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三食昼寝、家族付き
第899話
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ダンジョンに出たらボス部屋だった!
しかもボス戦真っ最中!
「あれ、ママ!?」
「イネス!?」
さらに言えば本日のボスはイネスでした!
「待っててね、瞬殺しちゃいます!」
「やめてやめて」
「せっかくネヴォラをすり抜けられたのに!」
「真面目にやり直すから許してーー!」
「い゙やぁぁ」
キャーキャー言いながら真面目に戦ってたはずの冒険者が一斉に逃げ始めた。
一人だけ野太い悲鳴の人がいるね、姿は少女なのに声がおっさんっぽいっていうか、あれが『男の娘』っていうやつだろうか。でも声がなぁ。
「ママ、ラーシャがサボっているから隣で茶でも飲もう」
『あれぇ?』
「そういえば元々のボスはラーシャだよな、なんでイネス兄が戦ってるんだ?」
「ラーシャ殿を守るためでしょうか?」
「イネスったら男前」
追いかけっこの邪魔にならないよう隅を移動し、ラーシャのもとへたどり着いたら剣を地面に刺した決めポーズのまま目を開けて寝ていた。
「余裕があるなぁ」
「悪戯……したらイネスがこっちに来るな」
『おやつー』
「起きたら真横でおやつタイムとか、驚くだろーな」
初級ダンジョンのボス部屋は円状の部屋に一定間隔で柱が立っていて、岩でゴツゴツしていそうな壁にはいくつもの戦闘痕が残されている。
ラーシャが立ったまま寝ているのは部屋の最奥、地面より30cmほど高くなっていて、どうやらボスが待機する場所らしい。
左右に扉があるのはボスの出入口だろうか――って強そうなゴブリンが出てきた。
「ぎゃぎゃ?」
「おっ、ボス筆頭!」
『こんちゃー』
「今日はとうちゃいないぞ、海釣りに行ったからな!」
「ぎゃ~」
涼玉の言葉に露骨にがっかりされた。
どうやらこの子が刀雲の将棋友達のようだ。
「今日はママのリクエストでキノコ採取に来た」
『夕食で食べるのよ』
「たくさん採取するけどいいか?」
「ぎゃ!」
「ん?」
ちょっと待ってろと身振り手振りで伝えると、ボスゴブリンが扉から出て行った。
どうしたんだろうね? と皆で首を傾げていたら数分もせず戻ってきました。
「ママ、キノコはモンスターが採ってきてくれるって。ご褒美に簡単なお菓子出して」
『貢がれちゃう』
「俺らのキノコ狩りがっ」
「また今度、森にでも行きましょう」
アー君に急かされてせっせとおやつを出していたら、正面の扉からモンスターが一斉に雪崩れ込んできて、イネスから逃げ惑っていた冒険者が絶叫した。
まだ生き残っていたようだ、中々逃げ足が速いですね。
でもイネスがまだ倒せないってことは、ボスをやるために能力が制限されてるのかな?
ありえそうだなぁ……って、冒険者がモンスターの群れに押しつぶされた。
ゴブリン、ウルフ、角のある兎、スライムという定番モンスターがそれぞれキノコを咥えながら僕らを見つめている。
幼児三人が僕が出したお菓子とキノコをせっせと交換しているのを、いつの間にかえっちゃんも手伝っていました。
そのままお昼をすることになり、生き残った冒険者も交えて賑やかなランチタイムに突入。
ゴブリンとえっちゃんの芸を楽しみながらへそ天で甘えるウルフを撫でまわし、たまに角兎をブラッシングしたりスライムを揉んだりしていたら部屋の扉が開き、少年一人と中年男性四人が入ってきた。
「ママ、誰か来たぞ」
『おっさんパーティーね』
「そういやここ、ボス部屋だったな!」
「そうだった! ごめんなさい、ボス戦やりますか?」
来客かと思ったら挑戦者だったようだ、呑気にランチしている場合じゃないね!
あと先頭の少年はなんでアイテムボックスから串焼き取り出して構えてるの? ウルフが飛び起きて涎垂らして凝視してるんだけど……なんだこの微妙に緊張感のない空間は!
