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巡り合い

第590話

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 庭にネヴォラがいることに気付いたギレンが苦情を言おうと立ち上がった。

「よしいい的がいるぞ!」
『とんで火にいるむしー』
「やる、ギレン、プチっとする!」

 悪い子にはお仕置きだなァって余裕ぶってる場合じゃないよギレン、相手が悪過ぎる!
 あとギレンの後ろには僕やドリアンがいるからね、危ないから止めなさい!

「こら、樹に当たったら危ないでしょう」
「騎士様ナイス!」

 うおーっと燃えているネヴォラをひょいと騎士様が抱き上げた。

「ギレン倒す!」
「威勢がいいダークエルフだなぁ」
「ギレンボコボコーー!」
「主様、ちょっとそいつと話したいのですが」
「拳の話し合いでしょ~、ギレンじゃネヴォラのスピードに追い付けないから怪我して終わりだよ」

 えっ、ネヴォラそんなに素早いの?
 うちのイネスぐらい?

「そんな事は」
『身体強化、そーれー』
「シャムスの身体強化って恐ろしく効果高いから……」
「ぷちーって、ぷちーってするーー!」
「はいはい、ゴブリンが心配してるから帰ろうねぇ」
「お土産くれたら帰る」

 案外素直に帰る宣言。ただしお土産必須。
 困ったように騎士様がこちらを見ている。

 ポイント足りるかな?
 ドキドキしながら出したのは金平糖、これならネヴォラとゴブリン、スライムで分けて食べれるからいいかなと思いました。
 カラフルで綺麗なのもポイントです。

「イツキありがと! 帰る!」

 金平糖の入った瓶を大事に抱え、こうしてネヴォラは帰っていった。
 嵐のような来訪だった。

「納得がいきません!」
「ギレンの攻撃って大振りだからなぁ、シャムスの身体強化かかったネヴォラを捉えるのは無理だと思うんだよねぇ、アー君仕込みの補助魔法と必殺技で基本能力も強化されたし」
「っく」
「無理だとは思うけど、なるべく仲良くしなさい。無理だとは思うけど」

 無理って二回言った。
 騎士様もネヴォラとギレンが和解するのはほぼ諦めてるんだなぁ。

「素質が高いから仕込み甲斐がある」
『スライムで防具作るの』
「ブーツ作ろうぜ」
「動きを阻害しないものが良いでしょう」

 ギレンは不完全燃焼だろうけど、止めてもらって良かったと思うよ。だってさっきからうちの子が不穏なこと言ってるんだもの。

「基本裸足だからな、足を覆う靴よりサンダルとかどうだ」
『かかとの所に羽つけるの』
「素早さアップだな!」
「身を守る術も必要でしょう」
「それもそうだな、攻撃が当たったら減速してしまうもんな」

 全力で強化するつもりだよ。
 しかもスピード強化を重点的にするつもりだ。

 第二のイネスが爆誕する日も遠くないかもしれない。
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