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三食昼寝、家族付き
第1028話
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農地に転移して一番最初にアー君がしたのは、イチャイチャする新婚夫婦を捕まえてその場で正座させることだった。
「あのな、あの小屋幾つめだと思ってんだ?」
神妙な顔で正座をしているのは、種族を超えて結ばれたドラゴン長老とレモン国から派遣された王子様。
背後には崩壊した元小屋。
「仕方ないと思うのです、新婚ですから」
「番との夜が激しいのはお約束ですぞ」
ぴったりと体を寄せ合わせて正座しているから、反省しているかちょっと怪しいねこの夫婦、小屋を壊すのもこれが初めてじゃないらしい、しかも理由が……。
「もうお前らの為に小屋は作らない、洞窟改造してやるから適当なところ探してこい!」
「私、一応王子なのですが」
「年寄りになんてことを」
「シャムス!」
『洞窟行きよ』
手を握り合ってめそめそする夫婦、嘘っぽいなぁ。
「にいちゃ終わった? 川行こうぜ!」
「終わらせた、今日は遊びに来たんだから仕事はしない!」
『お兄ちゃんたちも一緒?』
「わふ!」
「じいちゃん、わたしはどうしよっか!」
「遊んできな」
「分かった!」
その場で二、三度足踏みしてからネヴォラは走り出した。
「朱ちゃん、青ちゃん行きましょう!」
「うん」
「え、待って朱置いてかないで!!」
ネヴォラに続いて走り出すイネス、続く朱と追いかける青藍。
確か朱って全盲だった気がする、でも青藍より速いんだけど凄いわね。
「ボス、俺らは狩りですよ」
「分かってる、分かっているが……」
「嫁のために大物ねらいましょーねー」
全力疾走する嫁を心配してそわそわする旦那様のボス、心配性のオカンの代わりに仲間に指示を飛ばすのは青藍を尻尾で誘惑した狐の獣人。
僕と出会った当初は混乱続きで落ち着きがなかったけれど、生活基盤がしっかりした現在、ボスの右腕に相応しい冷静さとツッコミ属性を発揮しているようです。
「じゃあ釣り行くか」
「そうだねー」
刀雲が釣り道具を取り出し、点検を終えて立ち上がった。
どうやらのんびり釣りではなく、ガチ釣り装備できたらしい、釣り竿が刀雲の持ち物の中で一番いいやつだし、今腕に付けたブレスレットは『釣果アップ』の効果付きだって前に言ってた。
のんびり遊び気分なのは騎士様だけで、騎士様以外はガチの狩猟モードに入っている気がする。
騎士様、頑張らないとパパとしての威厳とか名誉とか、全部刀雲に持っていかれちゃいますよー。
「僕らはどうしようか?」
「だぅ!」
アテナが示したのは遊び道具を吟味するアー君ら。
いや、川に行ってから出せばいいのに、なぜここで出してるんだろうか?
「お兄ちゃん達と一緒に居たいんだね」
「あぅ!」
そういう訳で僕とアテナはアー君らに合流、おもちゃを広げている理由を聞いたら「川についてすぐ遊ぶため」と力説されました。
あれか、プールの授業を楽しみにするあまり、服の下に水着を着るのと似たような感じかな。
「アー君、水着は?」
「泳いでいるうちに流れちゃうから全裸!」
『僕も』
「俺は殻を手放さない!」
涼玉の卵の殻は浮き輪も兼ねているようです。
「あのな、あの小屋幾つめだと思ってんだ?」
神妙な顔で正座をしているのは、種族を超えて結ばれたドラゴン長老とレモン国から派遣された王子様。
背後には崩壊した元小屋。
「仕方ないと思うのです、新婚ですから」
「番との夜が激しいのはお約束ですぞ」
ぴったりと体を寄せ合わせて正座しているから、反省しているかちょっと怪しいねこの夫婦、小屋を壊すのもこれが初めてじゃないらしい、しかも理由が……。
「もうお前らの為に小屋は作らない、洞窟改造してやるから適当なところ探してこい!」
「私、一応王子なのですが」
「年寄りになんてことを」
「シャムス!」
『洞窟行きよ』
手を握り合ってめそめそする夫婦、嘘っぽいなぁ。
「にいちゃ終わった? 川行こうぜ!」
「終わらせた、今日は遊びに来たんだから仕事はしない!」
『お兄ちゃんたちも一緒?』
「わふ!」
「じいちゃん、わたしはどうしよっか!」
「遊んできな」
「分かった!」
その場で二、三度足踏みしてからネヴォラは走り出した。
「朱ちゃん、青ちゃん行きましょう!」
「うん」
「え、待って朱置いてかないで!!」
ネヴォラに続いて走り出すイネス、続く朱と追いかける青藍。
確か朱って全盲だった気がする、でも青藍より速いんだけど凄いわね。
「ボス、俺らは狩りですよ」
「分かってる、分かっているが……」
「嫁のために大物ねらいましょーねー」
全力疾走する嫁を心配してそわそわする旦那様のボス、心配性のオカンの代わりに仲間に指示を飛ばすのは青藍を尻尾で誘惑した狐の獣人。
僕と出会った当初は混乱続きで落ち着きがなかったけれど、生活基盤がしっかりした現在、ボスの右腕に相応しい冷静さとツッコミ属性を発揮しているようです。
「じゃあ釣り行くか」
「そうだねー」
刀雲が釣り道具を取り出し、点検を終えて立ち上がった。
どうやらのんびり釣りではなく、ガチ釣り装備できたらしい、釣り竿が刀雲の持ち物の中で一番いいやつだし、今腕に付けたブレスレットは『釣果アップ』の効果付きだって前に言ってた。
のんびり遊び気分なのは騎士様だけで、騎士様以外はガチの狩猟モードに入っている気がする。
騎士様、頑張らないとパパとしての威厳とか名誉とか、全部刀雲に持っていかれちゃいますよー。
「僕らはどうしようか?」
「だぅ!」
アテナが示したのは遊び道具を吟味するアー君ら。
いや、川に行ってから出せばいいのに、なぜここで出してるんだろうか?
「お兄ちゃん達と一緒に居たいんだね」
「あぅ!」
そういう訳で僕とアテナはアー君らに合流、おもちゃを広げている理由を聞いたら「川についてすぐ遊ぶため」と力説されました。
あれか、プールの授業を楽しみにするあまり、服の下に水着を着るのと似たような感じかな。
「アー君、水着は?」
「泳いでいるうちに流れちゃうから全裸!」
『僕も』
「俺は殻を手放さない!」
涼玉の卵の殻は浮き輪も兼ねているようです。
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