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三食昼寝、家族付き
第1006話
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赤ちゃんを山小屋に置いて行った犯人は捕まらなかった。
「残党は明日、子供達と食べに行くんだ」
正確に言うと邪神様に食べられました。
捨て子が女児だったからシヴァさん動かず、動いたのはシャムスにお願いされた神薙さん。
久しぶりに人間を食べれると喜んでお出かけしてご機嫌で帰宅、「明日、家族でピクニックに行くんだ」ぐらいの気軽さでうっとりと呟かれたのが今の言葉です。
どうやら人さらいの一味だったらしく、捨てた犯人は食べたけど、まだ他の仲間が残っているらしい。
前なら全部一人で食べていた神薙さんだけど、せっかく沢山いるから家族で食べたらきっと美味しいのだろうと思ったようです。
家族で食べると美味しいは分かるけど……食べ物が人間だとちょっと同意しにくい。
普通ならここで騎士団に通報、捕縛とか裁判とかあるのだろうけども、ここは刀国、犯罪者は邪神一家のご飯が定め。
建国以来変わらぬ不動のルール。
きっと明日は森の一部に血の雨が降るでしょう。
でも丸呑みだから血は流れない?
「刀雲、事情聴取とかいいの?」
今なら間に合うかもしれないよ?
「俺ら人間に出来るのは、食い荒らされた人間がアンデッドにならないよう、土地と魂の浄化を教会に依頼するぐらいだ」
邪神と言えど神には変わりなく、殺された人間は神罰が下ったものとして人間はそれ以上介入出来ないという感じのようです。
でも黒幕とかいたら困るよね。
それに介入出来ないのは人間だけで、神様なら構わないってことだよね?
「イネスお願いしていいかな?」
「はい! 死者を鞭打つのはお任せです!」
うちのイネスちゃんは神獣だし、旦那というか嫁というか、とにかく伴侶は冥府の王のご子息! そう、死者の魂をどうにでも出来るんです!
だから神薙さん、数個でいいので魂は残してくださいね!
「アテナー」
『アテナちゃん』
「でんでん太鼓だぞ」
血生臭い会話をよそに、幼児達はタイガに作ってもらった赤子用おもちゃで赤ちゃんと遊んでいます。
可愛い、癒される。
「一味で思い出したわー」
いっけねーと手を打ったのは、幼児に交じって赤ちゃんをあやしていたイグちゃん。
「ラミアの領地を狙って一部の貴族が動いてるんだった! ラミアの旦那と旦那の父ちゃんには伝えてあるけどすっかり忘れてた!」
「それ結構重要じゃない!?」
邪神に捧げられた土地を狙うとか正気!?
強欲な人間って怖いもの知らずにもほどがあるよ!
「旦那の父ちゃん宰相だけど気さくでさー、俺の茶飲み友達!」
おやつの対価に貴族の裏事情をベラベラと喋っているらしい、イグちゃんからもたらされる腐敗具合に国王様が胃を痛め、泣きながら対策を練っている最中ですって。
他国の事情が駄々洩れだけどいいのだろうか、まぁ大丈夫だろう、ここ神の社だし。
「それが原因でラミアがここ数日悩んでてさ~」
「ラミアが!?」
『あのラミアちゃんが!?』
「腹でも痛いのか!?」
「んにゃ、旦那のために整えた土地を争うとする人間を自分だけで食べるか、一族みんなで食べに行くか、食べるにしても丸呑みか毒で苦しめてからかとかそんな感じ」
ラミアちゃんの悩みが物騒!
さすが邪神の姫!
「イグ、宰相閣下に伝えておいてくれ。腐敗した貴族の処分や対策を考えるより、貴族が消えた穴を埋める人材を選んでおけと」
「あいよー」
「人さらいの次は貴族かぁ、楽しみだなぁ」
刀雲とイグちゃんの会話を聞いて、神薙さんがうっとりと遠くを見つめている。
見知らぬ貴族の方々へ、死後の世界でもお元気で。
あっ、そうだ!
