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湯水のごとくお金を使おう

第725話

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 三つ目と思ったら九つも目があったこちらの元毛玉くん、本性は瑞獣・白澤でした。

 聖水風呂に入れた後、全身を聖なる香油でもみもみしたら穢れが落ちて本来の姿を取り戻し、さらにそこから進化して人化致しました。
 彫刻のような肉体に地面に流れる長い白髪、空を映した瞳、頭に生える二本の角を持つ中々のイケオジです。

 人化したのは、我が家に来てからずっと聖なる作物もしゃもしゃしてたしね、きっとその影響もあるはず。

「そもそも聖なる作物って何、と俺は言いたい」

 騎士様が頭を抱えて悩んでいらっしゃる。

「マーマー」
「はぁい」
「あーん」

 でもごめんなさい、僕はアー君との約束を履行するのに忙しいのです。
 膝枕でご機嫌なアー君の口に握り寿司を運ぶ、行儀が悪いけれど仕方がない、約束ですから。

「俺のりきさく」
『涼ちゃん頑張ったの』
「うぅ、ご都合主義が無双してるよぉ」
「本来なら千年に一度実をつけるレベルの木が群生してる上に、豊作だもんなぁ」

 めそめそしている騎士様に春日さんが追い打ちかけている。
 春日さんがなぜここにいるかと言うと、別に騎士様のフォローをするためではない、単に聖なる果実を受け取りに来て偶然居合わせただけなんだよね。
 今日はリンゴがご希望、皆でジャムを作るんだって。

「この黄金のリンゴだって、数百年に一度実ればいいレベルだもんなぁ、それが食べ放題、チートって凄いな」
「俺すごい?」
「うん、涼玉の能力は普通に凄い。おかげで他国に輸出する余裕も生まれたしな」
「うへへ」

 春日さんに褒められて涼玉もご満悦です。
 
「本当にこの子どうしようか」
「俺のとこはチビばかりだからお断り」

 おっさんは要らないのか、ショタばかり集めてるとシヴァさんと同類と勘違いされますよ~。

「好きにさせるにもこの天然さが心配だな」
「むしろこの国に無事ついた事を褒めたいよなー」
『偉いのー』
「俺ら兄弟のこうごうしさに導かれたか!」

 涼玉がちょっぴり調子に乗っているけれど、可愛いしマールスがデレデレになってるから放置。

「好きにさせるにも外敵がいない所がいいよねぇ」
「雷のところはー?」
「外敵だらけだね!」
『だめかー』
「ベビーシッターにいいと思ったのに」

 握り寿司を食べ終えたアー君は起き上がると今度は僕の膝の上に座った。
 離れる気は一切ないようです、べったりなアー君も可愛いな。

「もううちに置いとけばー?」
「流れ的に絶対、樹に手を出すよね!」

 女神様の強制力があるとしたら出されちゃうだろうなぁ、あの呪い、強力だから。
 そうなると生まれるのは白澤Jr?

『ライバル増えるのは嫌みたいだな』
『つけるお薬ないの』
『もう家族になっちゃえばいいのに』
「っぐ」

 子供達の内緒話に騎士様がダメージを受けた。
 何を言ったんだろう?
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