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湯水のごとくお金を使おう

第793話

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 十匹ほどまで増えた鶏から金色の卵を回収。
 お中元にもらった子を何とかここまで増やすことが出来ました。

 繁殖は比較的簡単なんだけど、この子達、お肉も至高の味で常に神薙さんに狙われているようなものだから増やすの大変だった。
 危機感から卵を産みまくって子孫を増やしてくれたけどね、おかげで鶏肉料理の質が上がりました。

 これを炊き立てご飯の上にパカッと。

「しょう油とぱーってして!」
「はいはい」

 いつでも炊き立てふっくらの白飯。
 自らの保身のため、栄養価値を高めた金の卵。
 僕らの会話を聞いていたドリちゃんが即席で作ったしょう油。

「はいどうぞ」
「いただきます! んーーー!!」

 ネヴォラが専用スプーンで豪快にいき、頬っぺたを抑えてジタバタしているのが可愛い。

 僕もネヴォラに倣ってパクリと一口。
 至福の味。

 お味噌汁とたくあん欲しいけど、これはおやつ枠、おやつ枠なんだ。

「しあわせぇ」

 ネヴォラの目が溶けている。

 味わいながらしばし二人とも無言で食べた。
 目玉焼きや厚焼き玉子もいいけど、シンプルに食べるのもやっぱりいいなぁ。

 食べ終わる頃、タイガが休憩に現れたので追加で卵かけご飯をもう一杯。

「うむ」

 頭にタオルを巻いたタイガはどこからどう見ても職人にしか見えない、アイテムボックスがあるからそこに食料を入れて引きこもっちゃうんだよね。
 ラセンのもとに帰らなくていいのだろうか?

「タイガ、タイガ!」
「うむなんだ?」
「わたしも専用の釣り竿ほしーの!」
「そうか、何を釣りたい?」
「池の魚!」

 ビシリと池を指さすネヴォラ。
 あの池はトラちゃんを始め、生態系が謎で手強い魚しかいないけど大丈夫だろうか。前回引き上げられなくてクラーケンに助けてもらってたよね。

「トラちゃん一家の引きは強いからな、ネヴォラなら釣るより直接攻撃した方が勝てそうだが」
「んーん、釣りすんの」
「そうか。素材はどうする」
「イネスに聞いてみる、じいちゃんとお揃いの釣り糸ほしいなぁ」

 その夜、ラーシャの腕に抱かれて夕食を食べに現れたイネスにネヴォラが素材提供をお願いした所、イネスがラーシャの顎に噛みついてブチッと何かを引っこ抜いた

「――っい」
「はいです、ラーシャって体毛薄くて使いにくいけど、タイガなら平気ですね」
「イネス痛いんだけど」
「イネスあんがと! 釣り竿出来たら一番最初に釣った魚はイネスにあげる!」
「わぁ嬉しいです。楽しみにしてますね」
「俺の意見は!?」
「ラーシャはあごひげ似合わないからない方がいいです」
「ひっどぉい」

 王子から遠ざかる為に渋さを出したいらしいラーシャが、最近髭を伸ばしているのだけど当然イネスには不評。
 鋭い爪で攻撃して剃ろうするイネスと、王子バージョンから逃げたいラーシャの攻防は犬も食わないあれですね。
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