フットサル、しよ♪

本郷むつみ

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プロローグです♪

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 桜が満開なこの季節。
 暖かくなり始めた朝の日差しを受け、新たな制服に身を包んだ二人の少女が歩いている。
 1人の少女は狭い歩道をせわしなく動き、もう1人の眼鏡をかけた少女は小説を読んでいた。

「ねえ、今日から高校生だよ。嬉しくないの? 大人だよ」
「その子供っぽい行動をやめてから言ってくれるか。学校に着いたら他人の振りするからな」
「えっ、友達でしょ、親友でしょ、幼馴染を見捨てるの?」
「なんで私は志保と幼馴染なのかがわからない。志保、本当によく岡家高校に合格したな。今でも同じ制服を着ている事が信じられない」
 
 眼鏡をかけた少女は読んでいた小説を閉じ、自分の目の前を左右に動きまくる少女にそう言った。
 市内でも有数の進学校、岡家高校に2人の少女は向かっているところだった。
 問われた少女は動きを止めて振り返り、眼鏡をかけた少女に

「理沙と一緒の高校に行きたかったから頑張ったんだよ。一緒の高校で嬉しいでしょ?」
 
 と笑顔で答える。

「これから3年間、また志保の面倒を見なきゃならないと思うと凹むのは私だけ?」

 理沙と呼ばれた眼鏡の少女が眉1つ動かさずに志保と呼んだ少女に向かって冷静にそう言った。
 それでも笑顔全開の志保は

「大丈夫だよ。理沙には迷惑かけない。私は3年間部活に打ち込むの。目指せ、未来のなでしこジャパン。このサッカーに対する情熱を高校生活に捧げるのだ~」

 と少し芝居がかった口調で理沙に伝える。小学生の学芸会にも劣る志保の芝居を見せ付けられた理沙は大きくため息をついた。

「志保、それ本気で言っているの? うちの学校、岡家高校には女子サッカー部なんて無い」

「はっ?」
 
 思わず疑問の声を上げる志保。

「もう1回言えばいいか? 岡家高校には女子サッカー部なんてない。もう1つ言わせてもらえば男子サッカー部もない。入学願書とかもらった時に確認もしてないか?」
 呆れたように理沙が志保に向かってそう言った。

「えぇぇぇ~~」
 
 暖かな日差しの中、志保の絶叫が青空にこだました。


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