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デート?
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圭吾に指定された駅に着いた美月は圭吾を待った。
美月は今自分に出来る精一杯のオシャレをしていた。しかし、改札口から出てきた圭吾は軽装で、デート服とはとても思えなかった。
(私は圭吾君にとってはそんなもんだよね)
美月の落胆に気づかない圭吾は笑顔で
「ごめんね。こんな俺につき合わしちゃって。今日は、用事はなかった?」
と、美月に言った。
そんな圭吾を見て、あわてて美月は
「大丈夫です」
そう言って圭吾に気を使った。
「じゃあ、行こうか」
と言って圭吾は美月を促した。歩き出す圭吾の後を追うように美月が歩きだす。
すると、圭吾は美月が横に来るまで待ってくれた。圭吾といい、祐介といい、ちゃんと美月の横を歩いてくれる。
(男性ってちゃんと気を使ってくれるんだ)
美月は妙なことに感心した。圭吾が案内してくれたのは一見すると普通の民家に見えるレストランだった。
店内に入ると昼前だと言うのにお客はまばらだった。美月は
(この店、大丈夫なの)
と思ったが、そんな不安が顔に出ていたのか、圭吾に
「なんか不安?」
と聞かれた。美月は
「いえ、そんなことないですよ」
と言い返したが、圭吾は
「うそだ~。美月ちゃんの顔に不安って書いてあるよ」
と美月の緊張を取るために茶化した。美月があわてて手で顔を隠す。
それを見た圭吾は笑い出した。
「大丈夫。この店は僕一押し。穴場だから美月ちゃんも出来るだけ内緒にしていて」
自信満々で圭吾が言った。店のマスターらしき人がお水を持ってきた。圭吾は「いつものを2つお願い」と言って、マスターはうなずいた。いかにも常連らしかった。
「今日は付き合ってくれてありがとね。わがまま言ってごめんね」
そう言って圭吾が美月に頭を下げた。
「いえ、別に大丈夫です。やっぱり謝ってばっかりですね」
美月は苦笑する。
「昨日、言われた事は本当に胸に響いた。気づかなかった。本当にありがとう」
「いえ、私こそ、生意気言ってごめんなさい」
「ううん、美月ちゃんが本当に俺の事やチームをしっかり見ているんだと思って嬉しかった」
そう言って圭吾が美月を見つめる。一気に美月の顔が赤くなった。
「でも、サッカーの話はここまでにしよう。今のチームを考えるとご飯がまずくなるよ。料理はおいしく食べないとね」
圭吾が強引にサッカーの話題を切った。美月の高校の話や圭吾の高校時代の話。
友達の話やチームメイトの話などで話題は尽きない。美月は本当に圭吾と恋人のような錯覚におちいりそうになった。
そんな楽しい雰囲気の中、料理が運ばれてきた。早速、2人は料理をほお張る。
「美味しい」
「でしょ。ここは俺のとっておきなんだ。俺のことを知らない人も多いし、ゆっくり飯が食べれるんだ」
圭吾が鼻を高くして答えた。2人は夢中になってご飯を食べる。それは周囲から見れば、恋人同士にしか見ない空間を作っていた。
「ごちそう様でした」
美月が食べ終わるのを待っていた圭吾が感想を聞いた。
「どうだった?」
「凄く美味しかったです。大満足です」
「よかった。気に入ってもらって。美月ちゃん、この後は用事あるかな?」
「いえ、別に特にないですよ」
「じゃあさ、今から近くの公園を散歩しない?」
「公園ですか?」
「俺はここで食事をしたら、その公園に散歩に行ってノンビリするの。どうかな?」
圭吾が笑顔で美月に聞いた。
(そんな笑顔で言われたら断れるわけない)
そう思いながら美月は
「いいですよ。でも、圭吾君は用事はないんですか?」
と答える。
「俺は、今日は帰って寝るだけだから。んじゃ、行こう」
そう言いながら、圭吾がお金を払う準備をし始めた。
「あっ、私、自分の分、出しますよ」
美月がそう言うと、圭吾が笑いながら
