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巡り合い
第545話
しおりを挟む騎士団本部を案内され、アルパカと再会、その後、戻ってきたアー君と帰宅。
現在は夕食の用意中。
今日の夕食のメインは肉団子、みんなで具を丸めている所です。
涼玉はこっそり火を吹いて焼いて食べていたので、スプーンで具材を取る係に回しました。
炎の扱いが上達しているのを褒めたいけど、使いどころが盗み食いのためだから誉めにくい。
シャムスは捏ねないよう気を付けながらコロコロと団子を増産中、メリベルが側に付いているのでもしスライムが出来た時はアイテムボックスに片付けるようお願いしてある。
放置すると逃げ出すからね、僕らは食べれないからあとでまとめて神薙さんに食べてもらうんだ。
今日はラーシャも手伝ってくれているのでイネスがご機嫌、団子を丸めるラーシャの膝の上でゴロゴロ喉を鳴らしている。
若干顔色が悪い原因、リンゴなんだよね、あとさつま芋。
そう、ラーシャはバリバリの闇属性、死者を食事代わりにするような人物、聖なる作物に近寄るだけでダメージ受けるようです。
そんな彼の膝には聖なるリンゴを食べて光り輝くイネス、つまり常時ダメージを受けている状態。
よく今のイネスの側に居られるなと思ったら、ドリちゃんドリンクを飲んで回復しながら作業していた。
難儀ですね。
「不在中のあれこれ報告するの忘れた!」
「そうなの?」
「うん、お疲れだったから肉球マッサージしてあげたんだ。そしたら寝ちゃって、報告出来なかった」
アー君の肉球気持ちいいもんね、お疲れの騎士様が抗える訳がない。
「あと、戻る途中で文官集団に捕まって、バザーの詳細な打ち合わせを明日詰めることになった」
「アー君幼児だよね?」
「パパの息子という身分と、宝物庫を圧迫する犯人の一人だからあまり考慮されない」
むしろ騎士様の息子という身分が年齢を考慮されない原因な気がする。
「明日はダロスが仕事お休みだから一緒に行ってくる。昼は王宮の食堂で食べるんだー」
「素直に打ち合わせ参加すると思ったら、それが狙いだね」
「うん!」
ほぼ毎日自宅でお昼だもんね、例外はダンジョンに行く時ぐらい。
もう幼児がなぜダンジョンにとか思わない、僕は絶対にツッコミを入れませんよ。
「ただいまー、父様も一緒だよ」
「ただいま」
「わぅ!」
おっと皆が帰って来たようだ。
今日はいつもより早いかな?
そんなことを考えていたら皆の後ろから神薙さんも顔を出した。
「ごはん」
「まだ時間ありますよ」
「小腹空いた」
「うーん、イネスー、リンゴ持ってる?」
「はい」
「ぎゃぁっ!」
イネスが金色のリンゴを取り出した瞬間、ラーシャが悲鳴を上げて手で顔をおおった。
「ラーシャ?」
「イネス、このリンゴ、ラーシャには毒」
一瞬でリンゴを食べた神薙さんが無理矢理手を引きはがすと、手の下の顔は鱗に覆われ目が異形なものへと変化していた。
異形じゃなくてドラゴンの瞳、ダメージを受けて変化が解けてしまったらしい。
「ラーシャは冥府の子、強すぎる聖属性は毒になる」
「そんな、ラーシャ大丈夫?」
「いたい」
痛がっている割には気のせいかデレデレしていませんかね?
ああ……イネスに心配されるのが嬉しいのか、なんだか神薙さんに腕を食べられても喜ぶ周防さんと似た素質がありそうだな。
「神薙様、ラーシャ痛い、どうしたらいい?」
「砦でドリちゃんドリンク飲みながら休めば一晩で治るよ」
砦って神薙さんの邪気で死地になったあそこか。
「ラーシャすぐ行って、痛いの治して、ごめんね、ごめんね」
「大丈夫だよイネス、夕食食べてからでも問題ない」
肉団子パーティーに参加したいのか、量産手伝ってくれるほど張り切っていたもんね。
「でも半分ドラゴン化したラーシャもカッコイイです」
「そぉ?」
照れながらも再び肉団子作りを再開した。
あの肉団子、甘ったるい味がしそうだなぁ。
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