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巡り合い
第514話
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涙目になりながらも復活した女神様が震える指先でグラちゃんを指した。
「あれ、あいつ、ドラ、ドラゴン」
「ああはい、グラちゃんです」
『りょーちゃんのパパよ』
「言ってなかったのか雷」
「忘れてた」
悪い悪いと言いながらヒューちゃんに差し出された小さなサンドイッチを食べている雷ちゃん、反省の色など微塵も感じられないです。
「探してた古龍じゃねぇか!!」
なにそれ泣きたい! 私の苦労なんだったの! と女神様が嘆いております。
まぁまぁ落ち着いて、一献どうぞ。
「男しかいないのに絡みはゼロ、いるのは魔物から剥いだ素材で料理したり武具を作る脳筋ばかり、戦いで高ぶった熱は戦いで発散するから営みもなく、ボケにツッコム人材はいても受けにツッコム攻めがいない悲劇! あれに耐えた日々の果て、雷様を犠牲に収束したと思ったらなんか最終的にぐたぐだとした締めになって、やっと今日、男達の荒ぶった閨が見れると思ったらラストのオチはこれかよぉぉぉ!」
これは僕、謝ったほうがいいのかな?
でもなぁ大半女神様の趣味が覗けなかった愚痴だし、無視していいかな。
「なぁなんで、なんで、ここに私達が探してた古龍がいるの? こいつ探して数か月あっちで野営する羽目になったんだけど!」
「えー僕に言われても」
「大体、いつ出会ったんだよっ!」
『いつだっけ?』
「雷覚えてねぇ?」
「あー……遠征前だった気がする」
女神様が沈んだ。
「社務所で暮らしてて、今はすっかり看板ドラゴンです」
『商売繁盛、グラちゃんの恵みの力凄いね』
「多分だけど雷が名付けしたから能力アップしたんだと思う」
「涼玉と合わせれば豊穣の神と同等の効果はあるぞ」
「おれも? すっげー」
予想以上に凄い効果になっていた。
もしや裏庭菜園が豊作なのはグラちゃんのおかげ?
(え、なにそれ、イツキちゃん、裏庭菜園ってなぁに?)
(本殿の裏でドリちゃんが始めた菜園です、管理はドリちゃんと子守部隊のおじいちゃん共同、もちろん神薙さんの許可済みですよ)
(のぉぉぉぉぉ)
女神様が泣いている。
ショックが大き過ぎたみたい。
「鈴の絶叫聞こえたけど、どうしたの?」
「なんだぁ?」
女神様の保護者、騎士様が隣の席から騒ぎを聞きつけてやってきた。
ただ事じゃないと思ったのかレイアさんも一緒だ。
「……」
「……」
「……」
騎士様、レイアさん、グラちゃんの三人が顔を合わせて固まった。
そう言えば会うのって初めてかな?
