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流行に乗ってみた1
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僕の名前は『ブラン』、白という意味を持ちます。
僕の両親は奴隷だった。
二人から産まれた僕も生まれながらの奴隷だった。
そんな僕が幸せになれるはずがなかったんだろう。
「婚約を破棄する」
だからこれはきっと全部僕のせい。
白い肌に白い髪、紅い瞳それが僕。
不吉だ、不気味だと言われながらも、珍しさから産まれた時から檻の中で見世物として育った。
両親が奴隷だと言うのは僕に餌を運び管理する人が気紛れに教えてくれた事、僕が奴隷と言う身分で、見世物小屋の商品だと教えてくれたのもその人だった。
一つ目の転機は僕がいた見世物小屋が集団に襲われた夜。
僕の檻を開けたのはいつも餌をくれる人だった。「今のうちに逃げろ」と言いながら他の檻も次々開けていた。
夜の闇に紛れて初めての世界に飛び出した。
でも
檻の外に出た事がない僕は歩いた事すら稀で、その時走れたのはただの女神の気紛れだったのだろう。
走って、走って走って、体力が尽きて倒れた僕は、次に目を開けた時『冒険者』が目の前にいた。
こいつ連れて行こうぜ、足手まといだ、囮にいいだろ、そんな会話をしていた。
拒否権なんて最初からなかった。
重い荷物を背負わされ、幾日も歩かされて――そしてあのダンジョンで二度目の転機。
魔物も人間も関係なく丸呑みする大蛇。
器用に冒険者の装備品やアイテムを吐き出しながら、僕に気付くと大量のそれを目の前に置いて「それ見張っておいて」と告げてさらに食べ続けた。
心の中でずっと神様助けてって祈り続けた。
食べるならどうか一思いに。
痛いのはもう嫌だ。
げふーっと大きく息を吐きだすと、僕の目の前に大量に置いた色々な物を一瞬で片付けて、そこでようやく僕の事を思い出したようでちょっと驚いた顔をされたけど。
「んー、生きたいの? 死にたいの? どっちでもいいか、関係ないや」
そう言って荷物の一つみたいに抱えられ、気付いたらとても綺麗な場所にいた。
それからずっと夢の中。
温かくて、ふわふわして、幸せと言う言葉を知った。
名前を貰って、色々遊んで、笑う事を覚えて、いつの間にか家族になっていて、そして僕は恋をしたんだ。
初めて出会った時、貴方はとても緊張していて、名前すら名乗れないほど震えていました。
それでも一緒に過ごすうちに笑顔が増えて、気付けば僕も一緒になって笑っていたのを覚えています。
字が読めない僕にマシューと一緒になって文字を教えてくれて、学園に一緒に通おうと誘ってもくれました。
奴隷出身の僕が通えるわけがない、だから「そうなったらいいね」と濁して終わりになったはずなのに、気付いたら鞄を持たされ一緒に学園に通っていました。
とても幸せでした。
君の隣にいるあの子が現れるまでは。
僕の両親は奴隷だった。
二人から産まれた僕も生まれながらの奴隷だった。
そんな僕が幸せになれるはずがなかったんだろう。
「婚約を破棄する」
だからこれはきっと全部僕のせい。
白い肌に白い髪、紅い瞳それが僕。
不吉だ、不気味だと言われながらも、珍しさから産まれた時から檻の中で見世物として育った。
両親が奴隷だと言うのは僕に餌を運び管理する人が気紛れに教えてくれた事、僕が奴隷と言う身分で、見世物小屋の商品だと教えてくれたのもその人だった。
一つ目の転機は僕がいた見世物小屋が集団に襲われた夜。
僕の檻を開けたのはいつも餌をくれる人だった。「今のうちに逃げろ」と言いながら他の檻も次々開けていた。
夜の闇に紛れて初めての世界に飛び出した。
でも
檻の外に出た事がない僕は歩いた事すら稀で、その時走れたのはただの女神の気紛れだったのだろう。
走って、走って走って、体力が尽きて倒れた僕は、次に目を開けた時『冒険者』が目の前にいた。
こいつ連れて行こうぜ、足手まといだ、囮にいいだろ、そんな会話をしていた。
拒否権なんて最初からなかった。
重い荷物を背負わされ、幾日も歩かされて――そしてあのダンジョンで二度目の転機。
魔物も人間も関係なく丸呑みする大蛇。
器用に冒険者の装備品やアイテムを吐き出しながら、僕に気付くと大量のそれを目の前に置いて「それ見張っておいて」と告げてさらに食べ続けた。
心の中でずっと神様助けてって祈り続けた。
食べるならどうか一思いに。
痛いのはもう嫌だ。
げふーっと大きく息を吐きだすと、僕の目の前に大量に置いた色々な物を一瞬で片付けて、そこでようやく僕の事を思い出したようでちょっと驚いた顔をされたけど。
「んー、生きたいの? 死にたいの? どっちでもいいか、関係ないや」
そう言って荷物の一つみたいに抱えられ、気付いたらとても綺麗な場所にいた。
それからずっと夢の中。
温かくて、ふわふわして、幸せと言う言葉を知った。
名前を貰って、色々遊んで、笑う事を覚えて、いつの間にか家族になっていて、そして僕は恋をしたんだ。
初めて出会った時、貴方はとても緊張していて、名前すら名乗れないほど震えていました。
それでも一緒に過ごすうちに笑顔が増えて、気付けば僕も一緒になって笑っていたのを覚えています。
字が読めない僕にマシューと一緒になって文字を教えてくれて、学園に一緒に通おうと誘ってもくれました。
奴隷出身の僕が通えるわけがない、だから「そうなったらいいね」と濁して終わりになったはずなのに、気付いたら鞄を持たされ一緒に学園に通っていました。
とても幸せでした。
君の隣にいるあの子が現れるまでは。
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