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巡り合い
第570話
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どうも、社務所に行った目的を忘れ、そのまま帰宅した樹です。
「ピリッと――からぁぃ」
試食はマールスにしてもらったのだけど……どうも辛いの苦手っぽい、涙目です。
「ごめんごめん、水飲んで」
「マールス辛いの苦手?」
「申し訳なぃ」
生まれて初めてマールスのテンションが下がった。
涼玉の前で情けない姿を見せたのが堪えているのだろう、ごめんね?
うん、リクエストした当人に食べてもらおう。
神薙さんは激辛でも平気だからちょっと基準にならないんだよね、だからグラちゃんに食べてもらおうと思ったんだけど、まさか試食してもらうのを忘れるとは思わなかった。
グラちゃんって意外と美食家なんだよね、食べ方も上品、前世は王族だったらしいし、その辺が関係あるのだろうか?
「ただいまー」
アー君達も帰宅したし、試食会はまた明日。
『アー君おかえり』
「シャムス~」
『おつかれなの』
「にいちゃお疲れ、よしよし」
帰ってくるなりアー君がシャムスにべったり抱き着き、そんなアー君の頭を涼玉が後ろから撫でている。天使か。
「はぁ疲れた疲れた」
「主様、行こう、早くっ!」
「休憩させて、お願い」
なんだか騎士様は萎びているし、何があったのだろうか。
「神薙さん、とりあえずダンジョンは明日にして、食前スイーツはいかがですか?」
「食べる」
「樹ありがと~」
メニュー画面のバイキング特集からどさーーっとスイーツを出すと、あっさりと神薙さんは騎士様から離れて席についた。
「どうぞ」
「いただきます」
「樹、俺にも何かちょうだい」
「ママ俺も」
「一個ずつ出すね」
神薙さんは和洋中関係なく出したけれど、皆には何がいいかなぁ。
あっ、ドーナツ美味しそう。
チョコやストロベリーなど様々なソースでカラフルに装飾されたドーナツを人数分、あと視線がこちらに向く前に全種を神薙さん用に出してドリアンに渡します。
よく考えたら甘いものをどれだけ食べても太らない神薙さんって、世の女性からしたらかなり羨まし体質なのではないだろうか。
「うまぁ」
『おいしーね』
「チョコ美味い、チョコの実ほしいな」
「カカオですかな?」
「んー、もいだらすぐ食べたい、実の中身がチョコなやつがいい」
『魔力いっぱい使っちゃうね』
「にいちゃ何か方法ある?」
「方法は二種類、一つはカカオを実らせ、スライムにチョコを製造してもらう。二つ目はシャムスが言うようにとんでもなく魔力を使うから、家族分を共有して使うとかかな? 後者はちょっとまだ難しいかもしれない」
「えー」
「涼玉、魔力操作いまいちだからなぁ」
あれ、魔力も共有出来るんだっけ?
それもそうか、スキルや加護、属性とか本来は共有できないものを出来るんだから、魔力も当然共有可能かー。
ならなんで僕はクリーン以外使えないのだろうか。
「チョーコー」
『スライムで我慢しよ』
「がぅぅ」
「修行すれば作れるようになるから、ちょっと我慢だな」
「ううん、出来るよ。涼玉の力も特に使わない」
さらっと言い切ったのは神薙さんだった。
「シヴァに可愛くおねだりすればいい、チョロい」
「ああ、そう言えばアイツ、アー君の為だけにチーズの実を作らせたんだよねぇ」
『ないものねだりじゃなかった』
「弟が豊穣神だったか……うわぁ頼みたくないなー、対価こえぇぇ」
「シャム兄のスライムで我慢しようかな」
涼玉のチョココールが止まった。
長男ショタコン、三男外道、末っ子姫はストーカー。
レイアさんご夫妻のご子息たちがなんていうか、業が深い。
「ピリッと――からぁぃ」
試食はマールスにしてもらったのだけど……どうも辛いの苦手っぽい、涙目です。
「ごめんごめん、水飲んで」
「マールス辛いの苦手?」
「申し訳なぃ」
生まれて初めてマールスのテンションが下がった。
涼玉の前で情けない姿を見せたのが堪えているのだろう、ごめんね?
うん、リクエストした当人に食べてもらおう。
神薙さんは激辛でも平気だからちょっと基準にならないんだよね、だからグラちゃんに食べてもらおうと思ったんだけど、まさか試食してもらうのを忘れるとは思わなかった。
グラちゃんって意外と美食家なんだよね、食べ方も上品、前世は王族だったらしいし、その辺が関係あるのだろうか?
「ただいまー」
アー君達も帰宅したし、試食会はまた明日。
『アー君おかえり』
「シャムス~」
『おつかれなの』
「にいちゃお疲れ、よしよし」
帰ってくるなりアー君がシャムスにべったり抱き着き、そんなアー君の頭を涼玉が後ろから撫でている。天使か。
「はぁ疲れた疲れた」
「主様、行こう、早くっ!」
「休憩させて、お願い」
なんだか騎士様は萎びているし、何があったのだろうか。
「神薙さん、とりあえずダンジョンは明日にして、食前スイーツはいかがですか?」
「食べる」
「樹ありがと~」
メニュー画面のバイキング特集からどさーーっとスイーツを出すと、あっさりと神薙さんは騎士様から離れて席についた。
「どうぞ」
「いただきます」
「樹、俺にも何かちょうだい」
「ママ俺も」
「一個ずつ出すね」
神薙さんは和洋中関係なく出したけれど、皆には何がいいかなぁ。
あっ、ドーナツ美味しそう。
チョコやストロベリーなど様々なソースでカラフルに装飾されたドーナツを人数分、あと視線がこちらに向く前に全種を神薙さん用に出してドリアンに渡します。
よく考えたら甘いものをどれだけ食べても太らない神薙さんって、世の女性からしたらかなり羨まし体質なのではないだろうか。
「うまぁ」
『おいしーね』
「チョコ美味い、チョコの実ほしいな」
「カカオですかな?」
「んー、もいだらすぐ食べたい、実の中身がチョコなやつがいい」
『魔力いっぱい使っちゃうね』
「にいちゃ何か方法ある?」
「方法は二種類、一つはカカオを実らせ、スライムにチョコを製造してもらう。二つ目はシャムスが言うようにとんでもなく魔力を使うから、家族分を共有して使うとかかな? 後者はちょっとまだ難しいかもしれない」
「えー」
「涼玉、魔力操作いまいちだからなぁ」
あれ、魔力も共有出来るんだっけ?
それもそうか、スキルや加護、属性とか本来は共有できないものを出来るんだから、魔力も当然共有可能かー。
ならなんで僕はクリーン以外使えないのだろうか。
「チョーコー」
『スライムで我慢しよ』
「がぅぅ」
「修行すれば作れるようになるから、ちょっと我慢だな」
「ううん、出来るよ。涼玉の力も特に使わない」
さらっと言い切ったのは神薙さんだった。
「シヴァに可愛くおねだりすればいい、チョロい」
「ああ、そう言えばアイツ、アー君の為だけにチーズの実を作らせたんだよねぇ」
『ないものねだりじゃなかった』
「弟が豊穣神だったか……うわぁ頼みたくないなー、対価こえぇぇ」
「シャム兄のスライムで我慢しようかな」
涼玉のチョココールが止まった。
長男ショタコン、三男外道、末っ子姫はストーカー。
レイアさんご夫妻のご子息たちがなんていうか、業が深い。
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