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湯水のごとくお金を使おう

第666話

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 バザー前哨戦が終わり、明日はいよいよ本番、城下はそわそわとした雰囲気に包まれいる。
 冒険者はせっかく稼いだお金を消費しないように大人しくする人、もうちょっと稼ごうとする人など様々だ。

 バザーのために稼いだ人達の財布を狙い、いつにも増して盛況な屋台街。
 人が多過ぎて僕は入っていける気がしません。

「弾き飛ばされる以前に、潰される予感しかしないよアー君」
「うん、遊びに行く前に様子見して正解だな」
『ひょえー』
「マールスなら行ける?」
「恐らく」

 屋台目当てに遊びに行こうと思ったけど、ドリアンに止められてまずは広場の様子を見ようと言うことになったんだ。
 今はアー君の氷をスクリーンに、庭に広場の映像が映し出されている。
 水鏡、氷バージョンだね。

 そしたら案の定、人が溢れて大変なことになっていた。
 あれじゃ馬車も通れないだろうな、あっ、貴族っぽい人が怒鳴り散らして屋台のおばちゃんに腹パンされて気絶して流れるように巡回兵に回収された。

「刀国で騒ぎを起こす貴族って全員他国の人間なんだよなぁ」
「刀国の貴族は?」
「噴水近くにテーブル席があるだろ」
「うん」
「あそこで冒険者と乾杯してるおっちゃん、刀国の公爵家の当主」

 髭が立派な以外は普通のおっちゃんにしか見えない。

「えー画面を移動してー、おおいたいた。あの子供に群がられているロマンスグレーは大臣の一人、甘いもの好きでよく城を抜け出してる」
「さぼり!?」
「口止め料として子供に奢るからとても人気」
『アカーシャも奢ってもらったことあるって』
「新作出ると必ず出現するらしいぞ」

 もちろん新作情報は街の子供から、情報料としてお小遣いもくれるらしいです。

「あそこで腕まくりしてかき氷屋手伝ってるのは財務大臣」
『サボりなの』
「寝る暇ないはずだよな」
「息抜きも大事だよ」

 そういう事にしてあげて。
 他にも数人、アー君が見つけて教えてくれた。

「これはまずい」
「どうしたの?」
「サボり人数多過ぎて見逃してもらえないかも!」

 平常時ならまだしも修羅場中、猫の手も借りたいのに城下でお祭り楽しむなど同僚が許さない。
 公爵のおっちゃん何て公務中なのに飲酒してるね、確かにバレたら国王様が妬みそうだ。

 あっ、鬼の形相をした騎士団が来た。

 逃げ出した人は全員刀国の貴族だって。
 公爵家当主は逃げ出さず、冒険者の群れに紛れて息をひそめていた。まぁ即バレたけど。

「短い逃走劇だったな!」

 結局、屋台街にいた刀国の貴族は全員捕獲され、騎士団によって連れていかれた。

「きっと城は今頃地獄絵図だし、戻ったらペナルティとして休みなしの徹夜かなー?」

 ゾンビ大量発生の一端がうちの子ゆえに、僕としてはちょっと複雑。
 全部終わったら刀雲経由で差し入れしよう。
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