上 下
714 / 1,127
湯水のごとくお金を使おう

第706話

しおりを挟む
 さてさて、今度はどんな悪戯したのやら。

 昨日は屋形船、今日は涼玉が二人に増えていた。
 片方はスライムだろうか。

「ママ、さぁ大変、悪魔が出現して涼に化けた!」
「アー君が犯人かぁ、ほら、おやつにするからドリアンにクリーンかけてもらってね」

 悪魔なんてどこで拾ってきたんだろう、ダンジョンかなぁ?

「おやつなにー?」
「蒸しパン、フルーツ味」

 飲み物はお好みの味のミルクを選んでね。

「シャムス、何味にする?」
『いちご』

 きゃっきゃと味を選ぶアー君、涼玉と悪魔が放置プレイ。
 マールスも困った顔でそわそわしている、そうか、解決しないと涼玉抱っこ出来ないのか、巻き込まれて不憫だね。

 放置しようとしたけど涼玉の視線と涎の圧力に勝てなかった。
 仕方ないなぁ。

「はいはい、おやつの時間ですよー」
「……」

 呆然としている所を抱き上げて席に座らせる。

「はい、野菜ジュースあーん」
「あ、あーん」

 この子、演技下手。
 仮にも悪魔なんだからもっと開き直らないと、よりによって何で我が家の幼児に擬態したんだろ、幼児なら舌足らずでごまかし易いと思ったのかな?

「ほうれん草味ですよー」
「あー」

 あとうちの子は野菜味のおやつなんて滅多に食べません。
 ほらご覧、シャムスはいちご、アー君はリンゴ味、本物の涼玉は桃味を選んでるよ。

「そもそも」
「!?」

 膝の上に抱き上げたら体が一瞬固まった。

「うちの涼玉は重くて抱き上げられる人って限られてるんだよね」
「なんだと!!」

 クワッと叫んだけどもう遅い、君の体は僕の腕の中だ。
 アー君の悪戯に加担した罰として、全力で愛でてやろう、ほらほらぎゅーーー。

「ぐああああ!! 癒される! やめろぉぉ!」
「あー、やっぱり母上も弱点に入るのか」

 涼玉だったものがあら不思議、丸々と太った幼児に変身。

「笑える」
『デーモンちゃんの負けー』
「俺に成り代わろうなんて、演技が雑なんだよ!」
「そうですぞ、そもそも再現が甘い!」

 巻き込まれたマールスが憤慨して涼玉のことを熱弁し始めた。放っておこう。

「おのれ、どこでバレたんだ」
「割と最初からバレバレだったんじゃないか? 抱き上げられたのに喜びも笑いもしないなんてありえない」
「この子どうするの?」
「俺の兄弟を騙ろうとした罰として百年幼児の刑、そして――シヴァ召喚!!」

 光の速さで転移してきたシヴァさんに演技下手な悪魔が渡され、事情を説明された。

「可愛らしい、悪魔さんですねー」
「ぎゃあぁぁああ、男児守護神がなぜここに! 助けてーーー!!」
「ああ愛らしい」

 まん丸幼児の全身を撫でまわしながらシヴァさんは帰っていった。

「ふぅ、面白かった。おやつ食べよう」
「ちゅぎはチョコあじ」
「マールス、語りはもういいからレモン味取ってー」
「はい!」

 悪魔幼児以外はみんな幸せな結果になった。
 しかしあの人、悪魔界でも有名なんだな、ショタ守護神として。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ご主人様と猫少年

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:272

盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:1,766

【完結】オオカミ様へ仕える巫子はΩの獣人

BL / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:408

あまりものの神子

BL / 連載中 24h.ポイント:20,919pt お気に入り:1,931

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:13,938pt お気に入り:497

四人の魔族とおいしい私

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:45

シーメール精神鑑定医・指尻ゑ梨花 ファック・パペット達の図形定理

ミステリー / 完結 24h.ポイント:426pt お気に入り:142

処理中です...