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三食昼寝、家族付き
第986話
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平和な日々に油断していたのだろう、縁側で日光浴をしていたある日、トカゲ君がアー君に捕まった。
「やっと捕まえたぁ」
『逃げ足天下一品ね』
「忘れたと思ったか、甘いな! 食い物の恨みは残るんだぞ!」
数日経ったけど殺気を向けられることもなく、捕まえる様子も視線を向ける様子もない、昼間は遊びに出ているのもあったんだろうなぁ。どうやら幼児三人組の作戦だったっぽいけど。
「喜べ、社会奉仕で許してやる」
『無償の愛よ』
「やらなきゃ殺る」
カステラの恨みは僕が思っているより深かった。
「なぁに、難しいことはないから怯えるなよ、あはははは」
『うふふー』
「げっへっへっへっへ」
笑っているはずなのに笑顔が怖い、涼玉は笑い方も怖いけど。
どこへ連れて行くのかと興味があったので、尋ねたら一緒に連れて行ってくれるそうです。
「お出かけ前に首輪を付けないとな」
『誘拐防止よ』
「ゆめゆめ逃げようと思うなよ」
盗み食いしたものが悪かった。
もしあれが夕食のつまみ食いとか、食後のデザート平らげたとかなら、まだ笑って許されたかもしれない、非売品だったのが運の尽きだねトカゲ君。
そして向かった先はお隣にある神薙さんの神社。
「わぁきょうも盛況だね」
「グラの息子がたまに店先で売り子してる時があるんだ。涼玉ぬいぐるみ抱いて挨拶をする姿を一目見ようと冒険者が日参してる」
『メロメロよ』
「食事処か社務所か拝殿、どこにいるかは気分らしい」
社務所の奥に引っ込んで居ない日ももちろんあるけど、笑顔見たさに夕方は冒険者の数が倍増するみたいですよ。
僕の関係者だからいつ成長してもおかしくない、今のうちに天然の可愛い幼児を愛でたい!というのが彼らの意見だとか。
うちの幼児は天然さがない、黒い、怖い、がめつい、純粋さがちょっと足りないとか好き勝手言われているようです。
アー君達はプリプリしているけど、ごめん、ちょっと分かる。
すれ違う参拝客に挨拶しながらたどり着いたのは、グラちゃんが責任者を務める食事処。
前に来た時より規模が大きくなっているね、人気があるんだろうなぁ。
それを言うなら神薙さんの神社の敷地全体が巨大化したよね、僕が転生した当初はもうちょっと小さかったような気がする。
確かあの頃の境内はもっとこじんまりしてたかな、木々に囲まれているのは変わらないけど、規模は近所にある小さな神社ぐらいで、ここまで賑やかではなかった。
屋台や社務所はなく、地面にゴザなどを敷いてその上で商品を売る露店が中心、ああ思い出した、初めて露店で買い物して、直後に誘拐騒ぎが起こったんだ!
いやぁ懐かしい。
少し前のことなのに遥か昔の話な気がするよ、いやぁ産んだなぁ。
なんて思い出に耽っていたら目的地についていました。
そこにあったのは周囲の緑を映すエメラルドグリーンの丸い池。
「お店の横に池なんてあったっけ?」
「グラが掘った!」
「およめしゃんが池あったら綺麗でしょーねって言ったんだって」
「水を提供したのはうちの亀、全力でゴマすりされた!」
緑と光がいい感じになるよう調整したり、石に苔を生やしたり、時には霧を発生させて恋人へサービスしたりなど、雰囲気作りに貢献しているんだって。
必至だな、亀くん。
「トカゲよ、池の中央に石があるだろ、あそこでたまに日向ぼっこしろ」
『基本的にこの池周辺が君の職場なの』
「パワースポットとして有名になったら許してやる」
そう言えば神薙さんの神社が拡大した要因の一つに、うちのタイガが産ませた子供が発する魔素量が濃すぎて神薙さんの神子として保護したのがあるなぁ。
あの子たちも今や立派な守銭奴に育って、孤児院と連携してポーションを売りさばいたりしてるんだよね。
