神様のポイント稼ぎに利用された2

ゆめ

文字の大きさ
上 下
651 / 1,127
湯水のごとくお金を使おう

第644話

しおりを挟む
 お城の食堂で刀雲と合流、お昼を一緒に食べてキャッキャウフフして、刀雲は再び仕事に戻り、僕らは文官さんと一緒に再び宝物庫へ。
 着いたらアカーシャと爺やさん、その他数人が待っていた。

「母様」
「アカーシャ来るの早いね!」

 学園は?

「課外活動として認めてもらった」

 その背後にズラリと並ぶ老若男女は商人の方々だろうか。
 爺やさんが前に出てきて、文官さんと二言三言打ち合わせして何やら始めた。

「よぉイツキ」
「レモン国の王子!」
「アランな」

 なぜか一緒に本物の王子まで来ていた。
 聞いたら課外活動の見学として認めてもらったそうです、緩いところは緩いんだねあの学園。

「お前ら……やってくれたな、王命でマシューと婚約が成立したよ!」
「へぇおめでとー」
「ママ、ママ、言いだしっぺ俺!」
『忘れてた』
「言ってた気がする」

 日々楽しく過ごしているからすっかり記憶の彼方でした。
 そう言えばちょっと前にアー君らが内政干渉するために、交流のある国を政略結婚で縁を繋げたいって言ってたっけ。

 ……えっ、あれ実現したの!?
 巻き込まれお疲れ様。

「シャムス、アー君、涼ちゃん、魔力使うけどいい?」
「お~」
『んー』
「がぉ」

 アカーシャの問いに生返事で返してるけど大丈夫だろうか。

「アランならきっと良いママになるよ、お祝いに安産のお守り今度贈るね」
「なぜ俺が生む側なのが決定事項なんだ!」
「だって」
「うん、邪神の旦那を孕ませる勇気ある?」
『諦め肝心なの』
「ナーガの子供産む可能性もあるよなー」
「なるほど、我の義兄弟になるのですな」

 そうか、マシュー君の伴侶であるナーガとマールスは兄弟だもんね、アランがマシュー君の嫁になるなら確かにマールスの身内になるな。
 しかも涼玉とマールスが将来伴侶になるのは確定、つまり。

「近い未来、アランは僕の身内になるのか」
「は?」
「そこで涼を抱いてるマールスはナーガの弟だ」
『番なの』
「沢山生むぜ、マールスが!」
「えっ、我産む側!?」

 涼玉が旦那さんなの!?
 さすがのマールスも衝撃を隠せないようだ。

 マールスは邪神の子、涼玉は古代竜の子。
 二人の子供って災害度が高そうだね。

『お腹空いたの』
「すごい鳴ってる」
「なんで?」

 いきなり盛大に幼児らのお腹が鳴り始めた。
 状態異常無効があるからお腹を壊した訳ではない、だとすると空腹音になるけど、さっき刀雲と一緒に食べたばかりだよね?

「奥様、一つ目の目録でございます」
「うん」

 僕らが話す横では、アカーシャ率いる商人団体が真面目に仕事をしていました。
 目録ってあれだよね、一覧表みたいなやつ。

「見た目が豪華なのは他国の貴族に売ろうか」
「では私の店が承りましょう」
「うんお願い」
「アー君、アダマンタイトも売ってもいいの?」
「いいぞー」
「武器や防具も結構あるけど【破損】表示が多いね」
「ではそちらは鍛冶場を取り仕切る私が引き受けましょう」

 ポンポン決まっていく。
 アカーシャの采配能力が凄い、かっこいい!

「アカーシャ、どうやって仕分けしてるの?」
「アー君のサーチの応用、ただし情報を受け取るのは個人じゃなくこの巻物だけどね」

 見せてもらった巻物の空白部分に高速で文字が書き込まれていく、魔法だ、ファンタジーだ。
 なるほど、この巻物に宝物庫の中身をダウンロードしているんだね、魔力死ぬほど使いそうだな。

 ……ん?

「アー君達の魔力使ってる?」
「うん、了承もさっきもらった」
「この空腹、アカーシャのせいか! ママ、補給!」
『きゅるるー』
「マールス、非常食」
「涼玉様しっかりーー!!」

 作業の邪魔にならないよう近くの中庭に移動し、慌ててアイテムボックスからドリちゃん特製サンドイッチを取り出す。
 ミルクも持ってきておいて良かった。

「うぅ生き返る、傍から消費してる」
『効率悪いのー』
「改良を要求する、今すぐ!」
「涼玉様、ドリちゃんの実ですぞ」
「あーん」
「アランも食べさせるの手伝って」
「あ、ああ」

 今日持たされたお弁当、やたら魔力が込められているとは思っていたけど早速役に立ったなぁ。
 もしやドリちゃん、先見の能力開花した?

「雷の魔力も借りよう」
『僕、パパに助けてもらう、一回寝るの』

 僕の腕の中で丸くなったシャムスが目を閉じ、数秒で眠りに入った。

「俺はどうしよう、マールス魔力くれ」
「涼玉様のためならば――ぐっ」

 嬉々として手を差し出したマールスが辛そうに歯を食いしばる。怖い、怖い、顔怖い。

「あー消費が緩やかになってきた楽~」
「でもまだ終わらない、にいちゃお宝詰めすぎ」
「少しだけ反省している」

 鑑定と情報記載を同時に行うあの巻物は便利だけど、魔力消費量を考えると使える人は限られそうだなぁ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

転生無双の金属支配者《メタルマスター》

芍薬甘草湯
ファンタジー
 異世界【エウロパ】の少年アウルムは辺境の村の少年だったが、とある事件をきっかけに前世の記憶が蘇る。蘇った記憶とは現代日本の記憶。それと共に新しいスキル【金属支配】に目覚める。  成長したアウルムは冒険の旅へ。  そこで巻き起こる田舎者特有の非常識な勘違いと現代日本の記憶とスキルで多方面に無双するテンプレファンタジーです。 (ハーレム展開はありません、と以前は記載しましたがご指摘があり様々なご意見を伺ったところ当作品はハーレムに該当するようです。申し訳ありませんでした)  お時間ありましたら読んでやってください。  感想や誤字報告なんかも気軽に送っていただけるとありがたいです。 同作者の完結作品「転生の水神様〜使える魔法は水属性のみだが最強です〜」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/743079207/901553269 も良かったら読んでみてくださいませ。

すべてを奪われた英雄は、

さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。 隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。 それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。 すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

俺は触手の巣でママをしている!〜卵をいっぱい産んじゃうよ!〜

ミクリ21
BL
触手の巣で、触手達の卵を産卵する青年の話。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

処理中です...