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湯水のごとくお金を使おう
第690話
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焼きあがった焼き芋に切れ目を入れて、はちみつとチーズをたっぷりかけて焚き火台にセット。
「ほあああ」
「涼玉様、出来上がるまでこちらを」
「いもー!」
焼いただけの焼き芋は炎に放り込むだけで出来るからいつでも食べれる。
マールスは涼玉のためにさつま芋だけでなく、焼き芋を食べるためのバターやマーガリン、塩などの調味料を持ち歩いている。
献身的だよね、甘やかしているとも言うけど。
さつま芋をすり潰して簡単スイートポテトも作って、焚き火台にセットすればいつでも食べれる。
こんがりしっかり焼けるけど、絶対に真っ黒に焦げて炭にはならないのがこの台の特徴、いやこれ台の能力じゃなく涼玉の炎の力だね。
素晴らしいのでスイートポテトには生クリームもサービス。
「イーツキー」
猫なで声ですり寄ってきた金ちゃん、目的はおやつですね。
よしポイントアップの為にちょっとサービスしましょう、まずすり潰したさつま芋をハート型スイートポテトにし、お皿に乗せてキウイフルーツと生クリームを添え、チョコレートソースをかけます。
「はいどうぞ、銀ちゃんも一緒にお食べ」
「キィ」
「美味そう!」
「ママ、俺のは? 俺のは!?」
目を輝かせる涼玉の手には二本の焼き芋、口元にはマーガリンがついてる。
「涼玉は欲張りだね」
「食べざかりだぜ!」
『ぼくも』
「わぅわぅ」
エムの背に乗ってシャムスがこちらへやってきた。
ローとルドは追加のさつま芋を収穫するため、木に体当たり中、あれで幹を傷めずさつま芋が落ちるだけとか、うちの子に都合がいい仕様だよなぁ。
「こっちよりそっちがいい!」
「あれ?」
アー君の気が逸れて庭に飛び出してきた。
座敷からこちらを見るアカーシャの視線が痛い。
「アー君、お客さんはいいの?」
「大丈夫、大丈夫、テンプレだから!」
笑顔で焚き火に腕を突っ込むアー君、うちの子は火炎無効や状態異常無効があるからいいけれど、よい子は真似しないでね。
「えっとあの第三? 第二王子? は側室の子供で継承権が低い、子供の頃は神童と呼ばれていたけど暗殺されそうになったから、無能を演じるついでに顔に痣を作って周囲と距離を取ったんだって」
「おおテンプレ、でもちょっと詰め込みすぎなような」
「与えられた婚約者は魔力なしの上に病弱ゆえに疎まれ、実家で継母と義理の妹から虐待を受けていた不遇の身」
「ああ、うん、女神様の趣味の範囲だね」
「無能同士お似合いだと国では蔑まれていたけど、刀国が留学生受け入れを始めたのを聞いて逃げるようにうちに来たんだって!」
「ねぇアー君」
「おう」
「女神様の趣味を絞る方法ってないのかな?」
「ないな!」
ですよね。
過去に騎士様も趣味を絞らせようとして、かえって範囲が広がったことがあるもんね。
「でもなママ、今のは二人の身の上であって『ざまぁ!』の部分はここから」
そこまで言ってガブッと焼き芋にかぶりつく。
「はふはふ」
『おいちーね』
「マールスお代わり!」
「はい」
焼き芋パーティーを眺めていたアカーシャが諦めたようにため息を吐き、庭に降りてきて焼き芋を三つマールスから受け取ると座敷に戻っていった。
王族が焼き芋を食べるのだろうか?
「オチとしては痣はただの幻影で、取るとエルフ並みの美形」
『てんぷれぇ』
「あるあるだな」
「婚約者の方は魔力なしでも病弱でもない、ただの魔力枯渇」
『せいじょ』
「がふがふ」
「マールス、涼に飲み物」
「はっ!」
焼き芋を口に詰め込みすぎて涼玉の頬がリスのように膨れている。
ちょっとお行儀悪い気もするけど、可愛いからいいの、幼児だし。
「話を聞いた限り、物心つく前から国の安寧を女神に祈ってたみたいだなー。白髪と薄幸そうな雰囲気が女神に気に入られて、魔力と引き換えに祈りを叶えてたっぽい。魔力全てを使って国を守護する結界を張ってりゃ、まぁ魔力枯渇にもなるさ」
「女神しゃまに気に入られたのが一番のふこーよね」
「薄幸美人が溺愛されて幸せになる。確かに好きそうだね」
しかし可哀想なぐらい設定詰め込まれてるなぁ、ざまぁが終わった後は設定から離れて幸せになってほしい。
「二人ともこのまま刀国に亡命でいいと思う、戸籍は女神に言えばどうにでもなるし」
「なっちゃうの」
「国を守っていた聖女の祈りが消えた今、無事じゃすまないだろうな~」
小さな違和感から始まって、国が崩壊するのもあるあるだね。
男を聖女と呼んでいいかが微妙な疑問だけど、まぁいいか。
「でも女神様って今はラセンのところだし、一連の流れ見る暇あるか怪しいよ」
「八つ当たりという名の神罰が下るまでが『ざまぁ』ってやつだな」
『次のスタンピードは乗り越えられないの』
「辺境へと追放された魔力なし~国を守っていたのが私だと今更気付いてももう遅い、私は婚約者と自由に生きる~」
「涼玉……女神様から借りた本読むのやめようか」