……春日さん茶屋にゲームに新規のお店オープンにと忙しくしてるけど、魔素をどうにかする魔道具、ちゃんと作ったんだろうか。
「やっと捕まえたぁ」
『逃げ足天下一品ね』
「忘れたと思ったか、甘いな! 食い物の恨みは残るんだぞ!」
数日経ったけど殺気を向けられることもなく、捕まえる様子も視線を向ける様子もない、昼間は遊びに出ているのもあったんだろうなぁ。どうやら幼児三人組の作戦だったっぽいけど。
「喜べ、社会奉仕で許してやる」
『無償の愛よ』
「やらなきゃ殺る」
カステラの恨みは僕が思っているより深かった。
「なぁに、難しいことはないから怯えるなよ、あはははは」
『うふふー』
「げっへっへっへっへ」
笑っているはずなのに笑顔が怖い、涼玉は笑い方も怖いけど。
どこへ連れて行くのかと興味があったので、尋ねたら一緒に連れて行ってくれるそうです。
「お出かけ前に首輪を付けないとな」
『誘拐防止よ』
「ゆめゆめ逃げようと思うなよ」
盗み食いしたものが悪かった。
もしあれが夕食のつまみ食いとか、食後のデザート平らげたとかなら、まだ笑って許されたかもしれない、非売品だったのが運の尽きだねトカゲ君。
そして向かった先はお隣にある神薙さんの神社。
「わぁきょうも盛況だね」
「グラの息子がたまに店先で売り子してる時があるんだ。涼玉ぬいぐるみ抱いて挨拶をする姿を一目見ようと冒険者が日参してる」
『メロメロよ』
「食事処か社務所か拝殿、どこにいるかは気分らしい」
社務所の奥に引っ込んで居ない日ももちろんあるけど、笑顔見たさに夕方は冒険者の数が倍増するみたいですよ。
僕の関係者だからいつ成長してもおかしくない、今のうちに天然の可愛い幼児を愛でたい!というのが彼らの意見だとか。
うちの幼児は天然さがない、黒い、怖い、がめつい、純粋さがちょっと足りないとか好き勝手言われているようです。
アー君達はプリプリしているけど、ごめん、ちょっと分かる。
すれ違う参拝客に挨拶しながらたどり着いたのは、グラちゃんが責任者を務める食事処。
前に来た時より規模が大きくなっているね、人気があるんだろうなぁ。
それを言うなら神薙さんの神社の敷地全体が巨大化したよね、僕が転生した当初はもうちょっと小さかったような気がする。
確かあの頃の境内はもっとこじんまりしてたかな、木々に囲まれているのは変わらないけど、規模は近所にある小さな神社ぐらいで、ここまで賑やかではなかった。
屋台や社務所はなく、地面にゴザなどを敷いてその上で商品を売る露店が中心、ああ思い出した、初めて露店で買い物して、直後に誘拐騒ぎが起こったんだ!
いやぁ懐かしい。
少し前のことなのに遥か昔の話な気がするよ、いやぁ産んだなぁ。
なんて思い出に耽っていたら目的地についていました。
そこにあったのは周囲の緑を映すエメラルドグリーンの丸い池。
「お店の横に池なんてあったっけ?」
「グラが掘った!」
「およめしゃんが池あったら綺麗でしょーねって言ったんだって」
「水を提供したのはうちの亀、全力でゴマすりされた!」
緑と光がいい感じになるよう調整したり、石に苔を生やしたり、時には霧を発生させて恋人へサービスしたりなど、雰囲気作りに貢献しているんだって。
必至だな、亀くん。
「トカゲよ、池の中央に石があるだろ、あそこでたまに日向ぼっこしろ」
『基本的にこの池周辺が君の職場なの』
「パワースポットとして有名になったら許してやる」
そう言えば神薙さんの神社が拡大した要因の一つに、うちのタイガが産ませた子供が発する魔素量が濃すぎて神薙さんの神子として保護したのがあるなぁ。
あの子たちも今や立派な守銭奴に育って、孤児院と連携してポーションを売りさばいたりしてるんだよね。
……春日さん茶屋にゲームに新規のお店オープンにと忙しくしてるけど、魔素をどうにかする魔道具、ちゃんと作ったんだろうか。
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