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女神の呪い

第865話

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 セティの夜襲が油断できないので、今夜セティは子供部屋で雑魚寝ですよ。

 砂漠の国の新たな神を雑魚寝させていいのかって?
 いいの、神だろうが何だろうがうちの子には変わりないんだから。

 僕は身の安全を第一に、調理場奥にある隠し部屋で就寝です。
 隠し部屋と言っても全く隠れてないし、誰でも出入り自由なんだけどね。
 この部屋の何がいいって……コタツがあるんだよ。

「は~あったかい」

 良い子の皆は夢の中で遊び倒すため、早寝だから助かるなぁ。
 今夜は刀雲もダンジョン遠征でいないので僕一人。

「きゃふ~」
「ひゃぅ」
「きゅぅぅ」

 訂正、なぜか三匹が一緒にコタツにあたっている。
 コタツは四面、僕が一つ使い、残り三つ。
 一匹で一つ使えばいいのに、体の大きさを変えてまで三匹で同じ場所に入ってもふっとしている。

「きゃぅきゃぅ」

 まったりしていたエムが不意に顔を上げ、僕に向かって甘えた声をあげた。

「もしかしておやつを要求かな?」
「きゃふ!」

 もぅ、仕方ないなぁ。

 何かいいものあるかな、メニュー画面でわんこのおやつ……そうだな、骨がいいかな?

「わんわんわんわん!」
「きゅぅんきゅぅん」
「……」

 画面にドドンと表示されたのは30cm以上はありそうなでっかい骨、オーストラリア牛の骨らしいんだけど画面に表示された瞬間、まったりダラダラしていた三匹が大興奮。
 飛び起きてエムは画面に向かって吠え、ローは甘えながら僕の首に顔をスリスリ、ルドは無言で僕の膝に顔をのせてじっとこちらを見つめている。

 わんこの甘えコンボかぁ、尊い。

 思わずぽちーっとしてまず一本取りだしたら、一斉に飛びついて三匹で仲良くガジガジと噛み始めた。
 いや、一本ずつだすつもりだったんだけどなー、まぁいいか。

「おや、良いものを食べておりますな」
「あれマールス、こっちに来るなんて珍しいね」
「涼玉様の夜食をもらいに来ました」

 あの子、夜食なんて食べてるのか……太るよーって、ドラゴンだから大丈夫か。
 お城の宝物庫に住み着いたはずだけど、ほぼ自宅で暮らしている気がする。
 改装終わったんじゃなかったっけ?

 いや、待て……それよりもホラーなことに気付いた。

「マールスってダンジョン攻略中じゃなかった?」

 邪神一家総出で暴れているはず、涼玉がお風呂に入らない理由にマールスを使って、セティに風魔法でさらわれたから間違いない。
 でも食後のデザート時にはいたよね、いつの間にかいて、誰もツッコミ入れなかったから気付くの遅れたけど……怖っ。

「この私は首の一つにすぎません、涼玉様のお世話をしたくて分離しました」

 あー……マールスって首7つぐらいあったっけ、あれ分離出来るんだねー、ドリちゃんみたい。
 ホラー展開よりはマシで良かった。

 それからマールスは涼玉の夜食にドリアンから鍋焼きうどんを受け取り、一礼して去っていった。

 ……えっ、それが夜食?
 予想以上にがっつり食べるんだね!?

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