赤ちゃんの名前、アテナちゃんに決まりました!
「残党は明日、子供達と食べに行くんだ」
正確に言うと邪神様に食べられました。
捨て子が女児だったからシヴァさん動かず、動いたのはシャムスにお願いされた神薙さん。
久しぶりに人間を食べれると喜んでお出かけしてご機嫌で帰宅、「明日、家族でピクニックに行くんだ」ぐらいの気軽さでうっとりと呟かれたのが今の言葉です。
どうやら人さらいの一味だったらしく、捨てた犯人は食べたけど、まだ他の仲間が残っているらしい。
前なら全部一人で食べていた神薙さんだけど、せっかく沢山いるから家族で食べたらきっと美味しいのだろうと思ったようです。
家族で食べると美味しいは分かるけど……食べ物が人間だとちょっと同意しにくい。
普通ならここで騎士団に通報、捕縛とか裁判とかあるのだろうけども、ここは刀国、犯罪者は邪神一家のご飯が定め。
建国以来変わらぬ不動のルール。
きっと明日は森の一部に血の雨が降るでしょう。
でも丸呑みだから血は流れない?
「刀雲、事情聴取とかいいの?」
今なら間に合うかもしれないよ?
「俺ら人間に出来るのは、食い荒らされた人間がアンデッドにならないよう、土地と魂の浄化を教会に依頼するぐらいだ」
邪神と言えど神には変わりなく、殺された人間は神罰が下ったものとして人間はそれ以上介入出来ないという感じのようです。
でも黒幕とかいたら困るよね。
それに介入出来ないのは人間だけで、神様なら構わないってことだよね?
「イネスお願いしていいかな?」
「はい! 死者を鞭打つのはお任せです!」
うちのイネスちゃんは神獣だし、旦那というか嫁というか、とにかく伴侶は冥府の王のご子息! そう、死者の魂をどうにでも出来るんです!
だから神薙さん、数個でいいので魂は残してくださいね!
「アテナー」
『アテナちゃん』
「でんでん太鼓だぞ」
血生臭い会話をよそに、幼児達はタイガに作ってもらった赤子用おもちゃで赤ちゃんと遊んでいます。
可愛い、癒される。
「一味で思い出したわー」
いっけねーと手を打ったのは、幼児に交じって赤ちゃんをあやしていたイグちゃん。
「ラミアの領地を狙って一部の貴族が動いてるんだった! ラミアの旦那と旦那の父ちゃんには伝えてあるけどすっかり忘れてた!」
「それ結構重要じゃない!?」
邪神に捧げられた土地を狙うとか正気!?
強欲な人間って怖いもの知らずにもほどがあるよ!
「旦那の父ちゃん宰相だけど気さくでさー、俺の茶飲み友達!」
おやつの対価に貴族の裏事情をベラベラと喋っているらしい、イグちゃんからもたらされる腐敗具合に国王様が胃を痛め、泣きながら対策を練っている最中ですって。
他国の事情が駄々洩れだけどいいのだろうか、まぁ大丈夫だろう、ここ神の社だし。
「それが原因でラミアがここ数日悩んでてさ~」
「ラミアが!?」
『あのラミアちゃんが!?』
「腹でも痛いのか!?」
「んにゃ、旦那のために整えた土地を争うとする人間を自分だけで食べるか、一族みんなで食べに行くか、食べるにしても丸呑みか毒で苦しめてからかとかそんな感じ」
ラミアちゃんの悩みが物騒!
さすが邪神の姫!
「イグ、宰相閣下に伝えておいてくれ。腐敗した貴族の処分や対策を考えるより、貴族が消えた穴を埋める人材を選んでおけと」
「あいよー」
「人さらいの次は貴族かぁ、楽しみだなぁ」
刀雲とイグちゃんの会話を聞いて、神薙さんがうっとりと遠くを見つめている。
見知らぬ貴族の方々へ、死後の世界でもお元気で。
あっ、そうだ!
赤ちゃんの名前、アテナちゃんに決まりました!
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