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湯水のごとくお金を使おう

第717話

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 駆け込んできた衛兵さんがアー君を見つけるなり目を吊り上げた。

「アルジュナ様!」
「はい!」
「あの覗き魔撤去してください!」

 不穏を通り越して犯罪警報。
 でも撤去?
 ……あ、あートレントかぁ。

「アー君、トレントの種、宿舎のどこに植えたの?」
「まよこ」
「ちゃんとはなしたよ」
「おおきくなるからな」
「もしかしてトレントが動くこと忘れてた?」

 YESの返事を頂きました。

 まぁドリちゃんは同じ場所から動かないもんね。今は。
 今の場所に収まる前はちょいちょい場所移動してたんだよ。

「今や宿舎に張り付くように、いえ、張り付いていて室内が暗いんです! でもそれだけならまだ許せるかもしれない、けど!!」

 みなまで言わなくてもなんか分かった。
 出羽亀、なんですね。

 涙ながらに衛兵さんが語った内容は、女神様が聞いたら喜びそうなことだった。

 今日明日と休日だから朝から恋人とデートついでに食料やあれこれ道具を買い込み、部屋に戻って楽しもうとしたら窓の外に朝はなかったはずの木があった。
 違和感を持ちつつも、盛り上がってるままに唇を貪り、互いの服を脱がしあい――

「あの、その辺の濡れ場描写は省いてもらっていいですか?」
「そんなぁ」

 語り手に残念がられた。
 いいからさっさと要点を話す!

「盛り上がって窓際に移動しようとしたら、窓から木が覗いてたんです」

 ちなみに枝を伸ばして他の部屋も同時に覗いていたらしく、別の部屋からも悲鳴が聞こえてきたそうです。

「ちょっと待った。もしかして覗かれたまま続行したんですか?」
「とりあえず収まりがつかなかったので、最後まで走り抜けました。見られながらだったせいかいつもより燃えましたよ」
「すごいどうでもいい」

 見られて燃え上がったならもうそのままで良いのでは?

「良くないです! アイツの肌を見ていいのは俺だけ!」

 あっ、そっちでしたか。
 一応これは嫉妬に入るのだろうか?
 ないと思っていたけど、あったんだ嫉妬という概念。
 UMAユーマを発見した気分です。

「さてアー君どうする?」
「出羽亀だけど覗きの代わりに後始末してくれるらしい」
『見学料』
「そのためだけにクリーンを取得したってタイガが言ってた」
「嫌な木ですな」

 さらには普通のプレイに飽きてきたカップルには触手でお手伝いもしてくれる……出羽亀どころか参加するのかぁ、僕ってもしかして一つ間違えばトレント産んでた?

「覗くため人間に媚びるから、多少交渉は出来るぞ」

 それってつまり、覗きを阻止するの無理ってことじゃ。

「切り倒すとか出来ないの?」
「厄介なことに、見た映像を女神に献上することで加護をもらってるんだなぁ」
「うわぁ」

 最悪に厄介な魔物だね。

 衛兵さんは「皆と相談してから交渉してみます」と言って帰っていった。
 撤去出来ない以上、うまく共存してください。

 ふぁいと!
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