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女神の呪い

第862話

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 その夜、ダンジョン攻略を切り上げてセティとカイちゃんが一時帰宅したんだけど、後ろにみたことのある魔人を従えていた。

 うちの子っていつ魔王に転職したんだろう?
 魔人を従えるセティか……似合うかも。

「ママー、あの赤い髪の魔人さんスカウトしてください、ブラッシングとってもお上手なんです」

 イネスが肉球で示した先にいたのは燃えるような赤髪の筋肉モリモリマッチョマン。
 暑いのか上半身はタンクトップ一枚、タイガと同じパワータイプかな?

「イネス!?」
「ラーシャが泣いてるよ?」
「ハーレムはおとこの夢なのです」

 イネスちゃんあの筋肉ムキムキを押し倒すつもりなの!?

「!!」

 ラーシャが言葉もなく泣き崩れたんだけど、フォローは誰がしてくれるのだろうか。

「イネス様、私は受け身はちょっと」
「えー」
「それに私は子供は産めません」
「そうなの?」
「はい、出身が異なる世界なので」

 ムキムキ赤髪さんは意外と言葉遣いが丁寧でした。
 不自然なぐらい動作も優雅。

 セティが教育したのだろうか?

「とりあえず座って、夕食までまだあるからお茶出すね」
「はい」
「イネス~」
「ラーシャ、エビ取ってください」
「まだ料理並んでないよ……」
「じゃあお風呂! 湯上りブラッシング!」
「分かった」

 イネスの要求を受け入れたラーシャがイネスをそっと抱き上げ、マントで優しく包むとお風呂に入るため静々と座敷を後にした。
 大事にする動作が身に沁みついているんだろうなぁ。

「兄ちゃん俺らは夜釣りしよう」
「わふ」
『お風呂回避するの』
「マールスが帰って来ないから俺、風呂に入れないもんねー」

 涼玉が何か言ってる。

「セティ、涼玉抱っこ出来ない?」
「やってみよう」
「ふふーん」

 余裕の涼玉に近寄ると、セティは涼玉をひょいと抱き上げた。

「!?」
「セティすげぇ!」
『すっごーい』
「本当だ凄い、頼んでおいてなんだけどどうやったの?」
「風の力で浮かせている」

 怪力ではなく魔力でごり押しでした。

「すっげー、セティすっげー! だが俺は風呂に入らない!」
「はははは」
「ぎゃーおろせー!」

 爽やかに笑いながらセティはそのまま涼玉をお風呂へと運んで行った。

「じゃあ僕らも入ろうね」
「ひぃ!」
『きゃー』

 アー君とシャムスは慈愛の笑みを浮かべるカイちゃんにさらわれていきました。
 さすがのセティも幼児には手を出さないだろう、ヨムちゃんは邪神一家として参加しているから帰宅は明日になるだろうし、きっと平和なお風呂タイムになるに違いない。
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