しかもボス戦真っ最中!
「あれ、ママ!?」
「イネス!?」
さらに言えば本日のボスはイネスでした!
「待っててね、瞬殺しちゃいます!」
「やめてやめて」
「せっかくネヴォラをすり抜けられたのに!」
「真面目にやり直すから許してーー!」
「い゙やぁぁ」
キャーキャー言いながら真面目に戦ってたはずの冒険者が一斉に逃げ始めた。
一人だけ野太い悲鳴の人がいるね、姿は少女なのに声がおっさんっぽいっていうか、あれが『男の娘』っていうやつだろうか。でも声がなぁ。
「ママ、ラーシャがサボっているから隣で茶でも飲もう」
『あれぇ?』
「そういえば元々のボスはラーシャだよな、なんでイネス兄が戦ってるんだ?」
「ラーシャ殿を守るためでしょうか?」
「イネスったら男前」
追いかけっこの邪魔にならないよう隅を移動し、ラーシャのもとへたどり着いたら剣を地面に刺した決めポーズのまま目を開けて寝ていた。
「余裕があるなぁ」
「悪戯……したらイネスがこっちに来るな」
『おやつー』
「起きたら真横でおやつタイムとか、驚くだろーな」
初級ダンジョンのボス部屋は円状の部屋に一定間隔で柱が立っていて、岩でゴツゴツしていそうな壁にはいくつもの戦闘痕が残されている。
ラーシャが立ったまま寝ているのは部屋の最奥、地面より30cmほど高くなっていて、どうやらボスが待機する場所らしい。
左右に扉があるのはボスの出入口だろうか――って強そうなゴブリンが出てきた。
「ぎゃぎゃ?」
「おっ、ボス筆頭!」
『こんちゃー』
「今日はとうちゃいないぞ、海釣りに行ったからな!」
「ぎゃ~」
涼玉の言葉に露骨にがっかりされた。
どうやらこの子が刀雲の将棋友達のようだ。
「今日はママのリクエストでキノコ採取に来た」
『夕食で食べるのよ』
「たくさん採取するけどいいか?」
「ぎゃ!」
「ん?」
ちょっと待ってろと身振り手振りで伝えると、ボスゴブリンが扉から出て行った。
どうしたんだろうね? と皆で首を傾げていたら数分もせず戻ってきました。
「ママ、キノコはモンスターが採ってきてくれるって。ご褒美に簡単なお菓子出して」
『貢がれちゃう』
「俺らのキノコ狩りがっ」
「また今度、森にでも行きましょう」
アー君に急かされてせっせとおやつを出していたら、正面の扉からモンスターが一斉に雪崩れ込んできて、イネスから逃げ惑っていた冒険者が絶叫した。
まだ生き残っていたようだ、中々逃げ足が速いですね。
でもイネスがまだ倒せないってことは、ボスをやるために能力が制限されてるのかな?
ありえそうだなぁ……って、冒険者がモンスターの群れに押しつぶされた。
ゴブリン、ウルフ、角のある兎、スライムという定番モンスターがそれぞれキノコを咥えながら僕らを見つめている。
幼児三人が僕が出したお菓子とキノコをせっせと交換しているのを、いつの間にかえっちゃんも手伝っていました。
そのままお昼をすることになり、生き残った冒険者も交えて賑やかなランチタイムに突入。
ゴブリンとえっちゃんの芸を楽しみながらへそ天で甘えるウルフを撫でまわし、たまに角兎をブラッシングしたりスライムを揉んだりしていたら部屋の扉が開き、少年一人と中年男性四人が入ってきた。
「ママ、誰か来たぞ」
『おっさんパーティーね』
「そういやここ、ボス部屋だったな!」
「そうだった! ごめんなさい、ボス戦やりますか?」
来客かと思ったら挑戦者だったようだ、呑気にランチしている場合じゃないね!
あと先頭の少年はなんでアイテムボックスから串焼き取り出して構えてるの? ウルフが飛び起きて涎垂らして凝視してるんだけど……なんだこの微妙に緊張感のない空間は!
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