地蔵してんじゃねぇよ! ~性欲の中心には魔物が棲んでんねん~

ねこの散歩

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9章 あの日本一の誠実系ナンパ師、子凛が逮捕!?

9-1 ポール君とは何者?

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「子凛が淫行で捕まったの知ってる?」
 乳ローからの電話で飛び起きた。
「えっ、マジっすか」
「その話もすると思うけど、今日は半年に一度のナンパ祭の全国集会である『大祭』が開催されるからお前も来いよ」
 失うものがあるとユカが言ってたけど、子凛のことなのだろうか。妖精も、なぜだか表情を曇らせていたもんな。何か寒気がする。
「日本全国から集まるんですか?」
「あぁ、そうだ。ナンパの神とあがめられたガリの元に、全国各地からナンパ師が集合する」
「わ、わかりました。参加します。よろしくお願いします」

 午後六時、とある駅の前で乳ローと待ち合わせをした。
「乳ローさん、その棒は何ですか」
「これは、今日のメインイベントに必要な小道具なんだよ」
「小道具? ですか???」
「そうだ。ほら、見ろ。これは、如意棒みたいに伸びるんだぞ。すごいだろ」
 だから、どうした。そんなのそこらへんのディスカウントストアーで腐るほど売ってる短めの物干し竿ざおだろ。変な奴だ。
「普通の棒に見えるだろ?」
 いやいや、誰がどう見てもごくごく普通の物干し竿でしょ。
「使い方によっちゃあ嵐を巻き起こすことができる魔法の棒なんだよ」
 何を言ってるんだこいつは。
「その名も『ポール君』。お前もしかと覚えておけ。このポール君が今日の主役だからな」
 よりによって、あなた、ポール君って。
「ま、オツムが腐って香ばしい臭いを漂わしてるグリーンじゃいつまでたっても答えを導きだせねぇと思うから、一つだけヒントを与えてやるよ。『わっしょい!』だ」
「はぁ」
 ヒントがヒントとして成立していないような気がするが。
「答えはわかりませんが、魔法の棒だというなら、その棒でナンパがうまくなったりもできるんですかね」
「できねぇよ! 調子に乗るんじゃねぇよ、ボケ。そんなのいらねぇからもっと自分を磨け」
 いやいやいやいや。こっちは付き合いで話を合わしてやったのにあだになってしまった。
「そもそも、物に頼ろうとするんじゃねぇよ。ナンパ道に近道はねぇんだよ」
「乳ローさんも、その物に頼ろうとしてるじゃないですか」
「違う。これはお前にとっては物だが、俺にとっては相棒なんだよ。一緒にすんじゃねぇよ」
 あー言えばこー言うで、本当に七面倒臭い奴だな。
「そんな不埒ふらちなことばかり言うなら成敗してやる」
 と言うと、ポール君で斬られてしまった。
「時期にわかる。そのときを楽しみに待ってろ」
「わかりました……」
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