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言葉にしないと
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美月は祐介と別れ、駅に向かう間に圭吾にメールを打った。
「圭吾君に会って話がしたい」
この1行だけを打ち、送信した。
(着信拒否になっていたらどうしよう)
美月は少し不安になったが、そんな心配は杞憂に終わった。圭吾からの返事はすぐに来た。胸の苦しみを押さえてメールを開く美月。
(拒否されたらどうしよう)
会いたくない、会う理由がない。圭吾がどう思っているかは美月には分からないのだ。
しかし、祐介が背中を押してくれた限り、自分の気持ちだけは圭吾に伝えなければならない。
伝えなければ始まらない。
結果を恐れて何も伝えなければ、何も起こらない。
結果は後からついて来るもの。
だからこそ、後悔しない行動が大切になる。
言葉にしないと何も伝わらない
祐介がそれを教えてくれた。美月は深呼吸し、心を落ち着かせてメールを開いた。
「俺も、美月ちゃんに伝えないといけない事があるから。あの公園で待っているから」
出だしにそう書いてあった。とりあえず、会うことは出来る。
美月に少しだけ安堵感が生まれた。お互いの今いる場所を確認し、圭吾に指定された場所へ美月は向かった。
圭吾が自分に伝えたいことはわからない。
少しの不安が美月に芽生える。しかし、美月の決意は変わることはない。
どういう結果になろうが、美月は受け止める覚悟が出来上がっていた。うっすらと雪が積もる中、待ち合わせ場所に到着する美月を圭吾が待っていた。
そして、目が合った瞬間、
「ごめん」
と言って圭吾がいきなり謝り、頭を下げた。
「なぜ、謝るんですか?」
美月は不思議そうに圭吾に聞いた。圭吾は美月の目を見ながらもう1度「ごめん」とつぶやいた。
そして圭吾は美月に一歩近づき、ゆっくり大きな声で美月に問いかける。
「先に俺に言わせてくれないかな?」
「私に伝えたいことですか?」
「そう」
美月は軽く頷き、圭吾の言葉を待った。
「美月ちゃんに俺の傍にいてほしい。1サポーターじゃなく特別な存在でいてほしい」
「えっ?」
「俺の彼女になってほしいんだ。ずっと俺のそばで応援してほしい」
予想もしなかった圭吾の言葉に美月は驚いた。圭吾がそんな風に思っていたなんて美月には信じられなかった。
「ただの石川圭吾として美月ちゃんに傍にいてほしい。世界が違うとか関係なく・・・。 もう、遅いって分かってる。彼氏がいることも知ってる。でも、ちゃんと自分の気持ちを伝えておかないと前に進めないから」
圭吾は美月の目を逸らさず、しっかりとした口調で美月に伝えた。
その視線に耐え切れず、美月が圭吾に背を向ける。
「ごめんね。彼氏がいるのにこんな伝え方して」
圭吾が足元に積もる雪に視線を移した。美月が圭吾に背を向けたまま、上を向き大きな声で口を開く。
「彼氏とはたった今別れてきました」
「えっ?」
美月の言葉に圭吾が驚き顔を上げる。振り返り今度は美月が圭吾を見つめた。
そして、圭吾にこう言い放った。
「サポーターじゃなく、完全に彼女としての応援になっちゃいますよ。それでもいいですか?」
美月の笑顔に圭吾は美月に駆け寄り抱き寄せた。
そして
「もちろん」
と言い切った、
美月も圭吾の体を抱きしめ、
「ずっと好きでいた」
と、圭吾の耳元でささやいた。
雪が降りしきる中、2人の影が離れる事はなかった。
「圭吾君に会って話がしたい」
この1行だけを打ち、送信した。
(着信拒否になっていたらどうしよう)
美月は少し不安になったが、そんな心配は杞憂に終わった。圭吾からの返事はすぐに来た。胸の苦しみを押さえてメールを開く美月。
(拒否されたらどうしよう)
会いたくない、会う理由がない。圭吾がどう思っているかは美月には分からないのだ。
しかし、祐介が背中を押してくれた限り、自分の気持ちだけは圭吾に伝えなければならない。
伝えなければ始まらない。
結果を恐れて何も伝えなければ、何も起こらない。
結果は後からついて来るもの。
だからこそ、後悔しない行動が大切になる。
言葉にしないと何も伝わらない
祐介がそれを教えてくれた。美月は深呼吸し、心を落ち着かせてメールを開いた。
「俺も、美月ちゃんに伝えないといけない事があるから。あの公園で待っているから」
出だしにそう書いてあった。とりあえず、会うことは出来る。
美月に少しだけ安堵感が生まれた。お互いの今いる場所を確認し、圭吾に指定された場所へ美月は向かった。
圭吾が自分に伝えたいことはわからない。
少しの不安が美月に芽生える。しかし、美月の決意は変わることはない。
どういう結果になろうが、美月は受け止める覚悟が出来上がっていた。うっすらと雪が積もる中、待ち合わせ場所に到着する美月を圭吾が待っていた。
そして、目が合った瞬間、
「ごめん」
と言って圭吾がいきなり謝り、頭を下げた。
「なぜ、謝るんですか?」
美月は不思議そうに圭吾に聞いた。圭吾は美月の目を見ながらもう1度「ごめん」とつぶやいた。
そして圭吾は美月に一歩近づき、ゆっくり大きな声で美月に問いかける。
「先に俺に言わせてくれないかな?」
「私に伝えたいことですか?」
「そう」
美月は軽く頷き、圭吾の言葉を待った。
「美月ちゃんに俺の傍にいてほしい。1サポーターじゃなく特別な存在でいてほしい」
「えっ?」
「俺の彼女になってほしいんだ。ずっと俺のそばで応援してほしい」
予想もしなかった圭吾の言葉に美月は驚いた。圭吾がそんな風に思っていたなんて美月には信じられなかった。
「ただの石川圭吾として美月ちゃんに傍にいてほしい。世界が違うとか関係なく・・・。 もう、遅いって分かってる。彼氏がいることも知ってる。でも、ちゃんと自分の気持ちを伝えておかないと前に進めないから」
圭吾は美月の目を逸らさず、しっかりとした口調で美月に伝えた。
その視線に耐え切れず、美月が圭吾に背を向ける。
「ごめんね。彼氏がいるのにこんな伝え方して」
圭吾が足元に積もる雪に視線を移した。美月が圭吾に背を向けたまま、上を向き大きな声で口を開く。
「彼氏とはたった今別れてきました」
「えっ?」
美月の言葉に圭吾が驚き顔を上げる。振り返り今度は美月が圭吾を見つめた。
そして、圭吾にこう言い放った。
「サポーターじゃなく、完全に彼女としての応援になっちゃいますよ。それでもいいですか?」
美月の笑顔に圭吾は美月に駆け寄り抱き寄せた。
そして
「もちろん」
と言い切った、
美月も圭吾の体を抱きしめ、
「ずっと好きでいた」
と、圭吾の耳元でささやいた。
雪が降りしきる中、2人の影が離れる事はなかった。
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