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湯水のごとくお金を使おう

第673話

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 食堂が無料と言っても、費用は動いているのだろう。
 我らのワガママで弟を住まわせてもらうのだから、支援をするのは当然のこと。
 何せ弟には邪神の子であるマールスも付いてくるからな、えっ、人手が足らないから勘弁してほしいと? ははは、足りないなら雇えば良いではないか、人件費の予算が足りないというなら我の小遣いから出すから安心せよ。


 アー君が嘆く文官さんを前に嘘くさい笑顔でつらつらと語っている。
 言葉遣いを大人に寄せている所がうさん臭さ倍増だよ。

「もう国庫は破裂寸前、いえ、破裂したんです!」
「物理的に!」
「パパが空間を無限拡張したからへーきへーき」

 その瞬間、怨念のこもった視線が一斉に騎士様に向いた。

「えっ、ここって感謝されたり褒められる所じゃないの?」
「気持ちを代弁すると『余計なことしやがって』って所じゃないでしょうか」

 ほら皆さんが一斉に頷いてる。
 物理的な限界があったから制限かけられたのに、空間を無限大にしたら素材入れ放題ですからね。

「今までは容量的に遠慮してたけど、これからは魔物丸ごとも問題ないな。ああ宝物庫に入れた魔物は肉も素材も好きにしていいからさ」
「魔物はギルドにお願いします!!」
「ギルドを巻き込むな! 城で解体しろ!」

 ギルド長も来ていたようで、文官さんの言葉に文句を言っている。

「解体の職人はいません!」
「鳥とか捌いてるんだからいけるだろ!」
「頭だけで鶏の三倍以上ある魔物など捌けんわ!!」

 言い争いに筋肉ムキムキのコックが参戦した。
 ぱぁっとアー君の表情が輝き、嬉しそうに手を振っている。知り合いらしい。

「料理長ー!」
「アルジュナ様、肉はモールから購入していますので、そちらに納品してくだされ!」
「母様どうしよう、僕に飛び火した!」

 ぐるっと回ってアカーシャにお鉢が回ってきたようだ。

「そっか、アカーシャのとこなら刀国全体に繋がってるもんな」
「母様助けて、アー君の無茶がこっち向いた!」
「商業ギルドをフル回転させれば何とかなるって!」

 そうそう。と会場全体が頷いている気配。

「アー君だけでも商業ギルドに納めるようにすれば、少しはお城も楽になるんじゃないかな?」
「俺だけ?」
「うん」
「俺以外は今まで通り?」
「うん」

 アー君の戦利品はアカーシャに任せるので、神薙様やレイアさんの分はお願いします。
 お城の負担も少し楽になるはず。

「そんな神子様!」
「他の方も引き受けてほしいです!」
「神々を説得してください」
「えっと」

 文官集団から一斉にクレームが入った。

「あの、神薙さんやレイアさん達については騎士様を説得してください」

 ちょうどこちらにいらっしゃいますし。

「あれ? 今度は俺に飛び火した?」
『騎士しゃま上司なの』
「せきにんしゃだもんな」

 会話に入って来ないと思ったら、シャムスを高い高いして遊んでいた。
 アー君の暴走を止めるのは本来なら騎士様の役割な気がするのですが。

 ところで。
 そろそろあのフランス人形みたいな女の子に付いてツッコミを入れた方がいいのだろうか?
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