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三食昼寝、家族付き
第1110話
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裏組織を牛耳り、おじ様たちとハードボイルドな世界を堪能しているはずのイグちゃんが、我が家の食卓ででろんとなっている。
「イグちゃんパンケーキでも食べる?」
「たべぇるぅ」
「バニラアイスのせてやって」
「ぼくのいちごあげるね」
「うぉぉぅ、涼玉、シャムスあんがとぉぉ」
なぜか精神的ダメージを負ってこんな風になっているようだけど、聞いてもホロホロと泣くだけで答えてくれないんだよね。
なので皆でちやほやと甘やかしているところ、シャムスのイチゴには感動のあまりさらに号泣したのは困ったけど、まぁ可愛いからよし。
にゃんこの形をしたパンケーキにバニラアイスとイチゴを添え、イグちゃんの前に置いたらアテナがパンケーキを鷲掴みしてイグちゃんの口に突っ込んだ。
赤ちゃんの暴挙がひっどい。
「アテナ、もうちょっとやさしくしてぇ」
「あぶ!」
もぐもぐとパンケーキを咀嚼しながら泣き言をいうイグちゃん、対するアテナははんっとそれをあざ笑って切り捨てました。
赤ちゃんのうちから漢らしいですねうちの姫。
「で、何があったんだイグ?」
『イグちゃんお話して?』
「あぶ、あーだ!」
「あ、いた、いたい、いたいよアテナちゃん」
最近どうも足癖がイネス並みに悪くなってきたアテナの蹴りは、邪神のイグちゃんにもしっかりダメージが入るらしい。
そう言えばたまにネヴォラが縁側でアテナに蹴りの指導してるなぁ。
「俺のハードボイルド世界、家に帰ったらみんな女房の尻に敷かれる良きパパだった」
「そんなもんだろ」
『そんなもんよぉ』
「なんでぇぇ!! 俺のお気に入りのボスなんて、白いエプロン着て、娘のためにバースデーケーキ手作りしてたんだよ、甘いもの苦手とか言ってブラックコーヒー愛飲してるのに、家族とケーキ美味そうに食ってた」
「パパの鑑じゃん」
『刀雲もアカーシャの作ったの笑顔で美味しいって言いきるよ』
「右腕なんて敵に容赦なくて恐れられてるのに、自宅では十数人の孫に囲まれてめっちゃ幸せそうな人生歩んでるんだけど」
全体的にいいことだと思うけど、きっとイグちゃんが求めているハードボイルド世界観とは違うのだろう。
「なら新入りなら大丈夫と思ったら…………新婚だった。皿洗いも率先してやって、頬に泡を付けあってラブラブ、あと嫁妊娠中」
「多分だけどな」
『ショック受けちゃうかもしれないけどね』
「イグそれ……謎能力の影響だわ」
「はぁ!?」
涼玉の言葉にイグちゃんが跳ね起き、ぱっかり開けたお口にアテナがパンケーキを投げ込んだ。
「んご! んぐがぁ、もがもが」
「ぶぅ~」
もごもごしながらアテナに苦情を言っているけど知らないフリをされている。
それにしてもアテナ、投擲の才能があるんだね。
「謎能力に耐性が付いてないから派手に効果が出ただけだって」
「だって、俺、わざわざイツキから離れた土地探したんだぜ?」
「それな俺らもちょっと前にかあちゃに言われて気付いたんだけど、イグの本体、俺らの世界と常時繋がってるよな」
「――ぐああああああ」
涼玉の軽い一言で邪神が一体討伐された。
「当たり前すぎて忘れてたよぉぉぉ、あいつらのプライベートに血生臭さが欠片もなくて、ラブラブしている時点で気付けよ俺ぇぇぇ!!」
思い返してみればイグちゃんの配下だけ無敵なのかってぐらい強かったり、家族に害が及ぶことがない、収益もいい感じに上がって懐がホカホカ、ハードボイルド世界観に似合わないぐらい優しい世界が広がっているそうです。
「とどめに俺が遊び行って、豊作振りまいてやろうか?」
『やっちゃおー!』
「お願いしようかな、俺の気まぐれに付き合ってくれてる連中に報いなきゃな」
僕も遊びに行っていいかな?
