上 下
615 / 1,127
湯水のごとくお金を使おう

第608話

しおりを挟む
 夕方には何とか起きれるようになったけど、過保護なドリアンによって移動は禁止。
 その代わりあれこれ世話を焼かれた。

 僕は動けないけど、面会禁止なわけではなかったので、子供達が部屋に来てくれた。

『お見舞いなの』

 差し出されたカゴに盛られた聖なる果実の数々。

 リンゴとブドウはともかく、オレンジに桃まである。
 また種類増えた?

「あとこれお菓子!」
「俺が作ったんだ!」

 えへんえへんと涼玉が胸を張って自慢するそれは、紙のようにぺらぺらになったエビ。

「こうやって、こう!」

 掌に載せてもう片方を思いっきり叩きつける動作。それは最早圧縮に近いんじゃないかな。
 少なくともお菓子ではないけど……。

「ありがとう涼玉」
「えへへー」

 ちなみに食感はちょっとパリッとしてた。

『おとーと』
「えっ、母上妊娠したのか!」
「俺の弟?」
「涼玉様の弟なら、我にとっても弟ですな!」

 ふははははと笑いながらマールスはリンゴの皮を剥いてくれている。
 いつも涼玉に剥いてくれているんだろう、かなり手際が良い。

「うん、女神様がいきなり覚醒しちゃってね。そうだアー君、メニュー画面の女神様御用達って非表示に出来る?」
「おう、朝飯前!」

 微かに女神様の悲鳴が聞こえた気がするけど無視、アー君の下僕状態なのでこういう時は妨害出来なくてとても助かる。

「閨の覗きは生き甲斐らしいけど、俺にとっては母上の方が大事~」
「ありがとう。動けるようになったらおやつ奮発するからね!」
「やった!」

 パンケーキにアイス特盛でも、お好み焼き食べ放題でもなんでも言って!
 パフェもいいかなぁ。

「シャムスは何食べたい」
「いろいろー」
「小さいの食べ放題!」
「母上、スイーツバイキングで!」
「うん分かった」

 どうせ今日は動けないし、今のうちにバイキング特集からチマチマ選んでおこう。

「そろそろご飯の時間だね」
「とりあえずご飯食べてくる!」
『お大事になの』
「よーし沢山食べるぞ!」
「涼玉様、早く大きくなってくだされ!」
「それは嫌」

 賑やかな子供達が夕食のために部屋を去り、入れ違いでタイガがお見舞いに来てくれた。

「母よ、体は大丈夫か。無理をするな」

 いや、タイガも原因の一環だからね?
 むしろタイガの無茶のせいで動けないのですが。

「母よ魔力は足りているか、足りていないのなら――」
「すっごい足りてる! シャムス達が差し入れてくれた聖なる果実食べたから!」

 魔力がぎっしり詰まった優れものだったよ!
 だから魔力補給という名のエロはいらない。

「そういえばタイガ、魔族って知ってる?」

 アー君に聞こうと思ってたけど、えびせんの衝撃で忘れてた。

「我だな」
「え?」
「我の父はラセン」
「うん、忘れがちだけどそういえばそうだね」
「ラセンの父、我の祖父こそ魔族の王」

 そうなるとあの美人さん、転生したらムキムキの肉体になるのだろうか。
 ああでも、ラセンは魔王様の奥様似でスラッと美人だからワンチャンあるな。

 いやいやそれよりも。
 前世も今回も魔族なら属性闇だよね。

 聖なる果実食べちゃったけど大丈夫かな。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ご主人様と猫少年

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:272

盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:1,766

【完結】オオカミ様へ仕える巫子はΩの獣人

BL / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:408

あまりものの神子

BL / 連載中 24h.ポイント:20,243pt お気に入り:1,929

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:12,497pt お気に入り:497

四人の魔族とおいしい私

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:45

シーメール精神鑑定医・指尻ゑ梨花 ファック・パペット達の図形定理

ミステリー / 完結 24h.ポイント:426pt お気に入り:142

処理中です...