「女の子に出してもらうほど。俺は落ちぶれちゃいない。俺が誘ったんだしね」
と言いながら手で美月を制した。
美月は今自分に出来る精一杯のオシャレをしていた。しかし、改札口から出てきた圭吾は軽装で、デート服とはとても思えなかった。
(私は圭吾君にとってはそんなもんだよね)
美月の落胆に気づかない圭吾は笑顔で
「ごめんね。こんな俺につき合わしちゃって。今日は、用事はなかった?」
と、美月に言った。
そんな圭吾を見て、あわてて美月は
「大丈夫です」
そう言って圭吾に気を使った。
「じゃあ、行こうか」
と言って圭吾は美月を促した。歩き出す圭吾の後を追うように美月が歩きだす。
すると、圭吾は美月が横に来るまで待ってくれた。圭吾といい、祐介といい、ちゃんと美月の横を歩いてくれる。
(男性ってちゃんと気を使ってくれるんだ)
美月は妙なことに感心した。圭吾が案内してくれたのは一見すると普通の民家に見えるレストランだった。
店内に入ると昼前だと言うのにお客はまばらだった。美月は
(この店、大丈夫なの)
と思ったが、そんな不安が顔に出ていたのか、圭吾に
「なんか不安?」
と聞かれた。美月は
「いえ、そんなことないですよ」
と言い返したが、圭吾は
「うそだ~。美月ちゃんの顔に不安って書いてあるよ」
と美月の緊張を取るために茶化した。美月があわてて手で顔を隠す。
それを見た圭吾は笑い出した。
「大丈夫。この店は僕一押し。穴場だから美月ちゃんも出来るだけ内緒にしていて」
自信満々で圭吾が言った。店のマスターらしき人がお水を持ってきた。圭吾は「いつものを2つお願い」と言って、マスターはうなずいた。いかにも常連らしかった。
「今日は付き合ってくれてありがとね。わがまま言ってごめんね」
そう言って圭吾が美月に頭を下げた。
「いえ、別に大丈夫です。やっぱり謝ってばっかりですね」
美月は苦笑する。
「昨日、言われた事は本当に胸に響いた。気づかなかった。本当にありがとう」
「いえ、私こそ、生意気言ってごめんなさい」
「ううん、美月ちゃんが本当に俺の事やチームをしっかり見ているんだと思って嬉しかった」
そう言って圭吾が美月を見つめる。一気に美月の顔が赤くなった。
「でも、サッカーの話はここまでにしよう。今のチームを考えるとご飯がまずくなるよ。料理はおいしく食べないとね」
圭吾が強引にサッカーの話題を切った。美月の高校の話や圭吾の高校時代の話。
友達の話やチームメイトの話などで話題は尽きない。美月は本当に圭吾と恋人のような錯覚におちいりそうになった。
そんな楽しい雰囲気の中、料理が運ばれてきた。早速、2人は料理をほお張る。
「美味しい」
「でしょ。ここは俺のとっておきなんだ。俺のことを知らない人も多いし、ゆっくり飯が食べれるんだ」
圭吾が鼻を高くして答えた。2人は夢中になってご飯を食べる。それは周囲から見れば、恋人同士にしか見ない空間を作っていた。
「ごちそう様でした」
美月が食べ終わるのを待っていた圭吾が感想を聞いた。
「どうだった?」
「凄く美味しかったです。大満足です」
「よかった。気に入ってもらって。美月ちゃん、この後は用事あるかな?」
「いえ、別に特にないですよ」
「じゃあさ、今から近くの公園を散歩しない?」
「公園ですか?」
「俺はここで食事をしたら、その公園に散歩に行ってノンビリするの。どうかな?」
圭吾が笑顔で美月に聞いた。
(そんな笑顔で言われたら断れるわけない)
そう思いながら美月は
「いいですよ。でも、圭吾君は用事はないんですか?」
と答える。
「俺は、今日は帰って寝るだけだから。んじゃ、行こう」
そう言いながら、圭吾がお金を払う準備をし始めた。
「あっ、私、自分の分、出しますよ」
美月がそう言うと、圭吾が笑いながら
「女の子に出してもらうほど。俺は落ちぶれちゃいない。俺が誘ったんだしね」
と言いながら手で美月を制した。
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