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湯水のごとくお金を使おう

第599話

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 初級ダンジョンの五階層にアンデッドが配置されて数日、ケバブ食べようと神社に行ったアー君がやや疲れて帰宅した。

「難易度高過ぎるからラーシャ達をボスから外してくれって泣き付かれた」

 何があった。
 あと口周りにソースがついてるよ。

『アー君、ケバブー』
「自分だけ食べるなんてずるいぞー」
「食べたいならば我が買ってきますぞ涼玉様!!」
「話を聞く代わりに奢ってもらった、すまん。でも泣き言に同意した他の冒険者からこれもらった」

 アー君がアイテムボックスから取り出したのは城下町で人気のコロッケ、願いを聞いてもらうためにアー君の兄弟にも賄賂を用意するとは、やるな冒険者。
 僕の分までありがとう!
 しかもこれ、カレーコロッケだ!

『わーい』
「にいちゃ大好きー」
「我は!? 涼玉様、我は!?」
「すきー」
「っく、アルジュナ様に負けた!!」

 兄弟と張り合うのが間違っていると思う。

「ネヴォラ出現でただでさえ難易度爆上がりしているのに、これ以上はポーション代が続かないって割と本気で泣いてたな」
「神出鬼没だもんね」

 出会ったら最後、脛を骨折はほぼ確実。
 嫌な巡回ボスだな。

「なんでもラーシャを攻撃しようとすると、天使のような少年がモーニングスターを振り回して襲ってくるらしいんだ。動きが速過ぎて攻撃する前に全滅するんだって」
『隠しボス?』
「天使こえー」
「涼玉様は我がお守りしますぞ」
「ねぇそれ、イネスじゃない?」

 あとそのモーニングスターはアー君の作った武器な気がする。
 モーニングスターをぶん回す神速のボスか、僕も嫌だなそんな相手。初心者には荷が重すぎるんじゃないかな?

「あっ」
『イネスちゃん』
「にーにかぁ」
「それは、戦闘態勢にすら入れませんな」
「イネスが相手じゃラーシャも注意出来ないのが困りものだねぇ」
「騎士様いらっしゃい、お昼はこれからですが一緒に食べますか?」
「食べる」

 じゃあ一名様追加で。ドリちゃーん。

「しかもイネス聖属性だから、聖水効果ないしね」

 やれやれとため息をつく騎士様。

「蓋を開ける暇もないと思いますよ」
「ないだろうなぁ」
『投げても当たらないの』
「オーバーキルだよにーに」

 アンデッドは初心者に合わせて戦ってくれるし、たまに同僚の狼系モンスターをもふったりブラッシングしていたりなど、癒されると評判が高いけれど、アンデッド系ボスが初心者向けじゃなかった。

「ラーシャは中級に転任かな」
『イネスいる時点で詰みなの』
「ラーシャでも勝てないよな」
「両手を挙げて降参したら襲わないとか出来ないの?」
「それもありか」
『勝てない戦い見極めも大事よね』
「そもそも、ラーシャが面頬と小手外せばいいんじゃ……」

 涼玉の冷静な一言。

 いや、うん、本当にね、そうなんだけど、外さないんだよなぁ。
 それどころか身につけるもの全部作ってもらおうか考えているぐらい、お手上げです、お医者様でも草津の湯でも治らないアレです。

 さて僕はお昼のデザートでも選ぼうかな……う、うーん、前は全く気にしてなかったけど、高級品揃いだからどれも消費ポイントが高いな。
 あれからチマチマ貯めてはいるけど、消費も大きいからなかなか貯まらないんだよね。

 これはなかなか困った。
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