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湯水のごとくお金を使おう

第788話

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 皆さんはボスフィールドとやらをご存知でしょうか。
 僕もよく知らないけれど、女神様曰く「ボス戦のための特殊領域」だそうです。

「多分、トラちゃんから神薙の話を聞いて本能で取得した能力だろうな」
「ボス戦でお庭破壊したら問答無用で神薙さんのご飯ですもんね」

 栗ご飯のために皮を剥いていたら春日さんが遊びに来て、クラーケンの能力について解説してくれた。
 さすがゲーム脳、実は女神様とゲーム友達だったりするのだろうか。

「僕はずっとクラーケンには感情とかない、ただの機械的な生き物だと思ってたんです。でも最近は高笑いしたり、ネヴォラのお願い聞いたり個性が出てきた気がして」
「まぁ普通、魔物はそんなに感情豊かじゃないわな」
「やっぱりここに住んでいる影響でしょうか」
「多分」

 ですよね。

「そういえば先日、たい焼き作ったんですが、たい焼き機いりませんか? お子様用にドリちゃんがミニサイズ作ってくれたのですが、ネヴォラが欲しがって数個追加で作ってもらったんです」
「いるいる、出来れば三つくれ」
「そんなに?」
「一個はホームで使う用、二つは茶屋で使わせてもらう」

 メニューも従業員も増えて経営は順調のようです。
 
 白熊さん、アー君が帰ってこない寂しさを働いて紛らわしているらしく、夜は料理の研究に没頭しているみたい。
 これでまた研究内容が増えたね。
 あんこだけでも種類が豊富なのでぜひ頑張ってほしい、ところであんこの原料ってなんだっけ?

 ……レシピにはあんことしか書いてないですが、調達方法とかは春日さんに相談をお願いします。

「おーい」
「GYAAAAAA」

 春日さんが池に向かって呼びかけたら、雄叫びをあげながらクラーケン登場。

「来い」

 号令をかけられたクラーケンが池から豪快に飛び出し、空中で回転しながら縮小する曲芸を見せてくれた。

「キュルルルル」

 30cmぐらいのぬいぐるみサイズになって春日さんの腕の中に着地したクラーケンは、目を細めハートを飛ばし甘えた鳴き声を発している。
 春日さんのペット枠なんだろうか、もしかして。

「さて能力調節するか、ステータス」

 能力チェックのために来たのか、栗を察知した訳じゃなかったんですね。

「回復機能に異常はないな、順調にレベルが上がっている」
「イネスがネヴォラと組んで挑んでいるんです」
「倒せても自動蘇生かかるようにしとこうか」
「えっ、その子倒せるんですか!?」
「一応倒せないこともない」
「?」
「こいつの核、シャムスのスライムで覆ってあるんだ」

 弾力性に定評のある守りですね。

「神薙の怒りを買って丸ごと飲み込まれたら確実に死ぬ」
「それって魂ごと食べてますし、蘇生無理じゃないですか?」
「まぁな!」

 神薙さんにとって魂はスナック菓子みたいなものらしい、セバスチャンのダンジョンでもらった冷え冷え魂を夜の晩酌の肴にもぐもぐしてるのを見かける。
 大事に食べてはいるけど、そろそろ終わりそうなのでまた行きたいと呟いていたなぁ。

「よーし、チェック終了。ほれイカ飯」

 与えられた物を嬉しそうに食べているけど、それって共食いになるんじゃないかなぁ?
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