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全力疾走!
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突然の出来事に美月の思考は完全に停止していた。
強い衝撃の後、目の前で手を差し伸べてくれている人は自分にとって特別な存在。
自分がサッカーに夢中になるきっかけを作った人。
自分がどのサッカー選手より応援している人。
自分が今想っている人。
『石川圭吾』その人に間違いなかった。
「うそ……」
なんで? なんで? 石川選手がこんな所に? 夢? それとも幻? 一昔前の少女マンガの出会い方だよ、これ。こんなテンプレ、1周回ってもない事だよ。
こんなのが現実(リアル)であるわけないじゃん。駄目だな~、私。いくら石川選手が大好きでも、昼間から夢を見るなんてどうかしてる。あっ、さっき転んだ時に頭でも打ったのかな? これって目が覚めたら病院の天井が見えるパターンだよね。
今の状況が理解しきれない美月の頭の中は、完全に混乱していた。
そんな美月に手を差し伸べていた圭吾は
「ごめんね。大丈夫?」
そう言ったが、目の前の女の子に返事はない。それどこか倒れたまま硬直している。
まくれた上がったスカートにも気付かず自分を凝視する女の子。
どうしようか思案したが、目のやり場にも困ったのですぐに美月の手を掴み立たせた。
圭吾はもう1度美月に
「大丈夫?」
と声をかけたが相変わらず返事がない。
美月にとってそれほど衝撃的な出会いであった。
大丈夫か、この子? 高校生……いや、中学生?
なんにせよ、そんなに見つめられると照れちゃうよ、俺。
って、そんな事言っている場合じゃない! 完全に注目の的。色んな視線が俺らに集中しちゃってるよ。どうする、どうするの、俺。
選択肢1・女の子が状況を把握するまで待つ。
選択肢2・逃げ出す。
答えは選択肢3の2人でこの場から離れる。この1択だ!
この思考に辿り着くまでコンマ2秒。試合並みに頭を使いました。疲れたね。
圭吾は美月の手を取り走り出した。
2度目の手をつかまれ、美月は我にかえった。
憧れの『石川圭吾』に手を引っ張られて美月も走り出した。
「あ、あの~」
美月の言葉を遮り、圭吾は
「ごめん、とりあえず着いてきて」
えっ? えぇぇぇぇ~~! なんで? なんでこんなことになっているの? あの石川選手が私の手を握って一緒に走るってなんで? 私、バーチャルリアリティ(仮想現実)にでも迷い込んだの? 少女マンガ展開の次はアニメ展開?
神様。私、こんな幸せが起こるような良い日常生活を送っていませんよ。誰かと間違っていませんか?
人通りが少ない場所へ走った2人は手を握ったまま路地に入った。
圭吾が美月の顔を覗き込んだ。
「大丈夫? とりあえず、ごめんね」
サッカー選手の圭吾は当然息を切らしてないが、それに着いていった美月にはかなり辛い状況だった。
イベントの為、駅からの全力疾走。
さらに圭吾に手を握られたまま全力疾走。
額にうっすらと汗を滲ませて、息を切らす美月。
しかし、美月の視線はどうしても手に行ってしまう。
美月の視線に気付く圭吾。
その視線の先には自分が美月の握った手があった。
「ごめん!」
圭吾は美月の手をすぐに離した。
走っている最中、ずっと握っていた。
夢中で走っていた圭吾はかなりの力で美月の手を握り締めていた。
「ごめんね。痛かった?」
顔を真っ赤にしながら謝ってくる圭吾を見ながら美月は握られていた手を手で包み
「大丈夫です。」
そう小さな声でつぶやいた。
強い衝撃の後、目の前で手を差し伸べてくれている人は自分にとって特別な存在。
自分がサッカーに夢中になるきっかけを作った人。
自分がどのサッカー選手より応援している人。
自分が今想っている人。
『石川圭吾』その人に間違いなかった。
「うそ……」
なんで? なんで? 石川選手がこんな所に? 夢? それとも幻? 一昔前の少女マンガの出会い方だよ、これ。こんなテンプレ、1周回ってもない事だよ。
こんなのが現実(リアル)であるわけないじゃん。駄目だな~、私。いくら石川選手が大好きでも、昼間から夢を見るなんてどうかしてる。あっ、さっき転んだ時に頭でも打ったのかな? これって目が覚めたら病院の天井が見えるパターンだよね。
今の状況が理解しきれない美月の頭の中は、完全に混乱していた。
そんな美月に手を差し伸べていた圭吾は
「ごめんね。大丈夫?」
そう言ったが、目の前の女の子に返事はない。それどこか倒れたまま硬直している。
まくれた上がったスカートにも気付かず自分を凝視する女の子。
どうしようか思案したが、目のやり場にも困ったのですぐに美月の手を掴み立たせた。
圭吾はもう1度美月に
「大丈夫?」
と声をかけたが相変わらず返事がない。
美月にとってそれほど衝撃的な出会いであった。
大丈夫か、この子? 高校生……いや、中学生?
なんにせよ、そんなに見つめられると照れちゃうよ、俺。
って、そんな事言っている場合じゃない! 完全に注目の的。色んな視線が俺らに集中しちゃってるよ。どうする、どうするの、俺。
選択肢1・女の子が状況を把握するまで待つ。
選択肢2・逃げ出す。
答えは選択肢3の2人でこの場から離れる。この1択だ!
この思考に辿り着くまでコンマ2秒。試合並みに頭を使いました。疲れたね。
圭吾は美月の手を取り走り出した。
2度目の手をつかまれ、美月は我にかえった。
憧れの『石川圭吾』に手を引っ張られて美月も走り出した。
「あ、あの~」
美月の言葉を遮り、圭吾は
「ごめん、とりあえず着いてきて」
えっ? えぇぇぇぇ~~! なんで? なんでこんなことになっているの? あの石川選手が私の手を握って一緒に走るってなんで? 私、バーチャルリアリティ(仮想現実)にでも迷い込んだの? 少女マンガ展開の次はアニメ展開?
神様。私、こんな幸せが起こるような良い日常生活を送っていませんよ。誰かと間違っていませんか?
人通りが少ない場所へ走った2人は手を握ったまま路地に入った。
圭吾が美月の顔を覗き込んだ。
「大丈夫? とりあえず、ごめんね」
サッカー選手の圭吾は当然息を切らしてないが、それに着いていった美月にはかなり辛い状況だった。
イベントの為、駅からの全力疾走。
さらに圭吾に手を握られたまま全力疾走。
額にうっすらと汗を滲ませて、息を切らす美月。
しかし、美月の視線はどうしても手に行ってしまう。
美月の視線に気付く圭吾。
その視線の先には自分が美月の握った手があった。
「ごめん!」
圭吾は美月の手をすぐに離した。
走っている最中、ずっと握っていた。
夢中で走っていた圭吾はかなりの力で美月の手を握り締めていた。
「ごめんね。痛かった?」
顔を真っ赤にしながら謝ってくる圭吾を見ながら美月は握られていた手を手で包み
「大丈夫です。」
そう小さな声でつぶやいた。
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