だめなの?
ちぇー。
「イグちゃんパンケーキでも食べる?」
「たべぇるぅ」
「バニラアイスのせてやって」
「ぼくのいちごあげるね」
「うぉぉぅ、涼玉、シャムスあんがとぉぉ」
なぜか精神的ダメージを負ってこんな風になっているようだけど、聞いてもホロホロと泣くだけで答えてくれないんだよね。
なので皆でちやほやと甘やかしているところ、シャムスのイチゴには感動のあまりさらに号泣したのは困ったけど、まぁ可愛いからよし。
にゃんこの形をしたパンケーキにバニラアイスとイチゴを添え、イグちゃんの前に置いたらアテナがパンケーキを鷲掴みしてイグちゃんの口に突っ込んだ。
赤ちゃんの暴挙がひっどい。
「アテナ、もうちょっとやさしくしてぇ」
「あぶ!」
もぐもぐとパンケーキを咀嚼しながら泣き言をいうイグちゃん、対するアテナははんっとそれをあざ笑って切り捨てました。
赤ちゃんのうちから漢らしいですねうちの姫。
「で、何があったんだイグ?」
『イグちゃんお話して?』
「あぶ、あーだ!」
「あ、いた、いたい、いたいよアテナちゃん」
最近どうも足癖がイネス並みに悪くなってきたアテナの蹴りは、邪神のイグちゃんにもしっかりダメージが入るらしい。
そう言えばたまにネヴォラが縁側でアテナに蹴りの指導してるなぁ。
「俺のハードボイルド世界、家に帰ったらみんな女房の尻に敷かれる良きパパだった」
「そんなもんだろ」
『そんなもんよぉ』
「なんでぇぇ!! 俺のお気に入りのボスなんて、白いエプロン着て、娘のためにバースデーケーキ手作りしてたんだよ、甘いもの苦手とか言ってブラックコーヒー愛飲してるのに、家族とケーキ美味そうに食ってた」
「パパの鑑じゃん」
『刀雲もアカーシャの作ったの笑顔で美味しいって言いきるよ』
「右腕なんて敵に容赦なくて恐れられてるのに、自宅では十数人の孫に囲まれてめっちゃ幸せそうな人生歩んでるんだけど」
全体的にいいことだと思うけど、きっとイグちゃんが求めているハードボイルド世界観とは違うのだろう。
「なら新入りなら大丈夫と思ったら…………新婚だった。皿洗いも率先してやって、頬に泡を付けあってラブラブ、あと嫁妊娠中」
「多分だけどな」
『ショック受けちゃうかもしれないけどね』
「イグそれ……謎能力の影響だわ」
「はぁ!?」
涼玉の言葉にイグちゃんが跳ね起き、ぱっかり開けたお口にアテナがパンケーキを投げ込んだ。
「んご! んぐがぁ、もがもが」
「ぶぅ~」
もごもごしながらアテナに苦情を言っているけど知らないフリをされている。
それにしてもアテナ、投擲の才能があるんだね。
「謎能力に耐性が付いてないから派手に効果が出ただけだって」
「だって、俺、わざわざイツキから離れた土地探したんだぜ?」
「それな俺らもちょっと前にかあちゃに言われて気付いたんだけど、イグの本体、俺らの世界と常時繋がってるよな」
「――ぐああああああ」
涼玉の軽い一言で邪神が一体討伐された。
「当たり前すぎて忘れてたよぉぉぉ、あいつらのプライベートに血生臭さが欠片もなくて、ラブラブしている時点で気付けよ俺ぇぇぇ!!」
思い返してみればイグちゃんの配下だけ無敵なのかってぐらい強かったり、家族に害が及ぶことがない、収益もいい感じに上がって懐がホカホカ、ハードボイルド世界観に似合わないぐらい優しい世界が広がっているそうです。
「とどめに俺が遊び行って、豊作振りまいてやろうか?」
『やっちゃおー!』
「お願いしようかな、俺の気まぐれに付き合ってくれてる連中に報いなきゃな」
僕も遊びに行っていいかな?
だめなの?
ちぇー。
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