「えー」
幼児になに読ませてるんだあの女神。
どうせ読ませるなら可愛らしい絵本とかにしてほしい。
「ほあああ」
「涼玉様、出来上がるまでこちらを」
「いもー!」
焼いただけの焼き芋は炎に放り込むだけで出来るからいつでも食べれる。
マールスは涼玉のためにさつま芋だけでなく、焼き芋を食べるためのバターやマーガリン、塩などの調味料を持ち歩いている。
献身的だよね、甘やかしているとも言うけど。
さつま芋をすり潰して簡単スイートポテトも作って、焚き火台にセットすればいつでも食べれる。
こんがりしっかり焼けるけど、絶対に真っ黒に焦げて炭にはならないのがこの台の特徴、いやこれ台の能力じゃなく涼玉の炎の力だね。
素晴らしいのでスイートポテトには生クリームもサービス。
「イーツキー」
猫なで声ですり寄ってきた金ちゃん、目的はおやつですね。
よしポイントアップの為にちょっとサービスしましょう、まずすり潰したさつま芋をハート型スイートポテトにし、お皿に乗せてキウイフルーツと生クリームを添え、チョコレートソースをかけます。
「はいどうぞ、銀ちゃんも一緒にお食べ」
「キィ」
「美味そう!」
「ママ、俺のは? 俺のは!?」
目を輝かせる涼玉の手には二本の焼き芋、口元にはマーガリンがついてる。
「涼玉は欲張りだね」
「食べざかりだぜ!」
『ぼくも』
「わぅわぅ」
エムの背に乗ってシャムスがこちらへやってきた。
ローとルドは追加のさつま芋を収穫するため、木に体当たり中、あれで幹を傷めずさつま芋が落ちるだけとか、うちの子に都合がいい仕様だよなぁ。
「こっちよりそっちがいい!」
「あれ?」
アー君の気が逸れて庭に飛び出してきた。
座敷からこちらを見るアカーシャの視線が痛い。
「アー君、お客さんはいいの?」
「大丈夫、大丈夫、テンプレだから!」
笑顔で焚き火に腕を突っ込むアー君、うちの子は火炎無効や状態異常無効があるからいいけれど、よい子は真似しないでね。
「えっとあの第三? 第二王子? は側室の子供で継承権が低い、子供の頃は神童と呼ばれていたけど暗殺されそうになったから、無能を演じるついでに顔に痣を作って周囲と距離を取ったんだって」
「おおテンプレ、でもちょっと詰め込みすぎなような」
「与えられた婚約者は魔力なしの上に病弱ゆえに疎まれ、実家で継母と義理の妹から虐待を受けていた不遇の身」
「ああ、うん、女神様の趣味の範囲だね」
「無能同士お似合いだと国では蔑まれていたけど、刀国が留学生受け入れを始めたのを聞いて逃げるようにうちに来たんだって!」
「ねぇアー君」
「おう」
「女神様の趣味を絞る方法ってないのかな?」
「ないな!」
ですよね。
過去に騎士様も趣味を絞らせようとして、かえって範囲が広がったことがあるもんね。
「でもなママ、今のは二人の身の上であって『ざまぁ!』の部分はここから」
そこまで言ってガブッと焼き芋にかぶりつく。
「はふはふ」
『おいちーね』
「マールスお代わり!」
「はい」
焼き芋パーティーを眺めていたアカーシャが諦めたようにため息を吐き、庭に降りてきて焼き芋を三つマールスから受け取ると座敷に戻っていった。
王族が焼き芋を食べるのだろうか?
「オチとしては痣はただの幻影で、取るとエルフ並みの美形」
『てんぷれぇ』
「あるあるだな」
「婚約者の方は魔力なしでも病弱でもない、ただの魔力枯渇」
『せいじょ』
「がふがふ」
「マールス、涼に飲み物」
「はっ!」
焼き芋を口に詰め込みすぎて涼玉の頬がリスのように膨れている。
ちょっとお行儀悪い気もするけど、可愛いからいいの、幼児だし。
「話を聞いた限り、物心つく前から国の安寧を女神に祈ってたみたいだなー。白髪と薄幸そうな雰囲気が女神に気に入られて、魔力と引き換えに祈りを叶えてたっぽい。魔力全てを使って国を守護する結界を張ってりゃ、まぁ魔力枯渇にもなるさ」
「女神しゃまに気に入られたのが一番のふこーよね」
「薄幸美人が溺愛されて幸せになる。確かに好きそうだね」
しかし可哀想なぐらい設定詰め込まれてるなぁ、ざまぁが終わった後は設定から離れて幸せになってほしい。
「二人ともこのまま刀国に亡命でいいと思う、戸籍は女神に言えばどうにでもなるし」
「なっちゃうの」
「国を守っていた聖女の祈りが消えた今、無事じゃすまないだろうな~」
小さな違和感から始まって、国が崩壊するのもあるあるだね。
男を聖女と呼んでいいかが微妙な疑問だけど、まぁいいか。
「でも女神様って今はラセンのところだし、一連の流れ見る暇あるか怪しいよ」
「八つ当たりという名の神罰が下るまでが『ざまぁ』ってやつだな」
『次のスタンピードは乗り越えられないの』
「辺境へと追放された魔力なし~国を守っていたのが私だと今更気付いてももう遅い、私は婚約者と自由に生きる~」
「涼玉……女神様から借りた本読むのやめようか」
「えー」
幼児になに読ませてるんだあの女神。
どうせ読ませるなら可愛らしい絵本とかにしてほしい。
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