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三食昼寝、家族付き
第992話
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学園がお休みの週末、タルト祭りが我が家で開催された。
うちの子は作る側、作られたタルトは邪神一家が食べていました。
「母様お願い、もう一度、今度は僕ら食べる側で」
「まさか一個も食べれないとか思わなかった」
食べるのを楽しみにしていた双子は真っ白になって留学先に戻っていった。
もちろん幼児は拗ねたし、ワンコ親子はふて寝、エンラは長い物には巻かれろ精神で諦め、青藍は八つ当たり気味にネヴォラにリバーシを挑んでぼろ負けし、朱はふて寝したワンコのブラッシングをしていた。
「作るの楽しかったけどさー」
『アイスタルト……』
「おれらの黄金のタルトぉ」
「わっふぅ」
虚空を見つめながら涼玉が空笑いをしている。
大トリとして幼児が作ったのは黄金シリーズと名付けられた金色の果物各種を使ったタルト、あのタルトは物理的にも黄金に輝いていた。
当然のように神薙さんが食べたけど、邪神兄弟も食べたがったので最終的に総出で作りましたよ。
邪神一家が満足するまで作らされるとは思わなかったよね、作っている時は夢中で気づかなかったけど、祭りが終わって気付いたんだ「僕ら食べてない」って。
自分達のためにもう一個、と思ったけど遅かった。
邪神一家のために黄金の実を成らせた各種果実、皆さん疲れ切って休養に入っちゃったんだ。
涼玉の豊穣チートを無効にするほど無理してくれたんだと感動する反面、自分達の分を確保しなかったことを悔いたね。
「まさか聖なる果実園が閉鎖の危機に陥る日が来るとは」
『危なかったよね』
「なぁ、俺、果実園で寝泊まりしょうか? 回復早まるぞ?」
「いつも世話になってるから、たまにはゆっくり休ませよう。涼玉から受ける影響も、今は回復に回してる状態なんだと思う」
『枯れなくて良かった』
「邪神一家怖い」
「我が家族が誠に申し訳ない!!」
マールスは涼玉の補助で作る側だったけど、兄弟のワガママで涼玉らの果実園が一時閉鎖するとは思いもしなかっただろうなぁ。
でもほら、果物なくてもおやつは作れるよ!
「おやつにしようか」
「ママの笑顔が今日は嫌な感じ!」
『嫌な予感する』
「俺にはわかる、ばーばに相談したろ!」
ドリアンに合図しておやつを出してもらった途端にブーイングされた。
失礼だな、果物がダメなら野菜にすればいいじゃないって言われただけだよ。
「ぎゃーー、ほうれん草クッキー!!」
『にんじんチップ』
「カボチャのドーナツってどうなんだ?」
「エム、長男の威厳を見せてね!」
「きゃぃん!!」
のそのそと近付いてきたエムの鼻先にカボチャマフィンを押し付けたら鳴かれた。
君、今日に限ってなぜ野菜を嫌がるかな、いつも美味しく食べてるよね?
「ママ酷い、おやつと言っておきながら野菜を押し付けるなんて!!」
『虐待よぉ』
「エムにいちゃ平気か!!」
「きゅぅん」
ローとルドはすまし顔で縁側で日向ぼっこしている。
おやつ自体を拒否することで野菜を回避しようとしてるんだろうなぁ、あれ。
「ヘラ母さんから伝言」
「っひ」
「おやつに食べないならお昼に出せばいい」
「ぎゃあああ」
『いやーーん』
「愛が、俺らに対する愛が足りないぞばーば!」
素直に食べてくれたら出そうと思っていたスイートポテトと大学芋はお預けかな、芋ようかんと一緒に神薙さん行きでもいいけど。
「ちなみにママ、今日のお昼の予定は?」
「カレー」
「ぐあああ……って普通に美味しいやつだった」
『びっくりしたの』
「違うぞにいちゃ、このパターンだとカレーじゃなくこいつらがお昼になる!!」
「うん」
「果物食べたい時にはキッツイ!!」
『これも試練なのね』
「俺ら修行僧だっけ?」
よほどお昼に野菜尽くしのおやつを出されるのが嫌だったのか、もしょもしょと食べ始めた。