「イツキ、お酒ちょうだい」
「はい」
頭が痛いのかこめかみを抑えながら盃を差し出されたので、給仕の人から受け取って注いだ。
「ああ美味しい、いや、現実逃避してる場合じゃないか」
「誰か分かったのか? 私はちょっとこう、すぐには思い出せない」
「……っっひ」
レイアさんの視線を受けてグラちゃんがビクッと肩を震わせた。
「ああ、懐かしいな」
誰の声かな?と辺りを見回したら、レイアさんの胸の間からにょきっと蝙蝠が顔を出した。
いましたねそう言えば、えーっと確かレイアさんの旦那様でギルバートさん、だった気がする。
「知ってる奴?」
「ああ、友だ」
「いやぁぁぁ」
ギルバートさんがうむ。と頷くと同時にグラちゃんが尻尾を丸めて僕の後ろに隠れた。
ぷるぷる震えているらしく振動が伝わってくる。
「おいおいマジかよ」
「世間って狭いね☆」
仁王立ちでグラちゃんを見下ろすレイアさん、騎士様は笑いながら盃を進めている。
カオスです。
「あれ、あいつ、ドラ、ドラゴン」
「ああはい、グラちゃんです」
『りょーちゃんのパパよ』
「言ってなかったのか雷」
「忘れてた」
悪い悪いと言いながらヒューちゃんに差し出された小さなサンドイッチを食べている雷ちゃん、反省の色など微塵も感じられないです。
「探してた古龍じゃねぇか!!」
なにそれ泣きたい! 私の苦労なんだったの! と女神様が嘆いております。
まぁまぁ落ち着いて、一献どうぞ。
「男しかいないのに絡みはゼロ、いるのは魔物から剥いだ素材で料理したり武具を作る脳筋ばかり、戦いで高ぶった熱は戦いで発散するから営みもなく、ボケにツッコム人材はいても受けにツッコム攻めがいない悲劇! あれに耐えた日々の果て、雷様を犠牲に収束したと思ったらなんか最終的にぐたぐだとした締めになって、やっと今日、男達の荒ぶった閨が見れると思ったらラストのオチはこれかよぉぉぉ!」
これは僕、謝ったほうがいいのかな?
でもなぁ大半女神様の趣味が覗けなかった愚痴だし、無視していいかな。
「なぁなんで、なんで、ここに私達が探してた古龍がいるの? こいつ探して数か月あっちで野営する羽目になったんだけど!」
「えー僕に言われても」
「大体、いつ出会ったんだよっ!」
『いつだっけ?』
「雷覚えてねぇ?」
「あー……遠征前だった気がする」
女神様が沈んだ。
「社務所で暮らしてて、今はすっかり看板ドラゴンです」
『商売繁盛、グラちゃんの恵みの力凄いね』
「多分だけど雷が名付けしたから能力アップしたんだと思う」
「涼玉と合わせれば豊穣の神と同等の効果はあるぞ」
「おれも? すっげー」
予想以上に凄い効果になっていた。
もしや裏庭菜園が豊作なのはグラちゃんのおかげ?
(え、なにそれ、イツキちゃん、裏庭菜園ってなぁに?)
(本殿の裏でドリちゃんが始めた菜園です、管理はドリちゃんと子守部隊のおじいちゃん共同、もちろん神薙さんの許可済みですよ)
(のぉぉぉぉぉ)
女神様が泣いている。
ショックが大き過ぎたみたい。
「鈴の絶叫聞こえたけど、どうしたの?」
「なんだぁ?」
女神様の保護者、騎士様が隣の席から騒ぎを聞きつけてやってきた。
ただ事じゃないと思ったのかレイアさんも一緒だ。
「……」
「……」
「……」
騎士様、レイアさん、グラちゃんの三人が顔を合わせて固まった。
そう言えば会うのって初めてかな?
「イツキ、お酒ちょうだい」
「はい」
頭が痛いのかこめかみを抑えながら盃を差し出されたので、給仕の人から受け取って注いだ。
「ああ美味しい、いや、現実逃避してる場合じゃないか」
「誰か分かったのか? 私はちょっとこう、すぐには思い出せない」
「……っっひ」
レイアさんの視線を受けてグラちゃんがビクッと肩を震わせた。
「ああ、懐かしいな」
誰の声かな?と辺りを見回したら、レイアさんの胸の間からにょきっと蝙蝠が顔を出した。
いましたねそう言えば、えーっと確かレイアさんの旦那様でギルバートさん、だった気がする。
「知ってる奴?」
「ああ、友だ」
「いやぁぁぁ」
ギルバートさんがうむ。と頷くと同時にグラちゃんが尻尾を丸めて僕の後ろに隠れた。
ぷるぷる震えているらしく振動が伝わってくる。
「おいおいマジかよ」
「世間って狭いね☆」
仁王立ちでグラちゃんを見下ろすレイアさん、騎士様は笑いながら盃を進めている。
カオスです。
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