(仮)言葉にしないと伝わらない

本郷むつみ

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エピローグ

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「なんで黙っていたのよ!」

 けたたましく美月の声が響き渡る。美月と圭吾が付き合い始めて半年近くが過ぎていた。
 若手の寮を出て1人暮らしをはじめた圭吾。そして高校3年生になった美月。
 圭吾がオリンピック代表に選ばれた事もあり、2人は人目を避けるようになっていた。デートは圭吾のマンションでDVD等を見ることが多くなっていた。
 そして今日、やっと圭吾は美月に自分が(ラボーラ)の住人であることを伝えた。今まで書いてきたブログの内容を圭吾は知っていた事実に美月は顔を赤らめる。

「なんで今なのよ!」
「だからごめんって」
「今まで私のブログ見て笑っていたんでしょ」
「そんな事ないって。ごめんな」

 そう言いながら圭吾の顔は緩んでいた。当然、美月がさらに怒り出す。

「謝り方に誠意が足りないの!もう、応援してあげない!」

 早足でマンションを出ようとする美月に対し、追いかける圭吾。
 美月の手を掴み

「じゃあ、どうしたら許してくれるの」

 と、聞いてみた。
 その時、美月にある事が浮かんだ。美月は圭吾の方に振り向いた。

「じゃあ、オリンピックに出場できたら許してあげる」

 新シーズンを向かえ、今年はさらにオリンピック予選もある。U-23代表の圭吾にとっても当然出場は夢である。

「じゃあ、それまでは応援してくれるんだよね」
「いらないって言っても応援するもん」

 そう言って美月が圭吾に寄り添った。圭吾は美月を抱きしめ

「行くよ。オリンピック。美月と一緒にね」

 と美月に囁いた。
 2人の運命の糸は再び絡まり始めた・・・・
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