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三食昼寝、家族付き

第880話

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 お昼寝してたら何かまた召喚された。
 あれかな、一度召喚に巻き込まれると癖がつく感じですか?

「くぁぁぁ」

 しかも何と今回は世界で最も物騒な幼児、アー君が一緒なんです!
 お昼寝中に転がってしまったアー君を回収しようとした所に魔法陣ピカーッだったせいかな。

「ここ、どこ」
「また召喚されたみたい」
「またかー」

 大きなあくびをもう一つし、周囲を確認するアー君。

「暗くて何も見えない」
「そうなんだよね、どうしよ。石の床が冷たくて冷えてきた」
「昼寝中だったもんなぁ、アイテムボックス開ける?」
「試してみるね、うん大丈夫。あー良かったドリアンに言われて遭難セット入れておいて」
「……ドリアンナイス!」

 しかもこちらの靴、どんな過酷な環境でもボロボロにならないよう、特殊な龍の素材を使っております。
 防御力カンストポンチョと一緒に装備すれば世界の終焉も怖くない! ってぐらい防御力高いって騎士様が言ってた。

 もうこの世界で僕に傷をつけられるのってレイアさんとか騎士様ぐらいしかいない気がする。

「ポンチョは黒猫?」
「いつものに見えるけど、実はこっちも騎士様が素材を一から集めたやつなんだ」
「そのうちオリハルコンで装備作りだしそうだな」
「オリハルコンはこの留め具に使われてるよ」
「よし、パパがヤンデレ発症する前に帰ろう!」
「そうだね」

 意見が一致した所でアー君を抱っこして立ち上がった。

「ママ、体力温存するためにも俺を下ろして」
「大丈夫だよ、このポンチョには筋力アップを付与してもらってあるから」

 新しく作る際、何か欲しい機能はあるか聞かれたから、迷わず「幼児を抱っこしていられる筋力!」って答えたんだよね。
 涼玉はさすがに無理だけど、シャムスやアー君なら大丈夫。

「誰かいるかー?」
「っは!」
「明かりつけて」
「はい!」

 気のせいかとてもへりくだっているというか、高速でゴマをすっている感じがする。
 なんてことを思っていたら周囲に一斉に明かりが灯りました。

 正面に王座があり、王座を背に冷や汗をかいているガイコツがこの部屋のボスだろう。
 ガイコツなのに冷や汗かくって相当焦ってるね。

 振り向いて背後を見れば、男女混合の五人パーティーがいた。
 ああ、はい、テンプレの中でもギャグ寄りの展開ですね。

「正面にボスっぽいの、後ろにいかにもなパーティー、よし分かった!」
「うん、これは僕にも分かる」
「俺らを召喚したのは――」
「その人間どもです!」

 アー君がビシッと答えを言う前に顔の怖いガイコツがバラした。
 焦るガイコツに対し、展開に付いていけないのか固まっているパーティー、あっ、魔法使いっぽい服装をした人が昏倒した。

「あの、ガイコツさん、ここってどこ? 出来れば国名と場所を教えてくれる?」
「はい喜んで! あっ地図ありますが見ながら説明しますか?」
「見る! ママ行こう!」
「はいはい」
「その前に……スリーブ!」

 アー君が呪文を唱えると、人間パーティーがバタバタと倒れた。

「説明中に騒がれたり横やり入れられると面倒だから眠らせた!」
「ではゆっくり説明出来ますな、お茶でも淹れましょう」

 ガイコツが手をカシャカシャ叩くと、ゆらりと影から二回りほど小さなガイコツが出てきてテーブルや椅子のセットを始めた。
 とても手際がいい。

 見たことのある茶器、食べやすい一口サイズに切り分けられたサンドイッチ、椅子を勧められて座ったら目の前でお茶を淹れ始めたんだけど、馴染みのある日本茶の香りがしますね。
 あの、もしかして僕らの関係者知り合いにいます?
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