタジアムが見えてきた。少しだけ気まずくなった鳳斗は無理やり話題を変える、
「久々のサッカー観戦だな~」
「前にも来た事があるんですか?」
遥香もサッカーに興味が沸いたのか、鳳斗に色々と質問をしてくる。
「ヨッシーも幸もサッカー好きだからね。あいつら、観戦しながらビール飲むから、俺が運転手の為に行く感じが最初かな」
遥香の質問に対し、鳳斗が答える。すると、遥香が優しい目をしながら鳳斗を見詰めた。
「何、どうしたの?」
鳳斗が疑問の声を上げる。
「いえ、鳳斗さんは本当に優しい人だなって思って」
照れながらも遥香はしっかりとした口調で鳳斗に伝えた。遥香から出た予想外の言葉に鳳斗は戸惑う。意味深な遥香の言葉に鳳斗に動揺が走る。
「そ、そろそろ駐車場に着くからさ。ちょっと歩くけど、ごめんね」
「いいえ、デートなら一緒に歩くのは当然ですから。なんなら手を繋ぎますか?」
冗談っぽく小悪魔のように笑う遥香。そんな遥香の言葉に思わず赤面する鳳斗。
「えっと、あの~。女性に慣れてない俺にそんな事は言わないでくれる」
おいおいおい。ぐいぐい来るけど、大丈夫なの?
本当に土足で俺の心の中に入り込んでくるよね。俺、期待しちゃうよ。誤解されてもおかしくないよ。これが恋愛フラグってものじゃないなら、恋愛フラグっていつ立つものなの?
自分の前を楽しそうに歩く遥香を見ながら複雑な心境になった。
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