ちなみにお昼のカレーは肉ではなく野菜ゴロゴロカレーの予定だったけど、ちょっと可哀想になってきたのでトンカツかハンバーグを追加してあげようかな。
うちの子は作る側、作られたタルトは邪神一家が食べていました。
「母様お願い、もう一度、今度は僕ら食べる側で」
「まさか一個も食べれないとか思わなかった」
食べるのを楽しみにしていた双子は真っ白になって留学先に戻っていった。
もちろん幼児は拗ねたし、ワンコ親子はふて寝、エンラは長い物には巻かれろ精神で諦め、青藍は八つ当たり気味にネヴォラにリバーシを挑んでぼろ負けし、朱はふて寝したワンコのブラッシングをしていた。
「作るの楽しかったけどさー」
『アイスタルト……』
「おれらの黄金のタルトぉ」
「わっふぅ」
虚空を見つめながら涼玉が空笑いをしている。
大トリとして幼児が作ったのは黄金シリーズと名付けられた金色の果物各種を使ったタルト、あのタルトは物理的にも黄金に輝いていた。
当然のように神薙さんが食べたけど、邪神兄弟も食べたがったので最終的に総出で作りましたよ。
邪神一家が満足するまで作らされるとは思わなかったよね、作っている時は夢中で気づかなかったけど、祭りが終わって気付いたんだ「僕ら食べてない」って。
自分達のためにもう一個、と思ったけど遅かった。
邪神一家のために黄金の実を成らせた各種果実、皆さん疲れ切って休養に入っちゃったんだ。
涼玉の豊穣チートを無効にするほど無理してくれたんだと感動する反面、自分達の分を確保しなかったことを悔いたね。
「まさか聖なる果実園が閉鎖の危機に陥る日が来るとは」
『危なかったよね』
「なぁ、俺、果実園で寝泊まりしょうか? 回復早まるぞ?」
「いつも世話になってるから、たまにはゆっくり休ませよう。涼玉から受ける影響も、今は回復に回してる状態なんだと思う」
『枯れなくて良かった』
「邪神一家怖い」
「我が家族が誠に申し訳ない!!」
マールスは涼玉の補助で作る側だったけど、兄弟のワガママで涼玉らの果実園が一時閉鎖するとは思いもしなかっただろうなぁ。
でもほら、果物なくてもおやつは作れるよ!
「おやつにしようか」
「ママの笑顔が今日は嫌な感じ!」
『嫌な予感する』
「俺にはわかる、ばーばに相談したろ!」
ドリアンに合図しておやつを出してもらった途端にブーイングされた。
失礼だな、果物がダメなら野菜にすればいいじゃないって言われただけだよ。
「ぎゃーー、ほうれん草クッキー!!」
『にんじんチップ』
「カボチャのドーナツってどうなんだ?」
「エム、長男の威厳を見せてね!」
「きゃぃん!!」
のそのそと近付いてきたエムの鼻先にカボチャマフィンを押し付けたら鳴かれた。
君、今日に限ってなぜ野菜を嫌がるかな、いつも美味しく食べてるよね?
「ママ酷い、おやつと言っておきながら野菜を押し付けるなんて!!」
『虐待よぉ』
「エムにいちゃ平気か!!」
「きゅぅん」
ローとルドはすまし顔で縁側で日向ぼっこしている。
おやつ自体を拒否することで野菜を回避しようとしてるんだろうなぁ、あれ。
「ヘラ母さんから伝言」
「っひ」
「おやつに食べないならお昼に出せばいい」
「ぎゃあああ」
『いやーーん』
「愛が、俺らに対する愛が足りないぞばーば!」
素直に食べてくれたら出そうと思っていたスイートポテトと大学芋はお預けかな、芋ようかんと一緒に神薙さん行きでもいいけど。
「ちなみにママ、今日のお昼の予定は?」
「カレー」
「ぐあああ……って普通に美味しいやつだった」
『びっくりしたの』
「違うぞにいちゃ、このパターンだとカレーじゃなくこいつらがお昼になる!!」
「うん」
「果物食べたい時にはキッツイ!!」
『これも試練なのね』
「俺ら修行僧だっけ?」
よほどお昼に野菜尽くしのおやつを出されるのが嫌だったのか、もしょもしょと食べ始めた。
ちなみにお昼のカレーは肉ではなく野菜ゴロゴロカレーの予定だったけど、ちょっと可哀想になってきたのでトンカツかハンバーグを追加してあげようかな。
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